2009年09月09日

復活の光と陰~プレシーズンの独り言2

前回同様、08-09シーズンエンドの備忘録。


世界選手権2009 ~レビュー3

中断を挟むこと3ヶ月、延べ5ヶ月に亘った(汗)世界選手権2009のレビューは今回でお終い。トリは男女シングル(長いのでレビュー3と4に分ける)。
印象に残った選手と、大会全体の雑感を書き留めておこう。今回のシングルは男女とも復活を懸けた選手が印象に残った大会だった。


MEN


デニス・テン Denis TEN (KAZ)
SP 68.54(17位) FS 142.89(6位) 総合 211.43(8位)

面白い選手が出てきたなあという印象。本大会の新人賞は彼にあげよう。
旧ソ連圏とは言え、中央アジアらしくモンゴロイド系の顔立ちに親近感を覚えやすい15歳(出場時)は、もちろん今回がワールド初出場。なにせ彼の生年月日は1993年6月13日だということだから、(例の日付変更線の)2008年7月1日にぎりぎりで規定年齢の15歳になっていたことになる。即ち今大会出場選手の中では最少年齢だ。
08-09シーズンはジュニアとのダブルエントリー、しかも出場可能なISU公式戦すべてに出場。GP(ファイナル含む)はジュニアで3試合。四大陸はシニアで、ワールドは両クラスで出場。即ち延べ6試合に出場。しかも出場するたびにパーソナルベストを更新していくという出世魚のような活躍。シーズン最後のこの世界選手権では、それまでのPBを20点以上も更新するという飛躍振りだった。

体格はまだジュニアのそれだが、滑りっぷりはスケール感がある。軽々と跳んで見せるジャンプには力強さも感じるし、スピードのあるスピンは見応え十分。男子には珍しいビールマンも見せてくれるのだが、これはちょっと無理しているかなという印象。その姿勢はそれほど端整には見えないからだ。但し、オーディエンスへのアピールとしては武器になるかもしれない(実際、男子選手がビールマンをやると例外なく会場が沸く)。

ステップはまだ無表情で淡々とした感じがするため、規定エレメンツを消化しているだけのように見えないでもないが、寧ろこれは今後のお楽しみにとっておこう。SPのPCSが意外に伸びなかったのは、ジャッジにとって彼が未知の選手であることも影響しているのかもしれない。これは「ジュニア上がり」の選手にしばしば見られる現象で、これからはジャッジにプレゼンスをアピールしていくことも求められよう。(SPのキスクラに同席した振付のタラソワ女史が、彼のスコアにあからさまに不満のジェスチャーを見せたのもジャッジへのアピールの一環か)


織田 信成 Nobunari ODA (JPN)
SP 76.49(7位) FS 141.67(8位) 総合 218.16(7位)

織田選手にとってカムバックシーズンの最後を飾ったLAはドタバタした印象だった。
最初のドタバタはSPの序盤に突然やってきた。3Lz+3Tで勢い余ってフェンスに接触。さらに不運なことにフリーレッグがフェンスのTVカメラ用の切り込みに引っかかって転倒。恐らくこれがなかったら転倒まではしなかっただろう。ジャッジのGOEを見ると、-1~-3まで評価が割れている。これは、転倒の原因が「フェンスの接触」なのか「ジャンプの失敗」なのかで、ジャッジ間でも判断が分かれていたことを示唆しているのではないか。私が見たところでは、ジャンプ自体は成功(きちんと着氷している)したが、直後にフェンス接触・転倒というのが妥当か。
ただ、感心したのは、本人自身もびっくりしたであろう転倒の後に、演技がきちんと行なわれたこと。その後のエレメンツはどれも丁寧で無難にまとめた感じだ。
しかし、ドタバタはSPだけでは終わらなかった。FSのコンビネーション・ジャンプのカウントミス。これはSPでの転倒以上に痛かった。

