2009年05月19日
VfLヴォルフスブルク 悪玉 守備サッカー
ヴォルフスブルクは、どうやら「悪の田舎帝国」です。前回と前々回の戦績一覧表を見渡すと、ポゼッションで相手を上回っていたのは、今季のリーグ戦33試合中に6回しかありません。それで20勝もしているとは、守備的なリアクション・スタイル、低レベルで非建設的な「どん引き」戦術、こいつら、「サッカーしてない」ことになるでしょ! 白鳥城下から遠征してきてくれた気のいいバイエルンは、狼城にしかけられた卑劣な罠にかかり、搦め手口で右往左往。そうこうするうちに1-5という惨敗、白鳥城はあえなく落城となりました。 バイエルンはすぐ次の試合でも、バルセロナに行って0-4で負けています。ババリアっちは弱いだけなんでは? …いや、これは、バイエルンが情けなかったわけではありません。だってバルセロナは世界最強だとかいいますからね。いいんです、あっちの試合は。 でも、ヴォルフスブルクは卑劣でしょ。たった35%しかポゼッションしてないのに、勝手に5点もとるなんて、あまりに非礼すぎます。3分の1しかボールを持たないカウンター戦術は、「サッカーとはいえない」はず。アンチ・サッカーでしょ? そして、またヴォルフスブルクはやりました。ハノーファーに出向き、相手に1点もやらず、自分たちだけ5得点! こんな具合に6割近くハノーファーにポゼッションさせておいて、それはないでしょう。(左がホームのハノーファー)![]()
アシスト2 長谷部、決定機 大久保! 次はドローでも優勝? http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/437 上記で触れたハノーファー対ヴォルフスブルクは、5点差で敗れたハノーファー側の攻めにも見どころがありました。ヴォルフスブルクのまずいポジショニングなどを突き、チャンス手前まではかなり迫っていたんです。 ハノーファーでいけなかったのは主に守備。上の記事では長谷部選手のアシストを讃えましたが、そこにパスを出せる位置取りをして、マークもゆるかったハノーファーに、かなりの問題があります。図解した大久保選手の決定機も、ヴォルフスブルクが後方でボールをキープしているということで、甘い守備になっていました。 でも、それなりにおもしろい試合でもありましたよ。中位でもがくハノーファーも、弱いなりに攻撃的なチームなんですね。守備を疎かにして攻めるという意味では、非常に前衛的な攻撃サッカーです。ヴォルフスブルク戦では実を結びませんでしたが、それでも8本のシュートをしています。それに、今季を通じては47ゴールを記録しており、シャルケやハンブルクよりも若干得点は多い。 ま、ハノーファーはおいておき… ● ヴォルフスブルクの攻撃 ハノーファー戦ではなく、今季前半戦の象徴ホッフェンハイムを、後期の主人公ヴォルフスブルクが迎えた試合を見てみましょう。このときのホッフェンハイムは、イビシェビッチ不在はもちろん、暴力行為ペナルティとかでカルロス・エドゥアルドも欠き、攻撃志向ながら攻めの同調性があまり見られませんでした。 長谷部、大久保両選手はベンチで、最後まで出場してません。試合は、後半のなかば以降にヴォルフスブルクがゴールを重ね、4-0で勝利します。そこは棚上げにして。 ホッフェンハイムもポゼッション流派ではありません。しかし、そんなホッフェンフロッツたちに対しても、ホームのヴォルフスブルクは「主導権」とかを55.5%も明け渡しました。どこまで悪辣なんだ、狼軍団… (左がホームのヴォルフスブルク)
さて、偶然にも図式的な位置取りをとらえた状況から。ホッフェンハイムのしぼり気味3トップと中盤の二名が前進してきています。ヴォルフスブルクは、最終ライン四名と中盤の四名がそろっていて、なんだかフォーメーション図どおりですね。
リーターがボールを奪いました。人の名前を追加します。ボールはリーターからジョズエに。
ジョズエはドリブルで上がります。そしてミシモビッチにパス。
ミシモビッチは危なっかしいパスを好み、そして状況次第ではそれをどんどん試みるよう奨励されている感じです。ここでもトラップをせず、瞬時に想像したスペースに向けてダイレクトでボールを送り込みます。
うまい具合に相手の足先をボールが抜け、ゲントナーが走り込んでいきます。ゲントナーという選手はリーター以上にとび出し派だと思え、つなぎよりも、タッチ・ライン沿いに走るか、中のスペースを狙うか、そんなことに重きを置いている感じがします。
が、しかし、ゲントナーはボールをキープし、ターンして中にドリブルで進みます。そしてファウルを受け、フリー・キックになりました。それだけのことですが…
仮にゲントナーがミシモビッチのような選手で、グラフィチにダイレクトでパスを流していれば? 一気に裏へ突進、そのままシュートか、反対側から迫るジェコにパスを出せそうでした。
