2007年12月27日
SP部門賞ではTESでキャロライン・ザンとカロリーナ・コストナーが目立ち、PCSでは安藤美姫選手以下トップ6の顔ぶれが変わらない、という結果だった。
果たしてFSではどうなるか?
競技結果でも、SPとFSではかなり順位変動があった。部門賞ではどうだろうか?
各賞の意味は割愛するので、初めてご覧になる方やお忘れになった方は、お手数だが前回の「SPの部」をご覧いただきたい。
07/08 GPシリーズ FS部門賞
まずはFSの内、技術要素の部門賞。
FSの部: ベストTES
金妍兒 72.90(露)
金妍兒 65.56(中)
ジョアニー・ロシェット 64.71(露)
浅田真央 63.94(仏)
中野友加里 62.53(加)
浅田真央 61.74(加)
のっけからSPとは異なる結果だ。注目はロシェット。SP部門賞では1回もランクインしなかったが、FS部門賞ではいきなりのランクインだ。SPで出遅れてFSで挽回、の典型的な選手だったことを物語っている。それにしても、金妍兒の72.90は改めて凄いの一言。しかし金妍兒のTESでの驚きはこれだけではなかった。
FSの部: ベストBV
金妍兒 63.70(露)
浅田真央 61.00(仏)
ジョアニー・ロシェット 60.19(露)
レスリー・ホウカー 58.84(日)
中野友加里 58.53(加)
アシュレー・ワーグナー 57.65(仏)
トップ3は納得としても4位のホウカーと6位のワーグナーには軽い驚きがある。特にホウカーは技術評価が高く、実はフリップとルッツのエッジの使い方で素晴らしい結果を出しているのだ。今季のルール改正の注目点だった「エッジ判定」については、後日詳細をレビューする。
FSの部: ベストGOE
金妍兒 9.20(露)
金妍兒 9.00(中)
ジョアニー・ロシェット 5.18(加)
浅田真央 4.84(加)
ジョアニー・ロシェット 4.52(露)
中野友加里 4.00(加)
FS部門賞の内のTESの部でのハイライトがこのベストGOEの金妍兒だ。いかに彼女はGOEで大きな加点を得て、TESを伸ばしているのかが分かる。これが彼女の「技術の難易度ではなく、質でアピールする」という戦略が成功していることを雄弁に物語っている。
続いて、FSの表現・構成要素の部門賞。
FSの部: ベストPCS
浅田真央 60.96(仏)
金妍兒 60.80(露)
浅田真央 57.84(加)
キミー・マイズナー 57.68(仏)
キミー・マイズナー 57.28(米)
金妍兒 56.80(中)
トップ6の顔ぶれは3選手が2回ずつランクインし独占している。注目はマイズナー。TESでは1回もランクインしていなかったが、PCSではいきなり2回のランクイン。ジャンプが不調で低調なスコアに終わった今季のGPだったが、PCSは高い評価が確立していると見ていいだろう。
FSの部: ベストSS
浅田真央 7.85(仏)
金妍兒 7.75(露)
浅田真央 7.45(加)
キミー・マイズナー 7.40(仏)
金妍兒 7.35(中)
キミー・マイズナー 7.30(米)
ベストPCSとまったく同じ顔ぶれ、出場大会となった。唯一異なるのはマイズナーと金妍兒の5-6位が入れ替わったことくらい。
FSの部: ベストTR
浅田真央 7.40(仏)
金妍兒 7.35(露)
キミー・マイズナー 7.00(仏)
浅田真央 6.90(加)
キミー・マイズナー 6.85(米)
カロリーナ・コストナー 6.80(日)
SPと同様、FSでもTRは各選手とも少し低めに出ている。FSでもTRは高得点が取りにくいという傾向は変わらないということか。
FSの部: ベストPE
金妍兒 7.70(露)
浅田真央 7.65(仏)
キミー・マイズナー 7.25(仏)
浅田真央 7.25(加)
キミー・マイズナー 7.15(米)
カロリーナ・コストナー 7.15(日)
ベストTRとまったく同じ顔ぶれ、出場大会となった。唯一異なるのは1-2位が入れ替わったくらい。SP部門賞でも同様だったので、TRとPEとの間にはやはり相関があるのかもしれない。
FSの部: ベストCH
浅田真央 7.65(仏)
金妍兒 7.55(露)
浅田真央 7.30(加)
キミー・マイズナー 7.30(米)
キミー・マイズナー 7.25(仏)
カロリーナ・コストナー 7.20(日)
金妍兒と浅田真選手はともかく、マイズナーが引き続き2回ランクインしている。例えTESが悪くてもPCSの評価は高いのだ。
FSの部: ベストIN
金妍兒 7.65(露)
浅田真央 7.55(仏)
浅田真央 7.25(加)
キミー・マイズナー 7.20(米)
金妍兒 7.20(中)
安藤美姫 7.20(米)
最後にようやく安藤選手がランクイン。あれだけSP部門では各賞で上位ランクインしていたのにFSではこれだけ。いかにFSが不調だったかが如実に示されている。
SP/FS部門賞の総括
2回に亘ってSP、FSの両部門で各ベストスコアを並べてみたが、最後に、選手別にランクインした部門数&延べ回数の合計数でトップ6を再構成し、本企画の総括としたい。
金妍兒 SP:8部門(ランクイン10回)
FS:9部門(ランクイン14回)
合計17部門(ランクイン24回)
浅田真央 SP:5部門(ランクイン6回)
FS:9部門(ランクイン17回)
合計14部門(ランクイン23回)
K・マイズナー SP:6部門(ランクイン9回)
FS:6部門(ランクイン11回)
合計12部門(ランクイン20回)
C・コストナー SP:8部門(ランクイン9回)
FS:3部門(ランクイン3回)
合計11部門(ランクイン12回)
安藤美姫 SP:7部門(ランクイン7回)
FS:1部門(ランクイン1回)
合計8部門(ランクイン8回)
中野友加里 SP:2部門(ランクイン2回)
FS:3部門(ランクイン3回)
合計5部門(ランクイン5回)
最もよくバランスが取れていたのはやはり金妍兒。ほぼ全部門でランクインし、延べ回数でもトップ。
一見、延べ回数で金妍兒に肉薄しているように見える浅田真選手だが、その中味は偏っている。SPでのランクインの少なさをFSで大きくカバーしている。今季のGP全体を通して、SPで出遅れてFSで挽回する、という結果がここにも表れていた。
逆に、SPで良くてもFSで失速したのが、コストナーと安藤選手。ランクイン数がSPに偏っていることが如実にそれを示している。特に安藤選手の場合はランクインの中味も偏っている。ランクインしたのはほとんどがPCS部門であり、TES部門ではわずか1部門のみ。いかに今季の彼女が(本来得意の)技術要素で不調だったかを示していると言えよう。逆に言えば、(昨季まであまり得意とは言えなかった)PCSで健闘した結果とも言えなくもないが・・・・。
安藤選手と対極な結果を示したのが中野選手。SP、FSとも同様にランクインしているのだが、その中味はすべてTES部門。技術面の好調さが目立ったが、PCSではまだまだ伸びていないと見ることができよう。(私自身は彼女のPCSは良くなってきていると見てはいるのだが・・・)
全日本フィギュアスケート選手権大会
このブログをアップする頃には既に全日本選手権が開幕している。
渡部絵美さんや伊藤みどりさんが孤軍奮闘し、8連覇していた頃とは違って、今や全日本の女子シングルは世界でも有数のハイレベルの争いが行なわれ、世界からも注目されている。今回もメディアの関心はGPで活躍した選手と、上り盛りのジュニア選手に集中しているようだ。私がリスペクトするNHKの山本浩アナ(今は解説員?)があるセミナーでおっしゃっていたのだが、メディアから見ると「選手は若いだけでも価値がある」そうだ。若さは未来を示し、可能性という未知に溢れているということだ。そこに「ニュース=新奇性」の価値が見出せるというのだ。それに対し、ベテランは「経験」であり、「語れる要素」は多いかもしれないが、逆に未来や可能性の予測がしやすいので、「ニュース」が少ないらしい。ニュースとはそういうものかもしれないが、その法則に従っているだけでは面白くもなんともないだろう。
私に言わせれば、全日本選手権はそのような価値観とはまた別な視点で観るのが面白い。
全日本フィギュアスケート選手権大会はそのシーズンの日本チャンピオンを決める、国内最高峰の大会だということは言うまでもない。ポイントは国内の公式戦の最後に行なわれる大会だということだ(国体やインターハイ等は除く)。つまり、シーズンイン当初に不調だった選手や調整が遅れていた選手が復調を懸けて臨む大会でもあるのだ。
私が注目しているのは、鈴木明子、太田由希奈の2人。両選手とも長い故障からどの程度回復しているのか、故障期間中に激変した新採点方式にどう対応するのか、まずは元気な姿を見たい。もちろん、GPで不調だった安藤美姫、澤田亜紀、浅田舞の各選手の復調も気がかりだ。
今回というよりは今年はこれでお終い。次回お目にかかるのは、全日本も終えて、世界フィギュアと四大陸選手権の代表選手も決定した年明けとなろう。
ファンや関係者の方々はもちろん、選手の皆さん、良いお年を!
posted by pbq1464 |03:59 |
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2007年12月27日
ファイナル閉幕をもって、2007/2008 ISU Grand Prix of Figure Skating は全日程を終了した。そして、2シーズン連続で男女とも世界チャンピオンをファイナルで見ることは叶わなかった。もちろん世界チャンピオンと言えども調子の波はあるだろうし、所詮勝負は水物だから、チャンピオンが敗退することもまた驚くほどのことではない。しかし、男子チャンピオンは2シーズン連続で「コンディション不良」が原因でファイナル不出場となったことはどう捉えていいのだろうか?GPシリーズに対する選手自身のモチベーションや価値観に差があることもひとつの要因になっていると言ったら、思い過ごしだろうか?
