2009年02月12日
北欧に轟くラ・マルセイエーズ~2009欧州選手権レビュー1
フィギュアスケートはGPシリーズが終わると、12月下旬から1月下旬の1ヶ月間で各国でナショナルチャンピオンシップが次々に開催される。各国ともその成績に準じてISUチャンピオンシップ(欧州、四大陸、世界選手権)への選手派遣が決定されるというのが基本的な流れだ(シニアの例)。 日本でも既報の通り全日本選手権が昨年末に終了し、四大陸と世界選手権への派遣選手が決定している。海外のナショナルチャンピオンシップで注目されるのは、やはりトップスケーターを多数抱える強豪国のそれであり、中でも全米選手権はいつの時代も最注目の大会だ。もちろん、カナダやフィンランド、ロシアにドイツ、ペアに限れば中国の大会だって注目すべきだが、その開催規模やメディアの報道量、TV中継の有無という観点で言えば、全米選手権は国際大会並みに注目されるのが常だ。 ただ、この全米選手権には厄介な点が1点ある。それは、年明け最初に開催されるISUチャンピオンシップである欧州選手権とまったく同一週に開催されることだ。おまけに、J sports に至ってはこの両大会を生中継までするので放送が完全に重なってしまう。1月の第4週はハードディスクの空き容量が気になって仕方がないというわけだ^^; さて、今季の日米欧の三大会はある意味共通した結果を見せた。それは一言で言うと「微妙」という言葉で表現できようか。 全日本ではアクシデントと予想外の結果が、大会レベルだけではなく前回大会の感動までをも色褪せさせてしまった。確かに鈴木明子選手の復活はうれしく、彼女のFSには自然と拍手をしてしまった。会場に居合わせていたら、私もスタンディングオベーションの中に加わったであろう。しかし、彼女以外の上位陣の選手の演技内容と(判定)結果、加えてその前後のエピソードには首を捻ることばかりだった。ゆえに、どうしてもすっきりしない「微妙」な大会になってしまった。 全米選手権もまた「微妙」な大会だった。但し、特に女子シングルについては、そのエントリーを見れば予め危惧されたことでもあった。やはり07年、08年の両チャンピオンが欠場、或いは故障中ということであれば、予測不能な要素が拡大するのは当然のことだった。但し、その予測不能な状況の中、望外の結果が生まれたとも言えようが・・・・。 そして欧州選手権。これまた「微妙」な結果だったと言えよう。女子は、欧州を代表する実力者が欠場というのはやはり寂しさが募ったことは否めない。男子は長く欧州男子勢で覇権を争ってきたバイラオールが舞台を降りてしまったことの影響は決して小さいものではないし、ディフェンディング・チャンピオンの自滅は大会の華やかさに翳りをもたらしたと言っては言い過ぎだろうか。それでも返り咲きとなったヘルシンキの覇者はプライドを示し、国境を渡ったマカロニ・ウェスタンはヘルシンキの氷を溶かすほどの熱狂を生んだことも確かだった。 ただ、男女ともある意味では同じ結果になったと言えよう。どういう意味で同じ結果になったのか、それを2回に分けてお届けする。 昨季のブログでは全米、欧州の順でアップしたが、今季は欧州選手権から始めよう。欧州から始めることに特に企画意図はない。ただ単純に私が観戦した順番である。 今年は昨年のスウェーデン、イエテボリから同じ北欧のフィンランド、ヘルシンキへ舞台を移して開催された。 ISU欧州フィギュアスケート選手権大会2009 ISU European Figure Skating Championships 2009 MEN 男子シングル 今回は28の国と地域、合計39選手がエントリー。今回3枠持っていたのは仏、露、瑞典。即ち、昨季から今季にかけて欧州男子をリードしているのはこの3ヶ国。しかし、大会の結果はこの勢力図をなぞるものにはならなかった。1ヶ国の独占を許した結果となったのだ。 レビューはFSに進んだ24選手の内、総合上位の印象に残った選手について触れる。(FS滑走順) アルチョム・ボロドゥリン Artem BORODULIN (RUS) SP:61.77(15位)、FS:114.22(12位)、総合:175.99(13位) TVでは「アルテン」と紹介されていたが、原語に近いのは「アルチョム」だそうで、当ブログでもそれに準じることとする。 