ま、単に成就しなかった攻めといえばそれまでです。 次に、この試合から別のシーンを。 ホッフェンハイムがタッチに向けた長いパスを出し、ヴォルフスブルク右バックのペカリクが相手よりも先に追いつき、ボールを縦にフィード。それをリーターが受けます。
リーターは、中から寄ってきたミシモビッチにパス。
リーターは「上下動」の「上」を実行しますが…
前を塞がれたミシモビッチは切り返して相手をいなします。
リーターは中に戻ろうとします。「ポゼッション」に加わってやんなくちゃぁ。が、しかし。
そういえば、「前方にスペースを見いだしたら躊躇なくチャンスを活かさなければならない」といわれたっけ。ポゼは二の次、ゴール志向で、と。
ミシモビッチは、そういう攻撃的な受け手を探していました。すかさずボールを縦に流す。
リーターは左足でトラップして、右を走るグラフィチにパス。ゲントナーのように、拠点づくりのドリブルはしませんでした。 どことなく日本代表の内田選手にも通じるようです、リーターは。
ところがグラフィチ、パスを微妙に外側へトラップ! ま、一気にゴールへ向かえないと思ったのかもしれません。
このあと、ペナルティ・エリアにドリブルし、反対からしぼってきたジェコへ転がそうとして、コーナーに逃れられました。
グラフィチの微細な失敗? それはありそう。でも、もう一つ。もしもリーターが技巧派だったとし、トラップで外にかわしてパスではなく、相手の内から右外にテクニカルなボールだしなどをしていたら、もっと決定的なチャンスだったかもしれません。
こんな失敗例、なんの役にも立たないかもしれませんね。あまり重くなってもいけませんから、「悪の田舎帝国」の所行はこのくらい。ジェコとグラフィチの二名が50点以上もとっていれば、単に「個力」を恃んだ「リアクション」だと、紋切り型論調ではいうでしょう。しかし、それなりに周囲の仕込みがあってのことみたいですね。 ヴォルフスブルクは、強い相手と対戦すると、大雑把には「守備的」になっちゃいますが、志向は「攻め」みたいですよ。やや不細工でボール支配率を気にしないサッカーをしているものの、自軍ボールになると積極的、つまり、攻撃的です。 ● 攻撃的っていっちゃぁ変でしょ? あれ、「ポゼッション」の率が高いことこそが、「攻撃サッカー」なんだったかな? そういえば、レビンスキーさんがこう記していました。 「シンプルだが、知的なゲームプランだ。ボールを保持していれば、敵にはボールが渡らない。「攻撃は最大の防御」というわけだ」 なぁんだ、ポゼっていうのは、基本、守備的なんですね。「攻撃は」でなく、「ボールまわし」は最大の防御だって、そう書いてくれれば少しはわかりやすかった。ポゼ=安定。だから、多くの監督さんたちが望んだりするわけです。 保持したボールを、いかに攻撃的に失うのか、そこを見なければ、単なる鳥かごキープなのかゴール志向のボールまわしか、一概にはいえませんね。 ヴォルフスブルク対ホッフェンハイムは、ビジター側の不調もあって今一つのゲーム内容ではありました。しかし、それなりに攻撃志向で楽しめる試合。もうちょっと最後までいくシーンが増えれば、ボールまわしを愛でるのとは別の、いわゆる「スペクタクル」かもしれない試合になるんですがねぇ。 前述のような狙いを持って、速い攻めを繰り出すスタイルは、かつては「攻撃的サッカー」の一典型でした。まずはボールを落ち着かせて、ではなく、安全に相手陣に押し込んでから、ではなく、まず真っ先に崩しを狙う。一気に攻められない状況なら組み立て直す。今なら、世は進歩しちゃってますから、この手の試合は単に「カウンタ合戦にすぎないじゃん」とかたづけられるだけですけど。 いや、進歩でなく、ただの勘違いかも。
posted by ports |11:50 |
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VfLヴォルフスブルク 悪玉 守備サッカー
コメント投稿者ID :
ヴォルフスブルクはインテルみたいな外人部隊にはならないんでしょうか?何でも車メーカーの町だそうで、企業の社員しかファンがいないとか!?だったら外人、例えばトルコとかの選手が活躍するとトルコで車も売れそうですが・・・ドイツは確かEU外枠が甘いので、モリーニョのアンチインターナショナル化の逆をいってプラティニを悩ましてほしいです。クラブでしかワールドオールスターズは存在しないのに、このままでは国代表ぐらいがマックスになってしまう…
ところで、テンポが速い試合運びは高校サッカーでよく見ます。ボールを奪ったら速攻でゴールに突進する戦い方はスタミナを心配してしまいますが結構持ちますね…へたにDFでボールを回すとトラップミスで失点しかねないから、速攻は理にかなっているのか。
マガト監督はフィジカルトレーニングの鬼らしいですから、ボール回しで休むより、攻めよ、相手を休ませるな、なんでしょうか?
