2009年12月10日

鬱ぎの季節 ~ 09/10シーズンの混乱

安藤美姫選手、織田信成選手、五輪代表内定おめでとうございます。


いつかも書いたことだが、GPファイナル(GPF)という大会はそのシステム上、選手のエントリー方法に若干の疑問があることは今も変わらないが、今季のGPFは日本選手にとっては「五輪代表一次選考会」を兼ねることによって、重要な意義のある、シーズン前半戦の大一番となった。
また、海外選手にとっても(特に米国選手)、GPFの成績は自国の五輪代表選考に大きな影響を与えることもあり、例年のGPFと比較しても各選手の緊張感、真剣勝負感はより高く、実にスリリングな大会になったと思う。五輪シーズンに日本で開催されたGPFは「フィギュア・バブル」の到来を予感させた2005年以来のことだが、今回は「GPFで五輪代表1枠を内定する」ということが公示されたことで、その緊張感は前回を遥かに上回るものがあった。(前回は2シーズンに亘るポイント制のためGPFの比重は比較的小さかった)
国内無敵で既に内定済みの海外選手もわずかにいたが、その選手にとっても「シーズン前半最後のISU公式戦」には変わりなく、そのモチベーションは十分に高いものであっただろう。(調整中にも関わらず補欠繰上げで急遽出場が決まった選手にとってはいろいろと難しい試合になっただろうが・・・・)

奇しくも今回シニアGPFに出場した日本男女4選手には「復活」という共通点があったこともまた興味深い。
そのストーリーは読者諸氏には周知であろうことなのでここで仔細に紹介することは割愛するが、見ている側としては彼ら4人が代々木体育館に顔を揃えたことは感慨深く、願わくはまとめてバンクーバーにも行かせてあげたいと親心のような心持ちで会場観戦した3日間だった。
結果は既報の通りだが、各選手ともそれぞれの目標をもって臨んだであろうことは想像に難くなく、各選手のそれぞれの結果にはそれぞれの課題と目標も再確認できただろう。目出度く内定を得た選手はもちろん、内定を全日本に先送りした選手にさえ有意義な大会になったとすれば、それはまた喜ばしい。

と、つらつらと書くのは今回だけは野暮というものか。さっさと祝辞を述べねば、せっかくのスープも冷めてしまおうというもの。

安藤美姫選手、織田信成選手、オリンピック冬季競技大会バンクーバー2010フィギュアスケート日本代表内定おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
今後はコンディション管理に一層留意され、さらなる課題の克服、目標の達成を目指して、万全の準備でバンクーバーに臨まん ことを願って止みません。



GPファイナルの大団円・・・・はけっこうなことだが、

一方で、実は私はこのGPファイナルを迎えるにあたり、少々寂しい思いにかられていた。少なからざる一般の方々も寂しい思いをしていたことだろう。ご推察の通り、その寂しさは浅田真央選手に起因する。しかし、その寂しさの内容は一般の方々と私とでは違うかもしれない。
一般の方々は浅田選手が出場しないことが寂しいようだが、私は違う。私が寂しいのは、「浅田選手が出ない試合には興味がない」という声が少なくないことである。「大会自体が無意味だ」という暴言すら聞かれる。これは寂しい。
確かに贔屓にしている選手が出場するかしないかは自分の観戦モチベーションに少なからず影響を及ぼすだろう。それは分かる。ご贔屓の選手が出ない大会に時間(と金)を費やそうと思えないのは自然な心理だ。それを理解した上でも、そのような発言をする人々が少なくないことに私は寂しさを覚える。
なぜなら、私はそういう人々がフィギュアスケートを見ているのではなく、浅田選手しか見ていないのではないかと思えてならないからだ。こういう人々は浅田選手が競技会から退いた後はフィギュアスケートの試合なんか見なくなってしまうだろう。だって、浅田選手が出ないのであれば見ない、と言うのだから。(引退後に出演するアイスショーくらいは見るかもしれないが)
浅田選手はフィギュアスケートの魅力を体現している代表的なスケーターの一人だ。浅田選手の出場試合を見るということは彼女と同じピッチで競い合う他のスケーターを見る機会にもなるわけだから、是非それをきっかけにしてフィギュアスケートというスポーツの魅力にもっと触れてほしいと思う。もっと目を肥やしてほしいと思う。
競技に興味があるのではなく、特定の選手に興味があるだけ・・・・こういう人々に支えられている限り、今のスケート人気は「バブル」でしかない。一過性の消費行動でしかない。もちろんそういう状況を作り出していることにはメディア(特に民放TV)の責任も大きかろう。スポーツはメディア、特にTVにとって重要なコンテンツであるはずだが、そのTVはスポーツを喰い物にしているとしか思えないことがしばしばあるからだ。
嘆かわしいことだ。



