2009年09月11日

空の下 ~プレシーズンの独り言3

世界選手権2009 ~レビュー4

LADIES

アリッサ・シズニー Alissa CZISNY (USA)
SP 53.28(14位) FS 106.50(8位) 総合 159.78(11位)

二年ぶり二度目の世界選手権出場を地元で叶えることができた全米女王は、地元オーディエンスはもちろんのこと世界中のファンから暖かく迎えられたに違いない。先の07-08シーズンの成績が振るわず、USFSAの強化ランクも降格になり、練習環境にも恵まれないというネガティヴな情報ばかりが伝わってくる中、LIVE中継で目の当たりにした全米初優勝という快挙には、流石の私も少なからず驚いたことを告白しなければならない。
全米の演技を見て、その快演(特にSP)に彼女の復活を確信し、世界選手権で彼女に再会できることを楽しみにしていた。

SPの『白鳥』もFSの『エキスパート』もシズニーらしいプログラムだ。彼女は本当にスローナンバーを表現するのがうまい。特にスパイラルとスピンは未だに絶品で、彼女の優雅なスケートを支えている。トリノ五輪以降、女子シニアの様相がすっかり「少女コンテスト」になってしまったので、シズニーに対して「未だに」という言葉を使ってしまったが、彼女はこの大会ではまだ21歳。寧ろこの1-2年が最盛期を迎える時期だと言っても本来はおかしくない。
ただ、彼女の優雅なスケートは今や競技会では逆風が吹いている。彼女のスケートの持ち味はシンプルさで、ごちゃごちゃと「つなぎ」を入れないとスコアが上がらない現代の競技会ではどうしても不利だろう。今回のSPでは彼女のTRに4.75という信じられない点をつけたジャッジがいたが(平均は5.90)、彼女のPCSが全体的に評価が上がらないのを見て、私は寂しくなってしまった。

ただ、彼女はFSのCCoSpとLSpでレベル4、しかもGOEで+3の評価を得た。これは今大会で唯一彼女だけが獲得した評価であり、技術的には十分トップを張れる力があることを示したと言えよう。これに全米のときのようなジャンプの安定性が戻れば、まだまだトップ6に食い込むだけのポテンシャルがあると確信しているのは私のノスタルジーなのだろうか。
今回は、世界選手権の舞台でまたシズニーと会えたということに感謝するだけで十分だったのかもしれない。次回は全米のときのようなシズニーに、バンクーバーやトリノ(2010世界選手権)で会いたいと願おう。

余談だが、今、日本全国の大手電気量販店の SONY BRAVIA のコーナーでシズニーと会うことができる。BRAVIAの4倍速技術をアピールするデモンストレーション用のプロモーション映像で彼女の演技を見ることができるのだ。映像ソースは2008GPスケートカナダのものだが、彼女の美しいスパイラルが大画面いっぱいにフルハイビジョン映像で楽しめる。背景のフェンス広告にはSONYの文字が見えて、SONYが同大会の協賛スポンサーだったことが分かるが、こういうプロモーション映像だったら大歓迎だ。私も思わずBRAVIAを真剣に検討してしまった。
ついでにもうひとつ余談を書くと、今、リリースされている『24シーズンVII』に登場する大統領の息子の嫁がシズニーに激似。さらに、大統領の娘はサーシャ・コーエンにクリソツだ^^;(ちょっと腹黒い役回りなのが惜しいが・・・・)


エレーネ・ゲデヴァニシヴィリ Elene GEDEVANISHVILI (GEO)
SP 58.82(8位) FS 103.66(11位) 総合 162.48(10位)

欧州選手権でSP25位に終わり、FSに残れなかったときはとても心配した。彼女の場合は母国グルジアの政情不安がそのまま練習環境にも影響するようで(特に資金面)、彼女のコンディションの悪さ、練習不足が目立っていたからだ。
それが、世界選手権の1ヶ月前になって突然ソフィアからニュースが飛び込んできた。

「世界ジュニア選手権、女子、初日SP1位、エレーネ・ゲデヴァイニシヴィリ」

日本での世界ジュニアの放送(J sports)は1ヶ月以上も後の4月に入ってからのことだったので、このニュースに接したときは何が起きたのか混乱すらしてしまった。なにせゲデヴァニシヴィリが世界ジュニアに「出戻り」していたことすら知らなかったのだから(05年以来4年ぶりの出場!)。結局、世界ジュニアでは、FSで大崩れしてしまったため総合では6位に終わった彼女だが、SPではPB(60.32)をマークしていただけに、トリノ五輪以来の溌溂としたキュートな姿をLAで見せてくれるものと期待した。

SPでは復調ぶりが垣間見れた。世界ジュニアのときのようなトリプルのコンビネーションはなかったけれど、ジャンプが安定していて全体にきびきびとした演技。楽しげな表情から彼女のモチベーションも高いものがあったのだろう。58.82というスコアは1ヶ月前にマークしたPBに迫る点数で好調を維持しているようだった。
FSではSPで見せてくれなかった3T+3Tをクリーンに決めて快調な出足。ただ、3Sを始めとした後半のジャンプに乱れが続いたのは練習量が足りていないのだろう。スピンでも軸が安定せず回転速度も物足りないのはスタミナの問題もあったのか。世界ジュニア同様にSPよりも順位を落とす結果になった。そうは言っても、総合で10位に滑り込めたことは大きく、彼女一人で母国グルジア共和国にバンクーバー2枠をもたらすという快挙を成し遂げたのであった(グルジアは2枠目はどう使うのだろうか)。

彼女は可愛らしさの中に少しコケティッシュな表情があるところがとてもキュートで、SPの『キャバレー』やFSの『ベサメ・ムーチョ』のようなヴォードヴィルやミュージックホールの曲調がよく似合う。ところが、09-10シーズンのフリープログラムはあの『カルメン』だという。ゲデヴァニシヴィリのカルメンなんて簡単に想像はできないけれど、それだけに彼女が舞うカルメンはどんなプログラムになるのだろうか。
楽しみがまたひとつ増えたことに感謝。


サラ・マイアー Sarah MEIER (SUI)
SP 58.36(10位) FS 105.01(10位) 総合 163.37(9位)

腰痛(椎間板ヘルニア?)で欠場が続いた08-09シーズンのフィナーレ、世界選手権に腰痛をおして強行出場を決めた彼女の決意は、恐らく幾人もの人々の情熱と信頼と期待に支えられてのことだったろう。
マイアーは1月の欧州選手権を欠場している。欧州のスケーターにとって欧州選手権は「もうひとつの世界選手権」だ。まして2年連続2位という表彰台の常連になりつつあった彼女の08-09シーズンのカレンダーには、当然のことながらヘルシンキ行きの直行便の予約が書き込まれていただろう。

そのヘルシンキ行きを断念してまで臨んだLAは、これまた例年の世界選手権とは事情が違う。バンクーバー行きのチケットが懸かっていたからだ。スイスは前日の男子FSで既に男子出場枠を逸し、可能性が残っているのはもはや女子のみ。それもスイスの最後の希望、マイアーに託すしかない。そういう例年とは違う緊張感と対峙しながら、スイススケート連盟の役員たちはマイアーのフリープログラムを固唾を呑んで見守ったに違いない。そして恐らく彼女自身も例年以上の緊張感を感じていただろう。いや危機感と言ってもいいかもしれない。彼女自身、自分の演技が無事に終了するかどうかも分からなかっただろうから。