posted by ボールは疲れない | 2009-05-19 22:25
VfLヴォルフスブルク 悪玉 守備サッカー
コメント投稿者ID :
ポゼッション表記ってのはいつごろから行われはじめたんですかね?
数年前のイタリアは、パーセンテージではなく時間数を出していましたが…。
データは客観的。
されどそれを用いるのは、それは人間。
posted by 由比彰紀 | 2009-05-19 23:07
返.VfLヴォルフスブルク 悪玉 守備サッカー
コメント投稿者ID :
ボールは疲れない さんへ
> 外人部隊に
ありがとうございます。すでに最大限に近くそうなっているといえそうでは?
> ドイツは確かEU外枠が甘いので、モリーニョのアンチインターナショナル化の逆をいってプラティニを悩ましてほしい
EU外枠の縛りはないはずですが、ドイツ人在籍規定と地元出身者在籍規定を施行済みであり、財政チェックの厳しさなどからも、外人スターを多数獲得するのは不可能だろうと、そんな気がしますね。
> へたにDFでボールを回すとトラップミスで失点しかねないから、速攻は理にかなっているのか
トラップミスで失点しづらく、脅かされづらくということなら、速攻をしかけるのは危険かもしれません。誰だかも、「トランジション」とかの場面にこそ「リスク」が高いなどというコメントしていました。
できるだけ相手を相手陣に押し込むこと、安全志向ボールまわしなどが好まれているみたいです。あとはクリア等でしょうか。
> ボール回しで休むより、攻めよ、相手を休ませるな、なんでしょうか?
「一気に攻められない状況なら組み立て直す」という、ごく常識的なパターンでしょう。
「標準的なレベルで見ても、やや組み立て面で劣るのがヴォルフスブルク。どこと試合をしてもボール支配率では優位に立てないのが普通といった様相」であり、「「ボールまわし」は最大の防御だ」といえないので、守備は守備として組織しているようですね。
由比彰紀 さんへ
> ポゼッション表記ってのはいつごろから
ありがとうございます、1990年代あたりではなかったかと思いますが…
> 数年前のイタリアは、パーセンテージではなく時間
そして今は表示されませんね。
> されどそれを用いるのは、それは人間
中盤というものはない、存在するのは地面と人間とボール。目は何も見ない、見るのは心である。耳は何も聴かない…
posted by コリバノフ | 2009-05-20 07:16
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試合は、後半のなかば以降にヴォルフスブルクがゴールを重ね、4-0で勝利します。そこは棚上げにして。
ホッフェンハイムもポゼッション流派ではありません。しかし、そんなホッフェンフロッツたちに対しても、ホームのヴォルフスブルクは「主導権」とかを55.5%も明け渡しました。どこまで悪辣なんだ、狼軍団…
(左がホームのヴォルフスブルク)
さて、偶然にも図式的な位置取りをとらえた状況から。ホッフェンハイムのしぼり気味3トップと中盤の二名が前進してきています。ヴォルフスブルクは、最終ライン四名と中盤の四名がそろっていて、なんだかフォーメーション図どおりですね。
リーターがボールを奪いました。人の名前を追加します。ボールはリーターからジョズエに。
ジョズエはドリブルで上がります。そしてミシモビッチにパス。
ミシモビッチは危なっかしいパスを好み、そして状況次第ではそれをどんどん試みるよう奨励されている感じです。ここでもトラップをせず、瞬時に想像したスペースに向けてダイレクトでボールを送り込みます。
うまい具合に相手の足先をボールが抜け、ゲントナーが走り込んでいきます。ゲントナーという選手はリーター以上にとび出し派だと思え、つなぎよりも、タッチ・ライン沿いに走るか、中のスペースを狙うか、そんなことに重きを置いている感じがします。
