2009年06月16日

昔のフォルラン、未来と過去 戦術対決..

ports-94847.jpg 代表は今一でも

 ディエゴ・フォルランは、またもやスペインの得点王になりましたね。彼がインデペンディエンテにいたころ、日本でもアルゼンチン国内の試合を放送していました。たまたま見たんですが…。このフォルランがちょっとアップになったとき、まず脳裏に浮かんだのは、ワールドカップに出ていたフォルランのことでした。

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 上の絵は、1974年ワールドカップの一こま、ウルグアイ対オランダの一戦から。一番下でクライフがドリブルをして、その左で待ち受けるのが、フォルランの父上です。パブロ・フォルラン。
 試合はオランダが2-0で勝ちました。布陣概念はこんなものか…


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 まず注目は、ウルグアイの背番号。1から5までは、チャプマンのWMを無視した伝統の並び、旧式2-3-5のかたちそのものです。中盤で、8のエスパラゴが11を着れば、そして18のマンテガッサが8になってくれれば、もう正統ナンバリングそのもの!
 先進の福祉国家だったウルグアイは、二十世紀初頭あたりの英国黄金期サッカーを見習い、その後の流行などは無視していたようです。それも当然なのかも。なにせ、1920年代からはウルグアイが世界のサッカーをリードする立場で、だいたい1954年くらいまでは最強国の一つだったらしいですから。その後は好選手が減り、守備重視化に走り、ま、双方が影響し合ったんでしょうが、下降していきました。いまだに立ち直れない感じがありますね。それでも、350万人程度の国だというのに、1億以上の日本よりも強いかも…


 さて、右のバックだったフォルランの父上。わりと似た感じの父子だなという気がします。うつむきながらすれ違うのは、フォルランとクライフ。

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 次は、フリーキックの壁からのぞいた写真を下絵に。

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● ウルグアイの構造

 冒頭の絵、どこかなじみ深いような気もしますね。次はオランダが先制ゴールを奪う際の攻めです。早くも、16分のこと。

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 クライフが右でドリブルし、外のシュルビアにパス。そこから浮き玉を入れて、中のレップがヘッドで決めました。誰が誰? オランダの3人と、ウルグアイの全員を。

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 ウルグアイの散らばり方は今風でもあり、だいたいフォーメーション概念図の並びにも近いですね。

 さらに、別のときに攻め込まれた光景も。

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 なんとなくウルグアイを理解できそうですね。双方全員の名前を。

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 ウルグアイは、二十一世紀の今の時点でおなじみの、ゾーン概念の守備布陣を敷いていました。ライン・ディフェンス。かなり下がって、ライン間を「コンパクト」にしていますね。


● オランダの構造

 父フォルランのからんだウルグアイの攻撃を見ましょう。

 ウルグアイ陣の左スローインから、ローチャがボールを持っている間に、フォルランが中央へオーバーラップ、そこにパス。

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 センター・サークルの中のフォルランは、右のアウトを使いダイレクトで縦へ。真ん中に動いたクビジャへのパスです。

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 クビジャは、右を駆け上がるマンテガッサにダイレクトでパス。しかし、フォルランの速いパスにコントロールをミス、ボールはぼてぼて気味に転がり、ファン・ハネヘムが戻ってゴールキーパーに戻しました。

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 スイーパーのハーンが深みをつくってカバーしていますね。そしてほかの選手は密着マークです。

 では、深みを持たないとき、サイド深くから攻め込まれた場合とかはどうなのか。
 ローチャがセンター・サークルから左翼へ展開したシーンでは、こうなります。

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 やはり、一名を余し、他は密着マーク風になるのが基本のようです。そして余りになるのはハーンというのも原則。ここでは、レイスベルヘンが左にまわり、クロルが中に入っていますね。フォーメーション概念図とは違う…


 オランダ対アルゼンチン トータルフットボール その実像
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/463

 上記アルゼンチン戦では、シュルビアがアジャラのマーク役で、レイスベルヘンはヤサルデ番だったことを示しました。今回、ウルグアイが2トップ風なので、主要なアタッカー、クビジャとモレナに対してだけ、オランダはクローズド・マークを施しています。しかし、クビジャが右ウィング的なところなどから、クロルをマーカーにしたんでしょうね。
 その結果、この試合ではクロルよりもシュルビアの攻撃参加が目立つ気がします。

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 ちょっとコロコロしたクビジャと、スリムなクロルの一こま。オランダから見て右サイドのタッチにまで漂着した、左バックのクロルです。
 しかし、ときに応じて交替もしています。

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 変色してしまいましたが、これは、下記で図解したオフサイド・トラップの前段階。センタリングされるところです。下がったクビジャをニースケンスに任せ、クロルはローチャを見る。ハーンは、基本どおりスイーパーをしていますね。

 オランダ最強時代の姿 オフサイドトラップ
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/467


● 未来と過去の遭遇?

 細部は別として、この試合、枠組みはいかがでしょうか。1974年のウルグアイ代表がやっていたことは、大筋では、今に通じるやり方だといえますね。ゾーン・ディフェンスです。特定の選手ではなく、受け持ちのあたりに来た相手をマークする。あるいは、ライン形成に傾注してマークをしない。世迷い言みたいにも感じたりする、名高いサッキ監督の指針に近そう、オランダよりは…

 かたやオランダは、対人マークです。相手の主要なアタッカーには密着マークをつけます。その上でスイーパーを置きます。
 かつて後輩が、「Number」という雑誌の話を語ってくれたところによれば、杉山氏だかどなただかが、1974年のオランダは3-4-3「システム」だと解説していたそうです。ほんとうですか?
 普通は、このオランダを4-3-3だといいますよ。1-3-3-3の方がいいのかな。しかしウルグアイのように2トップ風の相手に対しては、2ストッパーとスイーパー1名の、3バックであるとも強弁できそうですね。アルゼンチン戦も同類ととらえるのも可能でしょう。

 それならば、いっそのこと!
 クライフがセンターフォワードの位置から下がってくることが多い、レップとレンセンブリンクの2トップだといえる、3バックと2トップだから3-5-2だよといってもOKか。

 大雑把には4バックでゾーン守備、こういう姿のウルグアイは未来の戦術だ、と。旧態依然なんていっちゃ、まずいかもしれませんね。一方、3-5-2でスイーパーを置くオランダこそは、古くさい過去の遺物であるということになっちゃいますかね?
 この、未来対過去の試合は、2点差で過去の勝利でしたけど…


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