2009年06月26日

試みられていたプレス崩しプラン? 逆 風車の理論

 アントニオ猪木さんは、かつて、風車の理論というものを述べられたそうです。その論理とは全然関係ありませんが…

 クライフが率いるオランダは、西ドイツ・ワールドカップの初戦でウルグアイに2-0と勝利。その試合では荒削りなプレッシング、そして、それをからめた「突撃オフサイド・トラップ」が見られました。
 この中に、たぶん有名であろうシーンが出てきます。5人が一気にひとりの相手へ突撃するプレーです。それを絵で再現してみましょう。

 昔のフォルラン、未来と過去 戦術対決..
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/468

 上記にその試合の布陣図を載せました。問題の場面は後半で、図の配置とは、左右が入れ替わっています。


 センター・サークルに近いところでウルグアイのフリーキック。エスパラゴが短くローチャに渡しました。

  ports-96551.jpg


 ローチャは中にドリブル、エスパラゴは縦に走り、ほかのウルグアイ勢も前進します。オランダ側は静かな雰囲気。

   ports-96536.jpg

 レンセンブリンクは、フォルランが上がるのをマークして下がる。一番前に残るオランダ選手はクライフです。

   ports-96537.jpg

 次にかかげる記事などで、オランダの「突撃」を指揮するのは主にハーンだと書きました。

 ハーン、仕掛けスイッチなんだね
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/475

 負けない! オランダの足跡
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/476

 ここでも「突撃隊長」ハーンが登場。

   ports-96538.jpg

 ローチャはオランダの動向を見ています。ファン・ハネヘムもハーンを追って走り、エスパラゴをマークして下がりかけたシュルビアも戻ってきました。レンセンブリンクは、まだ下がっていきますけど。
 
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 ボールを後方に下げずにさらすローチャ。ハーンに押し出されるようにして、ニースケンスとヤンセンがローチャに迫ります。

   ports-96540.jpg

 このシーンで、手前にいるクライフ、レップ、シュルビアを含め、オランダのフィールド・プレーヤー全員が集まりました。レンセンブリンクはフォルランと交錯しています。

 ローチャは、遠い方の足に小さくボールを動かす。

  ports-96541.jpg

 ヤンセンとニースケンスの間を割るローチャ。すかされたニースケンスは、つんのめり加減です。

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 ローチャは足の間でうまくボールを操り、ニースケンスとヤンセンをやり過ごしました。そしてハーンまでも…

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 オランダ勢3人に肩すかしを食わせたローチャは、第二陣のレイスベルヘンとファン・ハネヘムを迎えます。

   ports-96544.jpg

 また、足の間でボールを小さく操って、かわそうかという体勢。

   ports-96545.jpg

 少し立ち止まろうとするファン・ハネヘム、おかまいなしにスライディングするレイスベルヘン。

   ports-96546.jpg


 そして、足の裏を見せてのスライディング。ローチャの足首にタックルしたわけではなく、ボールを押し出せてはいますが、しかし、ファウル。

   ports-96547.jpg

 ウルグアイ・スタッフなどがローチャの介抱に入り、試合は少し中断しました。ローチャと何やら言葉を交わしているらしいクライフ。手前はパボーニ、4がフォルラン、もうひとりがモンテロ・カスティージョです。

 ローチャが持ちすぎた面もありますね。でも、すでにオランダのこうしたプレーを承知していたローチャには、あえてかいくぐってチャンスにしようとする考えもあったでしょう。誤算は、たぶん、ちょっと立ち止まるはずだと思ったレイスベルヘンの、躊躇しないスライディング。これは、悪意はないものと想像しますが、ファウルになるのを気にせぬプレーですね。
 この場面、レイスベルヘンがスライディングを敢行しなければ、どうなっていたのか。マンテガッサに小さく叩くなどして、ローチャは難局を乗り切れた可能性があります。仮にそうなれば、自陣に残るオランダ勢はクロルとレンセンブリンクだけです。一気にウルグアイが突破できる見込みは大きく、それをオランダが追いかけるかたちに?


 今は、1974年のオランダは評判がいいということからか、ほとんど無条件にこの「突撃」も賞賛する論調があるようです。しかし、これは、いいことづくめですかね。
 当時のオランダにとってはどうなんでしょう。もしかすると、極端に集中してしまっては危険も大きいように感じ、ちょっと整頓しないとなぁとか、そんな気もしたかもしれませんね。そして他国も、このようなオランダの、集中守備の裏をかこうと考えたりもしそうです。

 ここでのローチャは、これほどの「台風」を想像できていなかっただろうとは思いますが、オランダの「突撃」を幾度か実地体験したあとであり、これをかいくぐれれば、大きなチャンスであることを意識はしていたでしょう。試合をやっていて、そう感じるのは不思議なことでもありませんね。ま、ここまで無鉄砲にやられては、独力での打開を放棄する気になったでしょうが。
 このウルグアイの失敗は、オランダの失敗ともとれますね。

 柳に風、風車に風。疾風のようなオランダを受けとめ、いや、受けとめずにその勢いの方向をずらし、やり過ごしてしまえば。オランダが風車の国でもありますけど…


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