PG構成表では最初に跳んだ3Aは本来3A+3Tの予定だったのが、着氷で乱れてセカンドを付けられずソロジャンプになってしまったわけだが、これがカウントミスの始まりだった。彼は3A+3Tができなかったので、直後の(ソロ予定だった)3Sに3Tをつけてリカバーしたわけだが、問題はステップとスピンを挟んだ後の後半最初のジャンプ、この日2回目の3Aにあった。最初の3Aがソロになったので、2回目の3Aはコンビネーションにしなければならなかったのだ。3Tは既に2回跳んでいるし、この後に3Loも予定しているので、3Aに付けるセカンド(またはサード)の選択肢はダブル以下のトウループまたはループしかない。ところが彼はこの2回目の3Aではなく、3Loの後の3Fに2T+2Loを付けてしまったのだ。
読者諸氏は既にお気づきかと思うが、2回目の3Aはセカンドを付けなくても自動的にコンビネーション扱い(SEQで基礎点2割減)になってしまう。即ち、彼が3回目のコンビネーションだと思って跳んだ3F+2T+2Loは4回目のコンビネーションと見なされ無効、無得点になってしまったという次第。2回目の3Aを3A+2T+2Loにして3Fをソロで跳んでおけば基礎点合計が18.15(後半なので1.1倍)も得られたのに、3A+SEQの7.22(同)しか入らなかったのでこのカウントミスだけで11点近くも失ってしまったわけだ。0.01点で勝負が分かれてしまうという非情の新採点システムの時代で10点以上のロストは大き過ぎる。点差が拮抗する上位陣では尚更だ。
今回は私自身の備忘録も兼ねているのでくどくど書いてしまったが、このカウントミスの件はもうこれ以上は書くまい。当の本人が一番後悔していただろうから。
寧ろ私が気になったのはFSのPCSが伸びなかったこと。SPのそれよりも低い。特にPE、CH、INが低い。この辺はプログラムの振付と滑り込みも影響するだろうから今後の課題と受け止めるべきか。全体的に丁寧ではあるが、見ている者の情感に訴えかけるような迫力には欠けているような印象もあって損しているなあと感じてしまった。

このようにドタバタもあった織田選手であったが、私はFS冒頭の4T+3Tを高く評価している。出来栄えが良かったのはもちろんだが、クワッドを跳んだこと自体を評価したい。未だに男子においてでもクワッドは勇者の証しだ。チャレンジの決意なくしてはクワッドは跳べない。彼より上位の選手でクワッドを跳んだのはジュベールとベルネルしかいなかったのだ。
彼はクワッドを跳ぶことで「復活の狼煙」を上げただけではなく、「世界再挑戦」を高らかに宣言したのだ。


サミュエル・コンテスティ Samuel CONTESTI (ITA)
SP 78.50(6位) FS 148.47(5位) 総合 226.97(5位)

ヘルシンキで颯爽と現れたマカロニ・ウェスタンは、本場の西部劇でも大暴れしただろうか。
興醒めするようで申し訳ないが、結論から先に申し上げると、私のコルト・ピースメイカーは火を噴かなかった。今大会の男子で最も期待した選手の一人だったのだが、コンテスティのカリフォルニアの空はヘルシンキのそれほどには青くはなかったのである。
確かにスコアを見る限りでは欧州選手権を上回っている。SP、FS、総合のすべてがPBだ。本人も納得の演技だったと見えて、キスクラでの晴れ晴れとした笑顔が輝いた・・・・。しかし、それでもなお私の中のコンテスティは未だヘルシンキに留まったままだった。この違和感は何だろう。選手自身の充実感と私自身が感じた印象とのズレは何だろう。見終わった後の違和感がいつまでも消えず、しっくりこない気持ち悪さだけが残っていたことを告白しなければならない。

