2009年04月13日

YVR VIA LAX ~世界選手権2009 レビュー1

2009年の世界選手権が閉幕した。基本的にはこれで今季が終了。確かに今週(4/16-19)には “ISU World Team Trophy” という新イベントが残っているが、私は今のところWTTはエキストライベントくらいにしか思っていないので、やはり世界選手権の閉幕をもってシーズン終了と考えたい。(WTTについてはまた後日)
既報の通り、今回の世界選手権の結果により来年のバンクーバー五輪の出場枠が決定・・・・と理解されている方も多いかと思う。全マスメディアもそのように報道している(はず)。私も前回のプレビューで(おおまかに)同様のことを書いた。ところが、これは厳密には正確ではない。実は、世界選手権で決まる枠は五輪総枠の約8割。残り2割は今秋まで待たなければならない。
そこで、今回のレビューは「五輪出場枠」からお届けしよう。

まずは、世界選手権と五輪の出場枠の決定方法について、その共通点と相違点を以下に記す。

世界選手権の枠数:
ISU加盟協会(国・地域)すべてに、一種目当たり最低1枠与えられる。一種目最大3枠。複数枠は前年の世界選手権の成績で決定される。(決定方法の詳細は過去ログの他、ISUのHP、Wikiあたりを参照のこと)

五輪の枠数:
ISU加盟各協会に保証される「最低枠」はない。他の競技同様「五輪参加標準記録」を突破しなければ参加できない。その標準記録に相当するのが世界選手権の成績と考えてよい。但し、その「標準記録」を突破すれば必ず五輪に参加できるかと言うとそうではない。五輪自体に参加数の「足切り」があるので、その標準記録を上位から並べてボーダーラインに届かなかったら参加できないのだ。
その「足切り」、ボーダーラインは以下の通り。
  男女シングル 各30枠(名)
  ペア 20枠(組)
  アイスダンス 24枠(組)
世界選手権は「最低1枠」の参加が保証されているのに、なぜ五輪では足切りがあるのか?
それは五輪が「総合競技会」のため、各競技ですべての加盟国を参加させると運営キャパ(選手村の収容人数、大会予算等)をオーバーしてしまうという物理的な事情があるからだ。

五輪出場枠の決定手順:
第一次予選=前年の世界選手権(2009年LA大会)
  世界選手権では五輪総枠の約8割が決定する。
  決定枠数=男女シングル各24、ペア16、アイスダンス19
第二次予選=前年のISU指定の国際競技会(都度指定。今回は9月の独ネーベルホルン杯)
  決定枠数=残枠、即ちシングル各6、ペア4、アイスダンス5
  *世界選手権で未獲得の国が対象。(獲得済みの国が追加枠を得ることは不可)
  *第二次予選で獲得できる枠数は1国当たり1枠のみ。

基本的にはこの過程を経て全出場国・枠が決定となるのだが、この後に枠返上国が出たりすると、第二次予選の次点国が繰り上がる。もちろんここまでは国別枠数が決定するのであって、出場選手の決定は別。枠決定後に各国別に各々の選考方法によって決定されるのは言うまでもない。

それでは、「ISU 世界フィギュアスケート選手権大会 2009 ロサンゼルス」で決定した、バンクーバー五輪出場の決定国・枠数を見てみよう。
表記の順は、獲得枠数、獲得国名、獲得ポイント(成績順位)、09世界選手権の枠数からの増減。

MEN:
3枠獲得 
  米国、10ポイント(1位+9位)、増減0
  日本、13ポイント(6位+7位)、増減0
2枠獲得 
  チェコ、4ポイント(4位)、増1
  イタリア、5ポイント(5位)、増1
  カザフスタン、8ポイント(8位)、増1
  カナダ、14ポイント(2位+12位)、減1
  フランス、19ポイント(3位+16位)、増減0
  ロシア、23ポイント(10位+13位)、増減0
1枠獲得 
  ベルギー、14ポイント(14位)、減1
  スペイン、16ポイント(19位)、増減0
  スロベニア、16ポイント(21位)、増減0
  ウクライナ、16ポイント(22位)、増減0
  ポーランド、16ポイント(23位)、増減0
  スロバキア、16ポイント(24位)、増減0

