2008年08月01日

スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

 時代や状況などは大いに異なりますが、なおも強引に走行量比較。

20080726-07.jpg


 一名ずつ独立させました。どれが誰かは、下表をご参照願います。

20080726-08.jpg

 表のグレー部分は、交代してしまった、比較対象外の選手と思ってください。

 「オリンピック日本代表、今と較べて…」の続編として、1967年の日韓戦と最新の欧州選手権決勝とで、運動量の無理な比較を続けます。
 プレー内容の方へのご興味であれば、よろしければ以下の記事などをご覧ください。

 - 日本代表、世紀の決戦?
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/176

 - ジーコ流スペイン? × オシム的ロシア?
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/158

 - EURO2008決勝図解 (2, 3)
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/159

 - スペインから探る…(将来図式?)
 http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ports/article/160


● さて、少し振り返ります

 2008年欧州選手権をさまざまな角度でながめていて、新たに提示されるようになった指標、選手ごとの走行距離などに関心を持ちました。そして、実際のプレー時間が何分あったかなどにも検討を広げてきたわけです。

 「気温×湿度と"走り"の量」に、いくつかの考察記事へのリンクを列記してあるので、ご興味あれば、そこから選んでご覧ください。

 で、周辺に散らばっていた運動量激増神話には、とてもかなり驚きました。たとえば、普通の状態のカールハインツ・ルンメニゲが、90分通じて 5km も動かないなんて話があれば、実物でなくともテレビでまるまる一試合を見た方なら、すぐにおかしいと感じることなんですがね。閑話休題。

● 総じて運動量は増加しただろうが、かなり妄信が跋扈している

 やはり四十年以上経った間に、走行距離総量はおおむね増えた印象がします。チーム全体としてですね。
 しかし、試合内容やチームによっては、四、五十年前にも、2008年と近い運動量を示した場合も、たぶんあっただろうと思います。どういうチームのどの試合の数値なのかで、中身はずいぶん違うでしょうね。

 個別に見ていくと、ミッドフィールダーの走行距離総量は、今も昔も、あまり変わらないでしょう。サイドのディフェンダーも、過去の選手で攻撃に参加した人は、おそらく今と同じ程度の運動量だったと考えられます。ウィンガーも、人によっては、似たような運動量なのかもしれませんね。

 センターバックたちは、四十年前の日韓戦では、かなり走行距離が少ない。ここは差がありますね。
 しかし、日韓戦から離れて考えてみると、このポジションは逆になっているかなと思います。たぶん1970年代の攻撃参加するセンターバックであれば、ここで比較したプジョルとマルチェナよりは、確実に運動量が多いはず。そしておそらくは、ドイツの両名よりも長い距離を移動していた選手も、かなりいたはずだろうなと考えられます。それほどに、今のセンターバックは攻撃参加しない。

 センターフォワードは、ドイツもスペインも交代してしまったので、比較対象にしませんでしたが、一試合プレーし続けたと想定してみると、1967年の日韓代表を上回ったのは間違いないでしょう。それでも、タッチ際に開いていっただろう韓国の2トップだと、今と比較して一割減くらいかもしれません。彼らは、極端に少なくはないですね。

 そう、センターフォワードといえば。
 1950年代ハンガリーの、深く引いて上がっていくセンターフォワード、ヒデクチは、イングランドとのアウェー・ゲームを見た限りだと、とても 2,000m どころの運動量ではなく、一試合 10,000m 以上を移動していたように見えますね。トーレスやクローゼよりも上り下がりを繰り返してゴールを決めていました。
 そして、ヒデクチと同系統だともいわれることのあるディ・ステファノも、まず間違いなく 10,000m くらいを動いただろうと想像します、通常は。いや、そんなものではなく、もしかすると、もっともっと長距離を…

● 水準は異なれど、わりと似ている?

