2008年04月04日

『ポジション』『システム』という固定観念。

きのう、おもむろにCATVを付けてたら、
FA杯、マンチェスターU VS ポーツマスがやっていました。
試合内容そのものは、普段のマンUのゲームからすれば、
「うーん、あまり見所ないなぁ」といった程度のもんでしたが、
(そりゃアストン・ビラ戦とCLローマ戦に比べたらっての話)
なにより目を引いたのはルーニー、C・ロナウドの「守備」という部分でした。

プレミアリーグは展開の速さ、ボールの落ち着かなさで有名です。
とにかく、あれよあれよで敵陣に侵入し、かと思えばカウンター。
イギリス特有の「重たいピッチ」であのピストンを繰り返すわけで。
どう見たって、それはもう大変だろうというサッカーです。

そんななか、ルーニーにせよC・ロナウドにせよ、
自陣はおろか、味方ゴール前まで戻って守備をしているんです。
それも、タイムアップに近い終盤での時間帯でも、です。

★注釈…この試合、後半途中でマンUのGKが一発退場。ファーディナンドが代役に。

鮮やかなゴールシーンや、敵ゴール前でのプレイばかり印象がありますが、
組織の枠組のひとりとして、もちろん点も取るしきっちり守備もする。
日本の選手はとかく『運動量豊富で献身的』なんて言われますが、
『自陣の守備まで確実にこなす得点王』なんて、存在しないですよね。
比較するほうが愚問かもしれませんが、明らかにレベルの劣るJでも、
これまでにそんな選手は皆無。つくづく、世界レベルは遠いですね。


ここからが本題です。タイトルのこと。
普通に考えてポジションとは、それぞれの『特徴』の上に成り立つもの。

一例ですが、得点感覚に優れていればFWやトップ下に抜擢されるし、
バランス感覚やパスセンスに長けていれば、プレイメーカーやボランチ、
タテへの突破やセンタリングが身上ならばサイドアタッカーとして、
屈強で危機管理能力やメンタリティが優れていれば、ディフェンスだし…。

でもそれは、当たり前ですが『フィジカル』を土台として機を成すもの。
ここでいうフィジカルとは、身長の高さなどの体格的な優位性ではなく、
単純に体力や持久力といったことを指して言っています。
もちろん、コンタクトという部分でのフィジカルも、度外視はできませんが。

そういえば日本代表の試合で、だいたいの日本人は足をつっていませんね。
それを「まだまだ体力的に大丈夫だろう」と見るのか、それとも、
「領域外の仕事をこなしていないから、体力を余している」と見るのか。


結局、なにが言いたいのか。


日本人に最も備わっていないのは戦術でも技術でもなく、
「サッカー用の筋力と体力」ではないかと思うのです。
だから、四角四面に切り分けて役割を全うすることしかできなくなる。
ましてや自分の領域で手一杯なのに、範疇外の仕事など助けられるはずもない。
だからポジションを飛び越えたプレイが、極端に少ないサッカーになってしまう。
かたや個人能力でも絶対的なものが違うわけで、1対1では勝てる可能性が低い。
つまるところ、連動性もバリエーションもへったくりもないのです。
だからポジションありき、システムありきの考え方になるわけで。

反対にそれが備わればプレイスピードもより高まるし、ケアも早く厚くできる。
プレイそのものの精度もどんどん高まるし、連携だって良くなるわけです。
なにより申し合わせができれば、いくらでもシステムやポジションを、
試合中にいじれるわけです。これは体力がないとできないこと。

オシムの言葉を借りて「考えて走る」をあえて言い換えるなら、
「走りまくっても考えられる体力を備えよ」ということではなかろうか、と。
自分がもつ最大限のパフォーマンスを、100%持続できるフィジカル。
そこに世界との大きな差があると、私は感じてなりません。

もちろんどんな人間であっても90分間、同じプレイを続けることは不可能。
だから『型』を決めて、走ることに効率性を与えるようにする。ということでしょう。
その反復でポジションとシステム、そして制約を凌駕しなければ、世界レベルは近づかない。
サッカーの世界でも日本が『ワークシェアリング』では、時代遅れな気がするのです。


締めくくりに、

日本がアジアの殻を破るには、予選で「受け手」にまわらないこと。
とにかく最初からトップギアで、それを最後まで持続する。
それは全部全力疾走ってことではありませんし、攻め急ぐってことでもない。
とにかくハイパフォーマンスを維持することが、強化に繋がると思います。
自分のミッションをこなしつつ、どうやって役割外のプレイに関われるか。
その積み重ねが『連動性』をさらに高めてくれると思います。

それでは、長々とすみませんでした。

posted by pjsb |16:04 | サッカー | コメント(6) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
『ポジション』『システム』という固定観念。