ここまでで24枠(名)決定。残り6枠(6ヶ国)はネーベルホルン杯(第二次予選)で決定。

まずは皆さん、四の五の言わず拍手しよう(6位と7位だから「六の七の」か?)。
日本男子陣が初めて五輪3枠を獲得したのである。しかも高橋大輔選手を欠いての快挙である。小塚崇彦、織田信成、無良崇人の3選手ともお疲れ様でした。ありがとう。
07年東京大会で初めて男子3枠を獲得したときは、これでバンクーバー3枠の目標が現実的となった、と誰しもが確信したはずである。ところが、そこから2シーズン連続でアクシデントが襲うとは誰も想像しなかっただろう。しかもそのアクシデントは選りに選って国内二強に相次いで降りかかったのだからたまらない(まあ、アクシデントとは言えないところもあったが^^;)。やはり救世主は小塚崇彦選手。彼の今季の急成長が片肺飛行になりかけた日の丸飛行隊(古い!)の体制を見事に立て直し、見事バンクーバーに着陸させたのである。
また、見事増枠に成功したチェコ、イタリア、カザフスタンの協会関係者がハイタッチしている姿も目に浮かぶ。一方、目標未達で落胆しているだろう国はフランスとスイスか。フランスはジュベールとポンセロで3枠を狙っていたと思うのだがその皮算用は水泡に帰した格好だ。
最も厳しい現実を突きつけられたのはスイス。ランビエールが蓄えてきた「銀行預金」をすべて引き出して挑んだLAで、なんと「破産」してしまった。これまでランビエールの活躍がスイスに複数枠をもたらしていたわけだが、その彼が引退して臨んだLAでスイスは持ち枠をフルに使い2選手を出場させるというギャンブルに出た。ところが、その2選手が二人揃ってまさかのFNR。合計36ポイントで持ち枠全滅。イエテボリで22位に入ったオスマンだけを出場させて24位以内(16ポイント以下)で1枠獲得を狙う手もあったと思うのだが、それも今となっては結果論か。破産したスイス銀行はネーベルホルン杯に最後の宝くじを買うことになるのだろうか。
成長株のチャンを擁するホスト国のカナダは当然3枠を維持したかっただろうが、わずか1ポイント差で1枠ロスト。ただ、現役チャンピオンが去った危機の中では想定内だったのかもしれない。


LADIES:
3枠獲得 
  日本、7ポイント(3位+4位)、増減0
2枠獲得 
  ロシア、7ポイント(7位)、増1
  スイス、9ポイント(9位)、増減0
  グルジア、10ポイント(10位)、増1
  米国、16ポイント(5位+11位)、増減0
  韓国、17ポイント(1位+16位)、増減0
  カナダ、17ポイント(2位+15位)、増減0
  フィンランド、19ポイント(6位+13位)、増減0
1枠獲得 
  イタリア、12ポイント(12位)、減1
  スロバキア、14ポイント(14位)、増減0
  エストニア、16ポイント(16位)、増減0
  ドイツ、16ポイント(18位)、増減0
  ポーランド、16ポイント(19位)、増減0
  英国、16ポイント(20位)、増減0
  トルコ、16ポイント(21位)、増減0

