2007年07月23日

光明高校vol.2-負けの輪廻(前)-

 光明高校の恵まれている点は、OBがよく練習を見に来てくれること、スプリング入りの立派なフロアがあること。それから、見ている側をわくわくさせるような選手がいることだ。
 不幸な点は、それがふたり、しかも同じ最終学年にいるということ。



 そのうちの一人目、蜂須賀竜太の演技の魅力は、ダイナミックなタンブリングと、シンプル且つ大きな動きの徒手。それだけで、十分に人を魅了することが出来る選手だ。
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 6月20日に行われた関東大会。昨年のインターハイ出場者である蜂須賀は優勝格と目されながら、棒、リングともにまさかのミス。順位は1年の佐々木のひとつ下、5位に沈んだ。だがあの関東大会の日、最も会場の空気を変えたのは、間違いなく彼だった。

 関東大会個人種目には、関東地区から23名の選手が選出される。23名がそれぞれ2種目ずつ、それも男女あるわけだから、大会の後半には多少なりとも空気がダレてくる。
 それが蜂須賀の演技が始まって数秒、散漫だった会場の意識が一斉に彼に向けられたのがわかった。人の意識というのは、ある特定の状況下では見えるのだ。そして彼は、その特定の状況をつくり出すことが出来る。


 
 彼の演技はなぜ、そこまで空気を変えることができるのだろうか。おそらくそれは「隙のなさ」に起因する。

 これは特に個人演技に関して言えることなのだが、どんな選手でも演技中、体の一部の集中が切れる、という瞬間が多かれ少なかれある。例えば両手で複雑な手具操作をしている時。投げ上げた手具が落ちてくるのを待つ瞬間。そんなとき、下半身や姿勢など、いわゆる「お留守」の状態になる。つまり、集中が体の細部に行き届かず、隙が生じるのである。

 人を魅了する、雰囲気のある演技には極端にこれが少ない。
杉本清志、野田光太郎、大原秀一といった全日本を制した多くの選手は、この「隙」が限りなくゼロに近い。
 これはある程度の努力と、そこからはセンスによるところが大きい。そしてファインダーを通じて、彼にはそのセンスがあるのだと感じた。



 演技を連写で写真に撮っていると必ず、「カッコ悪い」ショットが何枚か混ざってくる。手振れやピントがずれているとかそういうことではなく、姿勢や体の状態として、「カッコ悪い」ショットである。
 しかしこれが、殊に蜂須賀に関しては極端に少ない。ラストポーズの直前、手具を投げ上げた直後。普通では明らかにタイミングを逸したショットであっても、写真として使えるかは別として、それなりに様になっているのである。
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 彼の「隙のなさ」が全日本覇者と同じレベルだとは言わない。ただ、彼にはそれに近づくことのできる素質があることは確かだ。そしてそれが私の期待を膨らますのに十分なものだということも。
 
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posted by reportage |23:53 | 光明学園相模原高等学校 | コメント(0) | トラックバック(0)
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