2007年06月03日

小林工業vol.1-背負うもの(中)-

 宮崎県には男子新体操部のある中学校が3つある。高校でも「珍しい」と形容される男子新体操部は、中学になれば更に希少になる。そんな中で、一県に三校もの中学があることは、九州勢を「古豪」たらしめている所以である。なぜあえて「九州勢」という言い方をするかというと、それが必ずしも宮崎に、小林工業に安定した戦力をもたらす要因とはならないからである。



 数少ない中学での男子新体操経験者である。他県の高校、とりわけ私学などは黙っていない。全日本ジュニアなどで好成績をおさめた選手は全国からオファーをうけるし、彼らもまた、県外に出る気持ちが強くなる。結果、現在の小林工業の3年生は、地元中学から進学した4名のみとなった。
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 小林工業はここしばらく優勝から遠ざかっている。今年の3年生は、中学まで同じ地元で新体操をしていた同輩達が他県に行って優勝しているのを、何度となく見てきた。その姿を見た周囲の人間からの、「あのメンバーがみんな小林に入っていれば…」という言葉も耳にしてきた。
 その先に続く言葉は、彼らにはあまりに辛辣だ。


「大会で会うと、ライバル心がわく」と、3年の坂元は同輩について語った。
副主将の時任は「(同輩が)他県にいったことを考えると、絶対に負けたくない。自分達は地元でやっている仲間たちと、強い弱い関係なく、勝つんだ、という気持ちで」と、その心情を素直に語った。その言葉からは、悔しさと切なさとがない交ぜになったような、複雑な想いを感じた。そしてその想いは、部の総意でもあった。
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 小林工業では学年ごとに部誌を書くことになっている。その日の練習メニューと、感じたことなどを、選手達が毎日持ち回りで書くのだ。そこに「優勝」の二文字がおどるのを、何度も目にした。
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 その中で、選抜後におこなわれた祝賀会についてはこのように書いている。



「自分達の祝賀会には保護者や先生方、OBや地域の方々など100人近く来てくださって、とてもうれしかったです。
また、多くの方に応援の言葉をいただき、自分達がどれほど期待されているかが分かりました。
これからはその応援を一身に背負い、気を引きしめてがんばっていきたいです。」





 「今年の九州は強い」という言葉を取材で行く先々で聞いていた。それによるプレッシャーはあるか、とたずねると、2年の岩下はそれよりも「祝賀会で保護者やOBから応援の言葉をもらったことによるプレッシャーが大きい」と答えた。

 主将の上畠は「応援してくれる人の期待に、今年は絶対に、応えたい」と話した。“絶対”という言葉の力強さを改めて感じさせるような、そんな言い方だった。




 そんな多くの人の期待を背負う中で、彼らが誰よりもその期待に応えたいと感じている相手は、唯ひとりだろう。
「優勝して、必ず喜ばせたい」。3年の水久保がその言葉を向けるのは、永野監督に他ならない。
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 監督について選手達に尋ねると、その第一声は必ず「厳しい」といった類のものだった。そしてその後に必ず「けど、」と付け足してから、言葉がつづく。



「けど、自分達を勝たせるために一生懸命」
「けど、自分達を育ててくれる」
「けど、自分達を勝たせるために、がんばってくれてる」

 


 永野監督が小林工業に、単独で監督として就任したのは昨年のことだ。“単独で”というのは、それ以前は年長の監督とともにふたりで指導していたためである。

 
 正監督としての経験はわずか一年だが、常勤講師の時代を入れると9年、永野監督は小林工業の卒業生であるから、現役の頃を入れるともう12年、小林工業にいることになる。誰よりも小林工業を知っているし、思い入れはまた、強い。


 最近、監督は自腹でマイクロバスを購入した。遠方から来ている選手は、20時を過ぎると終電がなくなる。そうなったときに、選手を自宅に送り届けるために使われるのだ。
 

 OBから、「先生、もっと遊んでくださいよ」と言われるほどに部活一筋。「自分のために、金、使ってないんじゃないですかね」との声があるほどだ。「あんなにしてくれる人、なかなかいないですよ」。
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 選手の勝ちへのモチベーションが高い小林工業だが、それを維持するには指導者の更に高いモチベーションが必要になる。一日の間に監督は「絶対に、勝ちます」という言葉を何度口にしただろうか。そのモチベーションの源は何かと尋ねると、「選手の将来のため」と答えた。


 「勝てば生きていく上での自信になるし、たとえ負けたとしてもその努力は絶対に無駄にならない」。


 言ってまた、その日何度目かになる「絶対に、勝ちます」を口にした。



posted by reportage |20:22 | 小林工業高校 | コメント(3) | トラックバック(1)
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2007-06-04 13:32 | 続きを読む
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小林工業vol.1-背負うもの(中)-

笑ってコラえてにでているのを見て小林工業高校新体操部の大ファンになりました!!
これからも応援していくので、もしまた取材する事があったら取材記録をのせて下さい☆☆☆
楽しみにしてます(^v^)

posted by あや | 2008-06-27 13:42

小林工業vol.1-背負うもの(中)-

コメントありがとうございます!
すごく心に残った高校なので、またぜひお伺いする機会があればレポートを載せようと思います。
これからも応援宜しくお願いします〜!

posted by 管理人 | 2008-06-30 18:47

小林工業vol.1-背負うもの(中)-

もちろんです(^o^)/

posted by あや | 2008-07-04 12:47

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