2008年06月09日

Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

 そこには、クラブの垣根を越えて、一人の選手を、そして人間を愛する光景があった。そこに、Jリーグのあるべき姿を見たような思いがした。
 
 フクアリでの川崎とのマッチで、我那覇選手に送られる声援と拍手は、尽きることがないように思われた。
 それは他のスポーツと同様に、Jリーグにも、日本の平和な社会の構造が縮図となって具現化されていることの一つであると捉えることができるのではなかろうか。クラブの垣根を越えて助け合う姿は、あの忌々しい一件が事実誤認であったかのように感じた。
 
 確かにあの騒動とは、本質が違うものではあるし、一部の過激な輩によって引き起こされたものである。また、一人のサッカー選手の人生を救おうと敵味方に関係なく救いの手を伸ばそうとすることは、本来人間が持っている良心から来るものなのかもしれない。しかし、その手を携える光景は、Jリーグが創設されてから15年、リーグは主催団体のものでも、クラブのものでも、サポーターだけのものでもなく、そこに集い、従事する関係者全ての“共有財産”であるという意識が根を張っていることを認識させられた。
このことは、構造主義的な観点で照らし合わすとすれば、“相互扶助”という何事にも変え難い精神が宿っていることの証明なのだと思う。そのことを証明する領域は、「日本の精神文化と国民性」、「価値観を共有させ、普遍化させる社会の仕組み」、加えて欧米によって浸透した「人権の尊重」など、いとも簡単にあげることができるかもしれない。そしてそれは、体系化されたクラブを超越し、互いの利害関係を抑制するパラダイムのようなものなのかもしれない。(但し、それぞれの領域がどのくらいの影響を及ぼし、密接に絡んでいるかの連関は、到底計ることができない。また、ここでは、あくまで日本社会の全体の傾向を扱い、現代社会の歪みから表出する一部の不満分子の行動は除くことにする)

 一方で、機能主義的な観点では、クラブとして枠組みに限った「クラブの存在価値」を問うことに限定されると思う。それは、応援するチームの勝利を願い、応援するチームの選手の活躍に期待し、クラブの助けとなるべくグッズを進んで購入し、できるだけスタジアムに足を運ぶといった行動を引き起こす。そして、クラブの利害の為なら何をしても厭わない。
 例えば、川崎へ移籍した山岸選手の容赦ないブーイングは、以前のホームグラウンドを蹂躙させない為に、浴びせるサポーターの意思表示の現れだ。そして、それに対抗して川崎サポーターが山岸選手に助け舟を送る。クラブは家族であり、寄り合いのようなもので、そこに自分達の価値を見出すことができるようなものなのかもしれない。
 しかし、その機能的側面を持つ一人の人間、選手は例えクラブに縛られても、クラブを超越し、誰からも愛される権限を持っている。それは、一人の人間、選手はリーグ全体の“共有財産”であり、“相互扶助”という構造的主義的な観念を含んでいるからなのだと思う。

 フクアリまで道程の途中で、「ちんすこう募金」という名目で行われている、我那覇選手支援活動を目の当たりにして、我那覇選手の一件に心を痛めていた私は迷わずちんすこうを購入させて貰った。帰路では、列ができるぐらい、それぞれのクラブの垣根を越えてサポーター達が集った。
 我那覇選手には、失った月日を取り戻すことはできないが、ジェフとの試合でゴールを挙げたように以前のパフォーマンスを取り戻してほしいと思う。

 我那覇選手の温かい声援は、クラブの枠組みを超えて一つになったことは、Jリーグの基本理念が、社会への帰属意識によって支えられながら浸透していることを再認識させられた。そして、Jリーグが、「世界に誇れる安全で快適なスタジアムづくり」と銘打ったことが、構造的にも機能的にも未来永劫、不変であることを願わずにいられなくなった。
 昨今では、ほんの一部の暴徒化するサポーターによって、目を塞ぎたくなるような事が起こっているが、それによって善良なサポーター、そしてホームタウンの市民までもが疑いをかけられてしまうのであれば、サッカーを愛する者にとって、根絶しなければならないことである。そのためには、「自らの言動に責任を持つ」ことの社会作りがいかに重要であるか、私達自身が身を持って示し、そして子ども達にしっかりと継承をすることが、私達に課せられた使命であることを忘れてはならない。

posted by foresta |20:47 | Pensiero | コメント(5) | トラックバック(0)
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Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