五輪の幻影に惑わされる人々

ってな感じで、いきなりGPファイナル&五輪代表内定で盛り上がった皆さんを前に冷水を浴びせかけたようで申し訳ないが、GPシリーズ中に気になった報道があったのでその問題を採り上げながら、GPファイナル・レビュー~全日本プレビューの肴にでもしてもらえれば勿怪の幸いだ。

時は少々遡る。10月27日、『日経新聞』朝刊のスポーツ面に気になる記事が掲載されていた。
見出しには、浅田ファイナル絶望的、“タラソワ流”に採点の壁、「一点豪華主義」抜けきれず、の刺激的な活字が躍っていた。
全文掲載するのは憚られるので、要点のみを抜粋する。(記事の全文はネットでも拾えるので、興味のある方は検索のこと。浅田、タラソワ、一点豪華主義、の3ワードでひっかかると思う)

記事の構成順に要点を挙げると、
1. タラソワ・コーチは旧採点方式から新採点方式に適応できていない。
2. 旧方式では、ジャンプが得意な選手は「高難度ジャンプ」を跳べば高得点が出た。
3. 新方式では、満遍なく演技をこなさないと高得点が出ない。
4. LAワールドでは、金妍兒のFSは「中味がスカスカ」と指摘する審判がいたのに世界最高得点が出た。

ざっとこんな内容である。ちなみにこの記事は「原真子」という記者の署名記事だ。(専属だか契約だか知らないが、日経にスポーツ記事を寄稿する記者である)
当ブログの常連さんであれば、この時点で既に本稿の狙いが概ね察しがつくのではないだろうか。私はこの記事を読み終わったとき、あまりに首を傾げすぎたために我が家の天井が傾いて見えてしまったのだ。
順番に行こう。

まず1番目についてはことさら私の見解を述べるのはやめておく。私はタラソワ・コーチのファンでもアンチでもないので、同コーチが「適応」できているかどうか自体にはそもそもあまり関心がない。問題はあとの3点。
まず、2番と3番の2点はスポーツ記者の見識を疑うものだ。結論から言うと、実は旧方式だろうが新方式だろうが、フィギュアスケートの採点の考え方は基本的に変わっていないのだ。採点の目的は変わっていない。目的を果たすための「採点方法」を修正しただけなのだ。新方式ではPGの中の演技要素を細分化し、数量化し、加点方式を基本に、6点満点からの減点で決する順位点を排除したのは事実。
しかし、採点の目指しているところは今も昔も変わっていないのだ。それは、フィギュアスケートはジャンプ等の特定の要素を競うスポーツではなく、各要素を総合して「美」を競うスポーツだということだ(「美」の定義はここでは割愛)。これは昔から変わっていない。そうでなければ説明がつかない事実を挙げよう。

まず、旧方式時代の実例。
ティモシー・ゲーブルという男子スケーターを覚えているだろうか。4Sの開祖で正にジャンプが得意の「一点豪華主義」の選手だった。ソルトレークシティ五輪でも銅メダルを取っているからご記憶の方も多かろう。彼はその五輪のFPでなんとクワッドを3回成功させた(4S+3T、4S、4T)。しかし、ご存知のように金メダルを奪取したのはアレクセイ・ヤグディン。ヤグディンが跳んだクワッドは4Tの1種類でその回数も2回だったのに・・・・。
では、ヤグディンは技術的に凡庸だったので、表現の一点突破に賭けたのが奏功したのか(確かに芸術点で6.0を出した)。否。ヤグディンは芸術点の「一点豪華主義」で勝ったわけではない。実は技術点でもほぼパーフェクトだったのだ(ジャッジ全員が5.9)。即ち、ヤグディンは表現でも技術でも高い評価を受け、総合的に最優秀と評価されたから勝ったのだ。くだんの記者の言葉を借りれば「満遍なく」演技していたからヤグディンは金メダルに輝いたのだ。旧方式時代でも一点豪華主義では通用しなかったのである。
次に、新方式時代の実例。
ケビン・レイノルズというジュニア上がりの男子スケーターがいる。ピノキオみたいな少年のあどけなさの残る、まるで鉛筆のような華奢な体躯をしたスケーターだ。彼もまたクワッドを得意としたジャンパーで、現在4Sを必ずPGに入れてくる唯一の選手だ。彼は(TV放送のある)シニアGPにも出場しているからTVでもしばしば見かけることができよう。
彼のスケートは(今のところ)明らかにジャンプしか取りえがない。他の要素もPCSも評価が低い。よってもって、なかなかスコアが上がらない。旧方式時代と同じ状況だ。

