2009年08月11日

Summer of Love ~プレシーズンの独り言1

さて、夏である。
今年は梅雨の期間が曖昧で、太陽の季節は忍び足でやってきた。早春のカリフォルニアの空はやはり青かったと思っていたら、日本の空にはいつの間にか入道雲が踊っていた。(と思っていたら、ここ数日は天候不順が続き、今夏はまったく夏らしくない日が続いているが)

7月に入るとフィギュアスケート界はシーズンインしたという声がちらほら聞かれる。ISUが定める年齢規定の基準になる「日付変更線」が7月1日になっていることを根拠に、フィギュアスケートのシーズンが7月1日から始まると思っている人がいるからだろう。もちろん、その考えを否定する気はないが、私の体内時計では7月はまだオフシーズンだ。やはり公式戦が開幕しないとシーズンインした感じがしない。他のスポーツの例も一層その感覚を強くさせる。
例えば、欧州サッカーは基本的には「ウィンタースポーツ」だ。夏の終わり~秋口に開幕し、春にフィナーレを迎えるのが基本カレンダー。ところが、年齢制限(U-23、ユース等)の「日付変更線」はシーズン中の12月31日。つまり年齢規定の基準日とシーズンカレンダーは無関係だ。(もっともサッカーの場合の年齢制限の目的はスケート界のそれとは必ずしも同じではないが)

というわけで「公式戦開幕=シーズンイン」という考え方に沿えば、インターナショナルではジュニアの開幕は8月下旬(ジュニアGP開幕)、シニアだと10月下旬(GP開幕)となろう。但し、09-10シーズンは、ネーベルホルン杯がバンクーバー五輪の最終予選として指定されているので、同大会の開幕(9月下旬)がシニアのシーズンインだと見ることもできようか。じゃあ、ISUカレンダーに掲載されている「ウィンターゲームズ・ニュージーランド」という大会(8月下旬)はどう扱うのか?と詰め寄ってくる人も出てくるかもしれないが、国際大会のシーズンインはISU公式戦を対象に考えようというのが私のスタンスだ。マイナーな国際大会は開催が不安定で日程が流動的ということもあり、シーズン開幕戦としてカウントするのは難しいという事情もある。
五輪シーズンは各国際大会のカレンダーが五輪の影響を受ける。冬季五輪が、例年だと四大陸選手権が開催される2月に行なわれるためだ。五輪は総合競技大会のため、当然フィギュアスケートだけ日程をずらすということはできない。したがって。五輪の日程が最優先されるということになるため、四大陸を起点に日程の前倒しが起きる。
一方で日本国内に目を転じれば、各ブロック大会の開幕がシーズンインと見るのが妥当か。やはり9月下旬だ。09-10シーズンは北海道/東北・関東・中部の各大会が9月下旬から一斉に開幕する。但し、選手からすれば、国際大会だろうが国内大会だろうが、自身が最初に出場する試合の開幕をもってシーズンインだという感覚だろうが・・・・。
まあ、各大会の日程に絡むエピソードや話題のエントリーについてはその折々に触れることとして、とにかく今はまだオフシーズンという感覚だ。とは言え、開幕が近づいているので、7-8月はプレシーズンと言ったほうがいいかもしれない。
と、ここまで書いて、申し遅れていたことがある。
読者の皆さんとは大変ご無沙汰していたことになる。久しくエントリーをしていなかったにも関わらず、ご挨拶を失念しており申し訳ない。

暑中(残暑?)お見舞い申し上げます
09-10シーズンもご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます


さて(本日2回目)、今回のエントリーは完全に備忘録である。目新しい話もなければ、さしてユニークな視点にトライしたということもない。ただ単に、ラスト・エントリー(4/13)からの空白の4ヶ月間を埋めるための棚卸しエントリーに過ぎない。とどのつまり、プレシーズンの独り言なのである。
ラスト・エントリーの後の空白期間に何があったのだろう。振り返りながら進めていくことにしよう。
まずは、「世界選手権レビュー2」から始めることにする。


世界選手権2009 ~レビュー2

前回、「レビュー」で終わっておけば気にもしなかったが、不覚にも「レビュー1」としてしまった。「1」があったら「2」がないと尻切れトンボだ。
と言うわけで、実際に日本の空にトンボが飛び交う前にレビュー2をやっつけてしまおうという次第だ。
流石に4ヶ月も経ってしまったのでディテールまで掘り返す気力も知力もないので、印象に残っている点だけをかいつまんで記録しておこう。