確か今季のGPシリーズにも出場していたので記憶している方もいるとは思うが、彼は08年世界ジュニアの銀メダリスト。今季からシニア参戦した19歳。彼はなかなかのイケメンでこれからTV露出機会が増えれば日本でも女性ファンが増えそうだ。別に私はあちらの趣味はないので誤解は無用だが、たとえ男子でもグッドルッキンというのは見栄えがするもので、私は素直に好ましく思う。元・チャンピオンの某女史が何と言おうと、たとえ好みの問題かもしれないが、フィギュアスケートに容姿が影響するのは歴然とした事実だし、容姿が関心のきっかけになることは他のスポーツでもごく普通のことだ。(ここで言う容姿とは単純に、顔、スタイルといったフィジカル・チャームのこと。「姿勢の美しさ」というようなスポーツ的な意味合いを持った容姿のことではない) とは言っても、当然ながら私がボロドゥリンに注目するのはもちろん容姿だけではない。彼をロシアンスケーターの正統伝承者と見込んでのことだ。ジュニア上がりとは言え、彼の演技からもまた伝統の匂いが早くも醸し出されている。それもロシアらしい重厚さを伴って・・・・と思って、コリオグラファーを見てみたら、タラソワ女史の名前がしっかりとあった。なるほど、ロシア・フィギュア界の重鎮はいろんなところに顔を出している。 SPでは3Aが珍しくはっきりとした回転不足。プレローテンションを算入せずに着氷時だけで見ても1/4以上の回転不足。これだけ回転不足があれば、通常はステップアウトや転倒をすることが多いが、彼の場合は見事な(?)グリ降りで凌いでみせた。奇妙なのはルッツとフリップ。各々不正エッジ判定されたのだが、これはプログラムコンテンツシートで逆に申請しておけば不正を取られずに済んだと考えるのは安易だろうか。この辺はコーチはどう指導しているのか、私の好奇心をくすぐるものがある。 FSのコンビネーションでも3Lzが不正エッジ判定だったけど、これは技術審判はよく見たなあと関心。ビデオのスロー再生でようやく分かる程度。3Lzはソロでも不正判定だったがこちらは疑問。どう見てもきちんとアウトエッジになっていたとしか見えなかった。全体的にこじんまりとした印象は「ジュニア上がり」の勢いを感じさせなくて物足りなかったところもあるが、個人的には今後注目していきたい選手だ。 ヤニック・ポンセロ Yannick PONSERO (FRA) SP:67.45(9位)、FS:151.85(1位)、総合:219.30(4位) 今大会最大の「大波賞」。同胞の07年世界チャンプを抑えてFS1位でSP9位から大躍進したのが、その同胞が故障で欠場した今季の全仏を奪取したポンセロだ。SPでは9位だったのでFSの滑走順はラス前の第3グループ、全体の15番目に登場。よって、このレビューでもFS1位だったのに早々の登場となった次第。 SPではPGの出だしが疑問。音楽がスタートして10秒近くも静止したままというのはいかがなものか。PGの最初にオーディエンスを一気に引き込むこともできるわけで、この10秒間をもっと有効に使うPGにもできたと思うのだが、この「空白の10秒間」にはどういう狙いがあったのだろうか。コンビネーションで4Tを入れたまではいいが3A、3Lzがダブルになったのがスコアに大きく影響。ステップとスピンは無難にまとめたが印象が薄い。SPのスコアは仕方ないし、他の選手のSPの出来が良かっただけにまさかFSでの大躍進は予想していなかった。 FSではスピードに乗ったジャンプが前半次々に成功し、そのままの勢いで後半も滑りきった。ただ、3S+2T+2Tを跳んでいるのに、3S+3Tではなく、(基礎点が20%減になる)3T+3S+SEQにしたのはセカンドにトリプルを入れるのが苦手ということか。演技中に出来栄えに手応えを感じたため油断したというわけでもないだろうが、最後の2Aのランディングが雑だったのが勿体なかった。2AのGOEで-0.64となり、手中にしかけていたメダルが最後にするりと逃げてしまった。なにせ3位とは総合点でわずか0.06の差だったのだ。 