2007年11月02日
NPB vs MLB
得点の効率…これはあまりこれまで触れられてこなかったのではないでしょうか? つまり四球やヒットなどで出塁し、時には盗塁や犠打などを交えながらチームは得点していくわけですが、実際のところそういった采配が得点の効力をどの程度高めているか、わしはよくわかりません。
今のところそれを目的に計った指標はありません。 従って現在あるSTATSを組み合わせながら、考えてみたいと思います。 仮説的ではありますが、まず最初にこんな式を考えて見ました。 (TB+BB+HBP)÷4÷R つまり1点取るのにどの程度の塁打、或いは四死球を必要としたかという意味です。 4で割ったのはご存知の通り野球は4つ進塁で一点となるからです。 当然のことながら、数値が低ければ低いほど”効率が良い”となるわけですね。 上の式をMLB全チームに当てはめたところ、MLB全体でのトップはヤンキースで0.87でした。 逆に最低はワシントンで1.015弱…平均は0.952。 実は今回この調査を始めたのには理由があります。 MLBのPSが始まると、一点を取りにいく野球…と言う言葉がよく出てきます。 その為には送りバントや盗塁などを多用したスモールベースボールが良いのではないかと言う声が、特に日本のファンから聞こえてきます。 松井を抱えて日本でも人気のあるヤンキースの試合を評してそのような声が上がることが多いと感じました。 スモールベースボールはともかく、日本の野球の方が効率が良い…というのが一般的なイメージで、その声の裏にある考え方だと思うのですが如何でしょう。 それが果たしてそうなのであろうかと言う疑問が今回のエントリーのきっかけでした。 ということで今度は上の数字をNPBの各チームにあてはめて見ます。 答えは意外な結果で、平均値は1.014、最高はロッテの0.955、最低は阪神で1.085。 結果としてはNPBのオフェンスの方が効率が悪いということになりました。 効率が悪いと言う言い方は正確ではないかもしれませんが、”4つのベース上にランナーを埋めた累計に比較した得点の割合がMLBに比べて低い”とここでは事象のみを表現しておきます。 これを162ゲームに換算すると、同じ塁打数+四死球である場合、NPBの比率とMLBの比率で得点を想定した場合、50程度MLBが高くなる…ということです。 50点という差は、今年のヤンキースに、ヘンリー勝率であてはめた場合、3勝分程度に当たります。 まぁ二ヶ月に1勝程度ですから、大差ないと言えばそうなんですけど、シーズン終盤に効いてきそうな数ではあります。 MLBとNPBの打撃STATSを比較してまず気が付く違いは犠打の多さ。 そのせいか、併殺打は少なめ…犠打は併殺は救うけども得点の効率には関係ない…ということですかね? さらにこれを広げると併殺打の多さもあまり得点効率には関係なさそうなこともうっすら見えてきます。 また長打率はある程度納得も行きますが、出塁率も低め。 その低めの上、犠打が多いわけですから、打席数を分母とした場合の”実”出塁率はもっと落ちます。 NPBはやはり、やや犠打を多用しすぎるような気はしますね。 これが得点の効率にも影響しているように思えます。 勿論、1点の価値が上がる場面はありますから、必要な作戦ではあるんですが。 長々書いてきましたが、以上はわしが発見したことではなく、セイバーメトリックスの世界では、既に結論付けられているわけです。 なので、ビール片手にナイター見ながら、”なんでここで送りバントせんねん!!”と叫ぶ前に一呼吸置いてこのことを思い出してみましょうw ※シングルヒットとホームランを比較した場合、単純にホームランの方が4倍得点に影響を与えているわけではありません。 同じように同じ1塁への出塁でも、ヒットと四球では、やはり影響力が変わってきます。 重回帰解析により、その影響力を調べ、RCと同じような考え方で作られたSTATSにXRがあります。 本来はわしが今回提案した式には、その要素も含むべきなのですが、わかりやすさを優先して、上の定義にしました。 実際にXRの係数を利用して試算しましたところ、MLBの平均値は1.51に対しNPBは1.65と効率という意味では同じ結果がでました。
posted by rahmian |09:08 |
STATS |
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NPB vs MLB
おぼろげですが、「史上最強打線」と銘打った年の巨人が得点効率が良かった気がします。
とはいえ、日本では飛ぶボール時代を除けば基本的に投手優位で失点の少ないチームが優勝する傾向が強いと思うので、防御率がいいチームは偏差の上がるバントを多用するほうがよさそうな気はします。
アメリカほど打者の質も良くないし。
特に今年優勝した日ハムのスタメンのOPSは、1番から4番が順に0.727、0.665、0.892、0.778で、5番以降は固定されてなく、いい方から0.698、0.682、0.621と続く超貧打線です(足が速い選手が多いので、もう少し打線としての能力は高いですが)。
posted by a | 2007-11-02 11:23
