2007年04月12日

青森大学 vol.1 -ウサギとカメ(中)-

 わずか1時間ほどのフロアでの練習が終わると、続いて場所を2Fにうつして団体演技の構成作りに入る。

 監督について2Fの練習場に上がると、私はまた驚かされた。そこは日本一の演技が生まれるには、明らかに劣悪と言っていい環境だった。

 


 床面積の半分をトレーニングマシンで占められたその場所は、団体メンバー6人が、フロアを想定して隊形をつくるには明らかに狭い。

 床はわずか1センチほどの厚さのウレタンマットの上に、じゅうたんを敷いただけのもの。それも体操用でもなんでもない、薄く、幅のせまいじゅうたんなので、何枚もならべて敷きつめなければならない。さらにじゅうたんの境目はめくれ上がっており、今にも足をひっかけてしまいそうなフロアである。

 動きをチェックするために欠かせない大きな鏡は一応あるが、それもその三分の一ほどが割れてしまっている。

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 こんなところであの壮大な演技は生まれていたのかと思うと、ただただ驚くばかりだったが、聞けばこの練習場も、ついこの2ヶ月前ほどにできたばかりだという。それまでただマシンが乱雑に置かれただけだったこの場所を、選手達が整理してあつらえた。それ以前は体育館の廊下や走りに使っていた2Fテラスを使用していたというから、更に驚きである。
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 床は固く、滑りやすい木やビニールだし、廊下などは少し動けば隣の選手にぶつかってしまうほどの幅しかない。鏡は、手洗い所の前のものを使用するが、その場所も手を伸ばせば壁に当たってしまうような広さである。そんな場所で20名以上の部員が練習する姿など、想像すらできない。

 

 しかしこうした、時間的・設備的に限られた環境は、中田監督の求める「突発的なものに対応する力」を養うには適していたようである。昨年12月20日~1月13日の間に行われた、ドイツ遠征でその成果は表れた。



 

 今回青森大学が参加したのは、ガーラという、様々なアクロバットのエキスパートが集まってヨーロッパ各地をショーをしてまわるというもの。アートに関心の深いヨーロッパでは、来年のチケットが昨年の9月に完売してしまっている、というほどの盛況にあるイベントで、10万人以上もの動員数を誇っている。

 

 しかし基本的にプロの集まるこの興行、そのスケジュールはかなりタイトであった。様々な種目の選手がいるため、練習時間はかなり限られた。10分から20分のアップで2時間後に本番、なんてこともあった。公演は多い日には1日2回、それが終わればすぐにバスで移動、車内で日付けが変わり、翌日にまた本番、という日程が続く。
 
 


 何ヶ月も前から、大会での本番1回のために練習してきたこれまでとは勝手が違いすぎる。にもかかわらず、選手の口から「そこまで辛くなかった」という言葉が出るのは、日頃の変則的な練習の賜物だろう。





 「(求める能力は)突発的なものに対応できる力。それがないと勝てない」というのが中田監督の持論。





 ドイツでの遠征中、青大の演技の後、会場はものすごい歓声と、それだけでは足りないとばかりの地団太で埋め尽くされた。ドイツからは「来年もぜひ来て欲しい」と来訪を熱望されており、オランダ、ロシアなどからもオファーを受けている。
 

 国内の実績にくわえて、初の海外遠征での高評価、そしてなにより変則的な練習について「毎回なにをしようか、楽しみ」と語る主将の岡の言葉。


 その力は、確かについているようである。











大会日程、用語解説などはこちら→http://reportage.web.fc2.com/


posted by reportage |23:21 | 青森大学 | コメント(0) | トラックバック(0)
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