さらに問題なのは4番目だ。スポーツ記者という以前に報道記者としての見識を疑うほどのお粗末さだ。
「中味がスカスカ」と指摘した審判とは誰か?
報道機関の常套句である「情報源は秘匿」を盾に実名を明らかにしてもらうことは期待できないが、本当にこういう審判がいたのであれば別な意味で問題だ。金妍兒の5コンポーネンツについてジャッジの間でも意見が分かれていることを内部告発していることになるからだ。果たして、異議を唱えているジャッジが本当にいたのだろうか。
そもそも「中味がスカスカ」とはどういう意味か?
「中味がスカスカ」という情報源の言葉をそのまま載せるだけでは記者としては職務放棄だろう。読者の想像に任せるというのであればあまりにも乱暴な記事だ。それでは流言飛語を載せていることと変わりはしない。
例えば、金妍兒のLAのFSでの最も低かった5コンポーネンツはTRで、その平均は8.25だった(これとて驚くほど高いが)。内訳は、8.25をつけたジャッジが5人、8.00が2人、8.50と7.50が各1人だ。この事実を見る限り特段意見が分かれているようには見えない。
「中味がスカスカ」だと漏らした張本人がTRに最低点(7.50)をつけたジャッジだったということも考えられない。7点台の評語は“Good”だからだ。「スカスカ」のTRに“Good”はないだろう。
では異議を唱えたのは当日担当していなかったジャッジなのか。それとも「自称」審判と名乗る「関係者」という怪しき人物なのか。
いずれにせよ、勘のいい記者であればもっと掘り下げるべき重大な問題が潜んでいる「関係者情報」であることに気づかなければいけないはずなのに、事も無げにさらりと書いているところを見るとどうもその真偽は疑わしい。
これでは「伝聞」を記事にしただけという誹りを免れないのではないだろうか。

どうも昨今の「フィギュア・バブル」は記者までをも乱造しているように思えてならない。さらに今季は五輪という幻影がその記者をも幻惑しているのではないか。旬のネタを次々に記事にしなければ他紙に出し抜かれてしまうというプレッシャーが、五輪という一大イベントを控えたシーズンに記者自身が焦っているのだろうか。
記者だって人間だし、そのキャリアの始めには「駆け出し」の時代もあるだろう。若気の至りで拙速な記事を書くこともあるだろう。しかし、スケートだけに筆が滑ったという軽いノリで書いていいことと悪いことがある。その区別は若いときにこそ身につけておかなければいけない。スポーツ・ジャーナリズムを目指すのであれば、志は高く持ってもらいたいものだ。
もっとも当の記者ご本人が「私はブームをネタに食い扶持をかすめ取るだけの雇われ記者よ」ってな感じで開き直るのであれば、記事にされた浅田選手やタラソワ・コーチ、金妍兒はたまったものではない。(当該記事ではジョアニー・ロシェットも槍玉に挙げられている)



だーれがころしたクックロビン

ちょっと長い前置きで恐縮である。日経の記事にイチャモンをつけているだけで終わっては流石に目覚めが悪い。
本題はここからだ。
当該記事の背景には、いくつかの疑問があったからではないだろうか。
現代のフィギュアスケートの得点はどのようにして生まれるのかという初歩的な疑問、
巷で言うところの「高難度プログラム」の正体に対する純粋な疑問、
そして、「高難度ジャンプを入れているのになぜ高得点が出ないのか」という素朴な疑問・・・・。

それを解き明かし、文章だけで表現していくことは容易ではないし、適当でもないかもしれないが、ちょっとトライしてみようかというのが本日の御題。
実は新採点方式にも「隠れた功績」がある。それはISUからリリースされるプロトコルを活用すると、選手が意図していた本来のPG構成と目標スコアを推察することができるということだ。
この方法を使って、「高難度プログラム」とは何か、というものを考察してみたい。特に基礎点の高いジャンプを入れれば高難度プログラムになるのかという仮説を検証してみたい。先の日経新聞の記事のように、メディアですら「高難度ジャンプ=高難度プログラム」という短絡的な考え方をしているようにしか思われない節がある。
もちろん高難度の定義をどうするかという問題は残る。ここでは、ある一定の条件下でそれを定義し、検証を進めることにする。また、本ブログの表現手段がテキストのみという足枷も考慮しての定義である。
それは、新採点方式に則り、「高基礎点プログラム≒高難度プログラム」という定義だ。
構成要素の基礎点のみで検証し、GOEやPCSは対象としない。GOEやPCSは本稿で分析するには情報が不足しているし、そもそも私の拙い表現では検証などおぼつかないだろう。


三人の世界女王

本日は、トリノ五輪以降、世界チャンピオンになった三人の女王にご登場を賜る。安藤美姫、浅田真央、金妍兒、の三選手。欠席はキムバリー・マイズナー選手。ケガが癒えないので欠席するというご通達がGP前に届いてる。
そこで、アジアの女王のお三方のプログラムの変遷を基礎点で辿ることにより、御題を進めることにする。(女子シングルだけを検証対象とした発想の根拠は後ほど判明する)