とにかく今季のGPは終わった。今季は女子シングルで見ると、大会期間中43名の選手が出場し、内27名が2大会出場、16名が1大会出場であった。2大会出場27名の内、上位6名がファイナルに出場した。2大会出場した選手だけでも27名いるわけだが、大会が終わってしまえば、その27名の中でもメディアで報道されるのは各大会のメダリストくらいだ。当然、記録以外にも「記憶」で選手は語られていくのだけれど、一方で記憶というのは個人の主観や嗜好に左右されることは否めない。だからと言って、私は各選手の活躍を単純な大会順位やポイントだけの「記録」に留めたくないし、私の嗜好だけで「記憶」を語り尽くせるほどの語彙も持ち合わせてはいない。
そこで今回は、各選手の「良かったところ」をメディアでは採り上げない視点で、且つ客観的な基準で掘り起こそうという企画だ。私のポリシーでもある、「多様な視点と価値観」で各選手の良さをできるだけ見つけ出そうというのが趣旨。
題して、「07/08GPシリーズ部門賞」の発表だ。(ちょっと年末の「レコ大」を意識しているのがバレバレだが・・・・汗)
フィギュアスケートでは6人という単位がひとつの基準になっている。競技会の滑走グループは6人単位で構成されるし、GPファイナル出場枠も6人だ。この部門賞でも各賞はトップ6を発表する(あまり意味はないので目くじら立てないように願いたい)。
なお、この「部門賞」はGP出場数にも影響を受けるので、条件を揃えるため対象とするのはシリーズ2戦に出場した27選手。1戦しか出場しなかった選手やファイナルの成績は除外した。また、この企画は女子シングルのみに限らせていただいた。理由はまったくもって私個人の能力と時間の都合によるものだ。男子、ペア、アイスダンスの各ファンの皆さん、どうかご容赦を。
07/08 GPシリーズ SP部門賞
SPとFSでは、TESで要求される要素の種類や数が、PCSではスコアの掛け率が異なる(SPは0.8倍、FSでは1.6倍)。よって、SPとFSとでは区別して見ることにする。
まずはSPの内、技術要素の部門賞。
SPの部: ベストTES
SPの内、総合要素点(いわゆる技術点)だけで見たトップ6は以下の通り。カッコ内は記録した大会(以下すべて同様)。
敬称略(以下すべて同様)
キャロライン・ザン 36.40(中)
金妍兒 34.90(露)
ラウラ・レピスト 34.50(加)
カロリーナ・コストナー 34.10(中)
中野友加里 34.10(露)
エミリー・ヒューズ 33.80(加)
のっけから「意外」な結果で興味深くはないだろうか?ザンの技術要素の評価は高かったのだということが分かる。
SPの部: ベストBV
SPのTESの内、演技プログラムの Base Value(基礎点)だけで見たトップ6は以下の通り。技術的に高難度のプログラムを演じた選手が分かる。
カロリーナ・コストナー 33.80(日)
カロリーナ・コストナー 33.00(中)
キャロライン・ザン 32.60(中)
アリサ・シズニー 31.90(日)
エミリー・ヒューズ 31.20(加)
村主章枝 30.90(露)
コストナーのPGは高難度の要素で構成されていたことが分かる。ザンがまたもや「技術部門」でランクインしている。技術評価が高いことを裏付けている。但し、ここで挙げている基礎点は「実施した要素の基礎点」であって「予定していた要素の基礎点」ではないことにご留意いただきたい。
SPの部: ベストGOE
今度はGOEによるトップ6。基礎点が技術要素の「難度」を表すのに対して、GOEはその実施結果の「出来映え」や「質」を表す。GOEが高ければ「質」が高いことを表している。単に高難度の技術を持っているかではなく、その技術の「質」が高かった選手が分かる。
ラウラ・レピスト 4.50(加)
中野友加里 4.40(露)
金妍兒 4.20(露)
ジュリア・セベスチャン 3.86(中)
キャロライン・ザン 3.80(中)
安藤美姫 2.64(日)
ベストBVとベストGOEの両部門でランクインしたのはザンだけ。BV+GOE=TESなので、ザンが「ベストTES」だったのが納得いただけることと思う。金妍兒はSPではこの結果だったが、後述するFSでは劇的な結果となって表れる。
続いて、SPの表現・構成要素の部門賞。
SPの部: ベストPCS
SPの内、総合構成点(いわゆる表現点、以前だったら芸術点)だけで見たトップ6は以下の通り。
安藤美姫 29.68(日)
浅田真央 29.40(仏)
キミー・マイズナー 28.84(米)
金妍兒 28.60(露)
カロリーナ・コストナー 28.40(日)
キミー・マイズナー 28.04(仏)
安藤選手はこれまでTESは高いがPCSが低め、ということが多かったが、今季のGPシリーズでは逆の結果が出た。これは「表現力を磨く」というシーズン目標に適った結果となった。
マイズナーは2戦ともトップ6に入り、SPのPCS評価が安定して高い。金妍兒とコストナーの2人は、TESでもトップ6に入っていることから、合計のTSSも高いことが分かる。つまり、この2人は今季GPのSPが好調だったことを裏付けている。
SPの部: ベストSS
PCSの内、Skating Skills、いわゆる全体的なスケーティング技術とその質を評価する項目のトップ6。PCSの中でも最も「技術色」の強い要素で、TESの高い選手はこのSSでも高評価される傾向があると言われている。
浅田真央 7.60(仏)
安藤美姫 7.45(日)
キミー・マイズナー 7.40(米)
金妍兒 7.30(露)
カロリーナ・コストナー 7.30(日)
浅田真央 7.20(加)
ご覧のようにテクニカルな選手がランクインしている。ちなみに、7-9位の選手は、金妍兒、マイズナー、安藤。やはり同じ顔ぶれだ。
SPの部: ベストTR
Transitions、「要素と要素の間の滑り」を評価する項目のトップ6。5コンポーネンツの中で最も点を取りにくい項目と言われている。
安藤美姫 7.30(日)
浅田真央 7.00(仏)
キミー・マイズナー 6.90(米)
カロリーナ・コストナー 6.90(日)
金妍兒 6.85(露)
キミー・マイズナー 6.75(仏)
昨季まで安藤選手のPCSが低めだった要因のひとつがTRだったのだが、今季GPでは一気にベストTRとなった。彼女のPCSの評価が高まっていることがここからも伺われる。
SPの部: ベストPE
Performance/Execution、「身のこなし」や演技の全体的な質や動きの正確さを評価する項目のトップ6。「演技力」と解釈してもいいだろう。
安藤美姫 7.50(日)
浅田真央 7.35(仏)
キミー・マイズナー 7.10(米)
カロリーナ・コストナー 7.10(日)
金妍兒 7.10(露)
キミー・マイズナー 7.10(仏)
ベストTRとまったく同じ顔ぶれ、順位、出場大会となった。TRとPEとの間には相関があるのかもしれない。参考までに7-10位を見てみたら、やはりTRとPEは同じ顔ぶれになった(安藤、金妍兒、浅田真、サラ・マイアー)。興味深い結果ではないだろうか。
SPの部: ベストCH
Choreography、通常は「振付け」と訳されるが、楽曲と動きの調和やPG構成のバランスだけではなく、動きの独創性も評価する項目のトップ6。「芸術性」と解釈してもいいだろうか。
浅田真央 7.45(仏)
安藤美姫 7.40(日)
キミー・マイズナー 7.25(米)
カロリーナ・コストナー 7.15(日)
金妍兒 7.15(露)
金妍兒 7.05(中)
SPの部: ベストIN
Interpretation、楽曲をどう解釈し、それをどのような動作で表現しているかを評価する項目のトップ6。「表現力」と解釈してもいいと思う。
安藤美姫 7.45(日)
浅田真央 7.35(仏)
金妍兒 7.35(露)
キミー・マイズナー 7.30(米)
金妍兒 7.10(中)
カロリーナ・コストナー 7.05(日)
キミー・マイズナー 7.05(仏)
サラ・マイアー 7.05(日)
同点6位が3選手いたため、トップ6は延べ8名となった。
(TESに比べて)PCSの部門賞を見ると、多少順位の変動があるもののトップ6の顔ぶれはほとんど変わらない。換言すると、ここにランキングされた上位6選手のPCS評価は安定していて、ジャッジからの評価がある程度確立していることが想像できる。各大会で好成績を挙げているトップスケーターならではの顔ぶれとしては納得のいくものではないだろうか。
次回は、FSの部門賞。SPでは良くてもFSで崩れる、SPが悪くてもFSで挽回するというシリーズの結果概要から推察すると、FSではまた違った結果になると予測される。
