2008年12月09日

モゥリーニョ・インテルは、内容でラツィオに勝てていたか

 まず、ラツィオの今季リーグ戦を、ざっと見渡してみると…

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 A=ラツィオの総シュート数  B=ラツィオの最多シュート選手のシュート数  C=ラツィオのコラロフがシュートした数  (Bの選手名は左端に記載)  (コラロフが最多の場合、Bは、二番めの選手)  ×印を付しているもの=コラロフ欠場試合  △印=コラロフがハーフタイムで退いた試合  百分率数=ラツィオの“ % pericolosità ” (攻撃脅威率) ● ラツィオのコラロフ  セルビア代表のコラロフは、左バックで試合に出ており、遠目から左足で強シュートを打ったり、直接フリー・キックでシュートをします。初戦だけはシュートをしなかったらしいですが、ほかは、出場すれば必ずシュートをしてきました。  グラフの中ほど、ボローニャ戦では、レデスマと並んでチーム最多のシュート数を記録。下から二番目のジェノア戦では、単独トップになりました。  そして迎えた、この12月6日のインテル戦では、早くも8分、コラロフは左でショート・コーナーのボールを受けて、ペナルティ・エリア角の外から、左サイド・ネットの外側に突き刺さるシュートを放ちました。これが、ラツィオの最初のシュートです。さらに、ラツィオ最後のシュートもコラロフでした。  試合終了時までには、コラロフがフォワードのサラテの6を上回るシュート数、7を記録し、両チームを通じてもトップになりました。ちなみにインテルの方では、イブラヒモビッチが5でトップ。  しかしコラロフは、今季、無得点。インテルとの試合でのコラロフは、後半、ゴール正面やや右のフリー・キックを直接決めましたが、助走中に審判が笛を吹いて、壁での揉め事の注意に動いてしまいました。コラロフの得点は認められず… ● 攻撃力のチーム ラツィオ  今季のラツィオは、わりとシュートが多いようです。そして、すべてのリーグ戦に出場してきたフォワードのサラテが、たいていの試合でチーム内シュート数の第一位を占めます。  ラツィオ対インテル戦の後、15試合消化(2チームだけ14試合)時点のリーグ得点王は、ジェノアのミリートで12点。サラテは7点ですが、累計シュート数ではトップの68を記録しています。累計シュート数第二位は、インテルのイブラヒモビッチで、64(得点は8)。ミリートのシュート数は54、第四位ですね。  今現在、ラツィオのリーグ戦順位は8位となっています。しかし得点数では、他の三チームと並んで22となっており、第三位です。  そして、パニーニ・ディジタル独自算出の % pericolosità、「攻撃脅威率(仮称)」の通算値は高く、ACミラン、インテル・ミラノに次いで、ラツィオが第三位を占めます。  この値は、当該チームの攻めが、どれだけ勝利に貢献していたかも加味した数値だそうです。異なる試合同士でも比較可能なものとして、謎の攻撃脅威率は位置づけられていますから、ある試合の2チームの相対的な数字であってはだめなんですね。結果もある程度まで内包されているようです。  でも、引き分けでも、場合によっては負けても、高めの率になることはあるようです。ラツィオが1−1で引き分けたレッチェとの試合では、ラツィオの攻撃脅威率は、62.2%と高い値を示しています。シュート数が27ですしね。まあ、やはり、直接の相手の数値と較べてみたときに、なんとなく納得できることが多いように思います…  ともかく、ラツィオの攻撃脅威率を30%台に抑え込めたのは、ナポリ、ローマ、アタランタだけで、この三つは結果でも、ラツィオを0点に封じ込めています。ACミラン戦、1−4の敗北のときのラツィオは、一応40%台の攻撃脅威率でした。  ラツィオは、ほかに、枠内シュート数でも一試合あたり6.5と、現状ではリーグのトップです。  逆にラツィオの失点数は多く、インテル戦を含めた15試合で19。少ない方から数えて第十四位です。 ● ラツィオ対インテルの結果数値  この試合では、両チームのフォワードが、前半のうちに交代してしまいました。ラツィオは、パンデフがロッキに、インテルの方は、クルスからクレスポに。単純な進行は、たとえば nikkansports.com などに出ています。  http://www.nikkansports.com/soccer/world/score/2008/ita/ita-1315137.html ports-59910.jpg ports-59911.jpg  総シュート数は、22:14としているものも見ました。ブロックされたシュート等を数えるかどうかなど、見方によって差が出てくる試合もありますね。  ゴール数すらも無視して、上記の数字だけをながめると、どうやらラツィオのゲームだったようだなと思えてきます。  