SPはステップアウトした3F以外は無難にまとめた。FSSpがいつもより腰高だったのはやはり腰痛のせいだろうか。明らかにヒップポイントが膝より高かった。ヘルニアであれば前屈姿勢は辛かろう。それでもシットポジションが認定されレベル4がもらえたのは幸いだった。演技終了後の彼女の表情が安堵に包まれているように見えたのは見ている私の心情が映ったせいかもしれない。
FSはただひたすら彼女の腰が4分間耐えられることを祈って見るほかなかった。
『黒のラフォリア~秋の紅』の曲調とマイアーの置かれている状況、そして見ているこちらの心情とが重なり合って悲壮感さえ漂って見えてしまった。ただ、シースルーで大きく開いた彼女の背中がより一層美しく見えたのはせめてもの救い。哀しみを持って人に訴えかける姿ほど寧ろ美しく見えてしまうのはビーナスの悪戯か。

スイスはおよそ10年の長きに亘って男子はランビエールに、女子はマイアーにその重責を託してきた。そのランビエールは先シーズンをもって引退(復帰のニュースについては後日)。今や国際舞台のトップシーンで戦える選手はマイアー1人になってしまった。まして五輪ともなれば尚更だ。そんな母国の状況は彼女自身も理解していただろう。だからこそ故障をおしての強行出場だったのだと思う。五輪出場枠が懸かっていなかったら果たして出場したかどうか。演技内容には彼女自身だって満足はいかなかっただろう。それでもマイアーが戻ってきたのは確かだった。そして、バンクーバー行きのチケットを2枚、スイスに捧げたのだ。
演技が無事に終了して、これまで堪えてきた感情が一気に噴出したのだろう。オーディエンスの歓呼に応えるより早く、両手で顔を覆ったマイアーの姿に私は胸が締め付けられた。

09-10シーズンの彼女のフリープログラムは『ロミオとジュリエット』。
バンクーバーではジュリエットの永遠の哀しみをその美しいスピンで包み込んでくれるだろう。


村主 章枝 Fumie SUGURI (JPN)
SP 58.40(9位) FS 106.18(9位) 総合 164.58(8位)

村主選手の08-09年は再挑戦のシーズンだった。そのチャレンジはまずコーチの変更から始まった。

ニコライ・モロゾフという、ある意味「劇薬」を投与することで自身の奥にしまわれている未知の引き出しを開けることから始まった。「フミエは新しいことをやろうとして混乱してきただけ。自分の良さをもう一度出せばいいのだ」というような趣旨でモロゾフ・コーチは指導したというが、その指導方法で彼女は確かに覚醒した。08年10月の東京選手権で誰よりもモチベーションの高さを見せ、暮れの全日本では勝負に徹する非情さをもってFS1位をもぎ取り、LA行きのチケットを奪取した。

三年ぶりとなる今回の世界選手権では、SP、FSともジャンプに細かいミスはあったものの、ベテランらしく二日間をそつなくまとめたのではないか。たいしたものだと思う。トップ10入りは立派だ。(SPのLSpを除けば)スピン、ステップともレベル3~4が並び、TESのスコアも上がるようになった。PCSが安定しているのは流石で、もう少し7点台が出てもいいかなと思えたほど。
欲を言えば、コンビネーションジャンプはトリプル+ダブルでいいからその精度を上げること、二連続だけではなく三連続も加えること、この二点があれば総合で170点台に上げることができよう。エッジ矯正は先送りしてでもコンビネーションのレベルを上げたほうが得策なのではないか。(ルッツのエッジ矯正にナーバスになって得意のフリップまで狂い出したら元も子もない)

兎にも角にも村主選手もトップシーンに帰ってきた。そして大会後、09-10シーズンを控えて、もう一度コーチを変更したことが最近アナウンスされた。彼女自身が「集大成」と位置づけるシーズンで、彼女はもう一度チャレンジをしようとしているのか。それとも自分の進むべき道は原点回帰と確信したのか。彼女は練習拠点を米国から自身の大好きなロシアへ戻した。

日本女子のバンクーバー行きチケットは3枚。
彼女は間違いなく、五輪3回連続出場を果たすため、その3枚目のチケットを虎視眈々と狙っている。


安藤 美姫 Miki ANDO (JPN)
SP 64.12(4位) FS 126.26(2位) 総合 190.38(3位)

そして、今大会で最も「おかえりなさい」という言葉が相応しかったのが安藤美姫選手だった。
前回イエテボリの舞台を自ら降りたディフェンディングチャンピオンは、LAでは自らの足で力強くポディウムに上がって見せた。

結果こそ真逆だったが、大会前の状況は実は今回も前回同様暗雲が立ち込めるという状況だった。前回は大会前に左ふくらはぎに肉離れを起こし、それをだましだましでイエテボリ入りしたものの、SP演技中に再発。回復しないまま出場したFSは演技途中で棄権。全日本で大会史上歴代最高点をマークしながらも、未完成ゆえにその完成形を期待されたフリープログラム『カルメン』は、ついにその真姿を見せることなくシーズンを終えたのは未だに記憶に鮮明だ。

実は今回も大会前に彼女は負傷していたという。今回は左太腿の肉離れ。ところが、今回は前回と異なり、負傷後の対応に成長の跡があった。(肉離れを起こした)太腿に瞬間的な負荷のかかるジャンプ練習を一旦中止。その間をステップとスピンの練習に費やしたというのだ。
さらに強力なサポートも加わったことも前回と違うところ。今回はフィジカルトレーナーに帯同してもらい、即座に治療を施し回復を早めたという。大会当日にテーピングが見られたことで心配されたが、これは負傷箇所を固定するためではなく「この方が力が入りやすい」ということだから、再発防止というよりも寧ろ強化策だったのだ。長いシーズンでは常に100%のコンディションで試合に臨めるわけではない。ましてやシーズンエンドの試合ではシーズン中に蓄積された疲労やその代償としての故障が噴出すことは少なくない。問題はそのときにどう対処するか、その術を身につけているかだ。
同じような故障を抱えながら、前回とは異なり大会に臨む彼女のメンタルは随分と落ち着いたものだったという。
イエテボリの涙は無駄にはならなかったのだ。

そして、競技当日の対策にも迷いがなく、明確な決断が彼女を躍動させた。
当初、得意の3Lz+3Loを入れることに拘りを見せていた安藤選手だったが、大会前にジャンプ練習を中止したこともあり練習不足は承知していたのだろう。SPでセカンドの3Loがダウングレードを取られると潔くFSでは2Loに変更。コンビネーションを確実に決めることでGOEを稼ぐ方向に軌道修正。GPファイナルで着氷させた4Sも回避。ジャンプだけではなく、プログラム全体のバランス、クオリティが重要だと判断した結果、不完全に終わる可能性があるジャンプは選択肢から除外したのだという。
この変更についてはモロゾフ・コーチとの連携が奏功したことを彼女自身が後日明かしてくれたわけだが、これも決断の明確さの表れだろう。
そして、今回の安藤選手のハイライトは、やはり大会前に重点的に練習したそのステップとスピンにあった。

