2009年09月29日
かつては百科事典を専門に売るセールスマンが、仕事として成り立っていました。二十数年くらい前、ブリタニカのトップ・セールスのひとりだったという方と、仕事で幾度かご一緒したこともありました。百科事典はかなり高価なものだったんですよね。しかし、今や時代はウィキペディアか。
無料で手軽なウィキペディアですが、検索にかかった日本語版の記述をながめてみると、よく調べずに書いたようだなと思える間違いや、バランスのとれていない内容が目につきます。唾を眉につけて参照しなければならなそう。
そんなウィキペディア日本語版でも、西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」にあるオランダのプレッシング記述と較べれば、よほど1974年にあった現実に近いと思える内容になっていました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/
(直接のリンクは不能か。上記で項目名を入れてください)
2009年9月28日の上記ウィキペディア日本語版には、次の文がありました。
「“ボール狩り”と呼ばれたそのプレッシングは、ボールを持つ相手選手に対して複数の選手で囲んでプレッシャーをかけ、高い位置でボールを奪い、すぐさま攻撃に転じることができるものであった。
高い位置からのプレスは、同時にDFの最終ラインを押し上げ、相手の“オフサイド”を誘うオフサイドトラップを生み出した」
かんたんな記述ですが、「ボールを持つ相手選手に対して複数の選手で囲んでプレッシャーをかけ」と、いわゆるボール狩りとしては妥当な感じですね。プレッシングとオフサイド・トラップは、必ずしも一体ではないようにも読めるでしょう。
一方、西部謙司氏の「クロクル」ではこうでした。
「プレッシングとオフサイドトラップはセットになっている。津波のようにボールホルダーに押し寄せ、同時に凄まじい勢いでディフェンスラインを押し上げていたオランダには、相手をオフサイドにする意図が色濃かった」
初版47ページ
「ただし、オランダの場合は、いったんボール狩りが発動したら最後、ボールを奪い取るまで何人でもボールホルダーへ向かっていき、したがってディフェンスラインも押し上げの一手だった」
初版48ページ
オランダにとってオプションにすぎない突撃オフサイド・トラップを、「セットになっている」として読者を誤解に導きます。オフサイド・トラップは自陣で有効なプレー。そして、一試合にそうそうなんども繰り返せるわけではないこと、それはサッカーをよく見てきた方なら思いつくでしょう。オランダは、ほとんどプレッシングなどしていなかったらしいな、と。
しかし、オランダを率いたミケルス監督は、プレッシング・サッカーだと述べていました。このプレッシングには攻撃の圧力も含めていたようなので、守備面だけのことではありませんが、とにかくミケルス監督はプレッシング守備を重視していたといわれます。
頻度は少なくとも目立ってしまう「突撃オフサイド・トラップ」に惑わされず、プレッシング守備の原型プレーを探ってみましょう。
(この記事は下記の末尾にリンクを載せた連作の一編です)
・サッカー戦術クロニクル(西部謙司 著) 悪書? 続編は
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2009年09月21日
1980年代後半から、ACミランでサッキ監督が、いわゆる「ゾーンプレス」を世界的に広めるスタートを切りました。そのころのプレーぶりについて、サッキ監督自身が回顧・説明する話が日本の雑誌上にも載り、その中では1970年ころのアヤックスを、ゾーン・ディフェンス・ベースでプレッシング守備を演じたチームだとしています。
・ミラン監督だったサッキと 見当違い
2008年に出た西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」の第二章冒頭には、たぶん上記のサッキ説話を拡大解釈したのだろうと思える記述がありました。クライフがプレーした1974年オランダは、「ゾーンディフェンス」でプレッシングを演じていた、「そのことはサッキも認めている」と。
・元ミラン監督サッキに騙され 西部謙司氏はくまさん以下レベル?
それに対し、今年、2009年9月15日号(1256号)サッカーマガジンに載った西部謙司氏の記事では、「オランダの守備はマンマークベースであり、その点では当時の他のチームと変わらない」としています。
・サッカーマガジンで、西部謙司氏が間違いの一部を手直し!!
同じ西部謙司氏の記述でも、昨年の「クロクル」第二章冒頭の話の方が誤りで、今年のサッカーマガジン記事におけるオランダ守備のとらえ方が正当でしょう。
では「ゾーンプレス」風味とは違う、1974年オランダのプレッシングは、どんなコースで開発されていったのか。
事実は不明ですが、対人マーク中心の守備をベースにしたミケルス監督のプレッシングは、当時すでにあった守備スタイルを徹底化し、意識の継続化を求めたものだったろうと想像します。今回は、オランダ以外のチームが演じていた、プレッシング原型風に見えるディフェンスを取りあげます。
(この記事は下記の末尾にリンクを載せた連作の一編です)
・サッカー戦術クロニクル(西部謙司 著) 悪書? 続編は
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