PAIRS

サフチェンコ/ゾルコーヴィ SAVCHENKO/SZOLKOWY (GER)
SP 72.30(1位) FS 131.18(1位) 総合 203.48(1位)
サフチェンコ/ゾルコーヴィが2連覇。シーズンを通して安定して強かった。
技術面では彼らと張り合えるペアもいるのだろうけど、サフチェンコ/ゾルコーヴィがジャッジはもちろん見る人をひきつけるのは、プログラム全体の出来栄えなのではないだろうか。同じステップやジャンプ、リフトをやっても、そこに楽曲や振付の意味合いを感じさせてくれるところが他のペアとの差なのだろう。恐らく、同じように見えても各技術に余裕があるからこそできる業ということかもしれない。
彼らは、ドイツ勢としては久しぶりに五輪のゴールドメダルを狙える位置にいるだけに国内でも期待は大きいだろう。

張丹/張昊 Dan ZHANG / Hao ZHANG (CHN)
SP 67.42(3位) FS 119.10(2位) 総合 186.52(2位)
表彰台常連の張丹/張昊だが、サフチェンコ/ゾルコーヴィと比べると持ち味の違いが分かりやすい。張丹/張昊の演技は体操のそれを見ているような気分に襲われることが少なくない。今回もその印象は大きく変わることはなかった。確かに彼らのツイストリフトは世界一と言っていいだろうし(張丹は見るからに軽そうでリフトしやすそうだ)、張丹は女子シングルでも難しい2A+3Tを跳んだり、技術面は際立っている。張丹が体調不良や怪我などでコンディションが不安定なことが少なくない中、常に表彰台を争っている実力は本物だ。後は表現力だけだろう。その高い技術力に表現力が追いついたとき、世界チャンピオンの称号は彼らのものになることも夢ではないと思う。

カワグチ/スミルノフ KAVAGUTI/SMIRNOV (RUS)
SP 68.94(2位) FS 117.45(3位) 総合 186.39(3位)
いやあ惜しい!2位にわずか0.13pt差。こんなの同点でもいいだろうに(ちょっと乱暴か・・・・)
しかし、カワグチ/スミルノフの3位は快挙と言ってもいいのではないか。この種目で日本人選手(川口悠子)がワールド・メダリストになったのは初めてだと思う。しかも、ペアを組んでまだ3シーズンかそこらのはずだ。(申し訳ない。正確に調べられていないので曖昧な表記で逃げている^^;)
TVの解説でも「このペアは男性に問題がある」という厳しい指摘がしばしばあるように、昨季まではスミルノフの出来がこのペアの結果を左右していた。見ていると、どうも持久力に課題があるようでFSの演技後半では明らかにスミルノフはバテバテに見えることが少なくなかった。それが08-09シーズンはしっかり体力がついてきたように思う。2位の中国ペアにわずかに届かなかったのは4SThの転倒が大きかったからだと言えばそれまでだが、「世界一のツイストリフト」を持つ張丹/張昊に肉薄できたのは、スミルノフの成長が大きいのではないだろうか。
いずれにせよ、カワグチ/スミルノフはロシアを代表するトップペアになった。五輪ではロシアンペアは圧倒的な強さを見せてきた歴史があるだけに、ロシア代表として挑むバンクーバーでは想像を超える重圧がかかるかもしれない。それだけにこの2人には猶のこと目が離せなくなった。

デューベ/デイヴィソン DUBE/DAVISON (CAN)
SP 61.80(7位) FS 111.02(6位) 総合 172.82(7位)
女性パートナーのジェシカ・デューベはユニークなキャリアを持っている。(私自身は見ていないが)実は07-08シーズンまでシングルでも滑っていたそうで、いわば「二足の草鞋」を履いたスケーターなのだ(もちろん草鞋にブレードを付けて滑ったわけではないが^^;)。
シングルとペアの掛け持ちはジュニア選手ではたまに見かけるが、シニアに上がってからも掛け持ちを続けていたのは珍しい。しかも彼女のジュニア時代の掛け持ちは本格的だったようだ。ちょっと資料を見てみる・・・・
彼女はジュニアGPシリーズで03-04のメキシコ大会と04-05の中国大会でペアとシングルにダブルエントリーし、しかも両種目で表彰台に上がるという快挙を成し遂げている。ダブルエントリーですべて台乗りということは、一つの大会で延べ6回滑ったことになる。(SP+FS+EX)×2種目=延べ6回!メキシコ大会のときはペアで優勝もしているからEXのアンコールまで加えると同大会では7回も滑ったことになる。ジュニアの演技時間はシニアのそれよりも少し短いとは言え、ちょっと想像できないような奮闘ぶりだ。
ちょっと前置きが長くなってしまった。世界選手権の話に戻ろう。
デューベ/デイヴィソンは前回大会3位だったのが今回は7位と大きく順位を下げてしまった。スコアで見ても前回よりも大きく落としている(約20pt.)。前回はSP、FSともクリーンな演技で高得点も納得の出来栄えだったが、今回はジャンプのミスが響いたように思う。FSの『カルメン』も曲に乗れていなかったように見えた。デューベは曲に乗れているときの表情が素敵なのだが今回はどうだったか。どちらかというとスローでロマンティックな曲調がこのペアには合うような気がしたのは、もちろん外野の妄想だ。
カナダ連盟はペアでも五輪3枠を狙っていたと思うが、その皮算用には当然前回の銅メダリストにしてカナダ・チャンピオンの彼らが含まれていたはずだ。しかし結果は2枠・・・・
The race is not to the swift, nor the battle to the strong. (“nor” の使い方は試験に出ます)