で、その気持ち悪さは何だったのか。ヘルシンキとLAの違いは何だったのか。ヘルシンキにあって、LAになかったのは何か。

それは、演技全体の迫力、痛快さ、爽快さといったものではなかったか、と私には思えてならなかった。
確かにLAでのコンテスティの演技はまとまっていたし、破綻はないし、ヘルシンキよりも洗練されていたと言ってもいいくらいかもしれない。LAの演技に比べればヘルシンキのそれは粗削りだったと言ったほうがいいのかもしれない。しかし、ヘルシンキよりも洗練されて完成度が上がったかもしれないが、LAではその代償として、なにかスペクタクルが不足して見えた。平易に言うと、どこかスリリングなドラマ性に欠けていたように見えたのである。それはもちろん観ている私自身の問題であり、既に私の中で「慣れ」が生まれていただけなのかもしれないが、とにかく私はLAのコンテスティにわくわくしなかった。それは事実だ。
この気持ち悪さを引き摺っていたままではどうにもこうにもすっきりしないので、放送終了後にもう一度録画を見て検証することにした。試合終了後にISUのHPにアップされるプロトコルも併せて見ながらの検証だったが・・・・。

それは、SPではなく、FSの中で見つかった。
SPは良かったのだ。録画を見直してもヘルシンキ同様に楽しめた。マカロニ・ウェスタンは生きていた。問題はFSだった。録画を見直してもヘルシンキのスペクタクルはやはり戻ってこなかった。さらにもう一度見直して、私はようやくあることに気づいた。プログラムのジャンプ構成が変更されていたのだ。
ヘルシンキの構成では冒頭のジャンプが3A+3T、2Lz(3Lzの失敗)だ。これがLAでは3A、3Lzになった。これは問題ない。LAでは3A+3Tを後半に持ってきているし、3Lzも成功しているので、ここまではLAの構成に問題はない。寧ろLAの方がいいくらいだ。
問題は、エンディングのジャンプ三連発だった。ヘルシンキでは、3S+3T、2A、2A+2T+2T という構成だったのだが、これがLAでは、3S+2T、2A+2T、2Aになっていた。
明らかに尻すぼみになっている。点数的に見てもダウンしていることはもちろんだが、何と言っても見栄えがしない。迫力にかけるのだ。同じプログラムでもジャンプ構成を一部変えただけで全体の印象が変わってしまったということか。確かにフィナーレでのジャンプ三連発(しかもコンビネーション)は体力的に厳しいだろう。しかし、ヘルシンキでは最後の力を振り絞って跳んで見せた三連発だったからこそのスペクタクルだったのだ。

やはり夕陽のガンマンは、ラストシーンでは荒馬の嘶きと共に蹄を高らかに響かせて、疾風とともに荒野へ走り去っていってほしかった。


ブライアン・ジュベール Brian JOUBERT (FRA)
SP 84.40(1位) FS 151.57(3位) 総合 235.97(3位)

もちろんジュベールはジャンプだけのスケーターではないけれども、それでもLAのジュベールはジャンプに始まってジャンプに終わったと敢えて言おう。
SPは結果的に1位通過となったが、彼にとっては不満が残るものだったのではないか。

今回、SPとFSでクワッド(4T)を入れてきたのは、ポンセロ、ヴォロノフ、ベルネル、そしてジュベールの4人(FSのみは7人)。直前滑走のライサチェクが快心の出来で地元オーディエンスの大喝采の余韻が残る中で登場したジュベールは、それでも臆することなく果敢にクワッドを初っ端にぶちかました、しかもコンビネーションで。
ただそのクワッドは力んだせいか、踏切りの入り方が微妙にズレたようで空中で軸が傾き、ランディングでお手つき。セカンドの3Tもステップアウト。なんとか転倒は回避したもののGOEで大きく減点となった。08-09のルール改訂でクワッドの減点はトリプルの1.6倍になったのでロストが大きい。前季までならGOEが-2.00で済んだところを-3.20も減ぜられてしまった。
それでも幸いだったのはセカンドの3Tの回転不足を見逃してもらったこと。セカンドはちょうど1/4回転不足だったのだがなぜかお咎めなし。エッジが氷面に噛む感じでグリ降りすらできずに着氷したため、躓くような感じでステップアウト。スロー再生しなくても分かるほどの回転不足だったのだから、ジャッジの見逃しは本当にラッキーだった。もし2Tにダウングレードされていたら、あと2.70失っていた勘定だ。
彼としても冒頭のクワッド・コンビネーションが腰砕けみたいな感じになってしまったことには不満があったのだろう。地元の大声援を受けたライサチェクを抜いてSP1位に躍り出てもニコリともしなかったのはその証左。