乞う、ご期待。
posted by pbq1464 |00:36 |
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2007年12月26日
前回のブログで想定外の反響があったので多少戸惑ったこともあったが、年末で生業にも忙殺されるときだから、ここはマイペースを崩さずにいこう・・・・、なんてタカをくくっていたら、あっという間に全日本選手権が近づいてきてしまった。
このまま、全日本の話に突入してもよいのだが、自分としてはGPシリーズを軽く総括したい気持ちもくすぶっているので、今回は少し07/08GPシリーズについて総括的な所感をまとめてみたい。最後には全日本についても、ひとくさり触れられればよしとしよう。
GPファイナルが終了し、07/08シーズンのGPシリーズが閉幕した。結果そのものについては終わったことだから今さらさして書くこともないが、いくつか私なりに気づいたことがあったので、まとめて書いておこう。
特に前回のブログで書いた「GPファイナルの構造的欠陥」については、少なからず反響があり、GPシリーズについては疑問を持っている人は少なくないのだなあと改めて知ることになった。その点も踏まえて、マスメディアが採り上げていない視点で書くことに努めたい。
07/08 Grand Prix Final TORINO
浅田 真央
マスメディアは相変わらず煽ることしかできないのかなあ、という思いがした。あるいは、新採点方式をいまだに理解していないんだなあ、とでも言ったらいいのかもしれない。
浅田真選手がSPで6位(最下位)と出遅れたときの報道のことである。当日~翌日の各メディアでは、「最下位」とか「大波乱」、「大ピンチ」等々のヒステリックな見出し、アナウンスが躍った。(ルールを解釈していない人の)ファン・ブログを覗いてみても同様のヒステリックで悲観的なコメントが見られた。
何を騒いでいるの?という感じだ。私は何も心配していなかった。確かに最下位スタートではあったが、3位のコストナーまでは全員が59点台。ということは浅田真選手の59.04との差は1点未満だ。2位のザン(61.82)とだって、3点未満の差に過ぎない。これくらいの点差であれば、2位以下は団子状態と言ってもいい。まして彼女のフリーのPGで予定している基礎点の高さを考えれば、普通に演技すれば十分ジャンプアップすることは難しくないはずだ、と思うのが当然だ。私だったら「混戦のSP。FSでノーミスなら逆転可能」というくらいのコメントを出す。
彼女の今季のSPは確かにミスが減らない。演技中に立て直すこともうまくいっていない。しかし、日を改めて仕切り直しとなるFSでは(開き直りもあるせいか)クリーンな滑りを見せてくれている。3月の世界フィギュアでも同様だった。確かにFSで1番滑走となるのは経験がなく「緊張した」かもしれないが、他の選手の結果を気にせず滑れるということでむしろ「良い緊張感」を持って自分のスケートに集中できたのではないか。
唯一気がかりだったのは、1位の金妍兒(64.62)との差が5点以上開いていたこと。二人の実力と今季の金妍兒の出来を考えた場合、ちょっとひっくり返すのは厳しいかなと思った程度だった。
5点以上開くと、基本的には上位選手が転倒などの大きなミスをしてくれないと、逆転は難しいものだ。例えば、3Lzが回転不足で転倒となった場合、本来は基礎点6.00が稼げるところを、基礎点が2Lzの1.90にダウングレードされた上にGOEが-3(2Lzでは-1.00に換算)になり、本来6.00のところが0.90にまで下がってしまう。さらに転倒のディダクションでTSSからも-1.00減点され、トータルで6.10も失ってしまうような場合だ。こういう大きなミスが出れば、5点差があってもひっくり返せる計算になる。それを知っているからこそ、浅田真選手もSP後のインタビューでもさほど悲観していなかったように見えた。
現在のISUジャッジングシステム(新採点方式)では、SPの順位は「FSの滑走順を決める」こと以外に意味を持たない。大切なのはスコアだ。(比較する選手のポテンシャル、コンディションにも左右されるが)上述のように目安としてSPの点差が5点以内くらいであれば、FSでの順位変動は十分考えられる。もっとも、SPで下位になりFSの滑走順があまりに早くなると、TV中継に映らない、或いは生中継の枠に入れなくなり「録画映像」になって、という競技以外の部分での影響はあるかもしれないが・・・。
確かに旧ルール下ではSPの順位は重要だった。FSの滑走順が早くなるほど採点に不利であり、何と言っても「順位点」が勝敗を決したからだ。新ルールではそのシステムが一掃されたので、SPの順位は事実上意味を持たなくなってしまったのだ。
果たして、彼女はFSで見事な挽回を見せてくれた。3Aが両足着氷だったのは惜しかったが、今季初めて「降りられた」ことで自信回復には十分だったろう。3-3のコンビネーションでセカンドジャンプが回転不足だったが、技術審判が見逃すという僥倖も重なった。本人も試合後にコメントしていたように、3Aをなんとか乗り切ったことでその後のリズムをつかめたことが全体的には大きい。FSのTSSで132.55は立派だ。
この高得点の原動力となったのは実は3Aではない。3-3のコンビネーションを2回入れたこと、ジャンプ以外の要素でレベル4を多く取れたこと、この2点が大きい。先の世界フィギュアで133.13のFS最高スコア(当時)を出したときの基礎点は65.48で、3-3は1回、レベル4のスピンは2つ。それに対してこのファイナルでのそれは基礎点が70.05、3-3が2回、レベル4は4つも取れたのだ。プログラム自体の難易度が上がっていたということだ。もちろん、たとえFSと言えども跳べるジャンプの種類には限りがあるので、組み合わせの違いだけでしかないのではないか、という異論もあるかもしれないが、換言すれば、組合わせの違いで高得点を取れるように考案したタラソワ&アルトゥニアン両コーチの巧みなPG作りと、それを演じてみせた浅田真選手のレベルアップは賞賛に値する。
金 妍兒
一方で、浅田真選手とはまったく異なるアプローチでそれを上回ってみせたのが金妍兒ということになろう。
結果的には浅田真選手の132.55には及ばなかったが、転倒の大ミスがありながら僅差の132.21のスコアが表示されたときには、私は思わず唸ってしまった。例によって、勝負事には「たられば」は禁句だが、もし転倒がなくノーミスだったら、最低でも4.00は加算されることになる。つまり136.21以上のビッグスコアになっていたところだったのだ。
もちろん、そんな仮定の話などしなくても、金妍兒の演技内容は素晴らしかった。
130点以上のスコアは今季2度目で、2大会連続だ。しかも彼女はSPでも失敗しているのにSPでもトップの64.62というハイスコアをたたき出している。これまた「たられば」で言うと、最初のコンビネーションを予定通りクリアしていれば、最低でも6.60は加算され、71.22以上のビッグスコアになるところだった。つまりSPでも世界フィギュアで出したSP最高スコア(71.95)に迫る、或いはそれさえ上回る最高スコアを出せたことになる。FSの「たらればスコア」との合計で207.43(+α)だ!これは正に男子並みのスコアで、実現していたらフィギュア界ではちょっとした「事件」になっただろう。
金妍兒の「まったく異なるアプローチ」とは、基礎点の高い高難度のプログラムで滑るということではなく、出来映えの良さでGOEを稼ぎ高得点を出すという戦略のことである。彼女のFSの基礎点は浅田真選手のそれよりも5点以上低い(64.95)にも関わらず、GOEを加算したTESでは1点差にまで接近していた(72.25)。7.30もGOEで稼いだ計算になる。(浅田真選手のGOEの加算分は3.30)
しかし、私が彼女を本当に評価するのは別のところにある。それは演技序盤で転倒という大ミスを喫しながら、それを引きずらず立て直してみせた彼女の精神力の強さだ。私が今季、彼女は手が付けられないほどに強い、と確信したのは、130点超えのハイスコアを連発したことではなく、他ならぬこの演技中のリカバリーなのであった。
中野 友加里
中野選手はまたもや3Aを成功。国内の東京選手権も含めると、4回跳んで4回とも成功、確率100%だ。これまた立派の一言に尽きる。(まだシーズン中だが)シーズン中に複数回挑んだ3Aをすべて成功させた選手というのは記憶にない。この好調に彼女の表彰台を期待していたファンや関係者の方々は当然高得点を期待したとは思うが、残念ながらそうはならなかった。
なぜか?