ICE DANCE

LAの世界選手権が終わって、録画やプロトコルを再度見直していたら、あることに気づいた。アイスダンスの欧文表記が変わっていたのだ。07-08シーズンまでは “ICE DANCING” だったのが、08-09シーズンから “ICE DANCE” に変更されていたのだ!世界選手権だけかと思っていたが、ISU公式戦すべてで変更されていた。シーズンが終わってから気づくとは、なんともまあ間抜けな話だ。
もともと他の3種目が、MEN, LADIES, PAIRS という「出場者を表わす名詞」なのに対して、アイスダンスだけが “DANCING” という動名詞を使っていることに疑問があった。それが昨季の変更で名詞(DANCE)に改称されたわけで、形式的には他の種目と足並みは揃ったことになる・・・・しかし・・・・イマイチである。
どうせ MEN, LADIES, PAIRS に合わせるのであれば “DANCERS” ではないのか。これであれば「出場者を表わす名詞」になると思うのだが、チンクアンタ君、いかがだろうか。
戯言も尽きたので、そろそろ本題に移ろう^^;

実は私個人的には、昨季のアイスダンスで楽しみにしていたのはオリジナルダンス(OD)であった。ご存知の方も多いと思うが、アイスダンスのODではシーズン毎に課題(リズム)が出される。その課題の提示は意外に早く、前シーズンの開幕前には公表される。例えば、今季、09-10シーズンのOD課題は「フォークまたはカントリーダンス」だが、これは既に08-09シーズンの開幕前、08年8月にアナウンスされている。
でもって、08-09シーズンのOD課題は何だったかというと「1920年代、30年代、40年代のリズムとダンス」。
実はこの課題は最初アナウンスされた時(07年5月)には「1920年代のリズム」だった。公式リリースの表記に従うと “Roaring Twenties” 即ち「狂騒の20年代」とアナウンスされていた。
第一次大戦で消耗しきった欧州に代わり、対岸の火事だったアメリカ合衆国が政治のみならず経済・文化でも一気に世界のリーダーに上りつめ、20世紀を「消費の世紀」としてスタートさせた1920年代。クライスラービルのアールデコで飾り立てられたダンスホールでジャズに合わせてチャールストンを踊る。そのリズムとダンスを横目で見ながら、禁酒法を鼻で嘲笑うアル・カポネが夜な夜な振舞う密造バーボンをしこたま飲んだウォール街の証券マンは、チャールストンならぬ千鳥足でT型フォードに乗り込んで夜の摩天楼へどこともなく消えていく。
そして、ジャズのビートに乗ってラジオから全米に流れる享楽の歌声は永遠に続くと思われたちょうど10年後の1929年、ウォール街の錬金術が生み出した株券が一瞬にして紙切れに変わってしまったブラックマンデー・・・・。
正に「狂騒の10年間」、それが1920年代だ。