但し、08/09シーズンで基礎点や有効要素に変更が加えられたので、先にその関連する変更点をおさらいしておこう。

■08/09シーズンからの変更
1)基礎点のアップとGOE減点の拡大
 ステップのレベル3が3.1→3.3、レベル4が3.4→3.9
 LSpのレベル4が2.6→2.7
 3Aが7.5→8.2
 4T~4Lzが各0.8アップ。(例)4Tは9.0→9.8、4Sは9.5→10.3
 4Aが13.0→13.3
 (参考) GOE減点が旧ルール比で、3Aが1.4倍、4T~4Aが各1.6倍に拡大。(リスクの拡大)
2)有効要素数の削減
 FSのスピンの有効実施回数が4から3に減。(同種スピンの重複実施は無効=無得点)
  (例) CoSp4を1回分減らすと、基礎点も3.0失う。

■基礎点の算出方法
各選手のPG構成要素は試合後にISUからリリースされるプロトコルを元に判別するわけだが、実際のプロトコルは試合結果のものだから、「選手が意図したPG構成」とは若干ずれる。試合では成功も失敗もあるからだ。
そこで次の方法で基準を統一。各選手の「ポテンシャル・プログラム」、即ち「実績基礎点」ではなく「計画基礎点」を推察し検証する。
1. 検証対象は各選手が出場したISU公式戦のみ。(09/10シーズンはGPシリーズのみ)
2. シーズン中の複数の試合で最も高い基礎点の要素を採用。
   (例) 同シーズンのPGで3F+2Tのときと3F+3Tのときがあったら後者を採用。
3. スピン、ステップのレベル認定は各選手の過去実績で最も高いものを採用。


■金妍兒のプログラムの変遷
SPの基礎点合計
 07/08シーズン 34.60
 08/09シーズン 34.90 (09/10は同点)
FSの基礎点合計
 07/08シーズン 65.20
 08/09シーズン 60.90
 09/10シーズン 61.65
SP+FSの基礎点合計
 07/08シーズン 99.80
 08/09シーズン 95.80
 09/10シーズン 96.55

SPは3シーズン変動なし。ルール改訂で基礎点が自動的に増えただけ(SlSt3とLSp4で 合計0.30増)。
昨季から今季にかけて、3Lzと3Fをコンビネーションにするかソロにするかで入れ替えただけで基礎点変更なし。
もともと金妍兒の3Fはリップの指摘があったので、3F+3Tを3Lz+3Tに変更するのは比較的容易だったと思われる。寧ろソロの3Lzを3Fに替えるほうが難しいのではないかと思われる。(GPFのSPで失敗)
但し、技術審判はリンクの四方から演技をモニターしているわけではなく、審判の目視もジャッジカメラの撮影も1方向からのそれに限られているので、(審判席を横切る方向でジャンプする)エッジの傾きは判別しにくいということも幸いしているかもしれない。もっとも、そもそもエッジ判定自体が喧伝されているわりにはそれほど厳格に実施されていないようなので、エッジ問題は彼女自身がナーバスになるほど大きな問題ではないのかもしれない。(実際、GPFのFSでもお咎めなし)

FSにはやや変動が見られる。
まず、07/08シーズンから08/09シーズンにかけての変動。
増加要素は1つのみ。(ルール改訂で)SlSt3が 0.20増。
減少要素は2つ。(ルール改訂で)FCCoSp3を外したので3.00減。3Loを2Aに替えて1.50減。
合計4.50減トータルの増減は4.30減(ルールの都合で外したFCCoSp3を除いて計算しても 1.30減)
4点以上の減少は大きい。スピン1つ分の減少は仕方ないとしても、3Lo→2Aの変更は影響が大きい。基礎点が下がることを受け入れざるをえないほど3Loの成功率が上がらなかったということだろう。
もっとも、苦手の3Loに早々に見切りをつけて、跳べるジャンプの完成度を上げることに早期に着手したとも言えるわけで、その成果はLA以降の成績が雄弁に物語っている。

08/09から09/10では、このFSに改善が加えられ基礎点回復が図られている。
増加要素は、2A+3Tの実施時間帯の変更。前季ではFS前半にフィーチュアされていた2A+3Tを今季では後半に移動することで 0.75増に成功。要素を変えずに構成を変えることで基礎点を上げるという好例だ。前季、3Lo→2Aで失った1.50を半分取り戻したことになる。
意外に注目されないが、実はこの変更は彼女にとっては初めての試み。彼女のジャンプ構成はずっと「前半4+後半3」の組合せが続いていたのだが、今季の「2A+3Tの後半移動」により初めて「前半3+後半4」にチャレンジしていることを意味するからだ。演技後半もスタミナが落ちないようにトレーニングされた体力向上の賜物のひとつだろう。満を持してのチャレンジということかもしれない。
その他にもコンビネーションに入れる3Lz、3F、2Aが各々入れ替えてあるが、順列組合せを変えただけで基礎点合計には変動なし。
減少要素もなし。

