2007年12月11日

続x4オフェンスの総合能力とは?

久々にこのシリーズ、今日はXRを見ながら打撃の結果における、それぞれの影響度を検証してみましょう。

XRは他のRC系のSTATSとしては、式は単純でわかりやすいです。
ただ長いですけどね。

打撃…あるいは盗塁などの結果を13項目にして、それぞれに係数を掛け算しその合計がXRとなります。
係数は以下の通り。

0.50…1B
0.72…2B
1.04…3B
1.44…HR
0.34…四死球(敬遠除く)
0.25…敬遠
0.18…盗塁
-0.32…盗塁死
-0.09…アウト(三振除く)
-0.098…三振
-0.37…併殺打
0.37…犠飛
0.04…犠打

この係数はMLBの過去のデータから重回帰分析によって求められたもの。
どのぐらいのデータを引っ張り出したのか不明ですが、過去30年のデータを分析すると、上の係数に大分近いものが求められるようです。

最近は便利になったもので、算数しかわからないわしにもエクセルがあれば、数秒で上の結果が得られます。
蛇足ですが、同じくエクセルの機能であるウエブクエリを知らなかったわしは、今までわざわざサイトの表をコピペしてました。
しかしこの夏ごろやっとウエブクエリの存在を知り、なんでこんな便利なものを知らなかったんだと後悔したもんです。

これで来年のファンタジーゲームは成績を上げられるぞ!…と今までのど下手ぶりをちょっと言い訳w
…全然そんなの関係ないわい!…ってな話もありますがw

さて話をXRに戻して…

上の係数はそれぞれ得点1に対しての影響度を表しています。
つまりシングルヒット2本で1点になる計算ですな。

おいおいシングルヒット2本じゃ1点にならんだろ!と一瞬思ってしまうのですが、ちょっと考えてみてください。

3本出たらどうだろう?4本の場合は?…とどんどん増やしていくと、結果においてはホームランとさほど変わらなくなってしまうんですよね。
まずありえない例えですが、あるイニングに20本ホームランが出た場合と20本シングルヒットが出た場合…この場合ゲッツーはないものと仮定させていただきます。
ホームランの結果は当然20点ですが、シングルヒットの場合でも最低で17点は入る計算になります。

本数が増えると影響度はさほど変わらなくなりますし、試合単位で考えた場合、シングルヒットのみ10本で5点と言う計算になるわけで、やや効率は悪いかなぁと思いつつ、そんなもんかとイメージはしやすいと思います。

さて一応”オフェンスの総合能力とは?”ということについてはひとまず最終回ということにしたいと思います。
最後にRC系STATSによる評価の問題点について書いてみたいと思います。

基本的には”総合能力”と言う意味でこれに勝る評価法は今のところないと思います。
木を見て森を見ず…という言葉がありますが、例えば打率や打点、そしてホームランといった所謂打撃三冠と言われるものが、木を一本見てるだけってのは明らかに過小評価ですけど、林程度での評価だったような気がします。
しかし同じ林でも、OBPやSLGの方がより森に近い形であることがわかり、さらにはOPSは森に近づいていると考えます。
さらにRC系はOPSよりももう少しコントラストがはっきりしてるかもしれません。

しかしこのRC系のSTATSは、正確さを求めていくものだけに、その評価法は普遍ではない…という欠点もあります。
例えばXRは重回帰分析によって求められた結果ですから、将来的には当然変化していきます。
またRCも度々改定されてますよね。

改定自体は、野球の形は進化もするでしょうから許容できるとして、ではその変化がこれらRC系のSTATSが原因だとしたらどうでしょうか?

例えば上のXRの係数を見て犠打や盗塁が効率が悪いと言うことで、それらがどんどん減っていってしまったらどうであろう。
現実に最近のMLBの野球はそういった傾向にあります。
またボストンやクリーブランドなどの躍進を見ても、そのようなチームが強いのかもしれません。

しかし同時に評価法として優れているのはわかっているにしても、まだ普遍性のないものに対してフォーカスしすぎるのは、道を誤ってしまうのではないかという疑問も残ります。

これは必ずしもRC系のSTATSだけの問題ではないのですが、同じシングルヒットでも1点に影響する力は違うはずですよね。
特にどこへ打球が飛んだかと言うのは重要な要素になると思います。
他にもシチュエーションやなど様々なケースが考えられます。

ただここを問題としすぎるあまり、数字は意味がないと断言してしまうのはもっと問題です。
結局のところバランスなんだと思うのですが、これを今後評価できるSTATSが登場するのか?或いはRC系の進化型があるのか?この辺を表現できるかどうかが今後の課題にもなると思います。

またいつまでも打率、打点、ホームランを打撃三冠とせずに、それに変わる”普遍性のある打撃STATS”と言うことも同時に求められてくると思います。
これが結局ファンの理解を得られる…ということに繋がるとも思いますので。
RC系のSTATSは今後、より正確さを求めて進化するタイプと、普遍化させると同時に単純化していくものと二極化していくような気がします。





posted by rahmian |08:31 | STATS | コメント(8) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
続x4オフェンスの総合能力とは?

