2009年10月31日

金子達仁? 「美しく」ない クライフ本の元凶は

 金子さんといえば有名な方だし、敬意の対象です。なんというか、控えめにセンスがある。ユーモアがある。ときに笑うにしても、最近流行の下卑た声音でゲタゲタ笑うことがない。

「俺、嫌いでしたよ」

 そう断言した、わりと歳のいった若手でも、それは苦笑混じりにです。金子さん自体を否定はしません。この「嫌い」を、無粋を承知で念入りな日本語に翻訳するなら、「金子さんがイングランド・サッカーを好む点を好まない」といった意味合いになり、嫌悪感は著しく少ない印象でした。そして、「あんまダイヤモンド・サッカーって、見なかったっス」とつながっていきます。「俺、南米ですから」と。

 かたや金子達仁氏。
「リスペクトされる金子さん」のアンチ・テーゼに水を混ぜて存分にこね、それを人間化したようなイメージがあります。しかし、個人的に、彼の声はなるべく聞かないことにしてきたし、ほとんど文字ものも読まないので、皮相な印象しか持ってません。
 実在の金子達仁氏は、業界を渡っていく腰の低さを備えた常識人であろうし、広範な大衆人気もつかんでいるらしい。おそらく、テレビなどで知る一面は化粧にすぎないかと想像します。つまり、ダイヤモンド・サッカーの金子さんとは別の手法で、大衆に迎合する姿勢を演じているんでしょう、金子達仁氏は。

 実生活だと、人前で頻繁に、「ですよ、ねエ」といったり、やたら語尾を上げてみたり、ウィーウィーうなったり下品に笑い声を立てていたら、たいていは馬鹿だと思われてしまいます。しかしテレビの中に入った場合は、視聴者からちょっと見下されるようでないと親近感を持ってもらえない。その類いの「共感」なしに人気を得るのは、相当に難しい。
 テレビは、小学校高学年だか低学年レベルだかをターゲットにするなどとも聞きました。それに合わせるんでしょうね、金子達仁氏も。どういえばいいのか、親近感迎合プレー?

 で、先に触れた『ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」』ですが…

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2009年10月30日

ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」 汚かった…

 ヨハン・クライフは、かなりセンスに欠けていたのだろうか。

 原書は1997年にまとめられたらしいから、もう10年以上も前のことだ。当時は幼かったか。しかし、すでに50歳の誕生日を祝うころである。
 これはインタビュー本だ。編集者が勝手にまとめ、本人は内容を知らないかも? ところが緒言を見ると、ある程度は目を通していたように思える。

「巷では種々様々なことが言われ、書かれているだろうが、私の言葉を正確に再現しているのはこの本だけだ。所々、わかりづらくて妙な言い回しがあろうが、それが私の話し方なので、あえてそのまま残しておいた」

 さらには、「後ろを振り返らない私にとって、本書の出版は非常に楽しみだ」とまで述べたことになっている。クライフ氏が承知した内容…

 ヨハン・クライフ
 「美しく勝利せよ」
  著 者: フリーツ・バーランド、ヘンク・ファンドープ
  監訳者: 金子達仁

  発 行: 株式会社二見書房
  ISBN4-576-99199-X
  1999年12月25日初版発行

 英語版では「Ajax, Barcelona, Cruyff: The ABC of an Obstinate Maestro」のようだ。美しくに相当する語はなく、分からず屋の達仁、いや達人といった意味だろう。だからといって、美しくない本を出そうとしたりはするまい。
 アルファベットで見たとすれば、斜体や太字は、日本語でそうした場合よりも上品かなとは想像する。それでも頻繁に出てくると目障りだし、第一、字体を変える効果も薄れてしまう。機能的でもなく、美しくもない。

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2009年10月29日

バルセロナ 12のトライアングル そしてカテナチオ

グァルディオラも監督として天才的な感覚を持っているかな…

「ヨハン・クライフは選手として史上に残る天才だったが、監督としても天才的な感覚を持っていたのは間違いない。
 天才とは、同じものを見て、違うことを考える人だと思う。先入観にとらわれず物事の実相を見抜く、ある意味で極めて科学的な目を持っている」


