2009年12月11日

サッカー戦術クロニクル 対 リヌス・ミケルス著述

 プレッシングとオフサイドトラップはセットになっている。津波のようにボールホルダーに押し寄せ、同時に凄まじい勢いでディフェンスラインを押し上げていたオランダには、相手をオフサイドにする意図が色濃かった。ミランの場合は、オランダに比べるとオフサイドをとることよりも、ディフェンスラインの押し上げによって相手FWの動きを規制する意味合いが強い。

 上記は、西部謙司著「サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?」第二章のACミラン編、初版47ページから引用しました。1974年のオランダと1980年代末のミランを対比しています。「津波のようにボールホルダーに押し寄せ、同時に凄まじい勢いでディフェンスラインを押し上げて」という表現は、どう考えても突撃オフサイド・トラップの描写にしか読めません。
 突撃オフサイド・トラップは、相手をオフサイド・エリアに残すつもりの組織プレーで、オフサイド・トラップとセットであるに決まっている、というよりも、オフサイド・トラップです。こうした突撃オフサイド・トラップは、せいぜい一試合に数回程度だったでしょう。これが、「ボール狩り」=プレッシングそのものだとは。

「ただし、オランダがいつ何時でも「ボール狩り」を発動していたわけではない」
「プレッシャーのない「オフ」の状態なら、リトリートしながら相手選手をマークする従来のやり方で守る」
 クロクル初版17ページ

 では、突撃オフサイド・トラップを各試合で20回も実行できたとして、それぞれ「凄まじい勢いで」押し上げていくのに9秒かかったことにします。合計3分。プレーが切れている時間を捨て、アクチュアル・タイム、試合中の実働時間を少なめに50分と仮定し、さらにオランダが6割のボール支配率だったことにしてみましょう。
 相手ボールの稼働時間が20分、そのうち3分だけはオランダがプレッシングをし、あとの17分ほどは「リトリートしながら相手選手をマークする」のみで、プレッシングをしなかった?

 こんな風にオフサイド・トラップ拘泥のプレッシングを書く「サッカー戦術クロニクル」に対し、オランダ代表を指揮したリヌス・ミケルス監督による記述ではこうなっていました。

ports-129701.jpg
「Soccer Coaching: The European Way」 132ページ

 これもまた極端な主張に見えます。実際にオランダは、意図してオフサイドにかけようとする守備をしていました。

 どちらも事実ではないことを書いているようですね。しかしミケルス監督が書き残した文の方は、誇張部分などを斟酌して読みとっていけば、それなりに現実のオランダの姿に近いなと思えます。
 まず、どんなことを記していたのか、その抜粋引用記事のリンク目次を。


 ・「プレス」 岡田監督 ミケルス監督
 ○クライフとニースケンス
 ○なぜ? ディフェンダーの攻撃
 ・ベスト4へ!! 闘莉王vs岡田監督 いや、20世紀最高の監督
 ・プレッシング サッカー どう考えだしたの
 ・革命的な攻撃サッカー? なぁんだ
 ・西部謙司が正しいだろ? リヌス・ミケルス監督
 ・リヌス・ミケルス論考 プレッシング図解
 ・プレッシング・リスク 捨てられたリヌス・ミケルスと日本
 ・リベロ、スイーパー、フリーバック 英国、オランダの常識
 ・アヤックスではなくて … ヤンセンとクライフ
 ・プレッシング 90分は無理? / 走る量はできるだけ少なく
 ・守備ゾーンに戻るな! マーキング理念
 ・カテナチオ・プレスで 「前に」とは言ってもねぇ
 ○「前でプレス」 日本とオランダ
 ・プレッシングの考え方 もたらしたもの
 ○サッカー戦術クロニクル 対 リヌス・ミケルス著述
 ◎クライフ達のオランダ 連続10分動画 対ブラジル
 ◎「前からプレス」実態 ボール狩り
 ○リベロ中心ライン操作 怒濤の押し上げ
 ・バルセロナの回顧談から持論だが
 ・イタリア嫌い
 ・ボール探し、ボール狩り えッ(笑)... バルサ回帰
 ・バルセロナ, アヤックス 格差、変転
 ・ミケルス監督、オシム監督
 ・レシャックは少し違う レアル 0対5 バルセロナ
 ・杉山茂樹氏よりは西部謙司氏の方が …悲惨 日本、ネッツァー動画
 ・ヨハン・クライフ★スペクタクルがフットボールを変える 精神
 ・オランダのフォーメーション転換コンセプト なに、それ
 ・日本の恥 オランダの遺憾
 ◎オランダ 3名リーダー … わかりません


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posted by ports |12:20 | 目次8. ミケルス主張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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