2008年04月21日

岡山精研高校 -本質-(後)

 精研の選手の保護者は、目を細めながらこう語る。

「自分の子どもの動きが、どんどんキレイになっていくのを見るのが楽しくって」
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 もともとは恐らく、単純に自身の子どもの練習や演技を見ていただけなのだろう。新体操を見ていたというよりは、多くの親がそうであるように、子どもの変化を目で追っていただけに違いない。

 しかしそれはごく自然な形で、いつしか新体操の細やかな徒手の変化までも見て取れるほどの観察眼を養った。 


 男子新体操の団体で、多くの人が魅力だとかんじるのはやはり、ダイナミックなタンブリングや組みである。しかしだからこそ、それ以外の徒手の違い、良し悪しが分かると、新体操の面白さ・興味はより深いものになる。それを知ってしまったら、彼らは熱烈な岡山精研のファンになるより他なかった。なぜなら精研の徒手は、確かに美しかったからだ。

 徒手の徹底は、期せずして保護者をどこよりも見る目のある、熱心な新体操ファンにすることとなった。



 さらに、保護者の熱意は応援だけにはとどまらなかった。

 昨年12月15日、岡山で3回目となる「岡山新体操フェスティバル」が開催された。基本的に岡山精研を筆頭とする地元のチームと、招待選手の演技が中心となる演技会なのだが、その内容は「演技会」というにはあまりにも豪華だ。


 圧倒的な存在感で過去にインカレ、全日本選手権を制し、昨年の全日本選手権では花園大学の監督をつとめながら、4位入賞まで果たした野田光太郎。彼による、他では決して見られない男女新体操のペアの演技。

 全日本選手権覇者、花園大学・北村将嗣による演技。インカレチャンピオン・谷本竜也による、おそらく男子では初となる「リボン」の演技。
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 ただ、そうした演目はもちろんなのだが、その一方で印象的だったのが、保護者たちの姿だった。フェスティバルの運営はほぼ全て、保護者の手によって行われる。それはフロアをしくところから始まるのだが、一度や二度やった程度では慣れないフロアの準備を、20名ほどにもなる保護者たちが皆、実に手際よく行っていく。通常、1時間程度をみるフロアの準備を、彼らはたったの30分程度で終わらせてしまう。
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 さらに練習中の、膨大な量の差し入れはもちろんのこと、招待選手は皆、保護者の家に泊まるよう、準備を整えてある。その日の夕食は大きな長机に乗り切らないほど、保護者たちのもちよりでいっぱいになった。
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 フェスティバルでは観客の誘導から、アナウンスまでを保護者が行う。「いつも、こちらがやって欲しいと思う以上のことを、何も言わなくてもやってくれる」という、長田監督の言葉通りの光景だった。


 そしてフェスティバルのそうそうたる演目の中で、何よりも目を引いたのは、保護者による演目が入っていたことだ。「大人の新体操」と題されたそれは、長田監督、井上監督ら指導陣も加わって、基礎的な体操を音楽に合わせて行う。
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 ここまでくるともはや熱心、という言葉では片付けられないし、献身的、とも少し違う。彼らは岡山精研の美しい徒手に、いや、今となっては男子新体操そのものに、心酔しているのだ。






 美しい徒手、流れのある独創的な構成、保護者との強い結びつき。それらは決して「隠された本質」になど起因してはいなかった。大会会場でみせる、場の空気を変えてしまうような美しい演技。それが、全てだ。


 とはいえ、まだ岡山精研に関しては知りたいことが山ほどある。大会前には深夜にまで及ぶという練習の内容、そうした長時間の練習にも耐えうる選手たちのメンタル、あの構成のつくられる過程―――そういったものも、その「全て」によるものなのか、よく観察しなければ―――


 などというのは口実で、実は単純に、あの美しい徒手と、それを見守るどこよりも熱い新体操ファンに、もう一度会いたいだけなのかもしれない。

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posted by reportage |23:13 | 岡山精研高校 | コメント(0) | トラックバック(0)
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