「ヘルシンキにはLAで勝つために来た」
これはいつぞやの欧州選手権のレビューブログで、同大会に臨むジュベールの発言を私が意訳したものだった。故障明けのヘルシンキでFSを新PGに変更し、試運転した彼の視線の先には、はっきりとカリフォルニアの青い空が見えている、ということを推測したのだ。
ヘルシンキはゲネプロ、本番はLAだ。そのLAでこそ、新PGは完成する・・・・と読んだのだった。(結果的には私の妄想だったけれど^^;)
この「クワッド冷遇」の時代にあって、それでもなお抗うかのようにクワッドを跳び続けているスケーターは、(現役の)男子でも5人くらいか。中でも、ジェフリー・バトルとの「クワッド論争」が記憶に新しいジュベールは己のアイデンティティとして意識しているのだろう。それほどPGにクワッドを入れることに拘りを持っているように思う。

FSは最終滑走。しかもまたまた地元ライサチェクの快演の直後という組合わせ。この巡り会わせの悪さがジュベールの心理に微妙に影響したとしても不思議はない。
FSの冒頭で4Tを成功。ここで勢いに乗って、次のコンビネーションは(SPで失敗した)4T+3Tを入れてくるのではないかと期待した。つまり、新PGの完成形はクワッドの二連発。ところが実際は3A+3T。もちろんこのコンビネーションはきれいに決まって得点的には十分だし、もともと予定通りだったのかもしれないけれど、なんか無難に済ませた感じに見えて、見ているこちらとしては拍子抜け。
最終滑走ということは自分の結果で全選手の順位が決まる。即ち、暫定1位のライサチェクとの得点差を計算して演技することができる。これが微妙に影響したような気がする。コンディションの問題もあるだろうし、何と言っても「クワッドの二連発」なんて、こちらの邪推かもしれないのだから身勝手な期待だったことは重々承知しているのだけれど・・・・。
好事魔多し、とは言わないが、次の3Aの着氷でステップアウトしたジュベールの横顔が少し翳ると、青かったはずの彼の空に暗雲が漂い始めた。しかし本当の「魔」は最後にやってきた。終盤の2Aでまさかの転倒。彼くらいのクラスの選手で2Aの転倒を見るのは珍しい。観ている誰しもが凍りついただろう。しかも恐らくこの2Aはコンビネーションにするはずだったのではないか(2A+2Tまたは2A+2T+2Lo)。
万事休す・・・・

ジュベールは2シーズン続けてコンディションに苦しんでいる。このLAにはどの程度回復して臨んだのかは定かではないが、コンディションに不安なく、迷うことなくクワッドを跳ぶジュベールとバンクーバーで会いたいものだ。


エヴァン・ライサチェク Evan LYSACEK (USA)
SP 82.70(2位) FS 159.53(1位) 総合 242.23(1位)

今回のホスト国、しかも開催地となるLAは自身のホームタウン、文字通り「地元」の期待とプレッシャーを一身に背負いながら、彼はそのすべてを自身のモチベーションに昇華させて、ステイプルズ・センターのスタンディングオベーションを独占した。
前回のイエテボリは直前に怪我で欠場。リベンジとなった地元LAを「エヴァン・ライサチェクの大会」として記憶させるに十分な二日間だった。(今回、彼は大トリではなかったけれど、FSと総合でPB、SPもセカンドベスト)