ハヴィエル・フェルナンデス Javier FERNANDEZ (ESP) SP:65.75(12位)、FS:117.16(11位)、総合:182.91(11位) スコアで見ても順位で見てもパッとしない彼をなぜわざわざ取り上げるのか。それは17歳の若さの中に既にパッションを宿していることを私が感じ取ったからだ。ただ単に競技会で技術、練習の成果を披露するという以上の情念を彼のスケートに見たからだ。 だから、靴紐が解けるアクシデントで演技を中断しようが、その演技中断で減点2という厳しい採点をされようが、演技再開後の彼のスケートは勢いを止めることはなかった。特に彼のステップには技術以上のサムシングがある。上体の動き、「見得」を切るように途中で挿入されるポージングに私の目はしばし釘付けになった。彼もまたアスリートというよりもアーティストなのだろう。 SPのPCSが5点台に抑えられたのは演技中断が影響したかもしれないが、FSのそれも低かったのには不満が残る。全体に粗削りな面があることを指摘されれば、それは認めざるをえないが、それでもPE、CHあたりは6点台の前半が出てもいいと思う。技術以上のパッションをもっとスコア上でも評価してほしい、そうでなければフィギュアスケートは単なる技術品評会で終わってしまうと落胆するのは、私の年齢が生じさせるノスタルジーなのだろうか。 もちろん、現代のフィギュアスケートが技術品評会へ明確にベクトルを向けていることは重々承知しているのだが・・・・。 トーマス・ヴェルネル Tomas VERNER (CZE) SP:81.45(2位)、FS:126.53(7位)、総合:207.98(6位) イエテボリの失速後、今季も精彩を欠いていて心配されたが、ヘルシンキのSPではディフェンディングチャンプの復調を期待させるものだった。SPでは得意のステップに切れが戻った。直前のコーチの指示で4Tを回避して3Tにしたのは正解。SPではこれで十分。久しぶりにキス&クライで彼の笑顔がはじけたのはうれしかった。 ただ、4Tを回避したのはSPの戦略というよりも、やはりジャンプが本調子ではないのだろう。FSではその不安が現実のものになった。踏切りのタイミングが合っていないみたいでパンクしてシングルになってしまうジャンプが3回もあっては点は伸びない。もともとスケーティングがうまいだけにPCSはTESに比べて評価は良かったが、130点に届かないTSSは彼本来の出来には程遠い。SP&FSでは文字通り「キス&クライ」となり、総合でも大きく順位を下げてしまった。 アルバン・プレオベール Alban PREAUBERT (FRA) SP:73.50(5位)、FS:138.72(5位)、総合:212.22(5位) SP、FSで大きく順位変動があった選手が多い今大会の中で、彼だけは「水平賞」を獲得(実際はこんな賞はないが)。その原動力となったのがジャンプで破綻がなかったこと。彼のジャンプは少し軸がぶれる癖があるのだが、それでも今回は大きなミスにはつながらなかったのは幸いだった。 SPは全体によく氷に乗っていた。単調なピアノ曲で「音を取る」のは難しそうだが、スピード感を維持しながら滑りきったと思う。フィニッシュでの雄叫びは自分でも納得した証し。ただ審判は冷淡そのもの。PCSが32.70、平均6.54に抑えられたのは辛目の印象。34点くらい(平均6.8)は出てもよさそうな感じだが、最終グループよりも一つ前の第7グループ、しかもその中でも第1滑走だったということも影響しているのだろうか。 FSの採点で気になった点がひとつ。3A+2Tのコンビネーションの間にステップが入ってしまったためにSEQ扱いになってしまったが、プロトコルではセカンドの2Tがカウントされず3A+SEQになっている。ここは3A+2T+SEQでいいのではないかと思うのだが、私のルール解釈違いだろうか。後半の演技でもスピードが落ちることなく、寧ろ後半に進むにつれてダイナミックさが増していった。にもかかわらずスコアは意外に伸びなくて本人も落胆。TESのGOE加点が少ないだけではなく、PCSがSPよりも悪く平均6.47に留まったことが要因だ。