ここまでで24枠(名)決定。残り6枠(6ヶ国)はネーベルホルン杯で決定。

またまた皆さん、四の五の言わず拍手しよう(3位と4位だから「三の四の」か?)。
日本女子陣3枠確保である。それもトリノに続いての快挙だ。安藤美姫、浅田真央、村主章枝の3選手ともお疲れ様でした。ありがとう。
各選手のファンの中には、3枠確保という大命題そっちのけで選手個人の成績が関心事だった方も少なくなかろうが、その一喜一憂も目標達成があったればこそ。たとえ3年連続世界チャンピオンが生まれていたとしても、枠を減らしていたらそれどころではない。しかも今回もきちんと「台乗り」した上での3枠である。これは日本だけなのだ。
1枠を生かして見事増枠(2枠)に成功したのがロシアとグルジア。特にグルジアは欧州選手権で不調(FNR)だったゲデバニシビリが復調してトップ10に滑り込んだことがすべて。問題は2枠の使い方だろう。国内の政情不安が続く中、ゲデバニシビリに続く選手の派遣は簡単ではないと思う。
ロシアの復活も楽しみになった。今、ロシアは若手が育ってきている。国内選手権1-2位を占めた選手は2014年の地元ソチ大会出場が目標だろうが、今回7位に入ったレオノワは欧州4位も今季の世界ジュニア女王だ。19歳のゲルボルトも欧州6位で今後が楽しみ(いや、彼女はバンクーバーに来てくれるだけでもありがたい)。
目標未達だったのは米国とフィンランドか。それでも米国の結果は予想よりも寧ろ良かったのではないか。なにしろフラットが頑張った。世界選手権初出場でトップ6に入ってきたのは大したものだ。シズニーだって順位はともかく上出来だった。なにせSBだったのだから。米国は2枠に納得しているだろう。アジア&北米との位置関係を考えれば、フィンランドの3枠はどちらかというと「あわよくば」という目標だったと言えよう。これまた2枠で納得ではないだろうか。
同じ2枠維持でも韓国の場合は様相が異なる。先日も書いたが、韓国にとってのLAの目標は、自国の枠数よりも悲願の世界チャンピオンを出すことにあったと思われるからだ。金妍兒の目標、実力、下馬評を持ってすれば、2位以上の成績、(故障・棄権でもしない限り)どんなに悪くても10以内に入るだろうということは確実視できたはずだ。つまり彼女一人で最低でも2枠確保、高い確率で3枠に増枠も可能だったということだ。ところが、韓国は「2人目の金」を出場させたのだ。2名出場の時点で「3枠」の可能性は放棄したと取れる。もっとも3枠取れても「3人目の金」がいるのかという事情もあっただろうから、2枠で十分、いや1枠だけでもよかったのかもしれない。なにせ韓国の報道は「ただ一人の金」にしか関心がなかったのだから。
一方で、保有している複数枠を敢えてフルに使わず「1枠で2枠維持」の戦略でLAに乗り込んだスイスとイタリアは明暗が分かれた。スイスは、故障が完治していない中、半ば強行出場とも言えるマイアーが意地のトップ10入りで2枠確保。SP10位で迎えたFSでのプレッシャーは計り知れないものがあっただろう。彼女には今はゆっくりと治療してほしい。
チンクワンタISU会長の母国、イタリアは最も心が痛む結果となった。コストナーがまさかのトップ10落ちで1枠に減ってしまったのだ。彼女のSP5位、2-5位はダンゴ状態であれば、台乗りはともかく最低目標のトップ10は確実かと誰しも思っていただろうに・・・・。これ以上は流石に書くのは忍びない。凍りついた彼女の顔が今も脳裏から離れない。

PAIRS:
3枠獲得 
  中国、6ポイント(2位+4位)、増減0
  ロシア、8ポイント(3位+5位)、増減0
2枠獲得 
  ウクライナ、6ポイント(6位)、増減0
  カナダ、15ポイント(7位+8位)、減1
  ドイツ、16ポイント(1位+15位)、減1
  米国、20ポイント(9位+11位)、増減0
1枠獲得 
  フランス、12ポイント(12位)、増減0
  英国、13ポイント(13位)、増減0

ここまでで16枠(組)決定。残り4枠(4ヶ国)はネーベルホルン杯で決定。

ペアとアイスダンスは、このブログを書いている時点で J sports でまだ放送されておらず、私も地上波(CX)のダイジェストをちらりと見ただけなので種目全体を見ていない。だから競技会全体の雰囲気を把握できていない。よって、枠の話を中心に書く。
ペアは結果だけ見ると波乱はなかったようで、ほぼ予想通りの結果だったと言えよう。上位陣の顔ぶれは昨季のイエテボリとまったく同じだ。
違ったのは昨季の銅メダリスト、デューベ/デイヴィソンが台落ちどころかトップ6にも残れなかったことか。これが響いてカナダは2枠に減ってしまった。
ディフェンディング・チャンピオンは今回も強かった。ただ、ドイツ協会は五輪は2枠で十分と考えていたのだろうか。イエテボリと同様、LAもサフチェンコ/ゾルコーヴィだけで臨めば、3枠維持の可能性もあっただろうに。確かにGPファイナルではジャンプのミスが目立ち、中国ペアに屈したとは言え、直前の欧州選手権では圧倒的な内容で三連覇を果たしていただけに十分勝算はあったと思うのは素人考えか。結局ドイツは2枠に減らしてしまった。
これに対してロシアは3枠維持に成功。カワグチ/スミルノフが世界選手権で初メダル獲得。カワグチは直前にロシアに帰化し、大会終了後には同選手がロシアから五輪に出場することを正式に承認する書簡がJOCからROC(ロシア五輪委員会)へ届いたこともあって、これでようやく彼女の五輪出場の道が開かれたということになった。


ICE DANCING:
3枠獲得 
  米国、6ポイント(2位+4位)、増減0
  ロシア、7ポイント(1位+6位)、増1
2枠獲得 
  フランス、14ポイント(5位+9位)、減1
  カナダ、15ポイント(3位+12位)、増減0
  イタリア、18ポイント(8位+10位)、増減0
  英国、23ポイント(7位+23位)、増減0
1枠獲得 
  イスラエル、13ポイント(13位)、減1
  リトアニア、14ポイント(14位)、増減0
  ウクライナ、15ポイント(15位)、増減0
  日本、16ポイント(16位)、増減0
  ドイツ、16ポイント(17位)、増減0

