2009年06月22日
ハーン、仕掛けスイッチなんだね
クライフが選手だった時期、トータル・フットボールとも称されたときのオランダ代表チームは3バックだったのでしょうか。そういった見方も、あるいは可能かもしれませんね。このオランダを3-4-3だという言説があるらしいのを聞いたりもしました。 昔のフォルラン、未来と過去 戦術対決.. http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/468 そして、こういう状況をながめれば、この時点では確かに3バック風です。これはオランダ側のボールになった場面なので、守っているのではありませんけどね。スイーパーのハーンが左に出て、シュルビアが真ん中に入っているのは、シュルビアがサンドベリをマークしていたあとの状況だからです。 この試合の、いわば2ストッパーにあたる二名は、シュルビアがサンドベリ担当、レイスベルヘンはエドストレーム番でした。
美しいオランダ 発展途上 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/350 上記にかんたんな試合内容、それと布陣概念図を載せていますのでご参照ください。 次は、スウェーデン・ボールのスローインになり、いったん途切れたところ。このようにマークを入れ替わることもありましたが、原則は先述のとおりです。
この中で、スイーパーのハーンは、集中守備の起動係にもなります。ハーンがスイーパー役を捨てて急激に相手へ寄せる、それに合わせてほかの選手もマーク相手を放してダッシュ… 試合が始まって10分も経たずに、オランダの突撃オフサイド・トラップがありました。 攻め込まれたスウェーデンは、グラーンがボールを奪い返し、長身のゲームメーカー、タッペルに預けて上がっていきました。ほかの選手もいっせいに攻めに出る。しかしタッペルが送ろうとしたパスはファン・ハネヘムにぶつかって戻り、攻めのスピードは失われました。スウェーデン側の最終ラインは、ハーフウェイ近くになっています。 前線がどうなっているか不明ですが、そこまではつなぎづらい状況だったんでしょう。いったんタッペルに短めのパスを送ります。
ここで、誰をマークしてもいないスイーパーのハーンが、ファン・ハネヘムの地点にまでダッシュして来ます。
タッペルはダイレクトで戻す。しかしボールはゆるく、コースも少しそれています。ファン・ハネヘムとヤンセンがそのパスに対しダッシュ。スウェーデンのノルトクビストは弾かれたようにボールへ向かいます。
ノルトクビストは、ヤンセンとファン・ハネヘムの間を割るパスを出しました。しかしオフサイドをとられてオランダ・ボールに。
この絵の感じだと、たぶんクロルは遅れていただろうなとは思えます。でも、微妙なすれ違いといった見映えでしょうから、グラーンはオフサイドとされても仕方ない印象です。 それから2分くらいして、またハーンが突撃起動スイッチを入れました。今度は、スウェーデンのゴールキックを中盤ではね返したクリアから。それをひろったスウェーデンは、やはりタッペルに短いパスをつなぎます。
もう、ハーンがタッペルの面前に。重なり合っているのはシュルビアです。サンドベリが中央にいるので、密着マーク役のシュルビアも中にいました。
タッペルはパスをせずにドリブルでかわそうとします。
ボールはこぼれ、ヤンセンが奪ってドリブル。
オランダのチャンスになりそうでしたが、ヤンセンが途中でコントロールをミス、戻ったタッペルがゴールキーパーにバックパスをして防ぎました。 以前に例示した突撃オフサイド・トラップ図解でも、ハーンが詰め寄っている姿はありました。 オランダ最強時代の姿 オフサイドトラップ http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/467
クライフ時代オランダ 人かスペースか http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/469
突撃オフサイド・トラップ。オフサイド・トラップを併用して一気に押し上げながら行う集中守備は、原則としてハーンの動き、あるいは声が、起動スイッチだったようですね。
posted by ports |12:45 |
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ハーン、仕掛けスイッチなんだね
コメント投稿者ID :
ハーンが突撃オフサイド・トラップの軌道スイッチ・・・そうだったのですか!彼は74年は「スイーパー」だったんですよね。強いて言えば・・・。
私の場合は、彼の78年のW杯のイメージ、あの恐るべきロングシュートのアリー・ハーンのイメージが強いです。どの時点から(どの試合から)選手を見始めたかで、イメージが全く別ものになって行くのが当時のオランダの特徴のように思えます。クロルも74年は、強いて言えば左SB。でも78年にはこの74年のハーンの役を担っていますよね。そういうところも、オランダらしいですね。78年のニースケンスは、感覚的には74年のクライフのあとがまです・笑。
posted by sinfonia | 2009-06-22 16:59
返.ハーン、仕掛けスイッチなんだね
コメント投稿者ID :
sinfonia さんへ
> 78年のW杯のイメージ、あの恐るべきロングシュート
