2008年06月11日

OQT男子を振り返って

 今日がOQTの男子についての最後の記事となります。

 植田JAPANが予選突破できた理由に、戦術・技術的なレベルアップのほかに精神的に強くなったことがあるのは明らかでしょう。植田JAPANになり、荻野も入ったことで四年前から徐々に精神的なタフさは身につけていました。特に競り合いを制する力がかなりついてきた印象です。荻野がコートにいるときは特にタフだったと思います。やはり精神的な意味で荻野の存在というのはかなり大きかったですね。
 またチーム構成の良さもチームとしてのタフさに繋がっていると思います。以前の記事でも述べたように今大会の男子は四年前の女子に非常に似ています。オリンピックを知る絶対的キャプテンがいて(吉原、荻野)、オリンピックに行けない悔しさを知る選手がチームのひとつの柱となり(竹下・高橋、宇佐美・山本)、恐いもの知らずの若いエース対角がチームを引っ張る(栗原・大山、石島・越川)。実はこの構成、かなりバランスがいいんですよね。荻野という絶対的なキャプテンがいるので周りはのびのびプレーできるし困ったときに空中分解しません。山本や宇佐美のような負けを知り尽くした選手は妥協を許さず一点の重みをチーム全体に浸透させます(この点では竹下・高橋に比べ宇佐美・山本はちょっと弱かったが)。そして若いエース対角に関しては柳本監督が四年前に牛馬の働きと称していました。幾度の修羅場を経験したベテランの選手はどうしても試合の流れを予測して負け試合だということに心のどこかで気づいてしまいます。その結果足が止まってしまうことがあるのですが、そこで若いエース対角が頑張ります。まだ経験が少ないエースは、負けることなど考えずにただ一心不乱にプレーします。するとそれを見たベテラン陣が「何だこいつら」と思いながらも「やれるだけやってみるか」という気持ちになるそうです。今大会ではゴッツがいい意味でKYエースとなりチームに活力を与えていました。このお互いに支えあう構成がチームをさらに強くしていたと思います。
 しかし競り合いの強さの一方で、勝ち急いだときの脆さも見えました。イタリア戦の悪夢がその代表ですね。イタリアやそれ以上に力のあるチームに対してあのような隙を見せてしまうと一気に試合をもっていかれます。今の状態だと、爆発力やタフさの一方で脆さもある非常に不安定なチームだとも言えます。オリンピックではさらなるプレッシャーが襲ってきます。この不安定さが北京での不安要素のひとつです。

 まぁしかし植田JAPANはよくやりました。それでは最後に選手と監督について自分が思う事を一言ずつ。

植田監督→ここまでチームを作り上げてきたあなたは非常に立派でした。意味不明な選手交代などで自らチームを掻き乱してしまうようなところもありますが、積極的に何かを仕掛けようというのは立派な心がけです。監督が一番平常心でいなければいけません。北京では常に平常心でデータバレーを行ってほしいと思っています。

荻野主将→イタリア戦のあの表情は今でもはっきり覚えていますがあなたがいなければ今のチームはありえなかったでしょう。あともうひと頑張り。オリンピックという場でバレー人生の集大成を見せてほしいと思います。

山本→大事なポイントゲッターとして今大会はよくやってくれました。自らの手でアテネの悔しさを晴らしたのは素晴らしかったと思います。結果的にベストスコアラー部門とサーブ部門で一位。スーパーエースとして申し分ない結果を残してくれました。北京にはしっかりコンディションを整えて望んでください。

宇佐美→あそこまでイタリアを追い込めたのはあなたの力が非常に大きかったと思います。しかし勝ちきれなかったのも事実。レフトへの平行は日本一だと思います。自分の長所を生かしながら、何が足りないのかもう一度考えてみてください。

石島→チームのエンジンとして特に終盤で攻めの姿勢を見せてくれたことは全体に大きな影響を与えてくれました。植田監督、荻野主将の絶対的な信頼を得ているゴッツだからこそ、荻野ではなく自分が引っ張っていくんだという気持ちをもってほしいと思います。間違いなくこれからの日本の中心選手になるんですから。北京でもいい意味でのKYな活躍を期待しています。

越川→大会終盤ではベンチに下がることも多かったですが越川のできは悪くなかったと思います。あの平行やパイプは十分世界に通じるものでした。大会全体でのアタック決定率3位は立派な数字。レセプションの安定とチームを引っ張る働きができるようになればフル出場できるはず。強豪に勝つにはあなたの力が絶対に必要です。北京では荻野にあまり仕事をさせないように、期待しています。

津曲→ベストディガー部門一位、さすがです。レセプションの安定感とディグの強さは日本の土台となっています。北京でのリベロもあなた以外考えられません。守りの中心、そして攻撃の起点として重要な役割を果たしている選手ですから、北京でも鉄壁の安定性を見せてほしいと思います。

山村→まだ完治していない指で、ブロック、スパイク共にどんどん調子をあげて活躍してくれました。高さは十分世界レベル。まずは怪我をしっかり治して、セッターとのコンビをしっかり詰めてください。日本が世界と戦うにはやはりセンターの力なしには戦えませんから。

松本→今大会はあまり目立ちませんでしたがWCで実力は証明済み。あなたの滞空力は大きな武器です。高さは身長だけでないことをプレーで示してほしいと思います。
まずはセッターとのコンビを詰めてください。