 ケン・ベニ氏は、読書の合間、ゆーつべで昨シーズンのダイジェストを見つけて喜んでいた。それからまた文字列に戻る。理解に苦しむ部分が多い本だ。あまり日本語が得意でないベニ氏にも、日本語の難解さのせいではないとわかる。中身がおかしい。
 95ページから96ページにかけての意味深な文言を読み直してから、ふたたび109ページの図9をながめる。本は、少し傾いていた。

 西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」である。

「前線のウイングがサイドいっぱいにポジションをとることは前記したが、このフォーメーションの特徴はトライアングルの数が多いところにある(図9)。
 クライフ監督は、前線のウイングをサイドに張らせると同時に、10人のフィールドプレーヤーを、選手間で形成されるトライアングルの数が最多になるように散開させている」
 初版108ページ

「3-4-3では、そのトライアングルが予め用意されている。その数は最大12個で、もっともパスが回りやすい陣形だ」
 初版108〜110ページ

「トライアングルの多さを特徴だっていわれてもなぁ。12個だけしかない。さっきのバルサだって12個なんだし」

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 ベニ氏が、あえてクロクルを横にする。ベニ氏の好まないインテルナツィオナーレも、トライアングルを12個くらいは持っていた。


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2009年10月29日

攻撃的な3トップ対決 ジェノア対フィオ 戦術変更の意義

 ジェノアの3-4-3を意識しての作戦か、アウェーのフィオレンティーナが4-3-3でスタートしました。ヨベティッチ、ジラルディーノ、ムトゥ、小粒ながら危険な魅惑トリオが前線に並ぶ。チーム全体で押し上げようとする気も強めで、早い段階から試合の流れを掌握しました。それも、じっくりと球まわしをして圧迫という感じではなく、次々とジェノア勢を囲んでボールを奪うと、即座にシュート・チャンスをつくろうとする傾向。
 一方、ガスペリーニ監督を欠く地元ジェノアは、当初の劣勢時はしぶとくこらえる方向。運にも助けられて無失点でしのぎ、単発的に反撃を試みていきました。決定機といえそうなシュートは、趨勢とは逆にジェノア。7分、左から内に入りかけたパッラディーノの浮き球に、逆から走り込んだスクッリがヘッドでした。

 フィオレンティーナ、プランデッリ監督のプランは、どうも「サイド」狙いではなかったようです。日本のステレオタイプ論調では、「3バックはサイドが弱い」となりがちですが、ジェノア3バックは逆ですからね。相対的に外が強くて中が薄い。
 形式上の両翼、ヨベティッチ、ムトゥは、ウィンガー風のスタイルでもありません。これは、数で中を制圧する作戦だったのでは。それがある程度まで奏功し、ボール支配率や得点機手前までの到達回数などで優位っぽくなりました。

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 動画は…

 ・YouTube - Genoa-Fiorentina 2009-2010-Sky Sport


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2009年10月28日

西部謙司氏の「墓場」 エリックバッティ

 西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」は、大仰に戦術などと振りかざしてはいても、地面の上で実行できそうなサッカーの戦術とは、あまり関係がないようです。周辺裏話や感想、観念的な概論等々に、うそも平気でまぶして。

 クライフ監督期のバルセロナをとりあげた第四章「天才ヨハン・クライフの挑戦」は、空々しい導入部ののち、「ウイングプレーヤーの復活」に関する話になります。西部謙司氏自身が「戦術上、クライフ監督のアイデアで最も重要」だとしたことがらなのに、論理がつながっていきません。
 それを下記で述べました。

 ・サッカー戦術クロニクル ご都合主義バルセロナ論

 この部分で西部謙司氏は、あまり一般的ではないだろう概念を持ち出していましたね。

「ところが、そこは“センターフォワードの墓場”なのだ」
 初版104〜105ページ

 これはあまり耳にしない、目にしない言葉です。「センターフォワードの墓場」なんて、ご覧になったり耳にされた方はいらっしゃいますか。
 イギリス英語だと、多少は使われているんでしょうかね。このいいまわしを用いた文例をひとつだけ記憶しています。イングランドのサッカー批評家の翻訳記事でした。

「〜、私にいわせれば、フィールドにおけるセンター・フォワードの墓場なのだ」

 原文は存じませんが、「私にいわせれば」というただし書きを伴っています。著者独自の表現だという気がしますが、一般に流通しているんでしょうか。
 使われていないとすれば、西部謙司氏はその特異な「頭のなか」で、上記文例とは無関係に思いついたりしたのか。