■まとめ
金妍兒のプログラムは07/08シーズンで基本形を作り、その後の2シーズンは微修正に留め完成度を高めることに費やしている。それがあの驚異的なGOEとPCSを生み出している源と考えるのが妥当だろう。今季、急に評価が上がったのではない。2シーズンを費やしているのだ。彼女と彼女のチームスタッフはシニア・デビュー時(06/07)から今季を見据えて取組んできたというわけだ。


■安藤美姫のプログラムの変遷
SPの基礎点合計
 07/08シーズン 35.40
 08/09シーズン 35.60 (09/10は同点)
FSの基礎点合計
 07/08シーズン 70.30
 08/09シーズン 69.20
 09/10シーズン 63.40
SP+FSの基礎点合計
 07/08シーズン 105.70
 08/09シーズン 104.80
 09/10シーズン 99.00

彼女のSPも3シーズン変動なし。ルール改訂で基礎点が自動的に増えただけ(SlSt3で 0.20増)。
あまり注目されていないが、彼女のSPの鍵のひとつに考えられるのがLSpのレベル認定。
06/07シーズンの全日本で右肩を負傷して以来、ビールマンポジションが解剖学的に不可能になり、さらに07/08のルール改訂でビールマンなしではレベル4が認定されなくなったことで、彼女のLSpは現行ルールではレベル3が限界になってしまった。
しかし、LSpはレベル3と4では基礎点に大きな差はなく、レベル3でもGOE加点があればレベル4並みの得点が得られる。但し、レベル2に落としてしまうと点差は広がるので、安定的にレベル3が取れるかどうかが鍵になるのだ。(LSpの基礎点はレベル2が1.8、レベル3が2.4、レベル4が2.7)

彼女のPG変遷で興味深いのはFS。基礎点のルール改訂に最もうまく対応しているのが彼女のFSだ。
07/08シーズンのFSの基礎点合計は70.30だったが、08/09ではCoSp4を外したので3.00減で、このままだと67.30になってしまう。ところが実際は69.20で1.10減に抑えることに成功している。SPの0.20増を加えると、08/09のSP+FSの合計は104.80となり、トータルでも0.90減と目減りを最小限に留めている。ルールの都合で外したCoSp4を除いて計算すると逆に2.10増になる。
(金妍兒のように)スピンが1つ減ることで基礎点合計は下がるのが普通だが、安藤選手の08/09プログラムは逆に基礎点アップになっている。この逆転の鍵はどこにあるのか。
その鍵は、2A+3Tの新導入だったと言えよう。3Aに迫る高基礎点(7.50)をもった新コンビネーションジャンプへのチャレンジがそれだ。
もともと彼女はセカンドジャンプに3Tを付けるのは苦手らしく、これまでも2Aにつけるセカンドは2Loだった。苦手を克服してでも新技導入に踏み切ったのは、やはりスピン1回分の基礎点を失うというルール改訂が後押ししたのではないか。
そして、この新技導入の効果は明らかだった。

07/08と08/09のFSを比較する。
減少した要素は2つ。(ルール改訂で)CoSp4を外したので3.00減。後半の3Loを前半の2Aに入れ替えて1.65減。合計4.65減。
これに対し増加した要素は4つもある。
まず(ルール改訂で)4Sが0.80増。SlSt3が0.20増。前半の3Fを後半に移動させて0.55増。そして後半の2A+2Loを前半の2A+3Tに入れ替えて2.00増。合計3.55増トータルの増減はわずか0.90減(ルールの都合で外したCoSp4を除いて計算すると逆に2.10増)
ちなみに両季とも4Sではなく3Sで計算すると、トータルで1.70減。CoSp4を除いて計算してもやはり1.30増だ。(4S→3Sの場合、SP+FSの基礎点合計は07/08が105.70→100.70、08/09が104.80→99.00、に各々下がる)
余談だが、2A+3Tではなく2A+3Loという選択肢もあったはず。基礎点がさらに上げられるし(7.50→8.50)、そもそも3Loの方が得意のはず。なぜそうしなかったのかは詳細不明。ザヤック上も問題ないので、もしかしたら両方試してみたら意外に3Tの方が出来栄えが良かったということかもしれない。(実際、先の世界選手権では2A+3Tで金妍兒を上回るGOEを獲得している)