確かに彼のキャラクターイメージからすると大人しい印象のPGだったかもしれないが、よく滑っているという印象の方が勝っていた私としてはやや拍子抜けの結果だった。 昨年のGP仏大会ではPBSを出していただけに、今回の結果自体は期待通りではなかったかもしれないが、それでも怪我の回復は順調なようだ。昨年のイエテボリを直前の怪我で欠場していただけに今年のLAでの世界選手権ではもう一度彼の雄叫びが聞けるかもしれない。・・・・と期待していたら、どうやら彼のLA行きはキャンセル待ちのようだ。今年のLA行きのチケットはフランスには2枚しか用意されていないからだ。昨年のイエテボリ行きのそれは3枚もあったのだが・・・・。 サミュエル・コンテスティ Samuel CONTESTI (ITA) SP:75.95(3位)、FS:144.97(3位)、総合:220.92(2位) プレオベール以上にSP、FSで2本とも揃えてきたのは、昨シーズンにフランスからイタリアに国籍を変えて欧州選手権に帰ってきたマカロニ・ウェスタンだった。欧州選手権は4シーズンぶりということらしく、私にとってはお初の選手だったが、彼の発見は今大会での収穫のひとつでもあった。 SPはジャンプが完璧。特に着氷後の流れが良く、3本のジャンプはどれも文句なし。もっとGOE加点がついてもいいのではないだろうか。全体に音もよく取れていて流れがあった。ジャンプにクワッドを入れるか、PCSが7点台に上がれば、TSSで80点に届いただろう。 SPでは軽やかな「マカロニ・ウェスタン」を披露してくれたコンテスティだったが、FSではそれをエンターティメントたっぷりに再演してくれた。それもSPのアンコールを演じるようなショーマンシップで。 FSのPGはコンペティションというよりもショーナンバーのそれだった。実に楽しい。コスチュームもいい。腰のホルスターはフェイクだとしても、これがなくては「夕陽のガンマン」にはならない。PG構成もストーリー性があっていい。好みは分かれるかもしれないが振付けの演出も面白い。当然オーディエンスもノリノリ。圧巻は残り20秒足らずとなった正真正銘のエンディングで跳んで見せたジャンプ3連発。ただでさえエンターティメントたっぷりのPGなのに、その最後に用意してあったのはスリリングなスペクタクルだった。これが男子のフィギュアスケートだ! 実は私はエキシビションやアイスショーのようなショーナンバーが大好きだ。私がフィギュアスケートの魅力に引き込まれた大きな原点のひとつにエキシビションの存在があったと言ってもいいくらいなのだ。美しいのもいい。コレクティヴなのもいい。ドラマティックなのもいい。でも、そこに競技会ならではの緊張感に支配されたままでいるよりは、その緊張感を忘れさせてくれるほどに引き込んでくれるスケートに出会えれば、それに勝る歓びはない。 ただ一言付け加えておくことを私は忘れない。はっきり言う。今回のFSのPCS(68.20)は低すぎる。少なくともPEが低すぎる(平均7.05)。7.75をつけたジャッジはわずか一人で、あとは全員7.00以下。6.50というジャッジさえいた。 PCSの中のPEの評価軸のひとつとして「投影」というものがあるという記事を最近になって某ブログで拝見した。「エネルギーを放ち、観衆との目に見えないつながりを獲得しているか」という解釈で評価される基準と言うことだ。この評価軸を発見してくれたそのブログに感謝する一方で、この「投影」という評価軸を失念したかのようなジャッジの無機質さを再認識し失望してしまった。私なら少なくとも7.50以上は出す。そうでなければ、彼とオーディエンスとの間で共有した感動は報われない。もっとも彼のようなスケートに点数と順位をつけるのはそもそもヤボというものかもしれない。 点数と順位による競技会を忘れさせてくれるスケート、それがコンテスティだった。 ブライアン・ジュベール Brian JOUBERT (FRA) SP:86.90(1位)、FS:145.11(2位)、総合:232.01(1位) 「ヘルシンキには勝つために来た」 彼は勝負に拘っていたということだろう。