 同じいいまわしではあっても中身は異なります。想像するに、西部謙司氏は上の文から意味ではなく文言だけを抜き取って、違う状況の表現に剽窃したのでは?
 西部謙司氏は、「自陣からカウンターアタックを仕掛ける場合」と設定しました。そして。

「例えば、右サイドバックがボールを奪取したとして、タッチライン沿いに前線へ展開するには、FWが中央から右タッチライン方向へ動くことになる。ところが、そこは“センターフォワードの墓場”なのだ」
 初版104〜105ページ

 さらに。

「そこで期待できるのは、せいぜい味方の上がりを待つキープか、サポートした味方へ落とすパス、あるいはスローイン、そしてかなりの頻度でファウルを受けることになる。“墓場”と呼ばれる所以だ」
 初版105ページ


 このあと、エリック・バッティさんの記した「センター・フォワードの墓場」が、いったいどんな状況だったかを略述します。どのように西べ墓地と異なるのか。そしてしかし、文言はどのくらい似ているのか。

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2009年10月28日

クライフ 頭が わるいのか

 昔、チャンピオンズ・カップで初優勝を果たしたころのバルセロナは、今では流行遅れのムードがある3バックでした。しかし、前に浮いているイメージのグァルディオラもディフェンダーだとするなら、クライフ・バルセロナは4バックのチームだともいえるし、そうした見方とは別に、試合中、4バック風にしたりという場合もあったと思います。
 まあ一般的には、3バックだったという人が多いでしょう。

 西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」の第四章も、表面的には、3か4か、どちらでもよしとする立場のようです。

「さて、3-4-3が実は4-3-3だろうと、あるいは4-4-2だろうと、基本的には縦に菱形が3つ並ぶような位置どりだ。前線のウイングがサイドいっぱいにポジションをとることは前記したが、このフォーメーションの特徴はトライアングルの数が多いところにある(図9)」
 初版108ページ

 西部謙司氏の日本語では、前記が動詞なんだねぇ。あ、いやいや、図9の模写は、下記の冒頭に載せましたのでどうぞ。

 ・3-4-3ダイヤ型 ファン・ハール監督は「普通」かな

 かつてファン・ハール監督は、「三角形の数は、どんなフォーメーションよりも3-4-3が多い」という意味のことを広言していたと聞きました。だからパスをまわしやすい、そんな風につながる理屈らしいですが、どんな文脈での話なのか知らず、真意はわかりません。
 実際のところ、現場のコーチは実践的な職人気質の傾向になる例が多いようで、つまらない机上の論理に拘泥する人はあまりいないと思われます。しかし、異質な人だっているでしょう。
 ファン・ハール監督は脇に退け、クライフ監督はどうか。

 西部謙司氏の迷著クロクルだと、バルセロナを指揮していたクライフ監督が、こういう「三角監査」にこだわっていたとされています。
 クライフ・バルセロナを扱った第四章が、延々と無駄な「西べウィング」を展開している件は前回触れました。

 ・サッカー戦術クロニクル ご都合主義バルセロナ論

 そのあとは、空論風の度合いをさらに押し進め、「12個のトライアングル」説話になっています。先ほど引用した文字列の最後からあらためて。

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2009年10月27日

サッカー戦術クロニクル ご都合主義バルセロナ論

「戦術上、クライフ監督のアイデアで最も重要なのはウイングプレーヤーを復活させたことだろう」

 クライフ監督はバルセロナを初の欧州王者に導きました。翌年、東京では南米王者サンパウロに敗北し、世界一まではのぼりつめられなかったとはいえ、多くの人の記憶に残っていることでしょう。
 この時期のバルセロナのことも、西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」は、第四章で扱っています。98ページに、冒頭の文がありました。

 そのあと、102ページまで、西部謙司氏なりのウィンガー衰退話が延々と続きます。1970年代ころのジャイッチやグラボウスキーあたりを最後に、従来タイプのウィングは消えていったというストーリーです。そして1990年近くになってクライフ監督が「ウイングプレーヤーを復活させた」と。