08/09から09/10のFSではジャンプ構成を一部変更。
09/10で最も大きな変更は4Sを3Sにしたこと(5.80減)。LAの世界選手権でハイリスクな4Sを入れずともGOE、PCSで高得点を出せることを実証。そのため、未完成の4Sを確実な3Sに変更することに踏み切っている。複数の発言内容を照合すると、今季の安藤選手は「4Sを回避して3Sを選択」しているのではなく、最初から3Sを基本にしていると考えるのが妥当だろう。
但し、見かけ上は前季よりも大幅減になるが、前季も3Sで計算すれば変動なし。
さらに注意深く見ると細かい「構成変更」が施されていることが分かる。
モロゾフ・コーチが作るPGはジャンプが連発して入る傾向がある。特に後半2分を過ぎたパートにジャンプを4連発させる構成が多い。この構成が「後半がジャンプのためだけの構成になっていてバランスの印象が悪い」という一部の専門家の指摘につながっているようだ。恐らくそうした指摘への配慮もあるのだろう。今季は要素は替えることなく「要素の順番」を替えてPG構成に変化をつけている。
前季までは、前半に3連発ジャンプ、後半に4連発ジャンプ、という偏った構成だったが、今季からは前後半の各連発ジャンプの間にスピンを1つずつ挟んでいる。これであれば偏った印象は薄まり、なるほどバランスも良くなったように見える。

■まとめ
安藤選手も08/09シーズンで基本形を作り、09/10はその仕上げにかかっていると見ていいだろう。LAでジャンプ以外の要素でも加点を得て、PCSを上げていくことがいかに重要か実証し、実感できたことは既報の通り。
但し、たかがジャンプ、されどジャンプである。現実的にはジャンプの基礎点は他の要素よりも高く、トリプルジャンプが得点源であることに変わりはない。ステップの最高基礎点は3.90、基礎点が最も低い3Tでも4.0、しかもジャンプには後半実施で1.1倍というボーナス加点もある。トリプルジャンプ(特にコンビネーション)をきちんと成功させた上でのGOEであり、PCSなのだ。
金妍兒のGP米国大会(FS)、GPF(SPとFS)を思い出そう。いかな金妍兒であってもジャンプが失敗すればGOEもPCSも伸びない。即ちトータルスコアは伸びないのだ。ジャンプをノーミスで終えられるかどうかが重要であることには変わりはない。


■浅田真央のプログラムの変遷
さて、いよいよ本日の主役の登場である。なぜ主役かと言うと、今回の御題に照らして見ると、彼女のプログラム変遷がいかに特異で、いかに苦悩しているかがPG構成を見るだけでも明らかだからだ。
彼女の場合は、先述の2選手と異なり、08/09シーズン中に大改革を断行したので、比較するPGを以下の4期に分ける。
第1期:07/08シーズンのPG
第2期:08/09シーズンの世界選手権までのPG
第3期:08/09シーズンの国別対抗戦のPG
第4期:09/10シーズンのPG(もちろんGP2戦のみ)

SPの基礎点合計
 07/08シーズン 35.40
 08/09シーズン 36.20 (GP~世界選手権)
 08/09シーズン 34.70 (WTTのみ)
 09/10シーズン 34.10
FSの基礎点合計
 07/08シーズン 70.55
 08/09シーズン 63.85 (GP~世界選手権)
 08/09シーズン 63.85 (WTTのみ)
 09/10シーズン 64.00
SP+FSの基礎点合計
 07/08シーズン 105.95
 08/09シーズン 100.05 (GP~世界選手権)
 08/09シーズン 98.55 (WTTのみ)
 09/10シーズン 98.10

まず彼女の場合は先述の2選手と異なり、SPもPG変更している。それも大変更だ。
第1期から第2期にかけては基本変更なし。ルール改訂による増加のみ。SlSt3(3.10)→CiSt3(3.30)で0.20増。
ところが、第2期から第3期にかけて劇的に変動する。
コンセプトは「モア3A」。SPでも3Aを組み込むという大改革だ。ところがこの大改革は基礎点という視点で見た場合、誠に不思議な改革なのだ。「得点争い」という視点に立ってみると、この改革によりPGは明らかに後退していると言わざるをえない。
まず増加要素がひとつ。CiStのレベルアップに成功し、レベル4を獲得。(0.60増)
さらっと書いたがこれは凄いことなのだ。彼女の場合は幸か不幸かメディアやファンの注目・関心の中心が3Aに集中してしまっているが、ステップでレベル4を獲得したのは、女子ではコストナーに続いて2人目。男子だってなかなかレベル4はもらえない。もっと話題になってもいいはずだが、皆ジャンプしか見ていないのだろうか。フィギュアスケートは「ジャンプ競技会」ではないのに・・・・。

問題は減少要素だ。
3F+3Lo(10.50)→3A+2T(9.50) で1.00減。3Lz(6.00)→3F(5.50)で0.50減。
合計で1.50減トータルの増減は0.90減!
ハイリスクの3Aを組み込んだのに、寧ろ基礎点は下がってしまっている。「ハイリスク・ローリターン」どころか「ハイリスク・マイナスリターン」だ???