こういうエントリーは本当に勉強になります。
管理人さんの丁寧で分かりやすい解説に感謝です。

RC系STATSが、総合能力評価指標として、少なくとも現時点では最高との評価は、僕としても全く異論ありません。
『マネー・ボール』はまだ半分くらいしか読んでいませんが(疑問点などメモしながら読むとどうしても時間が掛かります 笑)、OBPやSLG、増してやOPSの意義についても同様です。
「補正版OPS?」とでも言うべき、OBP+SLG×1/3?(重回帰分析の結果、微妙に数字が変化しているかもしれませんが)をあまり見かけないのはなぜ?という疑問は感じていますが。

「どこに打球が飛んだか」は、RC系STATS以上に、守備力の定量分析の際にホント悩ましいようですね。
「ポジショニング」を定量化できないから捨象する…では、所詮「参考STATS」の域を出ないんでしょうし。

上記の理由も含めて、「より正確を求めて進化するタイプ」は、近い将来限界を迎えるというか、進化の意義が薄まる方向に向かう気がします。
逆に、「普遍化させると同時に単純化していくもの」は、ファンのためにも選手のためにも、いろいろと考え出されていくのではないでしょうか。

恐らくSTATSへの最大の攪乱要因である「心理的要素」も、ファンや選手の側の理解が進めばある程度までは減るでしょうからね。

勝手な感想を申し上げましたが、今後とも、よろしく御指導のほどを(^^)

posted by ぷにぷに | 2007-12-11 10:52

続x4オフェンスの総合能力とは?

私はこの「シリーズ4」でオフェンスの総合能力というものを初めて読ませて頂いたのですが、シングルヒット20本で最低17点ですか・・・。
しかし鑑みるに、HRを20本打ったとしてもソロHRの場合は単純に20点しか入らないですね。
打点というものを単純に評価し過ぎてきたと言う部分は否定できません。逆に言えば、グランドスラムを30回すれば当然120打点は稼げる訳ですが、そういう事はまずあり得ませんね。個人の打撃能力を打点のみで判断するのは危険です。
追加点を上げる場合も、大きくリードしている場合と、僅差のゲームや同点の場合では重みが異なってきます。
ですから今回のような計算方法は仰る通り、森を見る事におおいに役立つのだと思いました。
稚拙な感想で申し訳ございません。

posted by ラスク | 2007-12-11 10:55

続x4オフェンスの総合能力とは?

RC系STATSの詳細は初めて知ったんですが、こうして見てみると過去のデータから数値を算出する手法がメインなんですね。これは結構意外でした。
ということはチームによって係数も変わってくるでしょうから、それを見ることによってそのチームのカラーが出るかもしれないですし、他チームの成績と比較することでより優れた戦術を議論することができるかもしれないですね。

打球方向はかなり重要ですよね。精度を求める上では絶対無視してはいけない要素だと思います。
例えば同じ二ゴロでも、ランナーがどの塁にいるのかによって価値が変わりますので、状況別に係数を振り分けることも必要なのかもしれません。もちろんかなりの情報量になる上、手軽に使えるSTATSではなくなっちゃいますけど。
ただもし選手の野球IQを数値化しようとしたら、そういった方法になるんでしょうねえ・・・と、脱線失礼しました。

posted by cooper | 2007-12-11 13:33

続x4オフェンスの総合能力とは?

先程は稚拙な例えを持ち出しまして、申し訳ございません。
「グランドスラム・・・」の箇所は無視為さって下さい。

ただ管理人さんやcooperさんご指摘のように、様々な状況での打撃成績をを数字で表すことに関しては確かに難しい問題が残ります。
スモールベースボールの得意なチームですと、犠打や盗塁の係数を高くした方が適切という事になりますね。逆に長距離砲の多いチームですと、犠打・盗塁の重要性は少なくなるので係数も低くした方が良くなります。結果的に「普遍的」な評価方法を作るのはかなり困難なことです。
しかし、何らかの形で打撃能力の指標を作る事には大きな意義があると思いますので、今後とも私のような素人にも色々とご教授下さい。
宜しくお願い致します。

posted by ラスク | 2007-12-11 14:08

続x4オフェンスの総合能力とは?