彼女のPGはコンビネーションが3-2なのに加えて、3回許されているコンビネーションを2回しか入れていない。これではTESが伸びない。PCSは7点近くまで上がってきているので、今後はコンビネーションを中心にPGを見直すことが必要になるのではないか。今季、コンディションは上々なだけに、来る全日本で世界フィギュアのチケットを確保した暁には、世界フィギュアへ向けて再度PGを作り直すことに是非挑戦してほしいと思う。
キミー・マイズナー
私はマイズナーの不調さをかなり心配している。先日、仏大会での彼女の不調の原因を、PGの楽曲と振付けが自分のリズムに合っていないのではないか、と私は書いたが、今回も前回のビデオを繰り返して見るような錯覚に襲われてしまった。しかも、さらに画質が落ちてしまったビデオを見るような感じで・・・・。
シーズン真っ只中で普通はコンディションが上がってきていてもおかしくない時期に、これだけジャンプが不調なマイズナーを私は見たことがない。ジャンプの軸が取れていないように見える。ジャンプの軸がいつもより傾きが大きいように見える。そのため着氷で堪え切れず転倒を繰り返してしまったように見える。彼女は全種類のジャンプを跳べる数少ない選手の一人なのだが、今季はフリップが「リップ」に判定されるケースが多い。誤解を恐れずに言えば、彼女のフリップがアウトエッジになっているのだというなら金妍兒のフリップも「同罪」だろう、というのが私の確信だ。どうもマイズナーのフリップには厳しい目が注がれているとしか思えない。これが彼女のジャンプの調子を狂わせているのだとしたら、ある意味、安藤美姫選手と不調の原因と重なって見えると言ったら言い過ぎだろうか・・・。
高橋 大輔
結果そのものは惜しかった。一方で、ランビエールとの対決は興味深かった。
SPで首位に立った高橋選手は、TESでランビエールの後塵を拝しながらもPCSで上回った。FSは逆の結果になった。そのPCSでランビエールに一歩譲ってしまったのだ。FSのTESでランビエールが4Tを失敗したのに、クリアーな演技をした自分が勝てなかったことを高橋選手は悔いたが、私はPGの出来の違いもあったように思う。ランビエールのFSのPGはフラメンコのリズムが彼の得意のスピンを活かしきっていて、ドラマチックな楽曲とよく調和していたように思う。この印象がPCSの結果を分けたように思う。いずれにしても僅差であり、換言すれば「印象度」の差しかなかったように思う。
もっとも、スコアに表すと僅か0.16の差でも順位が決められてしまうのが、今の採点方式なのではあるが・・・・。
posted by pbq1464 |22:44 |
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2007年12月15日
いよいよ明日からGPファイナルが開幕する。
シリーズ6戦の成績により出場選手の調子や出来を見ていれば、各カテゴリーとも凡その予測はつくだろう。もちろん勝負は水物で必ず波乱が付き物だ。「結果・順位」を楽しみにしている人であれば、むしろ波乱があった方が面白いという言い方もできるかもしれない。各選手のファンであれば、応援する選手に波乱などあってほしくはなく、ただひたすらベストの演技を期待し、結果・順位は後からついてくるものという楽しみ方もあるだろう。もちろん私の楽しみ方は後者であり、各選手がベストを尽くし、演技終了後の晴れやかな表情こそ楽しみにしている。
各選手のプロフィールについては既に書いているし、コンディションについても新しい情報があるわけでもないので、GPファイナルについてプレビューを書くための材料は乏しい。そこで、今回は他メディアでは採り上げていない、ちょっと捻った分析視点とややシニカルな評論的視点で、「誰も書かなかったGPファイナル」というものを書いてみようという次第だ。どこかのブログで誰かが書いているかもしれないが、少なくともマスメディアでは書かれていないことに挑んでみようというわけだ。
まずは「ちょっと捻った分析視点」からのGPファイナルの展望だ。
シリーズ6戦を終了し、シリーズポイント上位の6選手がファイナリストとなり、7-9位の選手が補欠になる。それらの選手のポイントランキングを再度採り上げても面白くもなんともない。(再度確認したい人はISUかテレ朝のサイトでどうぞ)
そこで、ここではゴルフのアマチュア大会で使われている方法を拝借し、「ちょっと捻った」ランキングを作って見た。
ベスト・グロス (略称:ベスグロ)
アマチュアゴルフではOUT+INの合計スコアにハンディキャップを換算した成績で順位を決定する方法がよく使われる。フィギュアスケートではハンディキャップがないので、ここではシリーズ2戦合計の総合スコアのランキングを作ってみた。シリーズポイントによるランキングとは順位が異なることに注目してほしい。
男子シングル
1位 高橋大輔 463.19
2位 J・ウィア 461.74
3位 E・ライザチェック 449.44
4位 P・チャン 428.27
5位 T・ヴェルネル 418.82
6位 S・ランビエール 411.06
7位 K・VDペレン 407.30
(8-9位は割愛)
女子シングル
1位 金妍兒 377.88
2位 浅田真央 357.46
3位 中野友加里 342.20
4位 J・ロシェット 338.09
5位 K・マイズナー 321.97
6位 S・マイアー 310.32
7位 C・ザン 309.69
8位 A・ワーグナー 308.69
9位 C・コストナー 308.55
男子は、シリーズポイントでは補欠(9位)だったヴェルネルが4位に浮上する。同6位だったペレンは逆に7位に下がり、このランキングではファイナルに出られないことになってしまう。
女子はもっと順位変動が著しい。シリーズポイント9位で補欠のロシェットが4位、同7位で補欠のマイアーが6位に浮上。ファイナルに出場する6位で出場するザンは7位に、4位だったコストナーに至っては補欠にもなれなかったワーグナーよりも下回り9位まで後退してしまう。
これはどうしたことか?実は、ここにGPファイナル最大の構造的欠陥があるのだ。(詳細は後ほど)
大波 (おおなみ)
ゴルフでは各ハーフのスコアを比較して、まったく同一スコアのプレイヤーを「水平」と称して表彰。逆に、各ハーフのスコア差が激しいプレイヤーを「大波」(つまり波が大きかった)と称して、正規順位とは別に特別賞を与える(あくまでも主催者の「企画」として)。
今回のGPで2戦のスコアが小数点第2位まで同スコアだった選手はいなかったので(というよりも実際には稀)、「大波」を今回のGPに当てはめて、シリーズ2戦のスコア差でランキングを作ってみると以下のようになる。(スコアが「+」になっているのは1戦目よりも2戦目のスコアが高かったもの、「-」になっているのは2戦目が低かったもの)
男子シングル
1位 T・ヴェルネル +40.08
2位 S・ランビエール +26.62
3位 A・グリアツェフ -23.30
4位 A・プロベール +12.70
5位 E・ライザチェック +9.28
6位 S・カリエール +8.65
7位 高橋大輔 +5.25
(8-9位 割愛)
10位 K・VDペレン +2.20
11位 J・ウィア -1.82
12位 P・チャン +1.61
女子シングル
1位 E・ヒューズ +21.92
2位 C・コストナー +20.83
3位 金妍兒 +16.52
4位 安藤美姫 -16.08
5位 S・マイアー +16.02
6位 村主章枝 +11.02
(7-8位 割愛)
9位 K・マイズナー -4.49
10位 中野友加里 +3.34
11位 C・ザン +2.99
12位 浅田真央 +2.14
このランキングは2戦のスコア差が大きかった選手ほど上位になり、スコア差が小さかった選手ほど下位になる。一見するとこのランキング単独ではあまり意味をもたない。ヴェルネルはNHK杯で大幅にスコアを上げたけど、シリーズポイントが低くファイナル出場はできなかったし、安藤選手はやっぱりNHK杯が悪過ぎ。せめて第1戦並みのスコアであればNHK杯は3位になり、総合スコアでザンを上回り、ファイナル出場ができたのにね・・・・、ってなことが分かるくらいだ。
実は、このランキングは、シリーズポイントと先述の「ベスグロ」ランキングと合わせて見ると、面白いものが見えてくるのだ。
この「大波」ランキングは、2戦目で大きくスコアを伸ばした選手が分かる。これは、調子が上がってきているということを意味する。逆にスコア差が小さい選手は「安定」している、あるいは調子が上がってきていないということを意味する。この視点を先述の2つのランキングと合わせてみると、以下のようなファイナルの展望が見えてくる。
男子シングルの展望
高橋選手とウィアは2戦ともスコアが高く安定しており、ファイナルでは「本命」と「対抗」と見ることができる。「穴」はランビエール。2戦目で大きくスコアを伸ばし、調子を上げてきている。
女子シングルの展望
金妍兒は1戦目が既に高く、2戦目でさらに大きくスコアを伸ばしている。スコアが高い上に、調子はさらに上がっていると見られる。断トツで「本命」だろう。「対抗」は浅田真と中野の両日本選手。2戦のスコアが安定しており、ファイナル出場者の4位以下をベスグロで大きく引き離している。「穴」は誰か?敢えて挙げればコストナーか。2戦目で大きくスコアを伸ばしたように見えたのは、実は1戦目が低かっただけであり、ベスグロは決して高くない。しかし、ホームで迎えるファイナルだけに期待値を込めて「穴」としておこう。
競馬の予想のように大会の結果予測をしたことは選手の皆さんには失礼なことではあるが、失礼を承知でこのようなランキングを作ってみたのは、情緒に流されることなく客観的にスコアを見ていくとこのような見方もできる、ということを示したかったからだ。もちろん、こんな機械的な数字でフィギュアは楽しむものではないことは百も承知。こんな数字に惑わされることなく、すべての選手に「今自分が出来るベスト」を尽くしてほしいと願うばかりだ。どうかご容赦を。
GPファイナルの構造的欠陥
最後に、先に述べた「GPファイナルの構造的欠陥」について記そう。
せっかくファイナルを楽しみにしている方々やファイナルを目標にしてきた選手には、誠に失礼で、なんともシニカルなことを書くようだが、私にはどうしてもGPファイナルという大会は疑問だらけの大会に思えてならないのだ。この点は敢えてメディアは触れないので、ここに「誰も書かなかったGPファイナルの真実」を書いて、今回のブログを締めくくろう。
まず、GPシリーズは「賞金大会」として始まった。90年代後半に「チャンピオンシリーズ」の名称で始まったのが最初で始まってまだ10年かそこらの歴史の浅い大会だ。80年代に入り、アマチュア規定が曖昧になり、世界チャンピオンや五輪ウィナーが次々にプロになっていき、アマチュア競技会からスター・スケーターが流出していく状況を危惧したISUが、「賞金」を設定することでアマチュア選手の引き止めを図ろうとして始まった大会なのである。現在も以下のような賞金が設定されている。
シリーズ6戦
1位 18,000 USD
2位 13,000 USD
3位 9,000 USD
4位 3,000 USD
5位 2,000 USD
ファイナル
1位 25,000 USD
2位 18,000 USD
3位 12,000 USD
4位 6,000 USD
5位 4,000 USD
6位 3,000 USD
(ファイナル出場者は全員賞金がもらえる!)
歴史が浅いことや賞金大会であることは問題ではない。問題はファイナル出場者を決定する方法である。
周知の通り、ファイナル出場者はシリーズポイントの合計点の上位6選手が出場する(同点のタイブレイク方法については省略)。このシリーズポイントが曲者なのだ。シリーズポイントは順位ごとに点を与える、いわば「順位点」だ。ここで、おやっ?と気づいた人は鋭い。順位点とは、ISUジャッジングシステムの名の下に旧来の採点方式を排し、新しい「客観的な」採点方式を提唱する際に、旧採点方式の「悪の権化」のように糾弾された「悪法」のひとつだ。(順位点がなぜ悪法なのかを知らない方は、Wikiで調べてみてください。具体例を挙げて解説しています)
旧ルール時代の順位点とGPのシリーズポイントをまったく同列に扱うことは乱暴かもしれないが、せっかく新ルールでは「ISUスコア」というものを採用し、当然そのISUスコアでGPシリーズも競っているのに、なぜファイナル出場者をISUスコアの合計点で決めないのか?