ここまでで19枠(組)決定。残り5枠(5ヶ国)はネーベルホルン杯で決定。

日本は目標の1枠を獲得。これで日本は男女シングルとともに出場全種目で目標達成だ。こんな国は日本だけ? キャシー&クリス・リード選手、お疲れ様でした。ありがとう。怪我をじっくり治してバンクーバーに備えてほしい。
フランスの減枠はやはりディフェンディング・チャンピオンのデロベル/シェーンフェルダーの故障欠場がすべてか。なにせ彼らはファイナル含めて今季のGPシリーズは全勝だったのだから。でもって、GPファイナルで彼らの後塵を拝していたドムニナ/シャバリンが見事に初優勝。ロシアはペアとともにきちんと3枠を獲得した。流石。
米国は地元開催でもあり、ベルビン/アゴーストの初優勝も期待されたのだけど2位に甘んじた。見た印象はロシアン・ペアと甲乙つけがたく、点差もそのことを如実に表わしていた(わずか1.22点の差!)。来季はフランス・ペアも戻ってくるだろうし、バンクーバーでのアイスダンスの競演は見応え十分だろう。
カナダは目標に届かなかったのかもしれない。恐らくカナダは3枠を狙っていただろう。ヴァーテュ/モイアの銅メダルは期待通りだったとして、シニアに上がってまだ2シーズン目の若いクローネ/ポワリエに初出場でトップ10入りは難しかったか。
とはいえ、カナダは全種目で2枠獲得。五輪のホスト国としては十二分な成果である。


最後に、今回の世界選手権で決定した五輪出場枠を国別に整理して、このパートを締めくくる。
国名(記号)、獲得枠数合計、種目別獲得枠数、の順である。

RUS 10枠 男子2+女子2+ペア3+アイスダンス3
USA 10枠 男子3+女子2+ペア2+アイスダンス3
CAN 8枠 男子2+女子2+ペア2+アイスダンス2
JPN 7枠 男子3+女子3+アイスダンス1
FRA 5枠 男子2+ペア1+アイスダンス2
ITA 5枠 男子2+女子1+アイスダンス2
GBR 4枠 女子1+ペア1+アイスダンス2
GER 4枠 女子1+ペア1+アイスダンス1
UKR 4枠 男子1+ペア2+アイスダンス1
CHN 3枠 ペア3
CZE 2枠 男子2
FIN 2枠 女子2
GEO 2枠 女子2
KAZ 2枠 男子2
KOR 2枠 女子2
POL 2枠 男子1+女子1
SUI 2枠 女子2
SVK 2枠 男子1+女子1
BEL 1枠 男子1
ESP 1枠 男子1
EST 1枠 女子1
ISR 1枠 アイスダンス1
LTU 1枠 アイスダンス1
SLO 1枠 男子1
TUR 1枠 女子1

合計 83枠 (男子24+女子24+ペア16+アイスダンス19)
残り 21枠 (男子6+女子6+ペア4+アイスダンス5)

流石は米ソ、じゃなかった米ロ。フィギュア大国は健在である。全種目で2~3枠獲得しているのはこの2ヶ国のみ。ホスト国のカナダが3番目。全種目で2枠獲得はまことにバランスがよろしい。
そして、ニッポン。シングル種目に偏っているのは仕方ないが、7枠獲得は快挙!過去最大だ!



国別と言えば・・・・
ISU 世界フィギュアスケート 国別対抗戦 2009
ISU World Team Trophy in Figure Skating 2009

世界選手権のレビュー第1弾を五輪枠の話で始めたのは、国別対抗戦へ誘導する伏線というわけではないが、ISU公式戦として初の団体戦が4/16-19の4日間、東京で開催される。GPシリーズに続いてISU公式戦の放送権を獲得したテレビ朝日の意気込みはけっこうなことだが、その番宣は相も変らぬワンパターンで、今や見るだけで頭痛がしてくる始末だ(同じグループの朝日新聞の報道も最近はワンパターンが酷く目に余るものがあるが・・・)。当日の中継にはバファリンが必携となろうが、今回は、GPシリーズで「迷解説」を披露した某女史がいないのはせめてもの救いか。