GPと異なり世界選手権の滑走順はSP、FAとも抽選で決められる。ゆえに、二日間とも自分の滑走順がジュベールの直前というのはスケートの神様の悪戯か。ライサチェクはジュベールの出来を気にすることなく、寧ろ攻めのスケートで直後のジュベールにプレッシャーをかけることになった。

SPの『ボレロ』は競技と言う視点では申し分ないのだけれど、私個人の嗜好から言わせてもらうと、随分とせわしない『ボレロ』だなあという印象が残った。ただでさえ短時間の中でエレメンツを詰め込まなければならない現在の競技ルールでは『ボレロ』がもたらす特有の「うねり」を表現しにくいのではないかと感じたのだ。
ご存知のように同曲は、ひとつのリズムをAメロとBメロとが繰り返すというシンプルな構成を特徴としているが、フィギュアスケートの現在の競技ルールでこれを表現しようとすると、ルール上の要求エレメンツの方が多過ぎて、『ボレロ』のリズムとメロディの連続性が損なわれかねない。残念ながらライサチェクにとっても『ボレロ』は難しかったかなあという印象だ。いつもは人も羨む彼の長い四肢も、今回ばかりは持て余しているようにさえ見えたほどだ。フィニッシュのポーズでは流石にその長さは美しく見えたのだけれど・・・・。
もっとも、これはライサチェクや彼のコリオグラファー(ローリ・ニコル?)の力量の問題だとは思っていない。前述のように、現在の競技では『ボレロ』が使いにくくなってしまったのではないかということだ。

一方でFSは彼の真骨頂というプログラム。
ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』は夢見るようなオーケストレーションが施されて演奏されることが多いジャズナンバーだが、ホスト国を代表してホームで演ずるプログラムとしては正にド真ん中。彼のその長い手足もこのときは大空を舞う白頭大鷲の翼のように雄雄しく美しい。ジャンプで、ステップで、スピンで・・・・フィナーレのコンビネーションスピンではガッツポーズで、彼の四肢は躍動した。
(私も例外ではないが)どうしても自らのコンプレックスからか日本では「長い足」だけに憧れが偏るようで「長い手」はあまり注目されないように思う。しかし、競技上の直接的なアドバンテージにはならないかもしれないが、手の長いスケーターの所作は美しく見えることが多いように思う。少なくとも手の長さが映えるような振付け、コスチューム、仕草を見せてくれる選手は誠に見栄えがよろしい。
余談だが、女子選手に見られる「オーバーブーツ」のタイツは、少しでも足を長く見せようとしている様が不自然というか、不格好に見えて昔からどうも好きになれない。オーバーブーツはスケート靴をタイツで覆うことになるので、どうしても「足元」が美しく見えないのだ(同じオーバーブーツでもトラウザーはOKだが・・・・)。

SPの演技終了直後のリンクに倒れんばかりのガッツポーズ、パーフェクトな演技を確信したためにスピンの途中で出てしまったFSでのガッツポーズ、そのどれもが嫌味になることなく、オーディエンスを熱狂させるだけのパワーに溢れていたタフガイ、アメリカンガイ、僕ナイスガイ!のライサチェクだった。(ネタが古くてイマイチ決まらない^^;)

最後に、ライサチェクの演技で気になった、09-10シーズンのサキヨミ・・・・
今回、ミスらしいミスがなく、2日間ともクリーンに滑りきった選手はライサチェクくらいではないだろうか。彼がクリーンに滑りきったのは、クワッドを回避して3Aを確実に決めたことが大きい。その3Aもいつもは回転不足を取られることがままあるのだが、今回は3回(SP×1回、FS×2回)ともなんとかうまく降りられたようだ。「なんとかうまく」と表現したのは、彼の3Aはちょっとした癖があり、それが回転不足を取られやすい原因となっていると思われるからだ。