驚くことに、第3期から第4期にかけても、この「マイナス改革」は続く。
CiStをSlStに戻してしまい、せっかく取れていたレベル4をレベル3に下げてしまっている(0.60減)。最も高い基礎点を持っていた第2期よりも 1.50減だ。
もちろんこういう基礎点構成は本人もコーチも分かっている。にもかかわらず、なぜわざわざ基礎点を下げてまでこのような要素変更をしなければならなかったのか???

FSでは第1期から第2期にかけて既に同様の現象(減少)が見られる。
コンセプトはやはり「モア3A」。3Aを2回組み込むという大手術を敢行している。
増加要素は3つ。(ルール改訂で)3Aが0.70増、SlSt3が0.20増。後半の2A+2Lo+2Loを前半の3F+2Lo+2Loに入れ替えて1.35増。合計で2.25増。
ここまではいい。問題は減少要素がそれを大きく上回ってしまうことだ。
ルール改訂でFCCoSp4を除外して3.50減。PG前半に入れていた3Lzをエッジ矯正の不調で断念し、後半の3Tに入れ替えて1.60減。後半の3F+3Loを3F+2Loに替えて3.85減。
合計で8.95減!(ルールの都合で外したFCCoSp4を除いて計算しても 5.45減トータルの増減は6.70減(ルールの都合で外したFCCoSp4を除いて計算しても 3.20減)
やはりSP同様「ハイリスク・マイナスリターン」だ。3A×2回という大手術は大量出血を引き起こしてしまっている。しかもそれは結果論ではなく、PG開発中に認識していたはずだ。

第2期から第3期は変更なし。よって増減なし。
第3期から第4期にかけては、ジャンプの入れる場所を替えて微修正。
前半の3F+2Lo+2Lo(8.50)、後半の3F+2Lo(7.70)を単純に入れ替え。2連続を前半に(7.00)、3連続を後半に(9.35)入れ替えて0.15増。3A×2回のコンセプトを固持しながら、他のジャンプを入れ替えることで少しでも基礎点を上げようとする苦心が偲ばれる。

彼女のPGにおける要素構成のコンセプトは、SPでもFSでも最大限3Aを入れること。
しかし皮肉なことに、(SP+FSの合計で)3Aを1回しか入れていなかった07/08シーズンの基礎点が最も高く(70.55)、3Aを3回入れようとしている今季のPG(64.00)は基礎点を6.55も失っている。(ルールの都合で外したFCCoSp4を除いて計算しても3.05減)

■まとめ
一見すると明らかに損する要素構成、「ハイリスク・マイナスリターン」のPGになぜ変更したのか?
それは浅田選手の3Aに対する拘りをタラソワ・コーチが見抜き、3Aを思う存分跳ばせることで彼女のモチベーションを上げ、それが彼女の演技全体の底上げにつながると考えたからではないだろうか。3Aがうまくいけば他もうまくいく、そう考えたのではないか。「3Aを百発百中決めれば大丈夫」という浅田選手自身の言葉もそれを裏付けていよう。
一見マイナスに思えるPGをプラスに変えていく「逆転の発想のPG」。それを野心的と見るのか無謀と見るのかは、試合の結果次第だ。
それをテストしたのが先の国別対抗戦(WTT)だった。そして、そのテストの成績は上々だったことは既報の通りだが、問題はそのテストには「2科目」しかなかったことだ。実際の試合では「3科目」が必要なのに。試合に必要なのは「心、技、体」の三位一体。WTTには最初から「心」の科目が入っていなかったのだ。
心のテストは主にプレッシャーとモチベーションで試される。WTTでは多くの選手がプレッシャーがない代わりにモチベーションを失っていたが、浅田選手にはそのモチベーションがたっぷりあった。しかし、日本語の黄色い声援が飛び交うホームリンクで行なわれた、シーズンエンドのお祭りイベントでは、練習試合と大差なかったと言ったら言い過ぎだろうか。少なくともプレッシャーへの耐性を試す試合としては緊張感に欠ける大会だったことは間違いないだろう。


高難度プログラムの実態

もちろん基礎点をベースに検証する「高難度プログラム」とは、現行ルールにおける基礎点の配点を是としてのことである。私自身この基礎点の配点そのものに疑問を持っていることは過去ログをご参照いただくとして、この場でその点について再度触れることは割愛する。
多少自嘲気味に聞こえるかもしれないが、実は基礎点をベースにした検証で新たな発見などない。あるのは再認識だけである。
そのポイントはPGにおける構成要素は、使用できる要素の種類と数が限定されているということだ。SPはともかくフリーなはずのFSでもそうだ。その結果、SP、FSともPGは要素の順列組合せによって決まるということになる。いくら高難度の要素を入れても、その代わりに使用できなくなる要素が生じるのだ。あちらを立てればこちらが立たず、というわけだ。
そんな試行錯誤を繰り返しながら、各選手のコーチ、コリオグラファーは選手の長所、短所を考えながら、高い基礎点を持った要素の組合せの中から最も実効性のある組合せを選択する。それも楽曲とのマッチングを考えながらだ。だからこそ、高難度ジャンプを入れれば高得点が出る(高い基礎点を持つ)PGになる、とは単純にならないのだ。
先ほどご登場賜った三人の世界女王の今季のPGをSP+FSの合計基礎点で振り返ってみよう。