NPB vs MLB
>aさん
実のところ、その日本ハムの成績が一番気になっていました。
もし日本ハムのように良いピッチングスタッフがいたなら得点の重みは割りと早い時期にやってきますよね。
しかし一方でどんな投手でも100%は計算できないわけですから、最初から一点を取りに行く作戦をとったとして墓穴を掘ってしまう場合もあるわけで。。。
今回はそこまで突っ込んでません…いつかトライしたいですけどね。
ただNPBよりもMLBの方が投手と打者の力の差が小さいというのは、ある程度成り立ちそうです。
従って一点の貴重さはMLBよりも重いかもしれません。
その重さと犠打の多さは関係はしているとは思うのですが、バランスが取れているのだろうかというのも大きな疑問点です。
ちなみに比較的NPBで数字がよかったのはロッテ、巨人、中日でした。
posted by らー管理人 | 2007-11-02 12:50
NPB vs MLB
なるほど、セイバーメトリックスの世界では、既に結論が出ているんですか。勉強になります。
ただ…巨人やNYYのように、「ポストシーズンに負けたら意味がない」的なチームの視点から見てきたせいか、正直どうしても違和感が拭えないんですよね。「得点効率」それ自体には、異論があるわけではないんですが。
で、無い脳を絞って考えると、結局「得点効率が良くても勝たなきゃ意味がない」ということだと思います。今年のNYYもロッテも、得点効率ほどには(特にポストシーズンで)強くなかった。これはどうしてなのか。。。
勝敗が、投手力(防御率)との兼ね合いで決まるのは当然なんですが、要するに得失点差が問題になるのではと考えて、PS進出チームのそれを計算して、勝利数と比較してみました。すると、
BOS:210(96)COL:102(90)
NYY:191(94)PHI: 71(89)
CLE:107(96)CHC: 62(85)
LAA: 91(94)ARI:-20(90)
一方NPBでは、
ロッテ:104(76)巨 人:136(80)
S B: 67(73)中 日: 67(78)
日ハム: 37(79)阪 神:-43(74)
でした(括弧内が勝利数。引き分けは無視)。
こうして見ると、「無駄な得失点差」が多いチームが、意外なほど多いと感じます。巨人に至っては、打率で大きく上回り防御率でも勝る中日と、わずか2勝しか違わず、PSでも惨敗しました。
で、ようやく「何が言いたいか」ですが、「状況によって1点の価値は全く違ってくるので、PSや重要なゲームでは、やはり犠打重視は間違ってないのではないか?」ということです。さらに言えば、「得点効率」は、PSや重要なゲーム(これの選定基準が難しいのですが、例えばNYYとBOSの直接対決とか…)だけで、算出し直してみるのも面白いように感じます。
と、ゴチャゴチャ書きましたが、これは「大勝する割に競り合いに脆く、真に強いイメージが持てない巨人」への苛立ちの産物です(苦笑)。
繰り返しになりますが、「得点効率」それ自体への異議でもなんでもないですし、MLBよりNPBが投手>打者であるという点にも全く異論がありませんので、素人の戯言と読み捨てていただければ幸いです。
(ただ、MLBでもア・リーグがより投手>打者の傾向が弱いのでは?とか、NYYがLAAをPSに限らず苦手にしていたり巨人が阪神にやたら弱かった原因の一端が、現れているのでは?という気はしないでもないです。)
以上、長駄文大変失礼いたしました。
posted by ぷにぷに | 2007-11-02 16:56
NPB vs MLB
すばらしい投手陣だった日ハムが日本シリーズであっけなく中日に敗れる。これが短期決戦、ポストシーズンなんですね。ものすごく非論理的な考えなのですが、運とその運を引き寄せるビッグプレーが出るか出ないかという考え方です。(昨日の中日の完全試合リレーなど。)すいません、論理的なことではなかなか結論が出ないんでこんなことを考えたりしてしまいます。
posted by ゴジラ | 2007-11-02 17:23
NPB vs MLB
確かにバントは一つの手段であって、絶対的なものではないですよね。ただまあ私は論理的な人間ではないので、普段野球見てると持っている缶を握り潰すくらいの勢いで上記のオヤジになってしまうわけですがw
プレーオフでのボストンは極端でしょうが、ああいうチームにはほとんど必要のない作戦ですよね。でも、毎年得点力不足に悩むパイレーツは、ちょっとバントの練習をした方がいいかもと思ったり。
posted by 滋味 | 2007-11-02 18:50
NPB vs MLB
>ぷにぷにさん
得失点差をポイントされたのは良い視点でさすがですね。
状況により1点の価値が重くなるのはわしは否定しません。
ただNPBの場合は”重くしてる”ケースが多々あるのではないかなぁと想像しています。
ヘンリー勝率が万能ではなく、NPBにおいては多少ずれが生ずることはわかっていますが、得失点差が広がれば勝率が上がるのは間違いないところです。
得失点の差をできるだけ広げるチーム編成を基本とするべきですし、マネージャーはまずそれを念頭において戦術を立てるべきだと思うんですが、どうでしょ?