アクセルジャンプはトウジャンプと並んで高さを得やすいジャンプだが、彼のアクセルはあまり高さがない。そのため彼の3Aはプレローテーションが多い。通常、アクセルは前向きに踏切る。このとき回転運動も同時に始めるので多少プレローテーションは発生するが、他の選手の場合は概ね1/4回転くらいだ。
ちなみに、同じ米国のステファン・キャリエールの3Aはパーフェクトな踏切りを見せる。彼のプレローテーションは1/8回転くらいに収まっているのだ。米国制作のドキュメンタリー番組で彼の3Aをハイスピードカメラで撮影した映像を見たことがあるが、その映像ではプレローテーションはわずかに1/16回転だった!(もちろん彼の3Aは踏切り以外もパーフェクトなのだが)

ところが、ライサチェクの3Aではプレローテーションが1/2回転にもなる。
彼の3Aは踏切り動作に癖がある。踏切り動作に入るときに既に身体が横向きになり、ブレードも真横を向く。まるでスライディングするような姿勢で踏切りに入ってくる。つまりこのとき既に1/4回転していることになる。そして、実際に跳び上がるまでにさらに1/4回転するため、ほとんど後ろ向きになって跳び上がっている。つまりプレローテーションは1/2回転になっているのだ。そのため、着氷で少しでも回転不足になると、プレローテーションが多かった分だけダウングレードされやすいのではないか。
ループやサルコウのように、事前の回転運動(ターン)を踏切りのきっかけにしているジャンプはもともとプレローテーションを前提としたジャンプと言えなくもないのであまり問題視されることはないと思うが、アクセルでは厳しく見られると思う。彼と同様の踏切りをする選手は他にもいるが、やはり回転不足を取られることが多いのは、やはりこの踏切りの癖が影響しているのではないかと思う。
後日、詳述する機会を得たいが、09-10シーズンのルール改訂ではプレローテーションも厳しくチェックされるようになった。上述のような踏切りをする3Aがますますダウングレードの嵐に晒されはしないかと私は今から戦々恐々としている。


備忘録とタカを括っていたら思いのほか長くなってしまった(いつものことだが^^;)
このエントリーでは一気に女子シングルまで進めて「プレシーズンの独り言」は終わらせてしまおうと思っていたのだが、どうもそれは読みにくいばかりで独り言ならぬ独り相撲になりそうだ。
というわけで、「女子シングル篇」はまた次回、但し、さっさとアップさせよう。なにせジュニアは既にシーズンインしてしまっているのだから・・・・

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posted by pbq1463 |15:14 | コメント(5) | トラックバック(0)
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復活の光と陰~プレシーズンの独り言2

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こんばんは。待ちに待った男子レビュー!好きな分野のせいかな、なんだか心が洗われました。記事ありがとうございました。
織田選手の4-3の成功と演技後の会心の笑顔は我が事のように嬉しくなってしまいました。最近になってこの時の演技をよく見るのですが「シンプル・イズ・ベスト」というか「ごてごてしてなくて良くない?」(良いという意味です)とか思ったりするのですが、さすがに得点表示のPCSを見た時は私も「低!」と思ってしまいました。う~ん確かに情感は感じなかったかな~。もともと彼独自の世界というか表現を持っていたと思うのでこのあたりは残念でしたが今季は本領発揮に期待したいです。
イエテボリでのラストのオタケビを見て以来(いい意味でちょっと笑っちゃいましたが)、すっかりファンというか気になる人になってしまったジュベール選手。地元の大歓声の後はやはり、つらいものが。FSは出てきたときから顔色悪かったような・・・ 万事休すの2A転倒も「このままでは終われない」という新たなモチベーションを生んだと信じる、信じマス。それにしても彼の4回転は!織田選手、高橋選手、ベルネルらの4回転も決まった時はすばらしいんですけど、私の目にはジュベールの4回転が「クワッドー!」に見えるのです。高さ?解説いただけたらうれしいのですが。
最後に、ライサチェク選手ほんとにおめでとうと言いたい。感無量でしたね。(私ももっとガッツポーズ期待していた)今季は復帰組も併せてすごい様相ですが、こうなったらみんな応援しちゃいます。筆頭は高橋選手かな、やっぱり。でもどの選手にも惜しみない拍手を送りたい、そんな演技を期待したいです。(あと女子の話ですけどオーバーブーツは私も?です。女子は白いスケート靴が好きです)