が、しかし、ゲントナーはボールをキープし、ターンして中にドリブルで進みます。そしてファウルを受け、フリー・キックになりました。それだけのことですが…
仮にゲントナーがミシモビッチのような選手で、グラフィチにダイレクトでパスを流していれば? 一気に裏へ突進、そのままシュートか、反対側から迫るジェコにパスを出せそうでした。
ま、単に成就しなかった攻めといえばそれまでです。
次に、この試合から別のシーンを。
ホッフェンハイムがタッチに向けた長いパスを出し、ヴォルフスブルク右バックのペカリクが相手よりも先に追いつき、ボールを縦にフィード。それをリーターが受けます。
リーターは、中から寄ってきたミシモビッチにパス。
リーターは「上下動」の「上」を実行しますが…
前を塞がれたミシモビッチは切り返して相手をいなします。
リーターは中に戻ろうとします。「ポゼッション」に加わってやんなくちゃぁ。が、しかし。
そういえば、「前方にスペースを見いだしたら躊躇なくチャンスを活かさなければならない」といわれたっけ。ポゼは二の次、ゴール志向で、と。
ミシモビッチは、そういう攻撃的な受け手を探していました。すかさずボールを縦に流す。
リーターは左足でトラップして、右を走るグラフィチにパス。ゲントナーのように、拠点づくりのドリブルはしませんでした。
どことなく日本代表の内田選手にも通じるようです、リーターは。
ところがグラフィチ、パスを微妙に外側へトラップ! ま、一気にゴールへ向かえないと思ったのかもしれません。
このあと、ペナルティ・エリアにドリブルし、反対からしぼってきたジェコへ転がそうとして、コーナーに逃れられました。
グラフィチの微細な失敗? それはありそう。でも、もう一つ。もしもリーターが技巧派だったとし、トラップで外にかわしてパスではなく、相手の内から右外にテクニカルなボールだしなどをしていたら、もっと決定的なチャンスだったかもしれません。
こんな失敗例、なんの役にも立たないかもしれませんね。あまり重くなってもいけませんから、「悪の田舎帝国」の所行はこのくらい。ジェコとグラフィチの二名が50点以上もとっていれば、単に「個力」を恃んだ「リアクション」だと、紋切り型論調ではいうでしょう。しかし、それなりに周囲の仕込みがあってのことみたいですね。
ヴォルフスブルクは、強い相手と対戦すると、大雑把には「守備的」になっちゃいますが、志向は「攻め」みたいですよ。やや不細工でボール支配率を気にしないサッカーをしているものの、自軍ボールになると積極的、つまり、攻撃的です。
● 攻撃的っていっちゃぁ変でしょ?
あれ、「ポゼッション」の率が高いことこそが、「攻撃サッカー」なんだったかな?
そういえば、レビンスキーさんがこう記していました。
「シンプルだが、知的なゲームプランだ。ボールを保持していれば、敵にはボールが渡らない。「攻撃は最大の防御」というわけだ」
なぁんだ、ポゼっていうのは、基本、守備的なんですね。「攻撃は」でなく、「ボールまわし」は最大の防御だって、そう書いてくれれば少しはわかりやすかった。ポゼ=安定。だから、多くの監督さんたちが望んだりするわけです。
保持したボールを、いかに攻撃的に失うのか、そこを見なければ、単なる鳥かごキープなのかゴール志向のボールまわしか、一概にはいえませんね。
ヴォルフスブルク対ホッフェンハイムは、ビジター側の不調もあって今一つのゲーム内容ではありました。しかし、それなりに攻撃志向で楽しめる試合。もうちょっと最後までいくシーンが増えれば、ボールまわしを愛でるのとは別の、いわゆる「スペクタクル」かもしれない試合になるんですがねぇ。
前述のような狙いを持って、速い攻めを繰り出すスタイルは、かつては「攻撃的サッカー」の一典型でした。まずはボールを落ち着かせて、ではなく、安全に相手陣に押し込んでから、ではなく、まず真っ先に崩しを狙う。一気に攻められない状況なら組み立て直す。今なら、世は進歩しちゃってますから、この手の試合は単に「カウンタ合戦にすぎないじゃん」とかたづけられるだけですけど。
いや、進歩でなく、ただの勘違いかも。