朝長→センターを中心にしたバランスのよく献身的なトス回し。スタメンだろうが控えだろうがあなたの力が必要なことは十分に証明されました。五輪でもスタメンになるか控えになるかわかりませんが、どちらでも活躍できる選手。頼りにしています。

斎藤→最終戦で見せたクイックは世界を感じさせてくれました。持ち前の高さを生かしたプレーでどんどんチームに貢献してほしいと思います。崩れたところからも攻めていけるところは大きな武器です。少しでも嫌な選手になれるよう、コンディションを整えながら頑張ってください。

清水→パワーと体の柔らかさは天性のものですね。合宿で吐きながらでも最後まで耐え抜いた根性も恐れ入ります。何も恐がることはありません。自分の力を世界にどんどんアピールしてください。世界と戦うのに確かな実力があるはずですから。

福澤→最終戦での跳躍力は日本中の国民の度肝を抜きました。レセプションの安定感と経験が加われば十分レギュラークラスの実力です。自分はあなたには期待しています。大学生だろうがVリーガーだろうが関係ないというところを見せて下さい。

 そのほかアナリストやコーチなどコートの外での働きも非常に大きかったと思います。まさにチーム全体で戦っていました。だからこそあの感動があったのでしょう。北京への道はもう始まっています。チャンスのある組み合わせとなりましたから当然期待もされるでしょう。しかし16年ぶりのオリンピックなのですから結果は気にせず思いっきりプレーしてきてください。悔いだけは残らないように願っています。

 では最後に。日本中に感動と喜びを与えてくれた彼らに。

まだまだ夢の途中だけども、
           夢の途中のありがとう。

posted by 近江牛 |22:02 | 全日本男子 | コメント(6) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
Re:OQT男子を振り返って

近江牛さん
こんばんは
冷静な分析に文章力に凄いですね
雑誌を読んだように、とても面白かったです!

戯言聞いて下さい‥
(内容は居酒屋レベルです)
こんなレベル分けはどうでしょうか?
(レフトポジョンの軸を選手分けし、調子のMAX〜MINをレベル分けしてみる戦略)
戦略A=レベル5〜4
越川選手を軸
戦略B=レベル4.5〜4
石島選手を軸
戦略C=レベル4.5〜3.5
福沢選手を軸

世界とは日本最高レベル5で挑みたいですが、今大会のようにレセプションが崩れるとレベル4になり、守備型戦略の石島選手、荻野選手の戦略Bのレベル4.5にシフトした方がベターとなる。
戦略Cに関しては経験値の問題で未知数であり、MAX〜MINのレベル差が大きくなると思われます。


さぁ気になるのはセッターです。
レベル5を安定できるセッターは誰なのか?
宇佐美選手は復調されるのか?岩田選手にとってはチャンス大?
朝長選手はレベルBで必要で決まりのような気がします。

以上、居酒屋レベルの内容でした(笑)

posted by すばらし日々 | 2008-06-12 22:36

OQT男子を振り返って

自分の記事だって居酒屋レベルですから。そんなに謙遜なさらずに。
今の全日本は実際にそのようなかたちでシフトしていますね。戦略CはともかくAとBは北京でも使い分けが必要です。的を得たレベルわけだと思いますよ。

朝長は自分もレベルBで必要な選手だと思います。ただ強豪相手に勝ちを拾うとなるとやや限界を感じますね。イタリアくらいまでが限界でしょうか。やはり世界のトップと戦うには宇佐美が必要だと自分は思います。彼くらいのスピードがないと世界のブロックをなかなか振れません。

こうやって居酒屋レベルだろうがなんだろうが色々考えるのって楽しいですよね。ひとつのバレーの魅力だと思います。これからもこのようなコメントどんどんお待ちしていますよ。

posted by 近江牛 | 2008-06-13 21:17

OQT男子を振り返って

選手への評価、愛情があっていいですね。
自分はもうちょっとだけ松本を高めに、ノブコフは低めに評価しました。
それから大学生コンビは評価保留。

OQTでは富松のヌメヌメサーブが欲しいなと思った場面もあったのですが、さてワールドリーグでアピールできるでしょうか。

posted by kaz10000 | 2008-06-14 07:42

OQT男子を振り返って

ノブコフには期待してなかっただけに最終戦での活躍には驚きました。松本は実力があるのは証明済みなんですけどね。今大会はちょっといまいちな感じでした。セッターとのコンビがあってなかった印象です。
福澤についてはかなり未知数です。一試合だけじゃ実力は測れないですからね。ただあの跳躍力には驚かされましたよ。いいトスさえ上げてあげれば攻撃面では十分世界にも通用すると見ました。彼に関してはレセプション次第といったところでしょうか。ゴリに関してはWCでの実績もあるので、山本の控えは今のところ彼しかいないと思っています。
富松のブロックとサーブは面白いんですけどね。クイックに課題があるので果たしてそこでどこまで頑張れるかですね。北京メンバーに加わるにはそうとうな活躍が必要とされると思いますが。

posted by 近江牛 | 2008-06-14 21:25

OQT男子を振り返って

先日はコメントありがとうございました!
返事が遅くなりまして申し訳ありません。
素人・・・なんかじゃないと思います。いつも本当に楽しく拝見させていただいています。また遊びに来ます。

posted by NIshiRI | 2008-06-15 16:41

OQT男子を振り返って

自分なんか全然素人ですよ。ただ思ったことを思ったままに書いてるだけです。
こちらもちょくちょくお邪魔させていただきますね。

posted by 近江牛 | 2008-06-15 21:22

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