 欧州選手権決勝とアジアの五輪予選では、とても同格とはいえないでしょうが、試合をとりまく状況は、案外近いものだったようです。

【日程】

〔ドイツ〕					〔スペイン〕
	6月8日	 2-0 ポーランド		6月10日 4-1 ロシア
	6月12日 1-2 クロアチア		6月14日 2-1 スウェーデン
	6月16日 1-0 オーストリア	6月18日 2-1 ギリシア
	6月19日 3-2 ポルトガル		6月22日 0-0 イタリア
	6月25日 3-2 トルコ			6月26日 3-0 ロシア
	6月29日		ドイツ対スペイン
	(中三日くらいで六戦目、交代三名まで)

〔日本〕					〔韓国〕
	9月27日 15-0 フィリピン	9月27日 4-2 台湾
	9月30日  4-0 台湾			10月1日 2-0 レバノン
	10月3日  3-1 レバノン		10月4日 3-0 南ベトナム
	10月7日		日本対韓国
	(中二日くらいで四戦目、交代一名のみ)

【気候】

 ドイツ対スペイン	(晴)気温27℃	湿度44%
 日本対韓国		(雨)気温・湿度 不明

 当時の東京の10月は、だいたい5月と似た気候? 寒暖の差は10度前後、最高気温が20度を下回る程度で、湿度は60%くらいかなとしておきます。宵、七時半ころから、そして雨が降っているならば、気温10度前後の、湿度は80%、いや、もっと高いでしょうかね。

● スタイルの違い

 アジアのアマチュア上位クラスと、ヨーロッパ最強の代表チームを較べるのは不釣り合いですが、意外に個々の運動量では、近接している選手がいますね。2008年の試合の方が全体の運動量は多いですが、1967年の試合では、ポジション・役割のせいで、動きを抑え気味な選手もいたということも影響しているでしょう。

 この古い日韓戦の選手たちは、2008年のドイツ、スペインくらいにも走れたが、試合流儀が異なるため、あえて動きまわらなかったのだと思えます。そのあたりは、たとえば欧州選手権決勝での、スペインのセンターバック2名が、やはり動きを少なめにしているのと同種なのかも…

 この続きは、「ワールドカップで日本が No.1だった数値」へどうぞ。


posted by ports |20:00 | コメント(6) | トラックバック(0)
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スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

初めて拝見させていただきました。
40年前の選手の走行距離をお調べになられたとは管理人さんには頭が下がる思いです。

ただどういったサッカー(カウンター、ポゼッション)をしていたかということも考慮する必要があるのではないでしょうか。

また比較する対象を同一の国の時代別にしたほうがより面白いかもしれません。

興味深い記事、誠にありがとうございました。
また拝見させていただきます。

posted by b | 2008-08-02 03:49

スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

一連の運動量の記事を興味深く読ませていただきました。
量はトレーニングの進化などで劇的に増えているように言われる事が多いですが、実際はあっても微増程度のようですね

FWは守備の仕事を与えられて量が増えているようですね
中盤の選手は総量の内の守備にかける割合が増えたのかなというレベルのように思えます。
ただ不思議なのは往年の選手からも「運動量が増えた」というような話が出てくることですね。
ソクラテスが話していたのを雑誌で読んだことがあります。でも彼が運動量少ないだけなのかも
案外守備のために走る量が増えたことを嘆いてるのかもしれません・・・酒を飲みながらインタビューに答えてしまうドトールソクラテスはいかにも守備が嫌いそうですし(笑)
しかし身近にいたファルカン、セレーゾあたりは量も多そうなのですが