SPはコンビネーションのセカンドがダウングレードされた以外はほぼクリーンな演技。LSpが相変わらずレベル2に留まっているのは勿体ないが、一方でこの『ザ・チェアマンズ・ワルツ』で表現しようとしている「風が吹けば飛んでしまいそうなたった一輪の花でも懸命に野に咲いている」というメッセージには、このシンプルなレイバックこそ寧ろ相応しい。これにサイドウェイズやビールマンを組合わせて複雑にしていたら、「野に咲く花」ではなく「人為的に仕立てられた品評会用の花」になってしまったかもしれない。(もちろんこれは競技会なのだから、勝負上は後者であるべきだという意見もあるのだろうが・・・・)
CCoSpとSlStでGOE+3の加点を得たのは大会前の練習の成果だが、その本領を発揮したのがFSだった。それは、怪我の功名とも言えるような成果となって躍動した。

FSのプログラム『交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」』は当初、GPファイナルの直前に用意された間に合わせのプレタポルテだったが、遂にこのLAではそのシェイプされた肢体にあつらえたオートクチュールに見事に仕上がった。始め彼女はこのプログラムについて「楽曲に特にストーリーがあるわけではなく、その音に乗るだけ」というコメントで感情移入の難しさを示唆していた。
元々彼女にはテクニカルオリエンテッドなイメージが先行しているため、彼女には「ストーリー性のある演技の印象が薄い」という声もないわけではない。しかし、実は彼女の名演は、ストーリー性があって感情豊かに躍動するプログラムに多く見られる。ジュニア時代の『ジプシー・ソウル』や『火の鳥』、最近では『メリークリスマス、ミスター・ローレンス』や『シェヘラザード』、そして(07全日本の)『カルメン』。いずれもタイトルロールやストーリーテラーとなって舞った珠玉のプログラムだった。
ところが今回のサンサーンスでは、例え楽曲そのものにストーリー性はなくとも安藤選手はその旋律が与える印象、管弦楽とオルガンが協演するハーモニーを直感的に感じ取り、あたかも音楽の精霊となってリンクを駆け抜けた。
この『交響曲第3番「オルガン付き」』はサンサーンスが管弦楽の集大成として心血を注ぎ、自身の音楽人生を凝縮させたような作品だと言われている。安藤選手がこの楽曲の背景を知っていたかどうかは定かではないが、彼女のスケートにはサンサーンスがこの楽曲に込めた魂が憑依したかのような情熱がほとばしった。

そして、そのスケートを支えたのが彼女の主翼たるジャンプではなく、もうひとつの新しい翼であるステップとスピンだった。
深く傾け、切り替えしが早いエッジワークと、そのエッジに呼応するように深くしなやかに抑揚豊かに躍動する四肢。特に彼女の特長的な長く美しい手がステップに合わせて打ち振られるたびに、そのステップは躍動し、指先からさえも情熱がほとばしるかのようだった。スピンは空を目指してひたすら伸びる若木のごとくブレのない真っ直ぐな軸で回転し、トラベリングのない端正な軌道を描く。フィナーレに向けてますます回転速度を上げるコンビネーションスピンは、プログラム自体のフィナーレを高らかに告げるオルガンの重層的な和声と相まって、待ちきれずにその回転の途中から沸き立った満場のスタンディングオベーションによって、ようやくその回転を止めた。

「日本人でこれほど感情豊かに表現できる選手は他にいない」と試合後に語ったのはJSFの某副部長だが、彼女の感情の豊かさはこれまでは両刃の剣だった。感情の起伏にまかせるところがあったからだ。
感情を解き放ったときは快演を披露するが、気が乗らない、或いは感情を抑制したときには魂の抜けたような無表情の演技をすることも珍しくなかった。
しかし、今回の安藤選手はこのメンタル面でも成長を見せた。
感情を抑制するのではなくコントロールすることで、感情豊かな表現力を意のままにすることを手に入れたのだとしたら、それは彼女の大きな武器となろう。その豊かな感情を意のままに操りながらも、心が感じるままに自在にリンクを駆け抜けたとき、唯一無二の安藤美姫が帰ってきた。

最後のスピンがその回転を止めて、鳴り止まぬスタンディング・オベーションが安藤選手の耳に入ってきたとき、彼女はまるで憑き物が落ちたかのように我に返った顔を見せた。フィニッシュのポーズでステイプルズ・センターの天井を仰ぎ見たとき、彼女の目には会場の上空に広がるカリフォルニアの青い空が確かに映ったはずだ。スカンジナビアで見失いかけた極光が、ウェストコーストの眩い光となって彼女の全身を照らしていたに違いないから。

イエテボリの空はカリフォルニアの青い空につながっていたのだ。

漢字というのは時に寓意的だ。
銀は時に「金よりも良い」ことがあり、銅は時に「金と同じ」価値を持つ。
確かに安藤選手の今回の銅メダルは、東京での金メダルと同じ価値があった。単に日本人最上位ということではなく、彼女自身が復活した証しとして「金と同じ」価値があったのだ。

金 妍兒 ヨナ ロシェット 安藤 美姫 浅田 真央 フラット レピスト レオノワ 村主 章枝 マイアー ゲデヴァニシヴィリ シズニー コストナー

EPILOGUE 1 ~ISUの思惑

シーズンエンドの世界選手権は、そのシーズンを締め括るフィナーレであると同時に、翌シーズンの方向性を予感させる大会になることがある。今回、そう感じたのは五輪枠が懸かった大会だったというだけではなく、大会のルール運用にそう思わせることがあった。

もちろん私自身の見方に過ぎないが、今大会ではジャンプの回転不足判定(ダウングレード)が緩やかだったと感じた。あれほど神経質に取り締まっていた回転不足が大目に見られたジャンプがたくさんあり、ダウングレードは数えるほどに影を潜めた。もし、それ以前(GP、欧州、四大陸)の運用基準で判定していたら、今回の上位陣の顔ぶれは変わっていたかもしれないと思えるほどだった。特定の選手ではなく、全般的に判定が緩やかだったので、やはり運用基準を緩和したと見るのが妥当だろう。

なぜ、あれほど神経質だった「取締り」が手の平を返したように緩和されたのか。このこと自体を指摘、取材した報道が見当たらないので、ここからは私の仮説になる。
真っ先に考えられるのは、大会後の4月にリリースされたISUの09-10シーズンの発表されたルール改訂が影響したということだ。(ISU Communication No.1557)
既報の通り、このルール改訂ではジャンプの回転不足判定の運用基準が「部分的に緩和」されている(もちろんこのリリースではジャンプ以外についても様々記載されている)。
大要は、ジャンプに回転不足があったとき「技術審判は回転不足のダウングレードを行なうが、そのことはジャッジには知らせず、ジャッジは自身が見たままにGOEを評価する」というものである。
私は最初、この件に関する速報に接したとき「遂にダウングレード+GOE減点の二重減点がなくなりシンプルになった」と歓迎した。つまり「回転不足を含めてジャンプの減点はGOEに一本化する」と解釈したのだ。それが早計の糠喜びだったことはリリースを熟読して悟ったわけだが、結局はダウングレード+GOE減点の二重減点の制度は残ったままだった。
但し、ジャッジのGOE減点が義務ではなくなったので、例え技術審判が回転不足があったと判定しても、ジャッジが気づかなかった場合はジャッジは減点しなくてもいい。踏切り前のステップやジャンプの高さや距離、空中姿勢や着氷、着氷後の流れなどの出来栄えが良ければ、加点してもかまわないということだ。これが「部分的緩和」の中味だ。

