2009年12月30日
現在の世界王者バルセロナは、堅実でいて非常に楽しめるサッカーをしています。それは、昔のリヌス・ミケルス監督が志向したプレッシング・サッカーというものを、別の方角から実践しているかのようにも思える、じっくりと相手を押し込んでいくスタイル。
バルサの中心選手であるシャビが、その遅いサッカーのことを、バルセロナではなく今のスペイン流とはという意味合いで、こんな風に語ったそうです。
「よりボールを保持するために確実性の高いプレーを選択」
「【急いでしまっては、】心拍数が上がりプレーの正確性は落ちてしまう」
これは、基本的にバルセロナのやり方と同種に思えます。
・[リーガ・エスパニョーラの愉楽] スペインを支える“100年の育成術”。サッカーU-17W杯3位の実力とは? - goo スポーツ
スペインのフル代表チームも、バルサよりはスピーディながら、やっぱり似た持ち味があります。安定志向と積極性の並存ぶりは見事なもの。来る南アフリカ・ワールドカップでは、1970年代以降としては史上最高レベルだろうスペイン代表が、この機を逃さずに決勝戦に到達できるかどうかが焦点。
問題は攻めでしょうね。「70%のボール支配はできていたが…」なんて回想にならぬよう、ゴールを奪うことが肝心であるのを忘れなければ、史上初のワールドカップも夢ではない。
一方、現在の日本で流行中らしいポゼッション志向は、まずともかくボールを落ち着かせて、遊びを入れて、安全に押し上げてといった方向に傾きがちのようで、あまり本質的重要性のない数パーセントのボール支配率差にこだわったりもします。これは、1990年代に相対的ボール支配が数値化・表示されたことの影響が大きいでしょう。新たな流行ですね。
たとえば、下記でとりあげた金子氏などは、いろいろと弁明を入れながら、ことあるごとに凄く「パーセント」を気にしていました。
・ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」 汚かった…
・金子達仁? 「美しく」ない クライフ本の元凶は
そうした傾斜が極端になると、ボール支配率の高さが良質なサッカーの第一条件であるかのような論調も強まってきます。それで巧みに攻め崩せていればよしですが、押し込んだ結果として攻撃が行き詰まる試合もかなり見ました。ボールを「遊びで」つなぎすぎ、押し込みすぎ。相手を下がらせすぎてしまい、とどのつまりは自らを苦しめるような安全第一ポゼッション。
負けなければいいとの意味では、それも、それなりに重要なことではありましょうが…
・ポゼッションは死語? ボールの前方に人が多いと攻撃的か
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2009年12月28日
うちに珍しく「Number」という雑誌が置いてあり、何となくめくってみたらオシムご夫妻の写真が出てきました。744号。
オシム・レッスン 特別編
イビチャ・オシム
「闘いはすでに始まっている」
先日の来日時のインタビュー記事です。南アフリカ・ワールドカップで日本と同組になるチームのことと、その他いくつかの強豪国に関するご見解などが並んでいました。だいたい衆目の一致するところでしょうが、イングランドを、「私は彼らがどうやって違いを作り出すのかわからない」と見ている点などは記憶に残ります。
が、瞠目する思いだったのは、Jリーグの試合評でした。出だしを読まなかったので戻ってみると、このインタビューは、最終節の浦和レッズ対鹿島アントラーズを見に出かける車中で始まった旨が書いてありました。
そして試合後、報道陣の質問に対し、「毎週こういう試合をすれば、W杯に向けてのいいトレーニングになる」と評価していたとのこと。
でも、再び帰路の車でインタビューをすると、厳しいお言葉が発せられたそうです。
「レッズはアントラーズが攻めてくるのを待っていた。だからアントラーズにとっては、ゲームのコントロールは簡単だった。レッズは彼らをコントロールできなかったから、アントラーズが勝利を収めた」
感心しましたね、これには。よく理解できないながら。この試合は、キックオフからさほど遅れずにテレビで見ました。
・浦和レッズ魂、カウンターに沈む 鹿島3連覇達成
ふたこと三こと、上記に単純な印象を書いたように、結果を出せなかった浦和レッズの攻撃姿勢に熱を感じたものです。どちらかといえば鹿島アントラーズの方が、相手が「攻めてくるのを待って」、そして見事に逆襲を成功させたなという記憶でした。3連覇もたいへんな成果ですが、優勝も降格も無関係ながら地元で勝ちに出た浦和レッズにも、最後で好感を覚えました。
でも、現地で広く観察なさったオシムさんからすれば、浦和レッズは「アントラーズが攻めてくるのを待っていた」とわかる。その違いに妙なほど感心してしまいました。
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2009年12月26日
今度もまた10分ほど途切れずに流れる、こま切れにしていない好都合な動画です。さらにゴール・シーンも含まれており、それは、とてもかっこいいボレー・シュートでした。コーナーキックからの得点で、動画の8分10何秒かからがそのシーン。
ゲームの様相は、今のサッカーとは違うようですね。両チームが似たコンセプト、現在よく見られるサッカーとは異なる考え方でプレーをしていると見えます。そこにも興趣がありますね。
これは何フォーメーションに見えるでしょうか。
動画はFC2版に貼りました。
この試合は、以前、雑なフォーメーション概念の絵を提示してみたことがあります。今、動画をながめると、ある意味ではその布陣図が案外はまってるような気もしました。下記の最初に載せています。
・負けない! オランダの足跡
上の記事では、オランダ側の原則的な対人マーク型枠だけ図示し、文で実状も補足しました。が、冒頭のフォーメーション図で、東ドイツにとっての密着マン・ツー・マンも表されています。そういうベースの枠組みを通じて動画を見れば、もしかしたらゴチャゴチャ風の試合ぶりも、ちょっとすっきりしてくるかもしれません。
この動画は、下記の最初の方でとりあげたクライフの転倒シーンを含んでいます。そのあとに触れている積極的な攻撃の応酬シーンはないですけどね。
・クライフと密着マーク …そして脱皮
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2009年12月25日
1988年のヨーロッパ王者となったファン・バステンのオランダ。そのプレーぶりについて、以前、見方や解釈の仕方など、具体的に論議できるコメントを、別の記事にお寄せくださったりもしたMarioさんが、ご自身のブログで1974年オランダ代表の解剖を試みられました。そのアプローチは、フェイエノールトとアヤックス、代表チームの中心選手を供給したクラブ・チームの試合から探っていくという方法がメインとなっており、キャプチャー画像により実際のプレーを抜き出して論じています。
そして、西ドイツ・ワールドカップに現れたオランダは、ミケルス監督の言とは逆に、母体クラブのプレーからすれば、やや平凡な出来になってしまったようだと結論されました。大きな問題は、ミケルス監督も重要だと書いていたスイーパー役に、いい人材を置けなかったことなど。本来ならば、もっと自陣での守備を捨てるような、いっそうの押し込みをしたかったのではないかとのご見解です。
リンクを載せておきますので、ご興味ある方はご覧ください。
アヤックスとフェイエノールトを、下記でかんたんに比較対照されています。
・あの頃のアヤックスvsフェイエ
オランダ代表への疑問は下記。
・74WCオランダ代表が出来るまで
主要2チームの録画観戦で見いだしてこられた特質などは、いくつもの記事に分載してあります。以下にリンクを並べますので、よろしければそちらへも。
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