ここで、このブログの前半で書いた「ベスグロ・ランキング」をもう一度見ていただきたい。
このISUスコアの2戦合計点で作ったベスグロ・ランキングの顔ぶれは、実際のファイナル出場者とは異なる。変動の激しい女子を見てみると分かりやすいだろう。4位のロシェット、6位のマイアーはいずれもファイナル出場を逃している。特にロシェットのベスグロはザンのそれを30点近くも上回っている。ロシェットのベスグロの内容も、168.18、169.91、と2戦とも素晴らしい。ところが、各大会の組合わせはいずれも強豪とぶつかり、2戦とも3位で終わってしまったのだ。コストナーはNHK杯で164.69を出したが、ザンは2戦とも150点台に終わっている。ファイナルがシリーズ上位選手で争う大会なのであれば、誰が相応しいのかが言わずとも分かるだろう。
もちろん私だって、もう一度ザンは見たい。地元開催だからコストナーの出場もいいだろう。しかし、ルールというのは公明正大であるべきだろう。その精神の下にISUスコアは生まれたのではなかったか。
例によって、日本国内の放送権をもつテレビ朝日は、GPファイナルを「世界一決定戦」と喧伝し、(「真の世界一」を決める世界フィギュアの放送権をもつフジテレビ以外の)他のメディアもそれに追随しているかのような報道をしている。しかし、真実はどこにあるのかは明らかだ。
もちろん、ファイナルに出場する選手の実力に疑問を挟むつもりは毛頭ないし、純粋に選手の演技を楽しもうとするファンの期待に水を差すつもりもない(私だって楽しみにしている)。それでもやはり、このような方法で出場者が決定されるGPファイナルという大会のウィナーに「世界一」の称号を与えることには無理があるという思いは消えない。
それゆえ私は、GPファイナルをシリーズ6戦後の“Extra Event”、即ち「エキシビション大会」として楽しんでいるという次第だ。
posted by pbq1464 |01:56 |
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2007年12月13日
NHK杯の生観戦レポート第3弾(最終回)。今回は女子シングルの後半。
Saturday Report from SENDAI
LADIES: Short Program & Free Skating - 2nd Half
今回の女子シングル、そして今季GPシリーズ最大の波乱はいかにして起きたか。結果そのものは既報の通りで、それ以上でもそれ以下でもない。今季最大の波乱は試合の直前に、いや既に大会前から伏線があったのだ。それに気づかなかった私自身の悔恨と反省を込めて、今回は特別に試合前の状況についても詳しく触れたい。少し長くなるがご容赦を。
安藤 美姫
世界チャンピオンの悩みは深い。あまりに多くのことが一度に彼女を悩ませている。今大会の結果やリベンジの機会を逃したことを言っているのではない。そこまでに行き着くプロセスや要因、そして新たに出現した技術的な問題に喘いでいる姿が、見る者の胸を打つからだ。
(一部で報道された)オフアイスのプライベートに関わる悩みには触れまい。フィギュアファンとしては見守るしか術がないし、このブログを立ち上げたときの方針として、このブログを特定の選手へのファンブログにしたくないという趣旨を固持したいからだ。ゆえに、敢えて彼女のオンアイスの部分にだけ焦点を当てて、彼女が現在抱えている困難について記そう。
公式練習中の安藤選手の状態は、今季に入って最も良い状態のように見えた。世界チャンピオンになった後のバーンアウト状態からトレーニングに入るのが遅れ、調整不足のままシーズンインしたことは前回も書いたが、(慢性状態の肩の故障は除いて)それでもフィジカルトレーニングは順調なように見え、事実、彼女の身体は大変良く絞れて、切れが戻りつつあるように見てとれた。JSFの伊東強化部長でさえ「(4Sをバシバシ跳んでいた)ジュニア時代に戻ってきている」と喜んでいたほどだ。番宣を兼ねたNHKニュースでも報道された映像を見た方も多いと思うが、公式練習中の彼女の4Sは最近では一番の出来で、メディアがこぞって「大技解禁あるか?」と騒いだのも肯けた。単に成功率が高かったというのではない。その質が大変良く、きれいに回りきったクリーンな4Sを連発していたからだ。彼女の練習中の4Sは世界フィギュアの公式練習中でも見られたが、正直言ってあのときの4Sでは実戦では回転不足を取られていた可能性がある。ところが、今回の4Sであれば、例え回転不足に一層厳しくなった今季でもクリーンな4Sとして認定されるだけではなく、GOEでも+1~2の加点さえ付いただろう。着氷後の安定感、姿勢、流れにも大変きれいなものがあったのだ。
なぜ、ここまで「練習中の4S」について言及するかというと、彼女の場合は、例え練習中でも4Sの出来は彼女のコンディションを表すバロメータになっているからだ。細やかで、優雅で、セクシーな、大人の女性の表現力を今季の目標にしているとは言っても、やはり彼女にとってはジャンプの出来が全体の演技に影響することは否定できない。しかし、4Sの出来の良さばかりが報道されていた背後に、実は大きな問題を抱えていたことは、滑走前の6分間練習を見るまでは気づかなかった。
安藤選手は大変真面目で、むしろクソ真面目と言ってもいいくらいに、課題に向き合って取り組む選手だ。メディアや知人から伝わる情報を総合すると、今季の彼女の取り組み目標は、フリップの修正、2A+3Tのマスター、エレガントかつダイナミックな上体の使い方を入れたSlStでのレベル4獲得、ビールマンスピンなしで難しい姿勢変化を組み込んだスピンでのレベル4獲得、柔軟性を強化し姿勢の美しさを増すこと、全体的に「曲で踊る」ような表現力、そして4SをPGに復活させること・・・・、とんでもないほど高度で、多くの目標を同時に掲げ、それを生真面目に取り組んでいるということだ。トップクラスの選手であれば、誰しも高度の課題に取り組んでいるのだとは思うが、これだけの内容を1シーズンで同時に取り組むというのには驚きを隠せない。何事にも順番と言うものがあり、ひとつひとつクリアしていくというのが定石だと思う。他の選手を引き合いに出して比較するのは多少気が引けるが、他のトップクラスの選手でもやはり課題にはプライオリティが付けられていて、ジャンプよりもステップを優先的に取り組んでいる、というようなことが普通に見られる。これが定石だと思う。安藤選手は真面目すぎるのか、志の高さが逆に災いしているのか、或いはモロゾフ・コーチの方針なのか、兎に角、多くの目標に一度に取り組んでいるように思えてならない。
その結果、予想もしなかったことが起きた。
フリップのエッジ矯正に真面目に取り組んでいるのは大変賞賛されるべきことで、実際に成果も挙げている。今季のGPシリーズではSP、FSで合計4回フリップを跳んでいるが、すべてインサイドエッジで跳べている(シーズン前の日米対抗でも既に矯正できていた)。長年、身体に染み付いていた癖をわずか半年かそこらで矯正できていることは驚愕の一言に尽きる。ところが得意のルッツが狂い始めてしまった。私は初戦の米大会で3Lz+3Loを3Lz+2Loに抑えたのは肩の故障の影響だと思っていたし、報道や他のブログでも例外なくそのように見ていた。実はルッツが不調のため、セカンドジャンプをダブルに抑えざるをえない状況だったということが真相だった。
会場で間近に見て合点がいった。ルッツの軸が本来のものよりも斜めになっているのだ。なぜそうなったのか?それはフリップの修正の副作用のようだ。彼女のフリップは今のところエッジ修正はできているが、まだ「完成」はしていない。現在のフリップはインエッジ側に身体全体を傾けて踏み切ることで対応している。これで踏切りエッジを修正しているわけだが、そのお陰で軸まで傾いてしまっているのだ。解説の佐藤有香さんや荒川静香さんが安藤選手のフリップを見て、「斜めになっていましたが、なんとか着氷をこらえましたね」と口を揃えていたことがそれを証明している。実際、踏切りエッジは認定されているが、空中姿勢と着氷の質がいまひとつのため、GOEの加点はもらえていない(もちろん、今はそれで十分だと思うが・・・)。
いよいよ、試合当日のレビューに移ろう。
SP自体は無難にこなした。SpSqは昨季以上に足が高く上がり、さらに美しさを増したが、アウトからインへエッジチェンジする際にバランスを崩したのだけが勿体なかった。このためインエッジでの姿勢が3秒間保持できず、レベル1になってしまった。いつもはレベル4+GOE1.0以上で合計4.4以上は取っていたが、結局GOEでも減点されて1.74に留まった。このミスだけでも2.66以上も失ってしまった計算になる。
いつもはTESが注目されることが多い安藤選手だが、今回のSPで特筆すべきはPCSだった。5コンポーネンツはすべて7点以上の高得点(7.30~7.50)をマーク、合計のPCS29.68は今季の全選手のSPで最高得点だった。SPについては「SpSqのミスで2位発進になったが首位のコストナーとは僅差(0.72)なのでFSで十分逆転できる」という報道ばかりで、PCSが今季最高得点だったということについて触れたメディアは皆無だった。いたずらに盛り上げることしか知らない民放やスポーツ紙はともかく、NHKくらいはきちんと採り上げるべきだろう。
そして迎えたFS。会場で6分間練習の彼女のジャンプを実際に見たとき、先述のルッツの異変に気づいたわけだ。そして、そこにアクシデントが重なった。3Lz+3Loの練習で(狂い始めた)ルッツが斜めになって回転不足を起こして転倒。その転倒の際にエッジで右太腿の内側を突いてしまった。注意深く見ていた人は、その傷から出血していたことに気づいただろう。先に「アクシデント」と書いたが、ルッツの不調がもたらしたのだから、この負傷は起こるべくして起きたものと言ったら酷だろうか。