例えば、3Lo(正規基礎点5.0)が回転不足でダウングレード判定になった場合でスコアをシミュレーションしてみよう。
08-09シーズンでは、基礎点が1.5、GOEが-1.0~-0.3となり、トータルでは最低で0.5、最大でも1.2が限界。
09-10シーズンからは、基礎点は1.5のままだがGOEが+1.5まで可能になり、トータルでは最大3.0まで可能になった。(もちろん机上の計算)

この試算でも明らかなように大した「緩和」ではないことに気づく。
結局はダウングレードという制度を改革しない限り「焼け石に水」なのだ。

ここまでは09-10シーズンのルール改訂の解説。ここからが本題。
私はこのルール改訂を控えて、ISUは今回の世界選手権で「予行演習」をやったのではないかと推理したのだ。
大会開催時のルールではダウングレードはジャッジに知らされ、ジャッジはGOEを必ずマイナスにしなければならない。このままでは予行演習にならない。そこで、技術審判はダウングレードするジャンプを減らすことで新ルールのシミュレーションを試みたのではないかという推理だ。
つまりは、こうだ。

まず、技術審判はダウングレード対象となるジャンプの中でも「軽微な回転不足」は今回はダウングレードしない。(それまでは軽微な回転不足=1/4未満の回転不足でも神経質にダウングレードしてきた)
次に、ジャッジは、(技術審判からダウングレードがコールされないので)当該ジャンプを自分の目で見たままに、スロー再生で確認することもなく、その出来栄えを評価しGOEをつける。
こうすることで、「ダウングレードがコールされない回転不足のジャンプ」に対して、ジャッジがどのようなGOEをつけるかがシミュレーションできる。
ISUは世界選手権という最大の本番の舞台で、翌シーズンの新ルールのゲネプロを敢行したのではないか、というのが私の大胆な仮説だ。
我ながらちょっと大胆過ぎるかなという仮説ではあるが、今大会のジャンプ判定は、これくらいの仮説でも立てないと不思議に思えるほどの「回転不足の取締り緩和」だったのだ。
もちろん、このようなシミュレーションに関係なく、取締りが緩和されたのであれば、私としては歓迎なのだが・・・・。

もちろん別な見方もできよう。それはISUがますます「出来栄え」を重視する方向にシフトしてきたという見方だ。
ジャッジの裁量の幅を広げることで、もっと見栄えや出来栄えを、即ち技術の難度よりも質を評価する方向に移行しつつあるのではないかという見方だ。
この見方については、J sports の解説やフィギュアスケート専門誌への寄稿でも知られ、ISUの判定役員評定委員でもある藤森美恵子さんもいろいろな機会に示唆している。
もともとルール改訂のコンセプトはこういうことなのだろう。そのコンセプトを世界選手権で実践しただけということなのかもしれない。


東京での世界選手権で安藤美姫選手が優勝したとき、彼女のコーチであるニコライ・モロゾフ氏は表彰台に上がった三人のアジア選手を見て「これからバンクーバーまでこの三人が表彰台争いをするだろう」と予測した。そして、その予測は今回のLAで現実のものになった。
東京以降、残りの二人が東京のメダルの色の順に表彰台の真ん中に上がったのだ。しかし、細かく見ると、その三人の様相は同じではない。最も安定し、順調に成績を上げてきたのは今回の新女王ではないだろうか。五輪前の直近の世界選手権で頂点に立ったからというだけではない。彼女の進む方向がISUの描く「難度よりも出来栄え重視」という方向と一致しているからだ。
「インフレ気味」という声さえ聞かれたほどの彼女の驚異的な優勝スコアは、彼女の演技が今ISUが最も評価する演技であることを物語っている。
確かにオーディエンスは安藤選手の演技にも新女王に勝るとも劣らない支持を表明していたが、オーディエンスの支持と競技結果は必ずしも一致しない(イエテボリの中野友加里選手を思い出そう)。
SPも含めてトータルでは新女王をISUは最も高く評価した結果が、そのままあのスーパー・スコアに表れている。
つまり、ISUが今、理想としているのは新女王のスケートなのだ。

イエテボリの女王はLAで自分自身を見失っていたが、翌月の国別対抗戦では自分を取り戻した。
それは、自分の弱み・課題に取り組み「すべてをうまくやらなくては」という迷いから抜け出し、例え多少偏っていようが自分の強み・武器を最大活用するという方向転換で挙げた成果だったようだ。
しかし、それは彼女にとって新しい試みではなく、実は原点回帰だったのではないか。かねてから噂されていた「全種類のジャンプを跳んだらボーナス点が入る」というルール改訂は結局は見送られたことも彼女の決断を後押ししよう。もはや彼女のベクトルはぶれることはないだろう。
「スポーツ・フィギュア」・・・・それが「現代最強のアスリート」に相応しいベクトルであり、また最も明確なコンセプトだ。

そして、LAの結果を受けて最も悩んでいるのが、実は東京の女王ではないだろうか。
彼女は今回、クワッドも、3+3のコンビネーションも封印した上、3Loが2回ともダウングレードされ、稼ぎどころのTESでかなりの点数を取りこぼした。別な見方をすれば、予定通り4Sと3+3が入れば206点以上を取れるプログラムを持っていたことになる。
4Sは精度の問題が残っているから計算から除外するとしても、3Loの2回のダウングレード(合計約10点減)がなければ総合で(4Sなしでも)200点を超えるポテンシャルを見せた。
これが何を意味するのかは明快だ。彼女は高難度のジャンプを無理に跳ばなくても、ステップとスピンと表現力で高得点を取れるスケーターになったということだ。
それは彼女にとって新しい引出しでもあった。
今回のFSで彼女のPCSがTESを上回ったのは大変興味深い。私が記憶している限り、彼女にとってそれは初めてのことではなかったか。ついでに言えば、ミスがあったTESですら9人中4人のジャッジのGOEで集計すると、新女王よりも3位の元女王のスコアが上回ったのだ。
この成果はコーチから見れば「想定内」かもしれないが、彼女自身にとっては「新たな悩み」かもしれない。勿論それは「贅沢な悩み」だ。なにせハイリスクな難しいジャンプを跳ばなくても高得点を獲れることを自分自身で実証してしまったのだから。
「クワッドは跳びたいが、全体のバランスも大切」
彼女の試合後の言葉に五輪シーズンの行く末が暗示される。


EPILOGUE 2 ~WTTの憂鬱

世界選手権閉幕後1ヶ月も経たないうちに国別対抗戦(WTT)が東京で開催された。開催発表時から何かと疑問が湧くこの新イベントだったが、百聞は一見にしかず。東京開催でもあり、まずは自分の目と肌で直に触れてみてからコメントしようと思い、代々木体育館に足を運んだ。