出塁率と得点はかなり相関が高く、犠打が増えることは同時に得点能力をも失っているわけです。
ただし場面としては犠打が必要な時があるのも確か。
ただNPBの場合は自らその必要な場面を作りすぎているように思えるわけです。
野球はかなりの部分”運”に左右されるスポーツで、極端な言い方ですがワンプレー毎にサイコロを振っているようなものです。
それをできるだけコントロールしようと言うのが従来の戦術だと思うのですが、結果としてコントロールできたかどうかは疑問です。
”運”と書いてしまうと元も子もない感覚になってしまうと思うのですが、結構確率の高い運なんですよね、サイコロよりも。
そこをNPB…或いはMLBのチームも過小評価しすぎているような気もするわけです。
短期決戦はどう転ぶかわかりません。
圧倒的強さを見せたボストン…でもよく思い出していただきたいのは、彼らはサバシアとカルモナを攻略したわけではないんですよね。
ただ…ここまで書いてきてなんですけど、野球にはまだまだ分からない部分があるのも事実で、セイバーメトリックスが100%正しいわけでもありません。
だからいろいろパズルしてみるのが楽しくもあるんですけどw
>ゴジラさん
いやでもそれは大きいと思います。
特に短期決戦においては。
ただ運ということで諦めてしまうのもなんですけど。。。
>滋味さん
あははw…実はわしも、かもしれませんw
やはり明らかに相手投手に比べて打線が劣ると言った場合には、1点の重みは増すわけですからね。
posted by らー管理人 | 2007-11-03 04:16
NPB vs MLB
一定の評価をいただき、恐悦至極です。
得失点差を思い付いた原因は、NPBの順位表にあります。
各チームの打率・防御率に加えて、得点・失点が必ずと言っていいほど書かれています。これで、打高投低か投高打低か、敵を圧倒して勝つか接戦を拾うか、などのチームカラーがある程度分かるからでしょう。
前回は書きませんでしたが、得失点差といっても単純ではないと思っています。
例えばBOSの210(得点867・失点657→リーグ最少)ですが、これが得点1160・失点950(リーグ最多)であれば、恐らく接戦にかなり弱かったでしょう。PSも?だったかも。
つまり、得失点差を広げるチーム編成がもちろん基本ですが、同じ広げるならば失点を減らすことが、PSを勝ち抜くことも求められるNYYや巨人のようなチームにはより重要だと思えるのです(ついでに言えば、失点中に占める自責点の比率を高める→守備力を高めることも重要かもしれません)。
僕も「野球は確率のスポーツ」と思っていますので、NPBが犠打に頼る(極端に言えば犠打専門職としての2番を置く打線を組む)以上は、それなりの統計的根拠が必要だろうと思います。その意味で、今回のエントリーにはいろいろ考えさせられましたし、勉強になりました。
P.S.蛇足ながら最後に付け加えると…
MLBの得点には、点差がついた場合の「暗黙の了解」に伴うものもかなりの割合であるような気がします。別に管理人さんに対して、ではないんですが、今回のような分析に当たっては、それらを補正することで、より正確な数値が導き出せるような気もします。
posted by ぷにぷに | 2007-11-03 12:13