しかし、謎の「攻撃脅威率(仮称)」は、インテル優勢の雰囲気を主張していますね。そして試合結果も、0−3でラツィオが負けました。ゴールは、セット・プレーからのものが二つと、自殺点が一つ。でも、インテルの僥倖的な勝利とは見えませんでした… ● 試合の様子 ports-59957.jpg ▽ ラツィオ  ラツィオは、サラテの切れ味鋭いドリブルやシュートを決め手にしており、フォッジャがウィング風のプレーを見せますが、どちらかといえば中を重視した攻め。左からは、コラロフが積極的に出て来ていました。  マウリ、レデスマ、ダボは、後方から攻めを支援する程度。この試合では、ペナルティ・エリアにまでとび出していけるシーンは、ほとんどありませんでした。しかし、彼らのミドル・シュートは、潜在的に脅威ではあります。  サラテは左右によく動くアタッカーで、パンデフに代わってロッキが入ってくると、少し下がり目になって、パンデフのようなプレーもしていました。結果として、このことがラツィオの攻撃から、脅威度を減じてしまったと思います。早めに先制されたために、試合を通じて、ラツィオは積極的だったのですが。  守備面では、新鋭のディフェンダー、ディアキテが、インテルのフォワード陣をよく封じました。抑えきることはできず、自殺点も献上してしまったとはいえ。  慎重に守ろうとするラツィオは、最終ライン四名の前で中盤の三名ががんばり、状況に応じて前線から二名も下がって来ます。しかし、総じて相手との間合いが離れ気味で、慎重すぎる、あるいは、ややルーズに見えます。各選手の判断にも欠点が散見され、ゴールを奪われやすいのもうなずけます。まあ、相手がインテルではありますけどね。 ▽ インテル  強力なはずの、サラテ中心のラツィオの攻めを、積極的に封じました。ラツィオの攻撃脅威率が、なぜか低めになっているのも納得の出来。  ラツィオ同様に、最終ラインを高く設定しようとはせず、中央のふたりを軸に、基本は待ち受け守備です。しかし、対人マークに入るタイミングが早めで、判断も相対的に適切。個々の選手が、遅らせる、奪いにいく、そうした状況の見極めを、ほぼ完全に近くできていました。相手のボールなしの動きも、非常によく見ています。  日本で流行りらしい、フォーメーション噛み合わせ論とは別次元の、本質的な守備のうまさを発揮していましたね。「前からプレス」に執心もせず、ゾーン固守にもこだわらず、つねにフォワードが守備に奔走するわけでもなし。しかし、きれいに守れている。  コルドバ、サムエルの二名が、安定を志向しつつ、ときに応じて前でのマークにも出ていきます。中盤の底のカンビアッソも、最終ラインの前に貼りついているばかりではない。そして、主にサネッティが、ときにスタンコビッチ、ムンタリなども、カンビアッソが出動した穴を的確に埋めていました。  攻撃面では、イブラヒモビッチ、クルス、クレスポ、それぞれに少々低下気味には感じます。スタンコビッチは、動きはいいものの、やはりシュートを決められない。でも、インテルの枠内シュートは、3ではなく、4だったような。スタンコビッチのシュートが、ゴールキーパーに弾かれたシーン、あれはいいシュートで、枠も捉えていたかと思いました。  マクスウェル、サネッティは、前線近くにまで攻めていくことが少なかった印象ですが、ほかの、マイコンを含めた六名が、変化を伴った攻撃を見せました。  ポジション・チェンジの具合がいいのは、たぶん、コーチングによるところが大なのではないかと思います。個々の判断の下敷きに、パターン・プレーのエッセンスが潜んでいるものと… ● カンビアッソ  カンビアッソは、重々しい碇というだけでもなく、インテルがボールを奪った勢いに乗って、うまく攻めに出ていきました。右足が今一つという点と、視野も、わりと左側に傾いているかなと思えますが、攻めの面でも判断は優れていた感じ。この日は、ラツィオのレデスマとは大きく違う出来栄え。  注意して見ていると、たしかにサムエルの守りやパスも出色ではありましたが、個人的には、マン・オブ・ザ・マッチを、カンビアッソに献呈したいような気がしました。 ● インテル熟成の可能性  この試合を終えて、おそらくは、調子を落としていくのではないかなと思います。上げるのは、2月なかばからの、ミラン、ローマ相手の試合、そしてチャンピオンズ・リーグのトーナメント戦に向けてでしょう。  チェルシーあたりとの対戦を期待して、グループ・リーグでは一位になって欲しいと感じていましたが、今週のブレーメンとの試合は、引き分けくらいでお茶を濁して二位でいいでしょう。トーナメント初戦では、ユナイテッドやバルセロナなどとぶつかってもらいたい…


posted by ports |08:15 | コメント(3) | トラックバック(0)
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モゥリーニョ・インテルは、内容でラツィオに勝てていたか