予想通りだったのは、選手がモチベーション維持に苦しみ、オーディエンスにも戸惑いが見られたこと。
シーズンカレンダーというのは習慣化されているので、国際経験が長い選手ほど「世界選手権の直後のISU公式戦」への参加目的を見つけられずに、モチベーションをどこに見出せばいいのか悩んでいたように見えた。
特に世界選手権の結果に満足感や達成感を持つことができた選手ほど苦しんだのだろう。本来はシーズンが終わって、心身をゆっくり休めたいという時期でもある。確かに、不満を残して世界選手権を終えたような選手にとっては、「リベンジ」のモチベーションを持ってWTTを「追試」に充てることができたかもしれない。
しかし、それはやはり一部で、多くの選手が「競技会のモチベーション」を持つことに苦労していたようだった。

一方で予想外だったのは、各国の選手が、競技会とは別のモチベーションで気持ちを奮い立たせていたこと。
ほとんどの選手はWTTを「後夜祭」のような捉え方で参加していた。
それがあの応援演出であり、選手たちのリラックスした楽しげな表情だったのだ。選手の気持ちは見事にオーディエンスにも伝播し、当日の会場は、公式競技会としては緊張感に欠け、エキシビションには見られない応援合戦が楽しげに繰り広げられるという奇妙な空気に満たされるということになった。

ISUはこのWTTを五輪の正式種目にまで発展させたいのだという。もともと個人競技のフィギュアスケートに「団体戦」を持ち込むことに違和感は今も消えない。
例えば、マラソン競技でも「団体表彰・メダル授与」があるが、この「団体戦」の結果を知らされてもピンと来ない。選手層の厚さを示すことにはなっても、「国別の成績」と言われても馴染まないからだ。
フィギュアスケートで団体競技を楽しむのであれば、シンクロナイズドスケートの方がよほど楽しめる。そこには本来のチームプレイがあるからだ。(選手同士の励まし合いというような、場外でのチームプレイをここでは論じていない)

もうひとつ、WTTを発展させるためにISUが再検討しなければならないのは、やはり開催時期だろう。
開催時期は選手のモチベーションと重要に関わるからだ。
WTTが世界選手権後の4月に開催されることが決まって、前季まで4月開催だった「ジャパン・オープン」が、シーズン開幕前の10月初旬に移動させられた。ご存知のようにジャパン・オープン(JO)も「地域別対抗戦」を謳い、団体戦の形式を採っている。
私はこの2大会の開催時期を逆にした方が両大会が共存できるのではないかと思っている。
JOは従来通り、世界選手権終了後=シーズン閉幕後に「エキストラ・イベント」として開催すれば、WTTで見せてくれた応援演出がお祭り気分をさらに盛り上げてくれるだろうし、エキシビションの「カーニバル・オン・アイス」には各種目の新チャンピオンを招待することでシーズン・エンドに相応しいオールキャストにもなろう。
一方で、WTTは10月初旬に開催することで「シーズン開幕を告げる最初のISU公式戦」として明確に位置づけられる。
シーズン最初の公式戦となれば、選手は新ルールの運用状況やジャッジのトレンドも把握できるし、何と言っても新プログラムを試す格好の場となる。こうすれば、選手はWTTに公式競技会に相応しいモチベーションを持って出場することができると思うのだが、どうだろうか。

ISUは(TV局、スポンサーも含む)自分たちの都合だけで考えるのではなく、是非選手の声も十分にヒアリングし、次回に生かしてほしいものだ。


最後に、今回のWTTは私の脳裏に暗いシミを残していったことを記憶しておこう。それは「歪んだナショナリズム」が残した爪痕だった。

この爪痕はWTTの運営に問題があったのではなく、一部の狂信的な「えせファン」が引き起こした事件だったらしいが、私は最初はそれがネット上の流言飛語の類いではないかと軽視していた。
しかし、今回はバーチャルでは済まず、リアルに行動を起こした愚か者がいたらしく、WTTは一部の予定を変更せざるをえなかったのだという。この件については、関連報道をご覧になっていない方には皆目検討もつかないだろうが、さりとて今ここで改めて私が詳述しても、胸糞が悪くなるだけなのでその気はさらさらない。
ある掲示板で「フィギュアスケートだって戦いなのだから、対戦相手を中傷したり、やじったり、妨害してつぶすのは当然。野球やサッカーの世界では当たり前で、フィギュアスケートはまだまだ大人しいもんだ」というような暴言を吐いていた輩がいた。私はこの書き込みを見てとても悲しくなった。

断言する。
フィギュアスケートはそういうスポーツでは決してない。

いや、野球やサッカーだって本来そういうものではない。ゲームが終われば「ノーサイド」。選手もファンも握手して終わるのだ。それがスポーツだ。
また、国際試合は「代理戦争だ」とまことしやかにうそぶく輩もいる。
そういう人はスポーツを純粋に楽しんでいない人だ。スポーツを欲求不満の捌け口にしたり、ストレス発散の道具にしたりしているだけだ。それはスポーツを政治利用する政治屋と変わらない。
そういう「えせファン」をフーリガンと言うのだ。
もちろん、スポーツでストレス発散できる効果があることは分かるが、それは一過性のものに過ぎない。ストレス発散の他の方法が見つかればスポーツは用無しになってしまう。スポーツを消耗品として消費しているだけ人の楽しみ方はその程度のものかもしれないが、スポーツ本来の姿を見失ってはいけない。

スポーツはスポーツのために存在するのだ。
少なくとも選手は消費者のストレス発散のためにプレイしているのではない。
ネット上でも目に余り、読むに耐えないものが数多く見られたが、リアルに行動するなどもってのほかだ。ネット上を傍若無人に闊歩する「えせファン」の格好の餌食にならないように、せめてこのブログでも火種となるような記事は書くまい。
それが私ができるせめてもの対策だ。

悲しいことに、記念すべき第1回の国別対抗戦は、こうして憂鬱なシミを残して私の記憶に刻まれることになってしまった。



世界は空の下でつながっている

トリノも 東京も イエテボリやLAも そしてバンクーバーも・・・・
世界中の空はつながっている
花は散り、若葉が吹き出した桜を見下ろす東京の青空に
一筋立ちのぼった真っ白なひこうき雲は
それは戦いの爪痕などでは決してなく
世界をつなぐタスキなのだと信じて

そして それがスポーツの真姿なのだと信じて・・・・



「プレシーズンの独り言」は今回でお終い。
次回は、備忘録ではなく、もう少しプレシーズンらしい企画にしよう。

テーマは「アイスショーとエキシビション」

それはいつかって?
GPシリーズが近づいてしまったら
「09-10グランプリシリーズ・プレビュー」にしてしまえ。
予定は未定だ^^;

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2009年09月09日

復活の光と陰~プレシーズンの独り言2

前回同様、08-09シーズンエンドの備忘録。


世界選手権2009 ~レビュー3

中断を挟むこと3ヶ月、延べ5ヶ月に亘った(汗)世界選手権2009のレビューは今回でお終い。トリは男女シングル(長いのでレビュー3と4に分ける)。
印象に残った選手と、大会全体の雑感を書き留めておこう。今回のシングルは男女とも復活を懸けた選手が印象に残った大会だった。