本人は、痛み自体は大したことはなかったと試合後に言っていたが、これは彼女ならではの「我慢強さ」の成せる業だろう。経験した人であれば簡単に分かるが、エッジで出血するほど突いて痛くないはずがない。出血中はズキンズキンという痛みが止まらないからだ。ケガ続きの彼女としては、ここでまた自分からケガの話を出したら「言い訳」しているという心無い中傷が出ることを避けたかっただろうし、何と言ってもケガに負けたくないという気持ちがあのような発言をさせたのだろう。(それくらい昨季のGPファイナル以降、彼女は故障の連続だ)
傷みはあったとしても、真の問題はこのアクシデントではなかった。多くの高度な課題に取り組みながら、得意のルッツに不安を抱えた中、このアクシデントで集中力が乱れてしまったことが大きな問題だった。アクシデントはその引鉄に過ぎなかったのだ。多くの課題に真正面から取り組む中、懸命に押さえ込んでいたはずの不安が突如として顕在化し、モロゾフ・コーチの「3-3はやめて、3-2で行こう」という直前の指導は耳に入らなくなってしまったということだ。
結果についてはもはや書くこともないだろう。冒頭のコンビネーションを失敗した後は完全に自分を見失ってしまったかのようだった。あれだけ(高得点が取れるはずの)ジャンプをことごとく失敗してしまえば、いかな世界チャンピオンと言えどもどうしようもない。
滑走前の、この日一番の声援と拍手は、演技後の彼女の凍りついた表情と共に仙台市体育館の氷上で静寂と化したのだった。
安藤選手は「物語り」のあるスケーターだ。それは単に栄光の記録に彩られているのではなく、様々な紆余曲折の中で失意と歓喜を繰り返した結果、深い陰影となって彼女のチャーミングな容姿や演技、言動にまで滲み出てくる。それは本人が望んで得たものではないだろうが、それは誰とも比較されない彼女だけのスピリチュアルな魅力となっていることも確かだろう。
今回のNHK杯は陰の部分として、またひとつ彼女の物語りに加えられるのだろうが、それもまた世界チャンピオンだけが味わう宿命のひとつなのではないか。注目、期待されるレベルが他の選手とは格段に高いのは当然であって、そのことを誇りに思ってもらいたい。安藤選手は自分の弱さを隠さず、それを真正面から向き合える選手だ。そのことには相当の苦痛と困難が伴うのだろうが、彼女のファンや関係者は皆、彼女がそれを克服できることも知っている。
逆境を順境に変える才能。これは安藤選手に与えられた天賦の才だ。彼女の親友、絢香さんの『I believe』の歌にあるように、自分を信じて、次の全日本では新しい物語りを加えていってほしい。光りの部分を書き加える物語りとして・・・・。
カロリーナ・コストナー
先に結論から言ってしまえば、あれだけ安藤美姫選手が大失速してしまえば、最終滑走だったコストナーは気持ちに余裕が生まれただろう。SPで首位に立ち、FSで失速する「いつものコストナー」は、結果的には今回は最小限に抑えられた。
SPではジャンプが不安定だったが、果敢に3-3のコンビネーションも跳び、着実に点を稼いだという印象だった。TESはGOEの加点がなく、むしろ減点され初戦の中国大会を下回ったが、PCSは平均7点台の高得点をマーク。TSSで初戦を上回り、SPのSBとなった。金妍兒以外はこぞってSPのコンビネーションを3-2に抑えてくる選手が多い中、彼女は果敢に3-3を入れてきた。クリーンな着氷ではなかったが、攻めの気持ちが表れていて、コンディションは良さそうだった。
さあ、注目はFSで「いつものコストナー」が顔を覗かせるか、という興味で観戦に臨んだが、冒頭で述べたように安藤選手の大失速を見て、FSでは明らかに「安全策」に出た。3-3のコンビネーションをすべて3-2に変更し、今季彼女が取り組んでいる2A+3Tも2A+2Tに難度を落とした。戦前、彼女とコーチの描いていたストーリーは、直前滑走の安藤選手がFSで首位、総合でも首位に立ち、一発逆転を狙い勝負に出る、というものだったろう。それくらい公式練習での安藤選手の調子は良さそうに見えた。それが大きく方向転換され、無難に滑ればFSで首位を逃しても総合で勝てるのではないかということだ。これは当然の計算だ。しかし、急に難度を落とした演技に変更したため、逆に緊張感を欠いてしまったのではないか。どうも全体的にピリッとしない演技で散漫な印象になってしまった。最後のCSSpが不安定になり(結果はレベル1。彼女は本来レベル3は取れる)、2Aが1Aになって終了した時点では、これはマイアーの逆転優勝もあるぞと思ってしまったほどだ。結果は既報の通り、薄氷の優勝でからくもファイナル行きのチケットを手にしたという次第。
いつもの私であれば、このような安全策に出て「今の自分のベスト」を尽くさなかった演技には、つれない態度を取る。しかし、今回は良かったと思う。彼女の今大会の目標は、ファイナル行きを決めることだったからだ。ホームで迎えるファイナル、誰だってそんな機会は逃したくないし、安全策の誘惑から逃れるのは難しいことだろう。ファイナル行きを目標としていたのだろうから、彼女もまた、安全策ではなく「最善策」を取ったのだ。是非、ホームのトリノで迎えるファイナルでは、本来のベストを尽くしてほしいものだ。結果は神様だけがご存知なのだから。
余談だが、彼女はオンアイスもさることながら、オフアイスの容姿はさらにゴージャスだ。競技のときは髪をアップにしていることもあり、ACミランのカカを思わせる「お魚顔」だが、髪を下ろしてロングヘアーをなびかせたときのオフアイスの姿はまるでモデルのようだ。(トリノ五輪の入場式でイタリア選手団の旗手を務めたときのコストナーを思い出そう)
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2007年12月13日
先日、仙台市体育館で行なわれたNHK杯の生観戦レポートの第2弾。さらに、女子シングルは2回に分けてレポートするので今回はその前半。生観戦したのはFSだが、SP(TV観戦)と合わせてレビューしよう。
なお私事だが、今回から都合により私のハンドルネームを変更したことも併せてご報告する。
新ネーム: pbq1464
旧ネーム: pbq1447
Saturday Report from SENDAI
LADIES: Short Program & Free Skating - 1st Half
女子シングルは今回のNHK杯で最も波乱があり、ある意味でショッキングな内容・結果になった。そこで、女子シングルについては、TV観戦したSPと合わせてレビューし、この「仙台レポート」を締めくくろう。結果は既報の通りなので、私自身の観戦の所感だけではなく、独自に得た情報も加味しながらのレビューだ。FSの滑走順(即ち観戦した順)にレビューする。(浅田舞選手はFS欠場のためSPのみ)
浅田 舞
SPを強行出場し、FSではとうとう欠場してしまった。米大会後の再調整を期待していただけに非常に残念。
澤田亜紀選手の代替出場が急に決まったということで、調整途中の出場だったという報道があった。米大会からほぼ1ヶ月の間が空いて、再調整の時間はそれなりにあったはずだが、「休んでいた」とのこと。大会の1週間前に帰国し、さらに風邪で直前練習をキャンセルし、ブッツケ本番で出場したのだという。米大会からNHK杯までの間を休養に当て、しかも体調を崩した上のブッツケ本番ではまともに滑れるはずがない。絞りきれていない身体を見れば1ヶ月間休養していたことはすぐに分かるし、スケートは滑っていないし、ジャンプはダブル止まり。まるで「オフ明け」の練習再開初日のような滑りだった。
もちろん、こんな結果になることは本人だって予測できるし、こんな滑りは本意ではなかったに決まっている。恐らく「こんな状態で人前で滑りたくない」と思っていただろう。では、なぜ出場したのだろう。考えられるのは、JSF(日ス連)から代替出場を強要されたのではないかということだ。地元のNHK杯で日本選手をできるだけ多く出場させたい、欠員を埋めなければNHK杯の出場選手数も少なくなってしまい、大会規模が寂しくなってしまう・・・・、JSFの思惑は理解できないでもない。しかし、それでもこのようなコンディションの選手を強行出場させるのは、選手が一番かわいそうだ。本当に気の毒でならない。
先日の澤田亜紀選手の欠場理由が説明不足だったことと合わせて、JSFにはもう少し選手の立場に立った対応をしてもらいたいと願うのは、果たして私の思い過ごしだろうか。そう言えば、JSFは7/28に「本来の選手活動に影響するので後援事業を制限する」と発表した舌の根も乾かないうちに、10月にはジャパンスーパーチャレンジ2008(08/1/11開催)を追加イベントとして発表するというお粗末さを私たちは思い出そう。(しかもこのイベントは「エキシビションを採点する競技会」という本末転倒さが売りだ(怒)
武田 奈也
いやーー、会場の観客は彼女のビッグスマイルにノックアウトされたという感じだった。やっぱりフィギュアスケートは演技後の選手の表情に尽きる、というのも肯ける。
決してクリーンな演技ではなかったし、今季の目標としていた3Fも決まらなかったけれど、スピンやスパイラルではレベル3~4も取れたし、何と言っても「憧れだった」NHK杯に出場できたという喜びが全身から溢れていたのが会場全体に伝わった。もう、とにかくうれしくてうれしくて仕方ないという感じ。これほど滑るのが楽しくて仕方ないという選手の表情を見たのは、05年のGPファイナルのときの浅田真央選手以来のような気がする。世界チャンピオンの安藤美姫選手や全日本チャンピオンの浅田真選手ほどには、まだまだ内容や結果を期待されずに済む、そんなプレッシャーの低さも幸いしていることには間違いないが、今の彼女にそんなことを言うのは野暮というものだろう。