はじめまして。「サッカー用の筋力と体力」が必要というのは同感です。それがどのように強化されるのか、については難しい問題だと思いました。

>とにかくハイパフォーマンスを維持すること

はたしかにその通りだと思います。それと必要なことは次のことだと思います。

1 より高いレベルの相手と戦うこと
2 高いレベルを知り、その高いレベルに追いつき追い越すためのレベル設定をして、ふだんから練習や試合を行うこと

自分より高いレベルの相手と戦うと、ふだんの倍は疲れると思います。それはいわゆるフィジカルだけでなく、技術、考える力の点でも相手のレベルが高いからです。それが管理人さんの仰る「サッカー用の筋力と体力」なのだと思います。(日韓W杯で戸田選手が「頭を限界まで使って最後は倒れる寸前だった」とコメントしていました。ですから脳の体力でもあるのです。)

中田英寿はユース年代の世界大会の度に世界のレベルを体感し、それによって自分の目指すレベル設定をしていました。フランスW杯後のベルマーレの試合では、「セリエAでやるためにはJで二人ぐらいのマークは振り切るのは当然」という意識で試合をしていました。世界大会などで世界のレベルを体感しても日本で国内でプレーするうちにその感覚が薄れてしまうものですが、…。

オシムの指導は、そういう高いレベルの相手と戦うだけが方法でないことを示してくれたと思います。練習の中で大きな(あるいは種種多様な)負荷をかけることによって高いレベルを作り出し、それに順応させる方法です。第3の方法とでもいいましょうか。これにはアイディアと一貫性と経験が必要ですから、簡単なことではないでしょうが、必ずしも世界の強豪と戦える環境とは限らないアジアにおいては、この方法は絶対に必要だと思います。管理人さんの仰る「サッカー用の筋力と体力」を鍛えることにもつながるのではないかと思います。

「できることをやる」「受け手」ではアジアの殻を破ることはできないという考え方に同感です。いきなり長文失礼しました。

posted by うが | 2008-04-04 17:31

『ポジション』『システム』という固定観念。

なかなか面白い見解ですね。なるほどと思わされる部分が大変多いです。
自分の領域のことだけに必死になっているから攻撃が単調なんでしょうね。でも、日本の多くの監督がそれを繰り返すことに大きな意味を感じているのも大きな問題ですかね。
松井とか俊輔が入るとポジションチェンジが頻繁になるのも偶然ではないのかもしれませんね。海外で体感しているから。

posted by ふじ | 2008-04-04 17:45

『ポジション』『システム』という固定観念。

うがさん>

長文ありがとうございます。
これだけ書いてくれると言うことは、
それだけ呼んでくれたと言うこと。感謝です。

個人的に私はオシムイズム傾倒者ではありません。
ですが彼の練習そのものがサッカー用の筋トレ、
そして脳トレだったのでは、とは思っています。
願わくばあの指導は、小学生からやらせたい。
ある程度の基礎が固まった大人では、浸透しにくいと思うのです。


ふじさん>

コメントありがとうございます。
日本は戦術理解度は高いと思うのです。
しかしそれは、現状はあくまで机上での話。
『戦術遂行+それを裏切るプレイ』
これができないと難しいってことでしょうね。

posted by 管理人 | 2008-04-04 18:00

『ポジション』『システム』という固定観念。

時間を忘れてただひたすらボールを追いかける。理屈もへったくれもない、誰もがただひたすらボールを追い回す。そいういう時間が欠如してるんじゃないですかね、この国においては。とにかく、理屈が多すぎるんですよ。頭で考えているうちはどんなスポーツだってうまくなんかいきゃしません。何も考えずにやってやってやりまくる。その時間の積み重ねが、量の積み重ねがいつの間にか質的な違いとなって現れるんです。そこんとこがまったく理解されていないのよ。
ただし、これは少年サッカーの世界のこと。Jに入ってからじゃ遅すぎますわな。

posted by りくつや | 2008-04-04 21:53

『ポジション』『システム』という固定観念。

りくつや>

たしかに。本能的なガムシャラさですよね。
頭脳先行型になっているのは否めません。
しかしながら、オランダでは幼少期から
『3-4-3』のシステムで徹底的にサッカーをさせるなど、
きちんとしたボトムアップの育成理論ができているのも事実。
となると、トップダウンとなっている日本サッカーの体質も問題かと。

となると、オシムの若手育成は正しいのかもしれません。

posted by 管理人 | 2008-04-07 14:39

『ポジション』『システム』という固定観念。

あ、敬称が抜けていました。申し訳ありません。

posted by 管理人 | 2008-04-07 14:39

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