MEN


デニス・テン Denis TEN (KAZ)
SP 68.54(17位) FS 142.89(6位) 総合 211.43(8位)

面白い選手が出てきたなあという印象。本大会の新人賞は彼にあげよう。
旧ソ連圏とは言え、中央アジアらしくモンゴロイド系の顔立ちに親近感を覚えやすい15歳(出場時)は、もちろん今回がワールド初出場。なにせ彼の生年月日は1993年6月13日だということだから、(例の日付変更線の)2008年7月1日にぎりぎりで規定年齢の15歳になっていたことになる。即ち今大会出場選手の中では最少年齢だ。
08-09シーズンはジュニアとのダブルエントリー、しかも出場可能なISU公式戦すべてに出場。GP(ファイナル含む)はジュニアで3試合。四大陸はシニアで、ワールドは両クラスで出場。即ち延べ6試合に出場。しかも出場するたびにパーソナルベストを更新していくという出世魚のような活躍。シーズン最後のこの世界選手権では、それまでのPBを20点以上も更新するという飛躍振りだった。

体格はまだジュニアのそれだが、滑りっぷりはスケール感がある。軽々と跳んで見せるジャンプには力強さも感じるし、スピードのあるスピンは見応え十分。男子には珍しいビールマンも見せてくれるのだが、これはちょっと無理しているかなという印象。その姿勢はそれほど端整には見えないからだ。但し、オーディエンスへのアピールとしては武器になるかもしれない(実際、男子選手がビールマンをやると例外なく会場が沸く)。

ステップはまだ無表情で淡々とした感じがするため、規定エレメンツを消化しているだけのように見えないでもないが、寧ろこれは今後のお楽しみにとっておこう。SPのPCSが意外に伸びなかったのは、ジャッジにとって彼が未知の選手であることも影響しているのかもしれない。これは「ジュニア上がり」の選手にしばしば見られる現象で、これからはジャッジにプレゼンスをアピールしていくことも求められよう。(SPのキスクラに同席した振付のタラソワ女史が、彼のスコアにあからさまに不満のジェスチャーを見せたのもジャッジへのアピールの一環か)


織田 信成 Nobunari ODA (JPN)
SP 76.49(7位) FS 141.67(8位) 総合 218.16(7位)

織田選手にとってカムバックシーズンの最後を飾ったLAはドタバタした印象だった。
最初のドタバタはSPの序盤に突然やってきた。3Lz+3Tで勢い余ってフェンスに接触。さらに不運なことにフリーレッグがフェンスのTVカメラ用の切り込みに引っかかって転倒。恐らくこれがなかったら転倒まではしなかっただろう。ジャッジのGOEを見ると、-1~-3まで評価が割れている。これは、転倒の原因が「フェンスの接触」なのか「ジャンプの失敗」なのかで、ジャッジ間でも判断が分かれていたことを示唆しているのではないか。私が見たところでは、ジャンプ自体は成功(きちんと着氷している)したが、直後にフェンス接触・転倒というのが妥当か。
ただ、感心したのは、本人自身もびっくりしたであろう転倒の後に、演技がきちんと行なわれたこと。その後のエレメンツはどれも丁寧で無難にまとめた感じだ。
しかし、ドタバタはSPだけでは終わらなかった。FSのコンビネーション・ジャンプのカウントミス。これはSPでの転倒以上に痛かった。

PG構成表では最初に跳んだ3Aは本来3A+3Tの予定だったのが、着氷で乱れてセカンドを付けられずソロジャンプになってしまったわけだが、これがカウントミスの始まりだった。彼は3A+3Tができなかったので、直後の(ソロ予定だった)3Sに3Tをつけてリカバーしたわけだが、問題はステップとスピンを挟んだ後の後半最初のジャンプ、この日2回目の3Aにあった。最初の3Aがソロになったので、2回目の3Aはコンビネーションにしなければならなかったのだ。3Tは既に2回跳んでいるし、この後に3Loも予定しているので、3Aに付けるセカンド(またはサード)の選択肢はダブル以下のトウループまたはループしかない。ところが彼はこの2回目の3Aではなく、3Loの後の3Fに2T+2Loを付けてしまったのだ。
読者諸氏は既にお気づきかと思うが、2回目の3Aはセカンドを付けなくても自動的にコンビネーション扱い(SEQで基礎点2割減)になってしまう。即ち、彼が3回目のコンビネーションだと思って跳んだ3F+2T+2Loは4回目のコンビネーションと見なされ無効、無得点になってしまったという次第。2回目の3Aを3A+2T+2Loにして3Fをソロで跳んでおけば基礎点合計が18.15(後半なので1.1倍)も得られたのに、3A+SEQの7.22(同)しか入らなかったのでこのカウントミスだけで11点近くも失ってしまったわけだ。0.01点で勝負が分かれてしまうという非情の新採点システムの時代で10点以上のロストは大き過ぎる。点差が拮抗する上位陣では尚更だ。
今回は私自身の備忘録も兼ねているのでくどくど書いてしまったが、このカウントミスの件はもうこれ以上は書くまい。当の本人が一番後悔していただろうから。
寧ろ私が気になったのはFSのPCSが伸びなかったこと。SPのそれよりも低い。特にPE、CH、INが低い。この辺はプログラムの振付と滑り込みも影響するだろうから今後の課題と受け止めるべきか。全体的に丁寧ではあるが、見ている者の情感に訴えかけるような迫力には欠けているような印象もあって損しているなあと感じてしまった。

このようにドタバタもあった織田選手であったが、私はFS冒頭の4T+3Tを高く評価している。出来栄えが良かったのはもちろんだが、クワッドを跳んだこと自体を評価したい。未だに男子においてでもクワッドは勇者の証しだ。チャレンジの決意なくしてはクワッドは跳べない。彼より上位の選手でクワッドを跳んだのはジュベールとベルネルしかいなかったのだ。
彼はクワッドを跳ぶことで「復活の狼煙」を上げただけではなく、「世界再挑戦」を高らかに宣言したのだ。


サミュエル・コンテスティ Samuel CONTESTI (ITA)
SP 78.50(6位) FS 148.47(5位) 総合 226.97(5位)

ヘルシンキで颯爽と現れたマカロニ・ウェスタンは、本場の西部劇でも大暴れしただろうか。
興醒めするようで申し訳ないが、結論から先に申し上げると、私のコルト・ピースメイカーは火を噴かなかった。今大会の男子で最も期待した選手の一人だったのだが、コンテスティのカリフォルニアの空はヘルシンキのそれほどには青くはなかったのである。
確かにスコアを見る限りでは欧州選手権を上回っている。SP、FS、総合のすべてがPBだ。本人も納得の演技だったと見えて、キスクラでの晴れ晴れとした笑顔が輝いた・・・・。しかし、それでもなお私の中のコンテスティは未だヘルシンキに留まったままだった。この違和感は何だろう。選手自身の充実感と私自身が感じた印象とのズレは何だろう。見終わった後の違和感がいつまでも消えず、しっくりこない気持ち悪さだけが残っていたことを告白しなければならない。