>ぷにぷにさん

ご指導なんて言われますと恐縮してしまいます。
ただ、今後の野球観戦において少しでもお役に立てれば幸いではあります。

でもエントリーでは進化型と書きましたけど、変な話ですが”落としどころ”のようなものは存在すると思うんですよね。
思いっきり自分が書いたことと矛盾してしまうんですが、果たして打球方向まで評価することが、意味があるのか…と言う話です。
多分サンプル数も少なくなってしまうでしょうから、かえって評価がぼやけてしまう可能性もあるんでしょうね。

その意味ではぷにぷにさんが言われるように”限界”に近い状態なのかもしれません。

シンプル型で一般的になっているのはやはりOPSでしょうか。

ただこれも今ひとつわかりづらくはあるんですよね。
なんせ本来足しちゃいけないものを足してるわけですから。。。

おいおい自分なりのシンプル型を作ってみたいとは思っているんですが…もっと数学勉強しておけばよかったw

>ラスクさん

全部で5編ありますので、お暇なときに是非お読みくださいませ。
カテゴリーは全部STATSです。
ただ頭が悪いもんでなかなかシンプルに説明できなく、まどろっこしいとは思いますけどw

重み…というのはやはり永遠のテーマではありますよね。
ただRC系とミックスしてしまうとわけわからなくなりそうです。
タイミングなど運の要素も左右していまいますし。。。

”重み系”ですとWPAが今のところは一番有効なような気がします。
くらっちまんさんがシーズン中によく書かれていたあれです。

いえいえ、わしも素人ですから、いろいろ突っ込んでいただくとありがたいです。

>cooperさん

実際にNPBとMLBではXRの係数は変わってくるようです。
URLを失念していまいましたけど、どっかのサイトで検証していたように記憶しています。
ただ一つ疑問なのは”本来どうあるべきなのか”と言う係数ではないんですよね。
どうだったかの数字なので、この辺が研究者達の課題事項なんだと想像しています。

戦術の比較はやってみると面白いと思いますよ。


posted by らー管理人 | 2007-12-11 17:02

続x4オフェンスの総合能力とは?

XRは日本人に人気があるようですが、
米国のセイバーサイトではあまり目にすることがないような気がするのですがどうでしょう?

posted by hgh | 2007-12-11 22:16

続x4オフェンスの総合能力とは?

お久しぶりです。統計を勉強しても、エクセルが使いこなせず分析ができないそーへいです(笑)
MLBとNPBの係数の差は戦術よりも長打力の差かなあと思います。今、07年の30球団のスタッツでエクセルで重回帰をしたのですが、(1,2,3、本塁打、四球、三振、盗塁、盗塁死)三振、盗塁、盗塁死はP値が高く=(変数として役立たず)という結果になったのですが、30年分のデータではどうなのでしょうか?またほかの変数(併殺とか)はどうなのでしょうか?
どのサイトからデータをとっていいかわからず、自分はMLB.comをウェブクエリしました。
重回帰なら、1,2,3Bと本塁打、四球だけを変数にとると各変数のP値が低くとても有意な式になりました。(でも、本塁打より3塁打の係数が大きかった・・・)
それでは^^

posted by そーへい | 2007-12-11 23:37

続x4オフェンスの総合能力とは?

>hghさん

あんまりその辺は気にしてなかったのですが、確かにそうかもしれませんね。
直感的にイメージしやすいからでしょうかね?

>そーへいさん

NPBで計算したものを見つけました。

http://kappino.cocolog-nifty.com/blog/

上のブログの…

http://kappino.cocolog-nifty.com/blog/files/EX.pdf

場所見つからず直リンを避けたかったんですけど…こりゃあんまり意味がないか。
P-値その他につきましてはわしが実際にやったのは過去8年で、やはり仰る部分の数値はやはり高いです。
通常はESPNのデータを使用してますけど、ちょっと他を当たってみますね。

またXRにつきましては、このサイトも参考になると思います。

http://www16.plala.or.jp/dousaku/kaikisikinyuusyu.html



posted by らー管理人 | 2007-12-12 02:58

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