さて、この国別対抗戦(WTT)の開催趣旨についてISUは「フィギュアスケートの普及振興のため」と公言しているが、まあ、これはすべての戦争が例外なく「自国民の生命と財産を守り、世界の自由と平和を脅かす脅威を取り除くため」という大義を掲げて行なわれることと大した違いはない。ISUの本音がどこにあるかはご想像にお任せする。皆さんのご想像は大なり小なり当たっていることと思う。
WTTを独占中継するテレビ朝日は番宣に躍起になっているが、団体戦としての「初の大会ルール」ということにはお座なりで、「日本が優勝候補の最右翼」という喧伝ばかりを繰り返している。
私はこのWTTをシーズンエンドのお祭りくらいにしか見ていないので、真剣勝負とは思っていないが、それでも「初の団体戦」としての大会ルールについてはきちんと、繰り返し報道すべきだと思う。驚いたことに大会公式HPにすら大会ルールは解説されていないのだ(4/13現在)。テレ朝の「番組HP」に少し触れている程度というお粗末さだ。
テレビ朝日の喧しい番宣で唯一「免罪符」となりえたのは、ユウコ・カワグチに触れてくれたことか。

文句ばっかり言っても仕方ないからここで、大会ルールについてサマッておこう。

出場は6ヶ国。日、米、加、仏、露、中。即ち、北米、欧州、亜細亜である。
各国のチーム構成は、男子2、女子2、ペア1、アイスダンス1。
そして、各種目ごとに競い、総合成績でチーム成績が決定する、というものだ。
ここで賢明なる読者諸氏にはお気づきかと思うが、各種目のバランスが取れている国が有利だということだ。
そこで、先述の五輪出場獲得枠を思い出してほしい。トップ3の米、露、加はバランスが取れていて、種目に偏りがない。翻って日本はどうか? 実は日本のシングルは今や世界トップクラスだが、アイスダンスは強豪とは言えないし、ペアにいたっては世界選手権に出場すらできていない。日本国内でパートナーが見つからず海外に渡ったレナ・イノウエ、ユウコ・カワグチを思い出そう。
「ペア、アイスダンスが弱くても、日本は男女シングルで点数を稼ぎ、逃げ切れるのではないか」と予測する向きもあるかもしれないが、そこで重要なのは大会ルール、順位決定方式である。
実はこの大会では、ISUスコアは選手間の順位付けには使うが、チーム得点には使わないのである。しかも、そのチーム得点は「順位点」で計算されるのだ。そして、ここが味噌なのだが、その順位点はまことに不思議な点数になっている。

男女シングル:
各種目1チーム2名×6チーム出場だから、合計12名で競われる。
1~12位のチーム得点は、単純に1位=12点、2位=11点・・・・、12位=1点となる。

ペア&アイスダンス:
各種目1チーム1組×6チーム出場だから、合計6組で競われる。
1~6位のチーム得点は、単純に1位=12点、2位=11点・・・・、6位=7点となる。

要するに各順位の差が「1点」しかないのである。
例えば、ISUスコアで、男子シングル1位の日本選手が240点、2位のカナダ選手が220点だったとする。20点は大差だ。しかし、チーム得点の差はわずか1点に換算される。
女子シングルで1位のカナダ選手が190点、2位の日本選手が189点の僅差だったとする。
ISUスコア上は、男女シングル合計で日本はカナダを19点リードすることになるが、今大会のチーム得点では同点となってしまうのだ。
この「順位点」が曲者なのだ。この部分がきちんと報道されていないように思う。ただただ「日本が優勝候補」という報道が喧しいだけだ。
で、大会の本命はどこか? 冷静な読者諸氏にはそれは説明するだけで野暮というものだろう。

付け加えておくと、記念すべき(?)第1回のWTTに出場する世界チャンピオンは男子シングルのエバン・ライサチェク、唯一人。「シーズンエンドを飾るフィナーレ」を謳うにはあまりにも寂しいキャストではないだろうか。

まあ、最近のフィギュア中継にはイラつくことばかりで、私は最近はテレビの音声はできるだけ「会場音」だけで観戦している(J sports、BSフジ、テレ朝チャンネルのみ)。
やはりスポーツは会場観戦に限る。そう言えば、今季はアイスショーを見に行っただけで競技会の観戦は東京ブロックだけだった。じゃあ、この機会をうまく活用させていただこうか、というわけで、WTTを会場観戦することが、私にとって今季最後の「生観戦」となるのであった。


次回は世界選手権レビュー第2弾。
WTTは記憶に残っていたら書くことにしよう。

posted by pbq1464 |23:55 | コメント(6) | トラックバック(0)
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