ありがとうございます。強烈キックでしたね。タイプは違ってはいますが、ハーンかネリーニョか、かなり話題になりました。
> イメージが全く別ものになって行くのが当時のオランダ
所定位置の入れ替えはけっこうありましたね。ベッケンバウアーのあとがまがフォクツっていうのは、ちょっとどうかなとか感じましたけど。
オランダも全く別の陣容ではなく、一応好チームでしたが、どちらかというと役割分業制に近づき、入れ替わらずに総員ロビング攻撃をするようなシーンも目につく感じ。ほとんど「全員で」だから、そういう意味でトータルかいって、サッカー部内では笑ったりもしましたね。それでも、ごちゃごちゃ気味のアルゼンチンよりは支持者が多かったような…
posted by コリバノフ | 2009-06-23 09:00
ハーン、仕掛けスイッチなんだね
コメント投稿者ID :
お返事を有難うございました。
>どちらかというと役割分業制に近づき、入れ替わらずに総員ロビング攻撃をするようなシーンも
これが、我々の世代のオランダです。「オランダのサッカー=全員で攻めて守るサッカー」という単純化された風説の中で私も育ちました。コリバノフさん達が当時サッカー部内で語られていた78年のオランダは、74年のオランダに比べて、粘っこさが抜けて、だいぶ小ざっぱりしたチームになっていたのではないでしょうか。
>入れ替わらずに
それが出来る「人」がいなくなってしまったから、役割分業制に傾倒して行ったのでしょうか。悪く言えば、その「人」がいなくなるとできなくなるような俗人的なサッカーからの脱却志向なのでしょうか。
posted by sinfonia | 2009-06-23 16:32
返.ハーン、仕掛けスイッチなんだね
コメント投稿者ID :
sinfonia さんへ
こちらこそありがとうございます。こざっぱりというより、大柄でパワフル、意外にも決勝まで進んだイメージですかね…
オランダは、ペルーやスコットランドといい勝負。とはいえ、スコットランドが、過去はともかく絶後の好チームだったかもしれませんね。そしてペルーもクビジャスが元気で、1982年大会とは別物といったチームではありますが。
あのときは、イタリア対アルゼンチンの決勝になるはずでした。一次リーグでは勝ってますし。西ドイツも、オランダには勝つだろうと思ってました。
> 出来る「人」がいなくなってしまったから、役割分業制に傾倒
いや、「戦術」が「進歩」したせいかもしれませんよ。笑
posted by コリバノフ | 2009-06-24 06:46
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スイーパーのハーンが左に出て、シュルビアが真ん中に入っているのは、シュルビアがサンドベリをマークしていたあとの状況だからです。
この試合の、いわば2ストッパーにあたる二名は、シュルビアがサンドベリ担当、レイスベルヘンはエドストレーム番でした。
美しいオランダ 発展途上
この中で、スイーパーのハーンは、集中守備の起動係にもなります。ハーンがスイーパー役を捨てて急激に相手へ寄せる、それに合わせてほかの選手もマーク相手を放してダッシュ…
試合が始まって10分も経たずに、オランダの突撃オフサイド・トラップがありました。
攻め込まれたスウェーデンは、グラーンがボールを奪い返し、長身のゲームメーカー、タッペルに預けて上がっていきました。ほかの選手もいっせいに攻めに出る。しかしタッペルが送ろうとしたパスはファン・ハネヘムにぶつかって戻り、攻めのスピードは失われました。スウェーデン側の最終ラインは、ハーフウェイ近くになっています。
前線がどうなっているか不明ですが、そこまではつなぎづらい状況だったんでしょう。いったんタッペルに短めのパスを送ります。
ここで、誰をマークしてもいないスイーパーのハーンが、ファン・ハネヘムの地点にまでダッシュして来ます。
タッペルはダイレクトで戻す。しかしボールはゆるく、コースも少しそれています。ファン・ハネヘムとヤンセンがそのパスに対しダッシュ。スウェーデンのノルトクビストは弾かれたようにボールへ向かいます。
ノルトクビストは、ヤンセンとファン・ハネヘムの間を割るパスを出しました。しかしオフサイドをとられてオランダ・ボールに。
この絵の感じだと、たぶんクロルは遅れていただろうなとは思えます。でも、微妙なすれ違いといった見映えでしょうから、グラーンはオフサイドとされても仕方ない印象です。
それから2分くらいして、またハーンが突撃起動スイッチを入れました。今度は、スウェーデンのゴールキックを中盤ではね返したクリアから。それをひろったスウェーデンは、やはりタッペルに短いパスをつなぎます。
もう、ハーンがタッペルの面前に。重なり合っているのはシュルビアです。サンドベリが中央にいるので、密着マーク役のシュルビアも中にいました。
タッペルはパスをせずにドリブルでかわそうとします。
ボールはこぼれ、ヤンセンが奪ってドリブル。
オランダのチャンスになりそうでしたが、ヤンセンが途中でコントロールをミス、戻ったタッペルがゴールキーパーにバックパスをして防ぎました。
以前に例示した突撃オフサイド・トラップ図解でも、ハーンが詰め寄っている姿はありました。
オランダ最強時代の姿 オフサイドトラップ
クライフ時代オランダ 人かスペースか
突撃オフサイド・トラップ。オフサイド・トラップを併用して一気に押し上げながら行う集中守備は、原則としてハーンの動き、あるいは声が、起動スイッチだったようですね。