ジュニアからシニアに上がってきて緊張する選手もいれば、うれしさの方が上回る選手もいる。武田選手もそんな思いがいっぱいの、シニア国内デビュー戦だった。
ちなみに「試合後は牛タンを食べに行く」と言っていたが、実は数年前までは「仙台名物」の牛タンは8割が米国産だったとのこと。ご承知のように、今はまだアメリカンビーフは禁輸状態が続いている。その夜彼女が食した牛タンの原産地がどこだったのかは知る由もないが、どちらにしても彼女はその牛タンに舌鼓を打ったことは間違いないだろう。
★ Today’s Skaters ★ #13
サラ・マイアー Sarah MEIER
スイスの女子選手の第一人者。欧州選手権で「スイス女子選手初の銀メダル」というように数々の「初ものづくし」の栄誉をものにしている。(まあ、当のご本人は「スイス初」ということに興味はないかもしれないが・・・)
彼女の魅力はある意味でクラシカルだ。技術を前面に出して、高難度のプログラムを滑るというよりも、細やかで表情豊かな表現力で魅せる、という印象だ。今回のNHK杯でもSP、FSとも安定した滑りの中でその表現力をたっぷりと見せてくれた。指先にまで振り付けが施された細やかな表現、楽曲の流れに合わせて顔の表情も豊かに変化させるしなやかさ、そして軸がぶれずにきれいに回るスピン・・・。フィギュアスケートは「氷上のバレエ」だという喩えをしばしば耳にするが、彼女のスケートは正しく「氷上のバレエ」だろう。そういえば、彼女の容姿もバレリーナを彷彿させるところがあり、やはり良くも悪くもフィギュアスケートは容姿が影響する競技だなあと改めて思ってしまう。
また、こんなことを言っては現役の競技選手に対して失礼かもしれないが、彼女には是非、新ルールで「技術合戦」になっている潮流に流されることなく、自分のスタイルを貫いていってほしいと願うのである。
クリーンに滑った者が最後は微笑む。彼女のFSは今大会で最も美しかったと思ったのは私だけではないだろう。
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2007年12月07日
先日、仙台市体育館で行なわれたNHK杯を会場で観戦してきた。そこで、この会場観戦レポートを加えて、いつもの大会レビューを拡大版でお送りする。(3回連載予定。あくまでも予定です・・・^^;)
Saturday Report from SENDAI
私が観戦したのは12/1(土)。男子SP、アイスダンスFD、女子FSが行なわれた。
会場の仙台市体育館は、東北道の仙台南ICを下りて、国道286号線を東にクルマで20分くらい走ったところにあった。到着は競技開始の20分前。事前に、駐車場は関係者のみ、観客用には用意していないというアナウンスがあったので期待していなかったが、着いてみると駐車場はガラガラだ。昔取った杵柄の要領で、駐車場スタッフに交渉してみようかとも思ったが、開始時間も近づいており、許可を取るのに時間がかかっては元も子もない。余裕があるんだったら、一部を一般観客にも開放すればいいのにとも思ったが、オプションプランとして事前に調べておいた駅前のコインパーキングに停めることにした。そんなわけで会場入りしたのは結局競技開始の5分前。
仙台市体育館でフィギュアスケートの大会を開催するときは、観客席は2-3階のスタンド席が基本。北側スタンドの下のリンクサイドにも仮設の観客席が用意されているがそれはごく一部。南側スタンドの下の仮設席にはジャッジが陣取り、NHK中継席は東寄りの端に押しやられている格好だ。NHK杯という冠大会の割には中継席は冷遇されている感じ。この日の解説の荒川静香さんも狭い席で身を縮めながら観戦しているように見えた(3月の世界フィギュアのときのフジテレビとは大違いだ)。
いざ席についてみると私の席は、西側スタンド(オーロラビジョン下)のプレス席の真横、2列目というベストポジションだった。なぜベストポジションかというと、仙台市体育館の西側スタンドというのはジャッジ席から見て左側になるのだが、この付近は各選手がコンビネーションジャンプを入れてくる場所で、ジャンプの迫力を間近で見ることができるのだ。加えて、今回はキス&クライも間近に設置されていたので選手の表情も良く見えるという僥倖も重なった(キスクラの位置は会場によって異なるので、今回もキスクラの位置は会場に来て初めて知った)。
ついでに言うと、私の席から左に3つ目の席には松岡修造氏が座っていた。恐らくテレ朝の番組レポート用に来場していたのだろう。これには肝を冷やした。試合中に熱くなって、「大輔、ファイトッ!」とか「美姫ちゃん、力出し切って!」とか日の丸振って応援されたらどうしようかと真剣に悩んだ。恐る恐る彼の手元、足元を見ると、日の丸は用意してなさそうだ。「お願いだから、静かにしていてね」と心の中で手を合わせる私(汗)
MEN: Short Program
さて、いよいよ男子SPから競技開始。出場12名のSPだから進行も早い。
女子もそうだったが、男子も「予定調和」に終わらなかった。その功労者の最右翼は間違いなくトーマス・ヴェルネルだ。
国内選手権を5度制し、昨季の欧州選手権2位をもぎ取った若き実力者は、初戦の仏大会では調整遅れが目立ち、ミスを連発、下位に沈んだ。あの出来映えではNHK杯までにどれだけ調整が進むか不透明なところが多く、正直あまり期待していなかった。しかし、既報の通り、この日のSPだけではなく翌日のFSとも素晴らしい出来だった。高橋大輔選手の優勝は間違いないと言わんばかりの事前報道がなされる中、結果的には薄氷の勝利にまで追い込んだのは、ヴェルネルの天晴れな滑りがあったからだ。
SPでは高橋大輔選手の3Aのミスもあったが、ヴェルネルはフリップでエッジエラーを取られたくらいでクリーンな滑りを披露。注目はステップとスピンで、ひとつを除いてすべてレベル4を獲得。TESでは2点以上、高橋選手を上回ってみせた。
高橋選手についてはFSで4Tを2回入れるかどうかがメディアの関心事だったようだが、先日述べたように私の注目点はSPの「ヒップホップステップ」だ。結論を先に言うと「かっこいい」の一言!テレビからも十分伝わってきていたが、実際に眼前で披露されたステップは理屈抜きにかっこよかった。もちろん、競技という視点からはステップの種類がどれだけ入っているか、素早いエッジチェンジが行なわれているか等々のチェックが入るのは百も承知だが、久々にわくわくする演技を見せてもらったというのが素直な感想だ。技術審判の評価はレベル3だったが、「そんなの関係ねえー」と思わせてくれるほどのステップだった(もちろんご本人はレベル4を狙っていたとは思うが・・・)。ちなみに本人に言わせると、このステップの評価が初戦・米大会でレベル1に留まったことは未だに理解できないとのこと。
キスクラが間近に見える席位置だったこともあり、滑走前の各選手の表情がよく見えた。モロゾフ・コーチはいつもながらの物腰だったが(少し痩せたかな?)、高橋選手は傍目にもその緊張が伝わるような感じだった。3Aを失敗したこともあり、演技終了後は本人の落胆の様子がよく見えた。
男子のSPで会場を沸かせたヒーローがあと2人いる。一人は南里康晴選手で、PBSを大きく上回ったスコアはもちろんのこと、2番目の滑走順でありながら、10番目のステファン・キャリエールに抜かれるまで順位表のトップをキープし続けたことには、会場が大いに盛り上がった。「南里くん、凄いねー」という声がスタンドのあちらこちらから上がり、(日本の)観客の表情はみんなニコニコしていた。
もう一人のヒーローは、中国の李成江(リー・チェンジャン)。会心の出来映えに演技終了後にガッツポーズを繰り返し、達成感溢れる笑顔に会場もつられた。やはりフィギュアスケートは、各選手が自分のベストを尽くせたかどうかにつきる。順位は後からついてくるだけで、自分がやり遂げたかどうかにこだわり、そこに達成感を感じるのが真髄だな、という考えを改めて実証してくれたのが彼だった。
ICE DANCING: Free Dance
続いて、アイスダンスのフリーが行なわれた。
のっけから白状すると、私はアイスダンスについてあまり明るくなく、知っている選手も少ない。このNHK杯でも注目していたのは昨季よりUSFS(全米協会)からJSF(日ス連)に移籍登録したキャシー&クリス・リード組だ。彼らのコーチもモロゾフ・コーチが務める。それにしても、高橋選手と言い、安藤美姫選手と言い、モロゾフ・コーチは随分とジャパン・マネーを稼いでいるんだなあと思ってしまった(下世話な表現で申し訳ない)。日本人ペアにはない、長身で華やかな雰囲気はアイスダンスには有利で今後の活躍に注目していきたいと思う。CD~OD終了時点では最下位に甘んじていたが、FDでは本人たちも納得の出来映えだったのが、スタンドからもよく分かった。(FD7位、総合8位)
昨季くらいから感じていたことだが、アイスダンスも一昔前とはだいぶ様変わりしてきたような印象をもった。私の数少ない観戦経験から言うと、アイスダンスは「ステップ命」であり、各選手の「エッジさばき」と「体さばき」が見所で、楽曲もダンス向けのものが良く使われていたように思う。ところが、例の新採点方式が施行されてからだろうか、各選手とも競技上は高得点を狙わざるをえず、どうしても難度の高い技術をいかに入れていくかに腐心しているように見えて仕方がない。例えば、リフトなどは私から見れば、ペアほどには見応えはなく、「ダンスの技術」には思えないのである。結果、全体的な印象は「ペアの亜流競技」に映ってしまい、本来の見所がぼけてきているように思う次第だ。
