2007年02月12日

埼玉栄高校 vol.4 -普通の高校生-

夕方。ファミレスで記事を書いていると、合コンらしいことをしている、高校生くらい年齢の集団に出くわした。


取材していると忘れがちだが、「ああ、これくらいの年の子はこういうものだったか」と、改めて思う。

そして、「こういうときは割り勘なんだろうか」などと、考えたりする。









埼玉栄の選手たちの印象として残っているのは、「人懐っこい」ということ。


突然カメラを携えてやってきた来訪者に、練習中は戸惑うようにチラチラとこちらを見ていた。しかし練習後のストレッチ中、彼らのひとりに話を聞いていると、いつの間にか自然に周囲に集まってきていた。


始めはお互いに緊張していたが、次第に色々なことを話してくれるようになった。その様子を見ていて思ったのは、当然かもしれないが、「仲が良いな」ということ。


レギュラー争いなんかはある?とたずねると、「あるある、ものっっすごくある!」なんておどけた調子で話す。



実際のところ、レギュラー争いはある。
高校1、2年生と、中学生も入れて15名。3年生も入れると20名ほどになる。男子新体操部としては、大所帯な方である。

試合に出られるのはうち6名。それ以外は全員が補欠である。
レギュラーが発表されると、それ以外の選手は「いつ、どこのポジションに入っても、すぐに動けるように」と、レギュラー全員の動きを頭に入れ、練習する。

フロアで練習するのはレギュラーの6人だが、それ以外の選手もフロアのまわりでまったく同じ練習をする。いや、全員分の動きを把握しなければならない分、レギュラー以上に練習していると言える。





 副キャプテンの石原は、今はレギュラーではない。現在の課題を「早くレギュラーに追いつき、追い越すこと」と語る。
彼らには全国の高校生と争う前に、身近なライバルとの争いが控えているのだ。






これは女子の話であるが、大学の新体操部になると、規模の拡大に伴い熾烈なレギュラー争いが起こる。それは部活にとどまらず、私生活に影響を及ぼすことすらあるという。




レギュラーになれなかった選手は当然、レギュラーのサポートにまわる。
どこのスポーツの世界にもあることだが、自分の立てない舞台を支えるというのは、辛いことである。



そのことについてたずねると、「まわりのケアや、みんなをまとめることは嫌いじゃないから。みんながやりやすい状態をつくりたい」と、さらりと言った。


それは決して諦めなどではなく、純粋にチームの「勝ち」を願うからこそ出た言葉なのだろう。
熾烈なレギュラー争いは彼らには無縁、とは言えないが、少なくともそれが原因でが仲たがいをするということはなさそうだ。







 意識してる高校や選手はいる?と訊くと、皆異口同音に口をついて出るのは「青森山田高校」の名前。「とにかく上手い」と口をそろえる。

なので、「以前取材に行ってきた」という話をすると、身を乗り出すように聞いていた。






「寮生活で、新体操以外あまりすることないらしいよ」

と言うと、

「すげー」。




「部活の前にいつも雪かきしてるんだよ」

と言うと、

「すげー」
「補強だ!」
「だから強いんだ!」



打てば響くような反応が返ってくる。

「ものすごい雪の中でも、歩いて通ってるんだよ」と言ったとき、「え!スキー通学じゃないの?」と答えたのには、思わず笑ってしまった。










埼玉栄高校は、全日本選手権で大学生、社会人と争うほどの実力を持つ。

迫力のタンブリング、キレのある動き、芸術性のある構成。一般人の我々からすると卓越したその身体能力に、思わず鳥肌が立つ。

それらを見ていると、彼らがあたかも特別な資質を持ったアスリートであるかのように思えてしまう。実際、そいういう選手もいるだろう。しかしほとんどの場合、そんなことはないのだ。



 始めたのは高校生からと言う選手がほとんどであるこの世界。始めたきっかけをきくと「バク転をしたかったから」なんて理由を耳にするのはよくあることである。そんな普通の高校生が、3年間努力して努力して、あの演技をつくり上げているのだ。


 会場で彼らを取りまく歓声が、血のにじむような努力の末に成り立っているということを、忘れないでいたい。












 気がつくと、合コンらしいものは解散し始めていた。お勘定はどうやら個別会計らしい。


こういう高校生活もありか、と思う。一方ででもやはり、部活に懸命になってる高校生活の方が好きだなと、大人ならではの身勝手な思いを巡らせていた。









そして今頃、疲れた体をひきずって家路についているだろう、彼らに思いを馳せた。


20070212-00.JPG



posted by reportage |16:49 | 埼玉栄高校 | コメント(2) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
埼玉栄高校 vol.4 -普通の高校生-

そろそろ3年生が卒業した頃だと思います。この1年埼玉栄高校の取材が更新されていませんが、最近の栄の選手はどうなっているのでしょうかね?選手の談話や新人の動向なども気になるところです。
選手の個性も構成も独創的なのが見もの!!
このブログで、全国の男子新体操部の見えない部分をもっともっと公表してもらえたら、試合も10倍面白く見れると思います。これからもがんばって取材を続けて下さい。

posted by サクサクッ | 2008-03-17 21:55

コメントありがとうございます。

コメントありがとうございます!
せっかく読んでいただいてるのに、ご期待に添えずにすみません。。
今年はなかなかお伺いする機会をもてない状態でして…埼玉栄高校の演技は私もすごく好きなので、またぜひ、お伺いする機会をいただければと思っています。
励みになるコメント、どうもありがとうございます。今後とも、宜しくお願いします!

posted by 管理人 | 2008-03-25 00:02

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