川崎サポです(^o^)丿
ありがとうございます(^○^)
こんな形でも支援が広まり、サポとして嬉しいです

ガナには、気にしないでサッカーをして欲しい
(福島から応援してます)

posted by y | 2008-06-09 22:57

Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

興味深く拝読をしました。
Jリーグや各クラブの活動によってサポーターにクラブやその地域への帰属意識が醸成される、
そして我那覇選手のドーピング問題のようなことに対しては、クラブ間の垣根を越えてたくさんのサポーターが支援をすることはとても素晴らしいと思います。

ただ、今回の件に関しては、我那覇選手を苦しめた当事者が“Jリーグ”であり、所属クラブも我那覇選手を守れなかったという意味では、何とも滑稽な構図であります。

私は、今回の我那覇選手の支援活動が、Jリーグの基本理念が浸透して云々というよりは、「個人の良心」によるところが大きいかと感じています。

継続的に支援活動が行われること、
また、クラブからJリーグに渡った制裁金がクラブに返還され我那覇選手の裁判費用に補填されることが実現し
少しでも我那覇選手の金銭的負担が軽減されることを願いします。
失った月日は取り戻せませんが、失ったお金はぜひとも取り戻してほしいと思います。

長文失礼しました。

posted by toddocom | 2008-06-10 12:11

Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

募金、そしてガナへの拍手ありがとうございます。
試合では敵同士ではありますが、今回の件は忘れないように覚えておきます。
そして、ナビスコのトーナメントもがんばってください。

posted by r | 2008-06-10 12:42

Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

川サポです

名文ですね~
感動しました。

当日フクアリに居たのですが,
ガナピへの拍手ありがとうございました。

この場をお借りしてJEFサポの皆々様に御礼申し上げます。

posted by ノンスケ | 2008-06-10 13:00

Re:Jリーグのあるべき姿をみた ~我那覇選手への支援活動から~

>y様
コメント頂きありがとうございます。
我那覇選手のことは、Jリーグ全体の問題であると思いますが、選手救済の為に尽力する川崎サポーターの方の姿に心を打たれました。これからもサポーターの方の活動を陰ながら応援させて頂きます。そして、我那覇選手のご活躍を心からお祈り致します。

>toddocom様
コメント頂きありがとうございます。
>ただ、今回の件に関しては、我那覇選手を苦しめた当事者が“Jリーグ”であり、所属クラブも我那覇選手を守れなかったという意味では、何とも滑稽な構図であります。

仰るように、実は私もこの記事は書くにあたって、今回の件の当事者のJリーグが何もしていなことのジレンマを感じていました。
事実上の最高裁判になるスポーツ仲裁裁判所(CAS)で勝訴したのですから、Jリーグ側も選手の尊厳を重んじ、自己の組織の規定や運用に落とし穴が無かったか、再考して頂きたいと思います。
でも今回の件は、物騒な世の中であるにも関わらず、日本人の思いやりの気持ちが、まだまだ捨てた物ではないことを改めて実感しました。
我那覇選手の負担が軽減されることを心から願っています。

>r様
コメント頂きありがとうございます。
川崎の選手の勝利に対する意欲は凄まじいものを感じました。トーナメントは川崎さんの分まで頑張ってほしいと思います。
札幌戦の我那覇選手の映像を見て、サポーターと選手の心はを一つであることを感じました。そして、相思相愛であることは素晴らしいことなのだと思いました。
これからも、我那覇選手へのサポーターの方の活動を、陰ながら応援させて頂きます。

>ノンスケ様
コメント頂きありがとうございます。
これからも我那覇選手が不自由なくサッカーに打ち込むことができるよう、サポーターの方の活動を心から応援させて頂きます。そして、「選手とサポーターの一体感」の素晴らしさを世間に伝えて下さい。
応援するクラブは違いますが、我那覇選手を一人の人間として、陰ながら応援させて頂きます。

posted by 筆者 | 2008-06-11 00:47

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