2008年04月19日

岡山精研高校 -本質-(前)

 物事の見かけにとらわれてはならない。その奥に隠された本質というものがあり、それを見つけるために、注意深く観察する必要がある。



 大会会場のその客席で、選手の一挙手一投足に息を呑む。
 団体の組では祈るように手を組みあわせ、個人で手具を投げ上げれば「キャッチ、キャッチ、キャッチ…!」と何度も唱えた。

 九州は佐賀県でのインターハイ、東北は秋田での国体。どんな遠方の大会であっても、黒いポロシャツの応援団を見ないことはなかった。その視線の先には、空気を変えてしまうほどに美しい演技をする選手たち。岡山県立精研高校である―――。

20080419-00.JPG


20080419-01.JPG


 2005年の岡山国体をきっかけに強化されたこのチームは、国体後もコンスタントに結果を残し続けている。昨年のインターハイでは「タンブリングに難を抱えている」との前評判から、今年は優勝争いには絡んでこないのでは、との噂もある中で、他を圧倒する演技をみせつけ、優勝格の筆頭とも言える小林工業と同率準優勝。国体ではメンバーをひとり欠いて5人での出場ながら、「5人でもありかな、と思わせる演技をしたい」との長田(おさだ)監督の言葉通りに、十分に会場を沸かせた。

 現在は中学・小学生を中心としたジュニアチームの活躍も目覚しく、昨年10月に行われた全日本ジュニア選手権では団体で3位入賞を果たしている。



 ―――だから、かねてより打診していた岡山精研高校の取材がかなった日も、こう思った。抜群に美しい徒手と、他のどことも違う独創的な流れのある構成、どんな遠方の大会であっても、選手を応援しつづける保護者との強い結びつき。その奥にあるものを、見つけ出さなければならない、と。









 岡山精研の美しい徒手のルーツは、高校生と練習をともにするジュニアチームを見れば察しがつく。

 現在小学4年~中学2年生までの選手で井原ジュニア新体操クラブは、選手のほとんどが成長期の前後にある。そのために体格は選手によって大きく違うのだが、ひとつ共通して言えることは、どの選手もひとつひとつの姿勢が実に美しいということだ。

 徒手の形、手足のポジション、全てに間違いがない。両手を挙げただけの姿を見て「これが小学生の上挙か」と思わず首をひねったのは、一度や二度ではない。さらに興味深いのは、その体格差を感じさせない演技の統一感である。
20080419-02.JPG


20080419-03.JPG


 井原ジュニアにはAチームとBチームがあり、Aチームは最年長の中学2年生と最年少の小学4年生が同じチームに所属する。その身長差は40センチにもなり、同時性を求める新体操においてはかなりのマイナス要因となる。手を一回まわすことにすら、時差が生じるのだ。
20080419-04.JPG


 
だが、決してそれを感じさせないどころか、こちらをうならせる演技に仕上げたのは、ひとえに演技構成のうまさ、というところに尽きる。体格差ゆえに同時性をみせられないが、代わりにそれを利用して、今回の演技には三回にもおよぶ組みからの投げ上げを入れている。体格差を逆に利用して、見せ場をつくる。長田監督が「ああいう指導者になりたい」とまで語る、井上監督の手腕である。




 井原ジュニアは1999年に、2005年の岡山国体を視野に入れて長田監督が立ち上げた。翌年からは中京大学出身の井上監督に指導を任せ、自身は高校の指導に集中した。昨年、大学1年ながらインカレ個人覇者となった谷本竜也、彼としのぎを削った、同じく1年の大舌恭平らは、岡山国体時の優勝メンバーであり、井原ジュニアの第一期生でもある。


 国体で優勝を果たして三年がたった今では、井原ジュニアは全日本ジュニアで上位に名を連ね、さらにその下には小学校低学年以下による「キッズ」が、20名ほど控えている。この完成された組織が、毎年息を呑むような美しい演技の基盤となる。
20080419-05.JPG


20080419-06.JPG



 高校生、その下に井原ジュニア、さらに下にキッズ。これらの教室に、創設時から共通して行ってきたのは、極シンプルなたったひとつのこと。「徒手の徹底」である。



posted by reportage |13:08 | 岡山精研高校 | コメント(1) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/reportage/tb_ping/43
この記事に対するコメント一覧
岡山精研高校 -本質-(前)

更新ありがとうございますm(_ _)m
外出がままならい私にとっては、Web上でUPされてる映像でしか知ることが出来ませんが、最初の頃、ジュニアでこれは良いなぁと思ったチームがこの井原ジュニアです。

下記はその時の日記です。

『昨日の日記に、基本を徒手&柔軟性を大事にしての指導が良いと書き記した。今回の'06ジュニア-13位-井原ジュニア新体操クラブ 構成7.200 実施7.800 得点15.000 の演技は、それを物語ってる演技だ。13位とあったのでそれ程期待してなく、だが、演技始まると、これで13位とは解せない^^;5人だが、完成度が高く、まずラインが綺麗だぁ!w 本当に同調性(シンクロ)に富み、基本に乗った演技である。派手さ(難易度は高く)はないが、新体操の求めるものは、こうした美しい演技かと思う。ジュニアの時は、まだどうしても筋力が不足してるだろうから、倒立は難なくこなせても 鹿倒立になったら筋力不足によるものか、バランスを崩す選手も多いように思える。タンブリングは自分で体に覚えこませる感じで、瞬時にコントロール出来ない内での演技に組み込むのは、どうかと思ってもいる。年代によってそれなりの指導をして欲しいかなぁw それも、まだ中学生。基本をしっかり、やっていれば将来伸びるだろう。井原ジュニアの皆さんは、その点は恵まれているなぁ!w 指導者が良いから 最近の井原精研高校が強い理由だなぁ!w』

以上のような感想をもってました。
 
また、写真にある横断幕「井原新体操フェスティバル」で感じたことでは、各チームの指導者の方々においては広報に尽力され、また熱き思いが伺えます。まだリアルで新体操を観たことなく、近日中に神埼において演技会が催されるとのこと、出来る限り出掛けたいと思っております。

お忙しいでしょうけど、今後とも宜しくお願いします。m(_ _)m

posted by f_hiro291 | 2008-04-19 21:31

コメントする