しかし、その拘りは決して安全策を取ることなく、自らのアイデンティティにも拘りを持って勝ち取った誇り高き復権だった。欧州選手権8年連続出場&表彰台(今回を含めて3回の優勝)。これだけの輝かしい実績を残してきた彼だからこその優勝宣言なのだ。しかし、その結果は決して完勝というわけではなく、ある覚悟をもって成し遂げた復権だった。 SPでは勢いがあった。最初の4T+3Tが決まった後は勢いに乗って滑りきったという感じ。乗ってるときの彼のスケートは小気味がいい。ただ彼のステップはちょっと勿体ないかなと感じた。小刻みに(せわしなく?)よく動き、スピードもあってよく滑っているのだが、手の動きだけで上半身全体を使った動きにはなっていなし、エッジももう少し倒して深い確度(ディープ・エッジ)でターンを付けるとかしないと、今の採点方式ではレベルが上がりにくいだろう。ジャンプが素晴らしいだけに、これでステップがついてきたら天下無敵だろうに・・・・、と注文をつけはしたが、彼の魅力はやはりジャンプ。しかもクワッドだ。今大会でSP、FSともクワッドを入れてきたのは先述のポンセロ、最終滑走者のセルゲイ・ヴォロノフ、そしてジュベールの3人のみ。昨季の世界選手権でも発言していたように、彼のクワッドに懸ける思いは人並み以上のものがあるようで、男子たる者クワッドを恐ることなかれ、とでも言わんばかりだ。そして、自分自身の個性としても大切にしているようだ。ひとつの技に自分のアイデンティティを見せようとする、そんなジュベールのスケートは粋だ。(ジェフリー・バトルに不満をぶつけたのは蛇足だったが) 一方で、そのクワッドは男子にさえまだまだ両刃の剣であることがFSでも再現された。 FSのオープニングジャンプもクワッドだ(4T)。このクワッドが着氷で乱れ(オーバーターン)、GOEで平均0.96減点となってしまった。昨季までのルールなら(単純計算で)0.60の減点で済んでいたが、今季のルール改定で減点が1.6倍に跳ね上がったハイリスキーさが現実のものとなった格好だ。今季の最初のブログでも触れたが、4Tの基礎点自体は1.09倍(9.0→9.8)にしかなっていないので、減点の拡大率が基礎点のそれを大幅に上回るというアンバランスさだ。両刃の剣は両刃とも均等に研がれていてこそその意味を持つ。自分に向いている側の刃の方がよく切れるのでは危なくて使いこなせないというものだ。それでも彼にはまだ幸運が残っていた。(転倒したけれど)3Lzの回転不足は見逃してもらえたし、滑り込み不足と本人も認めるわりにはPCSで高い点が出たのは彼の貫禄の成せる業か。「滑り込み不足」と書いたのは、今回のFSのPGは年明けに変更した新PGだったから。昨年末のGPファイナル、全仏を腰痛で欠場した後、年明けから練習し始めたPGだということだ。シーズン途中の、故障明けの、しかもわずか3週間の練習で試したPGだったというわけだ。それも欧州選手権という大舞台で。 私はこのチャレンジに彼の並々ならぬ覚悟を感じた。それはLAでのワールドチャンピオンシップの奪還ではないか。そのためにはこのヘルシンキでどうしても試運転が必要だったのだ。安全策など取っている余裕はない。故障明けのコンディションを測りながら、クワッドを跳び、新PGを試す・・・・チャレンジが必要だったのだ。 であればこそ、冒頭の彼の優勝宣言を私はこう読まざるをえない、「ヘルシンキにはLAで勝つために来た」と。 09年欧州選手権の男子シングルは、フランス勢の上位独占で幕を閉じた。 優勝のジュベールはもちろん、4位にポンセロ、5位にプレオベールだ。2位のコンテスティだって2シーズン前まではフランスの選手だったから、彼を「フレンチ・カウント」したらトップ6にフランス選手は4人になるという勘定だ。(もちろん「ダッチ・カウント」はあっても「フレンチ・カウント」というのは私の造語だが・・・・) かくして、ヘルシンキのハルトヴァル・アリーナには「ラ・マルセイエーズ」が高らかに鳴り響いたのであった。 次回は女子シングル篇。 Au revoir.
posted by pbq1464 |22:48 |
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