だから最初に課題テーマが「狂騒の20年代」と知ったときはイメージしやすかった。映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』あたりを思い出せばその空気はつかみやすいだろう。要は、禁酒法と摩天楼と(アーリー)ジャズだ。因みに音楽史的には20年代のアメリカを “Jazz Age” とも言う。それくらいジャズがポピュラーになった時代だった。
それが08-09シーズン開幕直前の08年8月には「1920年代、30年代、40年代のリズムとダンス」(Rhythms and Dances of the 1920s, 1930s or 1940s)に変わっていた。当初は20年代だけだった課題に、開幕直前には30-40年代が追加されたのだ。追加変更の理由はよく知らないが、結果的にはこれで選手側の選択肢が広がることになった。
具体的には、20年代のチャールストン、フォックストロット、タップダンス、リンディホップ、ワルツ等に加えて、30-40年代のクイックステップ、スウィング、(ジャンプ)ブルーズ、スローフォックストロット等まで多岐に亘るリズムとダンスが対象になった。もっともこれらのダンスを総称して「スウィングダンス」とする説もあるようで、もしかしたらそういう意味もあって、20-40年代までの幅に再設定したのかもしれない。
ひとつ細かいことを言うと、この課題には「ラグタイム」も含まれていたが、音楽史的に言うとラグタイムは1900年前後の時代設定になるのではないか。せいぜい1910年代までだと思うが、アイスダンス界での解釈はけっこう鷹揚なのかもしれない。

まあ大雑把に言うと Good Old America、ビッグバンド時代のスウィングジャズが流れる中、リンクいっぱいに社交ダンスが花開くというイメージだ。J sports の解説で藤森さんが「アメリカのリズム」と言っていたのはそういうことである。

まあ、ODの課題リズムについてはこれくらいにして・・・・

もうひとつODの楽しみに欠かせないのが、課題に合わせて各選手が用意するコスチュームだ。
リズムとダンスが「古き良きアメリカ」と来れば、コスチュームは当然「アメリカン・ブルジョアジー」。これまた大雑把に言うとラルフローレンということになろう。映画『華麗なるギャツビー』のロバート・レッドフォードとミア・ファロウのクラシカルでエレガントなファッションを思い出してもらえば想像がつくか(もちろんこの映画を見た人に限るが)。確かこの映画の衣装デザインもラルフローレンだったと思う。このファッションがスウィングに合わせてリンクで花咲くとくれば、それは想像しただけでもウキウキしようというものだ。

でもって、ここまでアメリカづくしとなれば、ODで注目したのはやはりアメリカの「ダンサー」たちだった(ようやく本題に入る^^;)
今回はコスチュームを中心にヴィジュアル面からレビューしようという趣向だ。

サミュエルソン/ベイツ SAMUELSON/BATES (USA)
CD 32.51(13位) OD 54.97(11位) FD 87.28(9位) 総合 174.76(11位)
Music of OD: Swing
08世界ジュニアのチャンピオン・ダンサー(今回は敢えて「ダンサー」で通す^^)。ヤング・アメリカンだけに思いっきり「アメリカ」で来た感じだ。
ベイツのコスチュームが分かりやすい。マドロスさんだ。軍艦の進水式のパーティで、水兵がガールフレンドと束の間のダンスに興じているといった風情。そして、選んだリズムは「スウィング」。サミュエルソンのドレスを見ると時代設定は20年代というよりも30-40年代が近い。であれば、空母は “Big E” の愛称で環太平洋に勇名を馳せた米海軍航空母艦「エンタープライズ」あたりか(アイスダンスとは関係ないが、私の空想の世界^^)
この2人の表情がまたテーマ設定に合わせたような表情で見ていて思わずニヤリとしてしまった。トーキー(有声映画)の製作でアメリカの映画産業が黄金時代を迎えたのも30年代。彼らの表情は正に「ハリウッド・スマイル」、銀幕のスターのそれだ。FDでハリウッド・スマイルを延々とやられても飽きてしまうが、ODの2分30秒では十分耐えられる。スピーディで小気味良い2人のステップがハリウッド・スマイルを飽きさせなかった。
終盤のツイズルも小気味良く、フィニッシュのポーズが決まったときには思わず拍手。もう少し点が出ても良かったのにと思ってしまった。

デイヴィス/ホワイト DAVIS/WHITE (USA)
CD 37.73(4位) OD 62.60(3位) FD 100.03(3位) 総合 200.36(4位)
Music of OD: Charleston
後述するベルビン/アゴーストが故障気味の08-09シーズンで、全米、四大陸を制して一気にメダル争いに名乗りを上げてきた気鋭の二人。
彼らのコスチュームはどちらかというと20-30年代。チャールストンにも合う設定だ。
ホワイトのスーツは、デカ襟のタイトなジャケットにハイウェストのパンツで、摩天楼の香りがぷんぷん。パンツはもう少しゆったりとしている方がそれっぽいのだが、そこはあくまでも競技会用のコスチュームなので多少は目をつぶろう。対するデイヴィスのドレスは身体の線がきれいに出て、フェミニンな香りが漂う30年代風。何と言っても、デイヴィスの表情がクラシカルでいいかも。ちょっとデカダンな雰囲気が漂い、マレーネ・ディートリヒを思わせると言ったら褒めすぎか。
今回のアイスダンスは3位争いが激戦だった。CDでカナダのヴァーチュ/モイアに後れを取った彼らは、OD、FDでカナディアン・ダンサーを上回り逆転したかに思えたが、最終的にはわずか0.04pt届かなかった。それでも全米、四大陸を制した彼らが世界選手権で台乗りするのは夢ではないだろう。その夢は意外にも早くバンクーバーで実現してしまうかもしれない。