posted by 忍 | 2009-09-15 23:00

夕焼けさん他、皆さんへ

コメント投稿者ID :

ええーと、いつからだったか記憶は定かではないですが、
スパム対策のため長文コメントは自動的に削除されるそうです。
sponaviが勝手にそういう設定にしているみたいです。
したがって、自動削除されたコメントは私は読みようがないんですよね。
で、どれくらいになると長文コメントと認識されるかは、管理人には明かされていません。
基準を不明にすることもスパム対策のひとつだそうです。
とりあえず、今まで掲載になったコメントの長さはセーフということになりますから、過去コメントを参考にしてみてください。
ご不便をおかけします。
sponaviにもけっこう荒らしがあるみたいなんですね(怒)

posted by pbq1463 | 2009-09-11 23:28

復活の光と陰~プレシーズンの独り言2

コメント投稿者ID :

あれれ?

アップされてたので驚いてます。それならモウチョットしゃきっとしたコメントにすれば良かったと反省^^

>他の方のコメントは来ていません。別に非表示にしているわけではないです。

あらら。そうなるとワタクシに限って言えば3つか4つのコメントが届いてない事になりますねぇ~「投稿」のボタンをポチっと押すと毎回異様に読み込みが早かったんだんですよねぇ~「おかしいな」とは思ってましたが、やはり届いていなかったんですか^^

もしかすると、他の方もそうなのかも知れませんよ~コメントが飛んでるのかも知れません。

ただワタクシの場合はスポナビのNGワードにもしかしたら引っかかったのかも知れません・・・^^

ああ~そうなると前回の「なぜフィギュア使用曲でモリコーネといえば、デボラのテーマ(ワンスアポンアタイムインアメリカより)ではなくニューシネマパラダイスなのか」のワタクシの悔しい思いもお読みになってない事になりますね~

その他色々と脱線しながらもいくつか書き込んだのは全部飛んでましたか・・・忍さんへのコメントを出した時からそうでしたから、3、4じゃ足りないかもね。

今回は2回送っときますんで。
フィギュアから完全に外れたコメントで申し訳ないです。
ではでは。

posted by 夕焼け | 2009-09-11 21:53

夕焼けさん、無沙汰です。

コメント投稿者ID :

>しかし何でサッカーって4-3などの結果になるとこうも面白くなるんでしょうか・・・

そうですね・・・・
私的には3-2くらいのスコアがちょうどいい感じですかね
サッカーって4点以上入ると大味な感じがして緊張感欠ける気がするんですよ
先日のガーナ戦はとりあえず結果出せたから良しとしますけど^^;


>「オーバーブーツ」のタイツは、少しでも足を長く見せようとしている様が不自然というか、不格好に見えて・・・
てっきりワタクシ、あれって足に対する衝撃の負担をやわらげる目的が少なからずあるもんだと思ってましたよ。

さあ、科学的な効果や目的があるかどうかは知りません。
ただ単に私は「見た目」的に好きではないということですね。
もし科学的な効果があるのだとしたらもっと多くの人がオーバーブーツを履いているでしょうけど・・・・