「ウイングという職人を復活させたのではなく、前線のサイドに張り出すポジションを作ったことに大きな意味があった」
 初版102ページ

 クライフ監督は3トップに拘泥せず、センターフォワードなしの場合も多かったと書いてあります。センターフォワード不在で、トップ下風の選手を前線に置いたりしたと。
 たしかにそんな試合をテレビで見た記憶が残ってます。

 ロマーリオ加入以前のバルセロナは、前の方の流動風味が強めで、昨季、アウェーでレアルを大破した試合のバルセロナに連なる雰囲気もなくはないですね。でも、わりと外側は独立気配で、前方・内側限定の入れ替わりという図式。
 それを、西部謙司氏はこう書きます。

「そのかわり、ウイングプレーヤーは固定された(図8)」
 初版104ページ

 図8の模写を載せておきます。

     ports-120237.jpg


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2009年10月27日

走行距離No1は長谷部!! うーん・・

 10月14日、日本対トーゴの放送中には、テレビ局のご好意企画で一部選手の走行距離が表示されていました。計測された移動総距離がもっとも長かったのは長谷部・長友両選手で、11.78km(終了時点)。終盤になって交代した中村俊輔選手が10.44kmだから、時間あたりに直せば中村選手が一番になるのでしょう。

 ・日本代表 走行距離! 岡田監督はオシム風?

 かなりの厳重さで秘匿されているらしい日本選手の動く距離ですが、3月28日のワールドカップ予選、日本対バーレーンの際は、試合後の別番組で移動総量が提示されていました。それをグラフにしたのは下記。

 ・さすがに岡田監督、ポゼッションの勝利! 11km走ったか?

 こちらでは長谷部選手が中途で退いています。トップは中村俊輔・長友両選手の12.6kmでした。

 とにかく長谷部選手は動きの距離が総計で多い。10月21日のチャンピオンズ・リーグ、ヴォルフスブルク対ベジクタシュでは、前半終了時のヴォルフスブルク側トップ5が表示され、ナンバー1が長谷部選手でした。

 ・長谷部    6.05km
 ・シェーファー 5.60km
 ・ミシモビッチ 5.33km
 ・ジョズエ   5.26km
 ・ゲントナー  5.23km

 各々ポジションはこんな感じです。

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 試合の動画は下記など。


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2009年10月26日

右 相四つ気味 がっぷり リバプール対ユナイテッド

 チャンピオンズ・リーグ含めて4連敗のリバプールは、ジェラードを負傷で欠き、切羽詰まったムード。ユナイテッドはほぼベスト・メンバーかという顔ぶれ。下の動画は得点シーンだけです。

・http://www.youtube.com/watch?v=8_CJhcOEyVo
・http://www.youtube.com/watch?v=ZQReB2s3RQ4
・Liverpool - Manchester United 2:0 - 25.10.2009

 リバプールの試合は、昔と較べるとボールまわしが増えた印象で、傾向としては、ゲームをコントロールしていく志向をやや強めつつあるように感じていました。でもこの試合では、攻撃圧力でどんどん押し込んでいこうとする姿勢が前面に出て、それがいい方向に作用したようです。負けた試合も、そうは不出来にも見えなかったし。

 右からの展開を狙っていて、それがなかなか素晴らしい。軸になったのは、カイトとベナユンが入れ替わりながら攻め込む連係。さらにトーレスも右での流動に加わって崩す。左のファビオ・アウレリオは、組み立て、そして中に入ってのシュート狙いが主で、左からの切り崩しは少なめ。

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2009年10月24日

ジェノア・テクスチャ 三人一組 銀髪先生

 前々回に図解しかけたジェノアの「サイド」三人集結アタック。それを自覚的に狙っているらしいことは、たぶん多くの方が指摘されているものと想像します。サッカー雑誌とかにも、これに関する真っ当な小特集などが載ったでしょうか。
 中央でやる場合もなくはありませんが、やはり側面攻撃を主にしてるんだろうと見えます。

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 ちょっと戻り、以前、下記にフォーメーション図を提示した、先月のユベントス戦で基本の狙いを。

 ・3-4-3から4-3-3にして ジェノア対ユーベ

 ゴールキーパーの短いフィードをもらったボッケッティ、3バックの左担当者が、前方外側に向かってドリブルしていきます。


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