金妍兒: SP34.90+FS61.65=合計96.55
安藤美姫: SP35.60+FS63.40=合計99.00
浅田真央: SP34.10+FS64.00=合計98.10

安藤選手は女子で最高基礎点の4S(10.30)を敢えて使わず、3S(4.50)に下げたPG。
それに対して浅田選手はそれに次ぐ高基礎点の3A(8.20)を最大3回も入れた「フルバージョン」のPG。
現行ルールに従って競技をするからには、高基礎点ジャンプが入ったPGは必ずしも「高得点が狙えるPG」とはならないことが分かる。言わずもがななのだ。(もちろん4Sや3A自体が高難度ジャンプであることにはまったく異論はないが)


追記しておきたいことがある。それはジャンプの難易度を回転数だけで語ろうとする風潮があることだ。一般ファンはもちろんメディアもそれに同調している(どちらが先に火をつけたのかは判別しかねるが・・・・)。
結論を先に述べよう。
現在の女子シングルでは世界のトップクラスにおいてでさえ、未だに3+3のコンビネーションジャンプは成功率(認定率)が低い高難度ジャンプである。比較的成功率が高いのは金妍兒だけである。加えて彼女の3Lz+3Tはその出来栄えも素晴らしい。出来栄えと一口に書いたが、彼女のコンビネーションの出来栄えは高難度に等しいと見るべきだと思う。それはあのスピードコントロールだ。あれだけスピードのある助走で跳ぶジャンプというのは高度な技術の賜物であり、それはソロの4Sや3Aにも匹敵する技術だと言っても過言ではないだろう。(実際、彼女のスピードコントロールには他の選手も舌を巻いているという)

安藤選手の3Lz+3Loもまた素晴らしい。
3Lz+3Loというコンビネーションを跳べるのは女子では彼女ひとりだけで、男子でもほとんど見られない。セカンドに3Loをつけるのはそれほど難しいのだ。GPFの公開練習でも拝見したが、3Loがファーストの3Lzよりも高く跳んでいるのは驚異的だ。高さが得やすい3Tであればそれほど珍しくもないが、3Loであの高さを出すのは至難の技だろう。
これが決まればハイリスク・ローリターンの4Sは無用だというも頷けるのである。

もったいないのは浅田選手。せっかくの3F+3Loをやめてしまった。彼女の3F+3Loもまた実に素晴らしいものだった。今季はSPでも3Aを優先するために中止してしまったわけだが、何とも惜しいと思うのである。できることならSPは07/08シーズンの構成に戻せたらなあと想像するのは余計なお世話なのだろうけれど。(もちろん3Lzがエッジエラーでナーバスになるくらいなら3Aを心置きなく跳んだほうがいいという判断があっての変更だったことも承知しているが)




五輪の幻影に惑わされているのはメディアや一般ファンだけではない。かく言う私自身も例年とは異なる趣で今季を過ごしている。いつもは、大切なのは選手自身が自分の演技を思う存分できたかどうか、結果はご褒美だ、と口癖のように言っている私自身でさえ、今季はどうしても成績、順位といった結果が脳裏をかすめる。気にならないと言ったら嘘だ。それもまた五輪が魔物たる所以なのだろうか。
そして、選手自身もまた五輪の幻影に胸が騒ぐ。選手だけではない。当然、選手のコーチやスタッフ、関係者も五輪の幻影に踊らされる。


12月は師走。12月の木枯らしの中に、忍び寄る五輪の足音を聴いて、コーチの先生たちは東西を奔走する。

長久保コーチが走る、長光コーチが走る、佐藤コーチが走る、佐藤コーチは娘も走る、
キャロル・コーチが走る、オーサー・コーチが走る、モロゾフ・コーチが走る、モロゾフ・コーチは2回走る・・・・
そして、2009年は瞬く間に走りすぎていく。

残された時間は万人に共通だが、その時間をどう使うかで残された時間の価値は異なる。



冬の太陽は老人の忠告のようだ。
その日差しは照らしはするが暖めはしない。
冬は鬱ぎの季節だ。
空に輝いているはずの太陽を鉛色の分厚い雲が覆い隠す季節、私は太陽を渇望しながら鬱ぎの虫に取り憑かれる。

posted by pbq1463 |12:29 | コメント(15) | トラックバック(0)
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