で、その気持ち悪さは何だったのか。ヘルシンキとLAの違いは何だったのか。ヘルシンキにあって、LAになかったのは何か。

それは、演技全体の迫力、痛快さ、爽快さといったものではなかったか、と私には思えてならなかった。
確かにLAでのコンテスティの演技はまとまっていたし、破綻はないし、ヘルシンキよりも洗練されていたと言ってもいいくらいかもしれない。LAの演技に比べればヘルシンキのそれは粗削りだったと言ったほうがいいのかもしれない。しかし、ヘルシンキよりも洗練されて完成度が上がったかもしれないが、LAではその代償として、なにかスペクタクルが不足して見えた。平易に言うと、どこかスリリングなドラマ性に欠けていたように見えたのである。それはもちろん観ている私自身の問題であり、既に私の中で「慣れ」が生まれていただけなのかもしれないが、とにかく私はLAのコンテスティにわくわくしなかった。それは事実だ。
この気持ち悪さを引き摺っていたままではどうにもこうにもすっきりしないので、放送終了後にもう一度録画を見て検証することにした。試合終了後にISUのHPにアップされるプロトコルも併せて見ながらの検証だったが・・・・。

それは、SPではなく、FSの中で見つかった。
SPは良かったのだ。録画を見直してもヘルシンキ同様に楽しめた。マカロニ・ウェスタンは生きていた。問題はFSだった。録画を見直してもヘルシンキのスペクタクルはやはり戻ってこなかった。さらにもう一度見直して、私はようやくあることに気づいた。プログラムのジャンプ構成が変更されていたのだ。
ヘルシンキの構成では冒頭のジャンプが3A+3T、2Lz(3Lzの失敗)だ。これがLAでは3A、3Lzになった。これは問題ない。LAでは3A+3Tを後半に持ってきているし、3Lzも成功しているので、ここまではLAの構成に問題はない。寧ろLAの方がいいくらいだ。
問題は、エンディングのジャンプ三連発だった。ヘルシンキでは、3S+3T、2A、2A+2T+2T という構成だったのだが、これがLAでは、3S+2T、2A+2T、2Aになっていた。
明らかに尻すぼみになっている。点数的に見てもダウンしていることはもちろんだが、何と言っても見栄えがしない。迫力にかけるのだ。同じプログラムでもジャンプ構成を一部変えただけで全体の印象が変わってしまったということか。確かにフィナーレでのジャンプ三連発(しかもコンビネーション)は体力的に厳しいだろう。しかし、ヘルシンキでは最後の力を振り絞って跳んで見せた三連発だったからこそのスペクタクルだったのだ。

やはり夕陽のガンマンは、ラストシーンでは荒馬の嘶きと共に蹄を高らかに響かせて、疾風とともに荒野へ走り去っていってほしかった。


ブライアン・ジュベール Brian JOUBERT (FRA)
SP 84.40(1位) FS 151.57(3位) 総合 235.97(3位)

もちろんジュベールはジャンプだけのスケーターではないけれども、それでもLAのジュベールはジャンプに始まってジャンプに終わったと敢えて言おう。
SPは結果的に1位通過となったが、彼にとっては不満が残るものだったのではないか。

今回、SPとFSでクワッド(4T)を入れてきたのは、ポンセロ、ヴォロノフ、ベルネル、そしてジュベールの4人(FSのみは7人)。直前滑走のライサチェクが快心の出来で地元オーディエンスの大喝采の余韻が残る中で登場したジュベールは、それでも臆することなく果敢にクワッドを初っ端にぶちかました、しかもコンビネーションで。
ただそのクワッドは力んだせいか、踏切りの入り方が微妙にズレたようで空中で軸が傾き、ランディングでお手つき。セカンドの3Tもステップアウト。なんとか転倒は回避したもののGOEで大きく減点となった。08-09のルール改訂でクワッドの減点はトリプルの1.6倍になったのでロストが大きい。前季までならGOEが-2.00で済んだところを-3.20も減ぜられてしまった。
それでも幸いだったのはセカンドの3Tの回転不足を見逃してもらったこと。セカンドはちょうど1/4回転不足だったのだがなぜかお咎めなし。エッジが氷面に噛む感じでグリ降りすらできずに着氷したため、躓くような感じでステップアウト。スロー再生しなくても分かるほどの回転不足だったのだから、ジャッジの見逃しは本当にラッキーだった。もし2Tにダウングレードされていたら、あと2.70失っていた勘定だ。
彼としても冒頭のクワッド・コンビネーションが腰砕けみたいな感じになってしまったことには不満があったのだろう。地元の大声援を受けたライサチェクを抜いてSP1位に躍り出てもニコリともしなかったのはその証左。

「ヘルシンキにはLAで勝つために来た」
これはいつぞやの欧州選手権のレビューブログで、同大会に臨むジュベールの発言を私が意訳したものだった。故障明けのヘルシンキでFSを新PGに変更し、試運転した彼の視線の先には、はっきりとカリフォルニアの青い空が見えている、ということを推測したのだ。
ヘルシンキはゲネプロ、本番はLAだ。そのLAでこそ、新PGは完成する・・・・と読んだのだった。(結果的には私の妄想だったけれど^^;)
この「クワッド冷遇」の時代にあって、それでもなお抗うかのようにクワッドを跳び続けているスケーターは、(現役の)男子でも5人くらいか。中でも、ジェフリー・バトルとの「クワッド論争」が記憶に新しいジュベールは己のアイデンティティとして意識しているのだろう。それほどPGにクワッドを入れることに拘りを持っているように思う。

FSは最終滑走。しかもまたまた地元ライサチェクの快演の直後という組合わせ。この巡り会わせの悪さがジュベールの心理に微妙に影響したとしても不思議はない。
FSの冒頭で4Tを成功。ここで勢いに乗って、次のコンビネーションは(SPで失敗した)4T+3Tを入れてくるのではないかと期待した。つまり、新PGの完成形はクワッドの二連発。ところが実際は3A+3T。もちろんこのコンビネーションはきれいに決まって得点的には十分だし、もともと予定通りだったのかもしれないけれど、なんか無難に済ませた感じに見えて、見ているこちらとしては拍子抜け。
最終滑走ということは自分の結果で全選手の順位が決まる。即ち、暫定1位のライサチェクとの得点差を計算して演技することができる。これが微妙に影響したような気がする。コンディションの問題もあるだろうし、何と言っても「クワッドの二連発」なんて、こちらの邪推かもしれないのだから身勝手な期待だったことは重々承知しているのだけれど・・・・。
好事魔多し、とは言わないが、次の3Aの着氷でステップアウトしたジュベールの横顔が少し翳ると、青かったはずの彼の空に暗雲が漂い始めた。しかし本当の「魔」は最後にやってきた。終盤の2Aでまさかの転倒。彼くらいのクラスの選手で2Aの転倒を見るのは珍しい。観ている誰しもが凍りついただろう。しかも恐らくこの2Aはコンビネーションにするはずだったのではないか(2A+2Tまたは2A+2T+2Lo)。
万事休す・・・・