少し話しが逸れますが、Jリーグが開幕した時に、よく外国人選手や監督から「日本の選手は運動量は多いが無駄が多い」
というようなことを結構言われていて、それは「量が多い」事を否定しているのではなくて「非効率的」だから「効率的」にという意味だったはずなのですが、そこの意味を取り違えて「無駄を減らす」=「量そのものを減らす」ように受け取ってしまったような気がします。
そのことがJリーグ開幕後、何年かして大量に出てきた和製ファンタジスタ達が皆一様にパスを出した後、本来自らもゴール前に進むべき時も止まってしまう傾向に繋がったのではないか、と・・・これは私の勝手な憶測ですが。
この頃の選手の評価の基準は間違いなく「ボールコントロール」に偏っていたと思います
だから再びオシムが「もっと走る必要がある」と言うと「無駄走りは素晴らしい!」なんて馬鹿げた事を言い出す人達がいるのではないでしょうか?
オシムは質の伴った量を奨励してるのであって「無駄に走れ」なんて一言も言っていないし、望むはずはないのに。
最上位のBを重視し始めたら、今度は他のBが蔑ろにされるなんてことにならないといいのですが・・・考え過ぎですかね

ハンガリーは両サイド、特に右7番のブダイは相当の量を走っているように見えますね。ディフェンスもやってアタックの際にはカウンターの先兵にもなってゴール前まで度々迫っていますし

しかしルンメニゲが5kmというのは何とも(笑)
歩いてるとか小走りはカウントしないとかじゃないですかね?
過去のサッカーが不当に貶められないよう正確な情報をもっと知りたいところですね
ハンガリーも聞くと見るとでは大違いでしたから

posted by コール | 2008-08-02 18:06

返.スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

b さんへ

はじめまして、ご丁重に恐縮です。
調査手法や対象の条件を明記した資料は、きっと研究機関や協会などに、たくさん残っているだろうと想像します。でも、広く公開されることが、あまりなさそうなんですね。

ご興味を持っていただいたのに、残念ですが、詳細に論じられる素性正しいデータが入手できません。
再度、関連するちょっとしたことを、皮相ながら書きますので、ご笑覧、ご批判いただければ幸いです。ありがとうございました。


コール さんへ

> ソクラテスが話していたのを

初めから運動量の多い選手でもないだろうと思いますが、四年間でだいぶ落ちた印象があります。ジーコのPKがいわれ続けますが、ソクラテスがへろへろで空振りしなければ、若干 下かなというブラジルが勝てたことになりますね。

仰るように、守備での奔走増加が、運動量の増加大とのイメージにつながるのではないでしょうか。そうした部分は、運動強度などと違い、定量化が難しいですよね。研究者も、妥当な判断基準に迷うだろうと思います。

> 本来自らもゴール前に進むべき時も止まってしまう傾向に

システム論とゾーン守備理論の人気で、縦のポジション関係を崩すのはフルバックのみという、硬直した思考が普及したことも影響してないでしょうか?
勝手な憶測ですが。
でも、攻撃的なパスとかいったときに、縦方向気味のパス交換が論じられずに、スルー・パス風の止まって出す「ファンタジー」ばかりになってる気がしませんか?

>「無駄に走れ」なんて一言も言っていないし、望むはずはない

もしかして、商品としての「無駄走り」という標語に、観戦側が乗せられたんではありませんかね。だとすれば、スローガンとしては大成功。
結果として無駄になってしまう良質な「フリー・ランニング」は歓迎・奨励されますが、意義薄い「非効率的」な動きは、本来否定する対象。
動いていればいいもんではない、それは常識ですね。やはり具体例をエッセンスとして論じないと、間違った偏りに陥りそうです。

ハンガリー代表は、チボールも攻守にたいそうな運動量ですし、プシュカシュ、コチシュも要所にはいることを考えると、なぜバロティ監督があんなことを書いたのか、疑念が湧きます。ボジクも、技術・判断とあわせて、多大な走行距離で賞賛された面もあるようですし、少なめなのは、ディフェンス三名くらいかなという感じでした。