>う~ん、それにしてもワタクシは基本脱線コメントが多いので非表示は分かるんですが、他の方はコメントしてないんですかね?ちょいと寂しい気もしますよ。

えっ?
夕焼けさんのコメントは夕焼けさん自身が「非表示でかまわない」という注釈が入っていない限りアップしていたと思うんですが・・・・・
失念しているコメントがあったら探してみます。面目ないm(_ _)m

他の方のコメントは来ていません。別に非表示にしているわけではないです。
まあ、間が開き過ぎてコメントするにしてもネタが古くなってしまったこと、
それと今回はあくまでも私個人の「備忘録」になってしまったんで、
読者側からすればつまらない記事だったと考えるのが自然でしょう^^;

まあ、私がプロのライターだったら失格でしょうが、アマですから。コメントの数は気にしても仕方ありません。
もちろん夕焼けさんのようにコメントが入るともちろんうれしいですよ^^
ちなみに、このブログは1回の記事につき平均7000-8000件のアクセスがあります。
この数字はグロスなのでユニーク数は不明ですが、まあマイナーブログの範疇ではないでしょうか。

posted by pbq1463 | 2009-09-11 10:50

復活の光と陰~プレシーズンの独り言2

コメント投稿者ID :

早っ!エントリーはやっ!

こんばんは。俺です。
それにしてもまだ暑いっすね~
今日は温泉に入ってビール飲みながらサッカー観戦してましたよ・・・最近温泉はマイブームになっており週に5回は行ってます・・・マジ話です。
サッカーはガーナに勝利。しかし何でサッカーって4-3などの結果になるとこうも面白くなるんでしょうか・・・

さてフィギュア。世界選手権男子ですか。ナルホド。
う~ん、しかしワタクシ今YOUTUBEをチェック出来ない状態なんですよねぇ~仕事場のパソコンには規制がかかっておりまして、ヤフーやライブドアなんかの個人ブログも見れません。記憶でコメントさせてもらいます~

そうなんですよね~ライサチェク選手優勝なんですよねぇ~
嬉しかったなぁ。ワタクシ、ライサチェク選手はダークスワンの次に応援しているスケーターですから。

>パーフェクトな演技を確信したためにスピンの途中で出てしまったFSでのガッツポーズ

やってましたね~物凄いテンションでした^^
しかもスピンやりながらで、更にあの体格ですから、何かせわしなく見えてしまい・・・^^で、演技終了でどんだけ派手にガッツポーズをとるのかと思いきや、ガッツポーズやらなかったのでズッコけた記憶がありますよ。

ジュベール選手のフリーはマトリックスでしたっけ?緊張やプレッシャーもあったんでしょうが、何か会場の空気が乾いていたと申しましょうか、ちょっと可哀相な状況じゃなかったかと思います。まぁフィギュアに、アメリカに限らずそういうもんなんでしょうが^^

>「オーバーブーツ」のタイツは、少しでも足を長く見せようとしている様が不自然というか、不格好に見えて・・・

てっきりワタクシ、あれって足に対する衝撃の負担をやわらげる目的が少なからずあるもんだと思ってましたよ。全然違ったんですね^^

>夕陽のガンマンは、ラストシーンでは荒馬の嘶きと共に蹄を高らかに響かせて、疾風とともに荒野へ走り去っていってほしかった

思いっきり素人の意見で申し訳ないんですが、「照れ」っていうのもあるんじゃありません?サッカーならサポーターは「アイーダ」や「大脱走」のテーマを歌ってますし、ケバラの旗なんか振ってるクラブサポーターもあるし。で、本場の故郷やルーツ元でそれをやるのって勇気と申しましょうか、ちょっと照れるような気もします。ワタクシの気のせいでしょうかね^^

う~ん、それにしてもワタクシは基本脱線コメントが多いので非表示は分かるんですが、他の方はコメントしてないんですかね?ちょいと寂しい気もしますよ。

posted by 夕焼け | 2009-09-10 02:37

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