ジュベールは2シーズン続けてコンディションに苦しんでいる。このLAにはどの程度回復して臨んだのかは定かではないが、コンディションに不安なく、迷うことなくクワッドを跳ぶジュベールとバンクーバーで会いたいものだ。


エヴァン・ライサチェク Evan LYSACEK (USA)
SP 82.70(2位) FS 159.53(1位) 総合 242.23(1位)

今回のホスト国、しかも開催地となるLAは自身のホームタウン、文字通り「地元」の期待とプレッシャーを一身に背負いながら、彼はそのすべてを自身のモチベーションに昇華させて、ステイプルズ・センターのスタンディングオベーションを独占した。
前回のイエテボリは直前に怪我で欠場。リベンジとなった地元LAを「エヴァン・ライサチェクの大会」として記憶させるに十分な二日間だった。(今回、彼は大トリではなかったけれど、FSと総合でPB、SPもセカンドベスト)

GPと異なり世界選手権の滑走順はSP、FAとも抽選で決められる。ゆえに、二日間とも自分の滑走順がジュベールの直前というのはスケートの神様の悪戯か。ライサチェクはジュベールの出来を気にすることなく、寧ろ攻めのスケートで直後のジュベールにプレッシャーをかけることになった。

SPの『ボレロ』は競技と言う視点では申し分ないのだけれど、私個人の嗜好から言わせてもらうと、随分とせわしない『ボレロ』だなあという印象が残った。ただでさえ短時間の中でエレメンツを詰め込まなければならない現在の競技ルールでは『ボレロ』がもたらす特有の「うねり」を表現しにくいのではないかと感じたのだ。
ご存知のように同曲は、ひとつのリズムをAメロとBメロとが繰り返すというシンプルな構成を特徴としているが、フィギュアスケートの現在の競技ルールでこれを表現しようとすると、ルール上の要求エレメンツの方が多過ぎて、『ボレロ』のリズムとメロディの連続性が損なわれかねない。残念ながらライサチェクにとっても『ボレロ』は難しかったかなあという印象だ。いつもは人も羨む彼の長い四肢も、今回ばかりは持て余しているようにさえ見えたほどだ。フィニッシュのポーズでは流石にその長さは美しく見えたのだけれど・・・・。
もっとも、これはライサチェクや彼のコリオグラファー(ローリ・ニコル?)の力量の問題だとは思っていない。前述のように、現在の競技では『ボレロ』が使いにくくなってしまったのではないかということだ。

一方でFSは彼の真骨頂というプログラム。
ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』は夢見るようなオーケストレーションが施されて演奏されることが多いジャズナンバーだが、ホスト国を代表してホームで演ずるプログラムとしては正にド真ん中。彼のその長い手足もこのときは大空を舞う白頭大鷲の翼のように雄雄しく美しい。ジャンプで、ステップで、スピンで・・・・フィナーレのコンビネーションスピンではガッツポーズで、彼の四肢は躍動した。
(私も例外ではないが)どうしても自らのコンプレックスからか日本では「長い足」だけに憧れが偏るようで「長い手」はあまり注目されないように思う。しかし、競技上の直接的なアドバンテージにはならないかもしれないが、手の長いスケーターの所作は美しく見えることが多いように思う。少なくとも手の長さが映えるような振付け、コスチューム、仕草を見せてくれる選手は誠に見栄えがよろしい。
余談だが、女子選手に見られる「オーバーブーツ」のタイツは、少しでも足を長く見せようとしている様が不自然というか、不格好に見えて昔からどうも好きになれない。オーバーブーツはスケート靴をタイツで覆うことになるので、どうしても「足元」が美しく見えないのだ(同じオーバーブーツでもトラウザーはOKだが・・・・)。

SPの演技終了直後のリンクに倒れんばかりのガッツポーズ、パーフェクトな演技を確信したためにスピンの途中で出てしまったFSでのガッツポーズ、そのどれもが嫌味になることなく、オーディエンスを熱狂させるだけのパワーに溢れていたタフガイ、アメリカンガイ、僕ナイスガイ!のライサチェクだった。(ネタが古くてイマイチ決まらない^^;)

最後に、ライサチェクの演技で気になった、09-10シーズンのサキヨミ・・・・
今回、ミスらしいミスがなく、2日間ともクリーンに滑りきった選手はライサチェクくらいではないだろうか。彼がクリーンに滑りきったのは、クワッドを回避して3Aを確実に決めたことが大きい。その3Aもいつもは回転不足を取られることがままあるのだが、今回は3回(SP×1回、FS×2回)ともなんとかうまく降りられたようだ。「なんとかうまく」と表現したのは、彼の3Aはちょっとした癖があり、それが回転不足を取られやすい原因となっていると思われるからだ。

アクセルジャンプはトウジャンプと並んで高さを得やすいジャンプだが、彼のアクセルはあまり高さがない。そのため彼の3Aはプレローテーションが多い。通常、アクセルは前向きに踏切る。このとき回転運動も同時に始めるので多少プレローテーションは発生するが、他の選手の場合は概ね1/4回転くらいだ。
ちなみに、同じ米国のステファン・キャリエールの3Aはパーフェクトな踏切りを見せる。彼のプレローテーションは1/8回転くらいに収まっているのだ。米国制作のドキュメンタリー番組で彼の3Aをハイスピードカメラで撮影した映像を見たことがあるが、その映像ではプレローテーションはわずかに1/16回転だった!(もちろん彼の3Aは踏切り以外もパーフェクトなのだが)

ところが、ライサチェクの3Aではプレローテーションが1/2回転にもなる。
彼の3Aは踏切り動作に癖がある。踏切り動作に入るときに既に身体が横向きになり、ブレードも真横を向く。まるでスライディングするような姿勢で踏切りに入ってくる。つまりこのとき既に1/4回転していることになる。そして、実際に跳び上がるまでにさらに1/4回転するため、ほとんど後ろ向きになって跳び上がっている。つまりプレローテーションは1/2回転になっているのだ。そのため、着氷で少しでも回転不足になると、プレローテーションが多かった分だけダウングレードされやすいのではないか。
ループやサルコウのように、事前の回転運動(ターン)を踏切りのきっかけにしているジャンプはもともとプレローテーションを前提としたジャンプと言えなくもないのであまり問題視されることはないと思うが、アクセルでは厳しく見られると思う。彼と同様の踏切りをする選手は他にもいるが、やはり回転不足を取られることが多いのは、やはりこの踏切りの癖が影響しているのではないかと思う。
後日、詳述する機会を得たいが、09-10シーズンのルール改訂ではプレローテーションも厳しくチェックされるようになった。上述のような踏切りをする3Aがますますダウングレードの嵐に晒されはしないかと私は今から戦々恐々としている。


備忘録とタカを括っていたら思いのほか長くなってしまった(いつものことだが^^;)
このエントリーでは一気に女子シングルまで進めて「プレシーズンの独り言」は終わらせてしまおうと思っていたのだが、どうもそれは読みにくいばかりで独り言ならぬ独り相撲になりそうだ。
というわけで、「女子シングル篇」はまた次回、但し、さっさとアップさせよう。なにせジュニアは既にシーズンインしてしまっているのだから・・・・

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