もちろん、これは、アイスダンスという競技の理解が足りない素人の、ノスタルジーに陥っているオールドファンの世迷言に過ぎないのだろうが、私の心の中では「もっとステップを!」という叫びが繰り返されるのだった。
さて、アイスダンスの後は、この日のメインイベント、女子FSとなるのだが、それは次回に譲ろう。書きたいことが山ほどあるのだ。
posted by pbq1447 |20:15 |
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2007年12月01日
Review of CUP OF RUSSIA
ジョアニー・ロシェット
逆説的な言い方をすると、「逆転のロシェット」の面目躍如たる演技だった。SPの失敗をFSで挽回して、逆転する、或いは順位を大きく上げるというのが、最近の彼女の傾向になっている感がある。伊藤みどりさんも現役時代、SPまでの出遅れをFSで大きく挽回することが度々あったので「ツナミ・ガール」の異名をとったことがあったが、今やロシェットがツナミ・ガールを襲名というわけでもあるまい。
しかし、ロシェットはシュアなジャンプが持ち味なのに、SPでジャンプミスが目立つのは不思議な感じがする。コストナーのように、SPではいい滑りを見せながらFSで失速するというのに比べれば、最後は帳尻合わせの順位に落ち着くことになるが、地力のある選手だけにもったいないと思ってしまう次第だ。
それにしてももったいない。FSが素晴らしかっただけにSPのミスがもったいない。彼女のSPのコンビネーションジャンプは本来、3F+2Tのはずだから基礎点は6.8だ。これが転倒してセカンドが入らなかったので、3Fの基礎点5.5+GOE-3.0+ディダクション-1.00=1.5になってしまった。都合5.3点も失ってしまった計算だ。この5.3点の意味は大きい。総合で2位になれたからだ。露大会で2位(13pt.)となっていたら、加大会の3位(11pt.)との合計で24pt.を得て、キャロライン・ザンを上回り上位5選手に入ることができた(ザンとは24pt.で同点だが、2戦合計のスコア338.09はザンのそれより30点近くも上回る)。NHK杯を残して5位であればファイナル出場の可能性が少しは高まるわけで、本人も悔いが残っているのではないか。
なお、周知の通り今季からフリップとルッツの踏切りエッジが厳しく判定されているが、今季のロシェットはすべてのフリップとルッツでエラー判定を受けていない数少ない選手なのだ。このことからもロシェットが正確なジャンプを跳べる選手だということが分かるだろう。それだけにSPのジャンプでミスが目立つのがなおのこと惜しいと思うのである。(エッジエラーについては後日まとめてレポートしよう)
中野 友加里
好調を維持している。またまた3Aを決めてくれた。SPをノーミスで終え、FSでもコンビネーションの回転不足や「フルッツ」があったくらいでほぼノーミス。演技終了直後は本人もいい感触があったと見えて、納得の表情を浮かべていたが、意外にTESが伸びなかった。本人もキスクラで少々顔を曇らせていたが、私もそのときは首を捻った。後でプロトコルを見たら、GOEの加点があまりなく2.84に留まっていたのだ。そのためFSのTESは60点に届かなかった。
但し、今回はPCSが伸びた。SP、FSとも7点近くの評価を受けた。これは初戦の加大会を上回るもので、彼女がPGを滑り込んでいる成果が出始めているのではないだろうか。2戦連続で好調を維持していることが自信につながり、硬さが取れ、のびのびと滑っているように見えたのも事実だ。TSSは170点を超えてPBSを更新。2戦連続で2位をゲット。合計26pt.で見事ファイナル進出を確定。
ファイナルでもこのまま上昇気流に乗って、日本の女子は安藤美姫、浅田真央だけではないぞ、ということを是非見せてほしい。
金 妍兒
確かにFSは素晴らしかった。全選手中、文句なく今季一番の出来だったとは思う。
まずFS冒頭のコンビネーションは高さ、空中姿勢、着氷後の流れ、安定感・・・・、場内にどよめきが起きるのも肯ける。しかし、敢えて言うと、あのファーストジャンプは「リップ」だった。なにも今回だけではない。彼女の今季のフリップをすべてチェックしているが、ほとんどリップになっている。昨季と変わり映えしない。カメラのアングル上、見分けにくいときもあったが、それでも足首の傾き方を見ているとアウトエッジの疑いが濃い。百歩譲って、フラットエッジだったかもしれないが、少なくともインエッジにはなったことは一度もないと思う。確かにテクニカルスペシャリストの位置から見えにくかったり、モニターで確認してもアングルが悪く、判定しづらいこともあるだろう。それでも今季彼女は合計4回フリップを跳んでいるが一度もエッジエラー判定を受けていないことについては疑問が残る。もちろん、このエッジエラー以上に彼女の素晴らしさはたくさんあるわけで、その点についてもっと述べたいので、この問題についてはまた別な機会に触れることにしよう。
エッジエラーを疑うことは些細なことに思われるほど、彼女のジャンプは全体的には素晴らしいものがある。まず高さがある。回転の速さというよりも助走を含めた全体的な速さがある。姿勢の美しさがある。総じて見栄えがするジャンプである。安藤美姫選手のジャンプは高さというよりも、回転の速さと跳ぶ距離の長さがある。助走でスピードをつけてというよりも、スピードを溜めて「ヒュッ」という感じのジャンプだ(そう言えば、本人の言葉によると「ヒュイッ」と跳ぶそうだ)。浅田真央選手の場合は、ジャンプ前に上下動の抑揚があるジャンプで、「ポーン」と跳ぶ感じ。では金妍兒の場合はどうか?「スパッ」という感じだ。私の表現力の問題もあろうが、とにかく三人三様で面白い。
実は今季、私が金妍兒の演技で一番注目しているのは、全体的なスピード感だ。オフの調整がうまくいっているのだろう。スピン、ターン、ステップすべてにスピードがある。相当フィジカルを鍛えたのだと思う。そうでなければ、シットスピンをあの深い姿勢であれだけ速く回ることはできないだろう。ステップやターンのエッジチェンジも素晴らしい。ほとんど氷上にエッジの跡がつかないくらいスムースに滑っている。
FSの『ミス・サイゴン』は難しい楽曲を選んだなあ、というのが正直な感想だ。決してリズムやスピードに乗せてくれるような楽曲ではないと思う。しかし、それを感じさせないほど彼女はこの曲をものにしている。それに対してSPの『こうもり~序曲』は本来乗りやすい曲調をもっている。しかし、私は彼女のSPの振り付けはこの楽曲に合っていないと思う。特に中盤でワルツに乗せてステップを踏むパートがあるのだが、このワルツにステップが合っていない。曲は三拍子なのに、ステップは四拍子になっているという感じだ。『こうもり』は私の大好きなオペレッタだけに、このワルツのところは是非ステップのリズムを合わせてほしいと強く願ってしまうのだ。
ちなみに、オペレッタ『こうもり』は来年(08年)5月に日本で公演がある。私の大好きなコントラルティスタ、ヨッヘン・コワルスキーが十八番のオルロフスキー公を演じるという、またとない公演だ。もちろん、大枚はたいて見に行くつもりで、チケットは既に押さえてある。本場の『こうもり』を観劇しているときに、金妍兒の『こうもり』が重なって見えてきたら、それは彼女が『こうもり』のワルツをものにしたことになるのだろう。
Preview of NHK TROPHY
今や日本の選手(男女シングル)は、世界選手権の上位争いの常連になり、特に女子シングルはフィギュア王国アメリカに伍すレベル、層の厚さを誇るようになったので、今は全日本選手権が国内で開催される公式戦のハイライトなのだろうが、ひと昔前までは(毎年開催の公式戦としては)NHK杯が最も格式が高く、華やかな大会だったように思う。毎年、海外のトップクラスの選手が来日し、海外選手に日本選手が挑戦するというような構図で、国際公式戦らしい華やかさと緊張感があった。
もちろん今だって、その格式の高さと緊張感の強さは変わらない。GPシリーズとしては最終戦になり、2週間後には上位6選手によるファイナルが開催されるが、私の中ではファイナルは”Extra event”という印象が強い。
まあ、そうは言うものの、NHK杯の結果で男女ともファイナル進出選手が確定するので、日本国内開催ということも手伝い、GPシリーズ中、最も注目が高く、最も盛り上がることも確かだ。(テレビ中継はNHKということもあり、民放のようなハイテンションではなく、実直に盛り上げているという感じだが・・・・)
私事で恐縮だが、またもや生業の関係で、ブログをアップするタイミングを逸し、この時点で既にNHK杯はスタートしてしまった。よって、ここで見所や予測を紹介しても、例によって”Yesterday’s paper”だ。私はこれから帰宅し、予約録画したビデオで女子シングルSPを見ることになる。私自身の注目のポイントは衆目と一致するところであり、やはり安藤美姫、高橋大輔の両選手が筆頭であり、それにコストナー、(シニア2戦目の)武田奈也選手だ。敢えて絞れば、安藤選手のコンディションの上がり具合と高橋選手のSPでの「ヒップホップステップ」の仕上がり具合が私自身の見所だ。
ホームグランプリなので、男女とも多くの日本選手が出場する。私は明日(12/1)は仙台入りし、会場で観戦する。会場で生観戦する人はもちろん、テレビで観戦する人も、どうかご贔屓の選手がいたら精一杯の声援を送ってほしい。たとえ、テレビ観戦でも、その声援は言霊となって、千の風になって、仙台へ、選手へ届くことだろう。
posted by pbq1447 |01:12 |
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