ベルビン/アゴースト BELBIN/AGOSTO (USA)
CD 39.65(2位) OD 65.16(1位) FD 100.27(2位) 総合 205.08(2位)
Music of OD: Tap Dance
今回の「ベスト・ドレッサー賞」(もちろん審査員は私一人^^)
ベルビンのスカーレット・ベレーで勝負あり。ベレー帽をモチーフにしたということは年代設定が30-40年代ということになろう。選んだリズムもタップダンスということだから設定はピッタリ。あまりにも鮮やかなだけにどうしてもベレー帽ばかりに目が行ってしまうが、ベルビンの足元も小粋だ。スカートの裾に合わせたソックスのフリルが靴から覗く足元は、「ステップ命」のアイスダンスには視覚効果抜群。
ベルアゴ(ファンはそう略すらしい)のダンスはどこか淡白で、どのプログラムも似たり寄ったりで同じような印象がある、という声もないではないが、今回の二人は乗りに乗っていた。特にベルビンのリズムに合わせて首を思いっきり振るところなどに乗りの良さを感じた。そんなに首を振ってベレー帽が飛んでいったりはしないかと少し気を揉んでしまったほど。
タップダンスというわりには実際にはそれっぽいステップは少なく、その点だけを言えば少し物足りなくもあったが、最後のリフトから「どうよ?」とばかりに決めたフィニッシュのポーズを見せられれば、当然のことながら細かいことは一瞬にして消し飛んでしまった。


09-10シーズンのオリジナルダンスの課題リズムは「フォークダンスまたはカントリーダンス」。
「フォークダンス」と聞いて、甘酸っぱい記憶が甦る人には恐らくそれほど若い方はいないと思うのだが、ここでいうフォークダンスとはそういう定義のダンスではない。カントリーダンスと併せて提示されているように「民族的、伝統的なダンス」というくらいの解釈だ。具体的な例示もないので、選手サイドの解釈に任されているようだ。
アイスダンスの日本代表となるであろう、キャシー/クリス・リードだが、「日本伝統の拍子と踊り」を彼らのOD用にモロゾフ・コーチに作ってもらってはどうか、という声をどこかで聞いたが、それはいかがなものか。
というのも、私の解釈では日本伝統の踊りは基本的には「手踊り」である。アイスダンスに見合うようなステップがない。これではプログラムにするのは難しいと思う・・・・
否、ひとつ思いついた。「青森ねぶた」はどうだろうか。ねぶたの踊り子は「はねと」と呼ばれている。「はねと」とは「跳ね人」のことだ。ねぶたはほとんど足だけで踊り、跳ねるのだ。これに笛と太鼓のお囃子、そして「ラッセラー、ラッセラー」の怒声のような掛け声がつく。アイスダンスではヴォーカル入りの楽曲もOKだから、この掛け声も入れられる。正に、アイスダンス用のジャパンオリジナルプログラムではないか。
もっとも問題はグローバルな知名度。バンクーバーのリンクでねぶたが舞っても、欧米人の目には奇異に映るだけかもしれないが・・・・

夏の暑さに悪乗りが過ぎたようなので、この辺でお終い^^;



ねぶたが行なわれる青森市のすぐ隣には夏泊(なつどまり)という岬がある。ねぶたは毎夏、8月初旬に行なわれるのだが、ねぶたが終わると青森の短い夏も終わりを告げる。北国の短い夏の火祭りは、その短さゆえに激しく燃え盛る。そして、その短さを惜しむかのように北国の人々はその地に夏を刻む。

夏よ もう少しの間 ここに泊まっていっておくれ

夏泊岬には
短い夏を思い出に刻む人の
最果ての夏が泊まっている



今回の「独り言」はここまで。
「プレシーズンの独り言」が何回続くかは当の本人ですらその計画を持ち合わせていないが、「プレシーズン」と言っているのだからシーズンインまでには終わらせようとは思っているのだろうけど。

posted by pbq1463 |14:19 | コメント(0) | トラックバック(0)
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