ルンメニゲは・・・。
どうしても、遅い移動部分を除外したとしか考えられない数字ですよね。
ところが、ブライトナーの 11,400m と並べられちゃうと、弁明し難くなってしまいます。11,400m が、歩きやジョギングを別にした移動だとは、いくらブライトナーでも無理だという気がしてしまって…。ありがとうございました。

posted by コリバノフ | 2008-08-02 19:03

スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

>守備での奔走増加が、運動量の増加大とのイメージにつながる

守備っていうのがマイナスイメージをもっているからでしょうかね。現場から激増の声があるところで、確かにまだ腑に落ちないんですが、以前選手だったからこそ過大に感じているからですかね。

また、運動量の比較に触れてたところがあったんで貼っておきます。

http://www.revistapesquisa.fapesp.br/?art=561&bd=1&pg=3&lg=en

ブラジルのバロスっていう人の話ですが、
いくつかの研究によると走行距離は30年で20~30%の上昇があるっていうことで、やっぱり倍増ってわけではないみたいですね。
確かに、実際のデータみてみたいところ。

ただ、彼の印象としては昔の選手のほうが動くスペースがもっとあったようで、オシムもそう言ってたけど、そういうイメージがあるんでしょうね、きっと。ま、ここはデータ化できないで、結局、印象論で終わっちゃうところでしょうけど。

確かに、過去の心理的イメージが、データの差以上に感じてしまうっていうのは現場に近いほど傾向としてあるかもしれませんね。管理人さんがいうように現代のCBが攻撃参加しないわりには走行距離に違いがでている部分って、守備時で走る状況が増えたんだと思いますが、奔走することで攻撃側には以前よりシンドイようなイメージが激増ばなしにつながってたりするんッスかね。

あとこのバロスっていう人の話で気になったのは、気候に関してですね。暖かいと走行距離が減るっていうところ、ヨーロッパとブラジルと比べて走行距離が3Kmほど違うっていうのが。アジアとヨーロッパを比較する場合はもっと違っているかもしれない。

posted by ブランク | 2008-08-02 22:45

返.スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

ご紹介、どうもありがとうございます。

> 現場から激増の声がある

もしかすると、いつの時代でもそうかもしれませんね。つまり、目一杯な選手はどんなときにもいて、そうした人たちは疲れきっていた?

昔はややセーブできた選手もいたのに、今は、ゴールキーパーとセンターバックだけ、ときにセンターフォワードもって感じに、変わったのかもしれません。

まあ、チーム全体は、若干から、バロス氏のいう三割くらいまでの範囲で、増加はしてるんでしょうね。
で、「走れ」ブームとか、「ハード・ワーク」という苦行を連想させるすごそうな表現などが、「日々進歩史観」と結合すると、日々、月々、年々、走行距離は増えるのが善、増えていなければおかしいと思えたりするのかも…

posted by コリバノフ | 2008-08-02 23:10

スペイン、ドイツと 日本、韓国を強引に比較

コメント投稿者ID :

単純にアスリートの限界までは行くのかなって思いますけど・・・。

このバロス氏は、ポジションごとの特性が重視されていくっていう考え方で、ポリバレントをあまり重要視していないようでちょっと違和感を感じてるんですが、確かに活動エリアによっては能力が高いほうが重宝するって思うんですけどね。特に安全第一」主義であれば。

方向性によっては、価値も変わってくると思います。どの部分を重要視するかによるんじゃないでしょうか。面白いか面白くないっていう要素とはかけ離れていくと問題ですが・・・。

あと気になった話があったので、

http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_4.folder/08_itk_3.html

この「ストリートサッカー」っていうのが果たした役割って、日本にあったんでしょうかね。以前、釜本さんの技術につぃて触れてましたが、自分で考えなければ身につけられない才能っていうのが昔の日本の幼少時の環境にもあったのかなって思います。日本だからサッカー文化とは課かけ離れてるでしょうけど。そういうものが断絶の一つなのかなって思いますけどね。

posted by ブランク | 2008-08-02 23:54

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