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フェデラー戴冠の理由,錦織がGS優勝に足りないピース 〜データで見る〜2017全豪オープン 決勝/R16

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2017年最初のグランドスラム,全豪オープンはサプライズの連続でした.マレー・ジョコビッチが相次いで敗退し,波乱の連続となった大会となりました.そのスキを突いたのは初優勝を目指す若手ではなく,ベテランの域に入ったフェデラーでした.とは言ってもトップ10を4人倒しての優勝にケチを付けられるわけもなく,メディカルタイムアウトを珍しく使うシーンもありましたが,7試合を戦い抜きました.

ここでは,”なぜフェデラーは35歳にしてなおグランドスラムを優勝することができたか”について見ていきます.それに続いて,”錦織がグランドスラムを優勝するために足りない技術”にも触れていきます.

フェデラー引退が騒がれたのは今から4年ほど前,2013シーズンでした.背中の怪我の影響もあり,やはりフェデラーも30歳を超えるとプレーレベルは落ちるのかと皆が考えました.それからポイントを短くしネットプレーを多く繰り出すことにより,プレースタイルを一新し見事に復活を遂げました.生ける伝説と呼ばれ始めたのも,この復活劇を誰もが覚えているからでしょう.

この”ポイントを短くする”プレースタイルに欠かせないものの一つは,サーブ力です.サーブだけで成功しているテニス選手もいるほど,テニスにおいてサーブは武器になる力があります.

ここで先の日曜日の全豪オープン決勝,フェデラー対ナダルにおけるフェデラーのファーストサーブのコース別成績を見てみましょう.デュース/アドコート別に,ワイド,ボディ,センター(T)への内訳をポイント獲得/喪失に分類して集計しています.

注目に値するのは,ボディーサーブが1本もないことです.ボディーサーブは,エースの確率こそ低くなりますが,強い返球をすることが難しく,サーブで主導権を取りに行くのに効果的と言われています.ラオニッチはこのボディーサーブ+強力なフォアハンド/ネットプレーで昨年大きな成功を収めました.

フェデラーがファーストサーブでボディーサーブを打たなかったのは,主導権を取ることでは足りず,サーブだけでポイント奪うことを狙ったのだと考えます.驚異的な守備力を持つナダルを相手に,自身の武器であるポイントを奪えるファーストサーブを最大限に活用したのです.

この”ポイントを奪えるファーストサーブ”は,フェデラーの最高のクオリティでサーブを打ち分けられる能力によって最大限発揮されます.

4回戦での錦織戦のサーブのデータを見てみましょう.ここで注目していただきたいのは,フェデラーのサーブの打ち分けです.

フェデラーは,デュースサイドのワイドサーブを除いて,いずれも非常に高い確率でポイントを獲得できていることがわかります.このデュース/アドバンテージのどちらのサイドからも,ワイド/センターに質の高いサーブを打ち分けられる力,これこそがフェデラーを35歳にしてグランドスラム優勝に導いた大きな力の一つなのです.

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フェデラー戴冠の理由,錦織がGS優勝に足りないピース 〜データで見る〜2017全豪オープン 決勝/R16

キリ丼様

そうですね,サーブはまだ向上すべきところが多いのかなと思います.データを見ていて思うのですが,コースによるポイント獲得率のブレが錦織選手は多くなってしまうんですよね.これがどういう要因で起きているのかはわかりませんが… 上にブレるということは,調子のいいときは良いサーブが入っているということは言えるのではないでしょうか.(ちなみにご指摘の通りアドサイドはポイント獲得率は低くなってしまいますが,それは右利きプレイヤー一般にもあるように感じるのですが… 確度の高いことを言うにはもう少しデータが必要です)

やはりサーブ力の向上により,良いサーブを継続して打てるようになることが課題だと思います.

フェデラー戴冠の理由,錦織がGS優勝に足りないピース 〜データで見る〜2017全豪オープン 決勝/R16

あ様

今回の全豪オープンは,フェデラーの偉大さを再発見する大会になっていたと,振り返ってからは思います.ほぼ半年戦列から離れて,7試合戦い抜くことができた35歳は,いい意味で異常ですよね.

錦織選手ですが,一つ一つのショットの上限は上がってきていると思います.フォアにしろバックにしろサーブにしろ.問題は,それぞれのショットの質の高さが継続せず1試合また大会の内外でばらついていることではないかと感じています.センターへのサーブも,ブリスベンのディミトロフ戦では非常に良かったのにフェデラー戦ではかなり質が落ちてしまいました.

この”質の高い状態”が続く,確変状態になるには,もちろん調子を好調に保つ努力も必要ですが,実力の底上げも重要なのではないでしょうか.
まだまだ始まったばかりの2017年,今年もテニス界にとって良い一年になるといいですね.

フェデラー戴冠の理由,錦織がGS優勝に足りないピース 〜データで見る〜2017全豪オープン 決勝/R16

決勝と対錦織戦のデータは興味深いですね。サービスポイントについては、昨年来改善されてきましたが、ビッグ4(特にフェデラー、マレー)と比較してもかなり劣っている部分です。また、タイプの似ているゴファンも錦織選手よりもサーブの威力は上回っていると言えるでしょう。やはり、サーブの球種やコースの打ち分けで、先手を取ることが大切な要素となると思います。特にアドサイドのサーブは、更に改善する必要があるなというのが全豪を終えての感想です。

フェデラー戴冠の理由,錦織がGS優勝に足りないピース 〜データで見る〜2017全豪オープン 決勝/R16

錦織は身長が低いからサーブが弱くても仕方ないという意見は割と良く見かけますが
フェデラーを見ているとそういう次元とは別の技術を感じます
もちろん背が高い 腕が長いことはサーブにおける一つの大事なファクターではありますが、ボールを多方向多方面に確実に打ち分ける技術に於いてフェデラーの右に出るものはいないと再確認した大会でした

もちろんサーブだけじゃなくストロークもですが
フェデラーはミスをしながら調整していくんですよね
だからエラーも増えるがラインにかかるようなウイナーも増える
そういう感覚から来る技術は本来錦織のようなタイプが早々に身に付ける必要があるのですが、いわゆる14シーズンの確変状態を除けば錦織自体そこまでです

他のトップ選手だとディフェンス系 パワーショット系が多いので、多少の精度は押し返せますが、現状だとあの覚醒状態が数試合連続して続かない限り錦織がGSやMSを優勝できる可能性は限りなく低いでしょうね

どれだけ体格差があろうと相手のとれない場所にボールを打てば少なくとも負けはないのがテニスですから、フィジカルの衰えを技術でカバーしているフェデラーはやはりいい意味で異常です

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