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今度、是非ミランのゲームも分析してください。

posted by ミラニス太 | 2008-12-09 13:36

モゥリーニョ・インテルは、内容でラツィオに勝てていたか

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ラツィオがイタリアでは極めて攻撃的なチームである事は、今シーズンのセリエAの序盤で、ラツィオの得点数がしばらくセリエAではナンバーワンであった事から、私も感じていた事です。得点力だけをとれば、このチームは優勝争いに加われるのでしょうが、いかんせん守備が・・・・スクデット争いを演じるグループに入るには厳しいものがありますね。

私は、この試合、またしても見れませんでしたが、イタリアの報道によると、この試合、インテルを相手に、ラツィオはかなり前傾姿勢で挑んだようですね。ラツィオファンからして見れば、インテルの1点目はあれれ、という感じでサムエルに入れられ、2点目は不運な自殺点、3点目のイブラヒモビッチのゴールはオフサイドという、不運が幾つか重なった試合で、このスコアは嘘つきスコアであると捉えているのでは。謎めいたこの攻撃脅威率から察するに(笑)、インテルがラツィオに少なくとも1得点は上回って勝てた試合だったとは思いますが、0-3というこのスコアは、少々大袈裟かな、そこまで両チームの差は、今は無いんじゃないかな、というのが、正直なところです。

個人的には、【インテル熟成の可能性】はまだ完全否定しています。インテルの強靭な戦力層を否定するわけではありませんが、けっこう、運がいいな、今のインテルは、と。私は、今シーズンのセリエAは、もっとダンゴレースが続くと思っていました。パレルモ戦はイブラヒモビッチ一人のお蔭で勝てた試合です。ユヴェントス戦も、見ましたが、内容は引き分けに近い勝ちかな、と。ナポリ戦は後半はあまり良くなかったような。そして、このラツィオ戦です。運とか、風向きを、いつでもつかめる、あの戦力あっての事だとは思いますが・・・。

【二位に6ポイント差をつけて、インテル、今シーズンも優勝街道まっしぐら!】とは、とても思えないですね、まだ。インテルが落ちてくるとしたら・・・私はCLのノックアウトステージが始まり、セリエAが後半戦に入る、来年の1月末~2月上旬ごろかな、と思います。昨シーズンのインテルと、今シーズンのインテルは、本質的にはあまり変わっていないと思いますので。

posted by sinfonia | 2008-12-09 14:15

返.モゥリーニョ・インテルは、内容でラツィオに勝てていたか

コメント投稿者ID :

どうもありがとうございます。


ミラニス太 さんへ

では、今度のユベントス対ミランについて、ちょっと感想を書くことにします。その節は、なにかご意見などお願いします。


sinfonia さんへ

少し下降気味にあるラツィオと当たれたということらしいので、運も味方してるかもしれませんね。この試合のラツィオでも、ゴールを奪えるチャンスは、あることはありました。そうではあっても、0点に終わったのは、気の毒ともいえない感じです。

自殺点は、そもそもイブラヒモビッチが倒され、その状況を見たマイコンが、すでに走り始めていたのを止めず、スピードを上げたのが契機でした。すぐに反応したイブラヒモビッチも、ゴール・マウスへの詰め方に変化を加えたクレスポも、ともに適切。これでほぼ決まったとはいえ、なくても、また別の得点をしそうな雰囲気だったかと。

あの戦力も、中盤には、やはりなにかが足りない感じもあり、それをどうやってコンビネーションで解消していくのか、その端緒についたなという気がしてます。ここからの手綱さばきの方が、微妙でマニアックな、しかし、ごく普通に重要とされるものでしょう。どうも、騎手にも期待を持てそうなムードも漂います。
このあと、いくつか取りこぼしておくとか、まあ、そうしたわざとらしいことでなくとも、必ずゆるめるところが求められるはずでしょうね。2月から3月にかけてに予想される小ピークまで、地味な見物になるのかなと感じますよ。

最初に抜けたチームではなく、ユベントスほか、地力充分と見える面々が上昇しかけているので、ダンゴリーグ風の状態は続くかと思えます。
チャンピオンズ・リーグですね、いい相手とぶつかって欲しいのが。まあ、予想どおりにはならないんでしょうが、もしかすると。
おお、ブレーメンに対しては、クァレスマ、マンシーニ等を出して、…ですね。

posted by コリバノフ | 2008-12-10 06:46

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