2007年10月16日
石川直宏 二度好きになった選手
足も遅かったんですよ。本当に遅くて(中略)でも、サイドをやるうちになんかスピードがつくようになって、スピードでも勝負できるようになって WEBサッカーマガジン 石川直宏インタビュー 2001年5月24日
フィールドをサッカー選手が駆け抜けていくのは、いつ見ても気持ちのよい風景だ。ディフェンダーを一人二人と振り切って、風に乗って、あるいは風を起こして、「ダーッ」という音が僕の頭の中でも鳴っている。 サイドを上がってクロスを上げる、FC東京の石川直宏はそんな「駆け抜ける選手」の代表格だ。
10月6日のFC東京対横浜マリノス戦で、その石川直宏が後半の途中出場からゴールを決めた。 試合後お立ち台にたった石川直宏に、「途中交代でフィールドに入ったときにどんな思いで入りましたか?」とインタビュアーが聞いた。 「いろんな思いがあって」と石川直宏はそう言って話をはじめた。
いろんな思いがあって、10月6日のこの日に手術したこととか、それで昨日の夜、1対1で途中交代で出て、自分がゴールするシーンをイメージしていたら、寝られなくなりました 試合後のコメント
どのタイミングでスタジアムを出ようかな、ぐらいの気持ちでいた僕は「いろいろな思い」という言葉にちょっと不意をつかれた。 石川の走り姿はかなり好きだったな、と思いながら、味スタから家に帰って、石川直宏という表面的にちょっといいな、と思っていた選手の資料や過去のインタビューを探し始めた。 もともと彼がマリノスユースにいて、はじめはサイドの選手じゃなかった、という話はなんとなくは知っていたが、改めてその辺を読んでみると、少しだけ石川直宏に近づける気がした。
足も遅かったんですよ。本当に遅くて(中略)でも、サイドをやるうちになんかスピードがつくようになって、スピードでも勝負できるようになって WEBサッカーマガジン 石川直宏インタビュー 2001年5月24日
サッカー選手のポジションのコンバートという話は少なくない。 最近よく耳にするのは、フォワードやトップ下の足元のうまい選手が、ボランチなど下がり目のポジションに変わって力を発揮する、というパターンだろう。中村憲剛が筆頭例だ。 ボール扱いがうまい選手は、子供の頃自然とゴールに近い場所で、活躍する。しかし年代が上がるにつれて、厳しいプレッシャーの中で前を向けずに苦しむことになる。 不慣れな守備の負担が増えるが、それでも下がり目のポジションになると、広い視野を確保して、前を向いてボールをさばけるようになる。そんな図式だろうか。 石川直宏のコンバートは、ちょっと違うようだ。 このインタビューを読むと、その時点で石川直宏がサイドプレイヤーとして適しているとは、周囲の誰も、石川自身さえも思っていない状況だったように読める。 足が遅く、体力がなく、ボールと縦に走ることが苦手。 サイドのスペシャリストとしての素養に欠けていた。そんな選手だったように見える。
真ん中をやっていたときは、相手と一緒に走るのが苦手で、ボール持って、自分が走るときはゴールを狙う瞬間とか、そういう感じだったんで、いまみたいに一緒に並んでボールを出して、自分が走り勝ってセンタリングだとか、想像もできなかったですけど
石川直宏がサイドのポジションに転向した時期は、トップチームへの昇格を決める残り時間の中で、追い詰められた上での決断だったろう。 真ん中ではレギュラーになれない、弱いフィジカルでもなんとかできそう、そういう消極的な理由が、彼をサイドに立たせたようだ。 しかし、石川直宏は変わっていく。 サイドのスペシャリストに必須な、「スピード」を自分のものにしていく。 しかし、そのインタビューを読んでもなお、「石川直宏は足の遅い少年だった」という事実をどうにも消化できない。信じられないと思いませんか? 「変わることで大きくなった選手」として石川直宏を認知しはじめると、僕の中で石川直宏という存在がムクムクと起き上がってくる。 恐らくフィールドに立つ、一瞬一瞬にも、常にそうやって頭をぶん回して、変化の方向とタイミングを見定めているのだろう。途中交代で出て、試合のリズムを変えて、よい方向に持っていく。それこそが石川の真骨頂なのかもしれない。 この先、スピードスターとしての石川直宏は、きっと模索しながら変わっていくことだろう。サイドを疾走してクロスを上げるスピードスターは、その駆け引きで老練になり、サイドから真ん中、そして左へと縦横無尽に動く、変化を予測するスピードに、磨きをかけていくのかもしれない。 「変われる。変わっていくことが素敵だ」 そう石川直宏は僕に教えてくれた。そうだよな、と思う。 このところ石川は代表からも少し遠い位置にいる。どうしてもアテネの不本意な使われ方と、その涙がまだ印象に残っている。それ以来と言っていいのか、調子を落としたり、怪我に苦しんだ時代があった。 でも、なんか大丈夫なような気がしてきた。 興味を持って選手を掘り下げていくと、二度選手を好きになることがある。 気がつくと僕は最近、電車やオフィスの中で、石川直宏の応援歌を歌っている。 FC東京のスタジアムに響くそのスカパラのメロディが、ここしばらくは頭から離れそうにない。
■関連記事 今野泰幸 彼以外は考えられない 中村憲剛と日本サッカー フィジカルの弱さこそが世界への道 阿部勇樹が本当に戦う日 いったい誰の日本代表か? その2 日本のサッカーは見つかるか? ■サッカーの言葉本家 アーカイブが読めます オオウチコム
- 共通ジャンル:
posted by オオウチコム |11:29 |
日本のサッカー選手 |
コメント(1) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ouchicom/tb_ping/32
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:石川直宏 二度好きになった選手
コメント投稿者ID :
石川直宏選手は僕も大好きです。
「1対1では日本人は世界で勝てない」と
言われている中、「世界でも個人の力」で
勝負できる選手であると思います。
日本代表で見たいですね。
posted by take | 2007-10-18 13:10
コメントする
「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。
- Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
- mixiアカウントでコメント投稿
- Googleアカウントでコメント投稿
- Hatena IDでコメント投稿
- Biglobeアカウントでコメント投稿
- ログインしてコメント投稿
- メールアドレスでコメント投稿
※新規のメールアドレスによる投稿IDご利用は停止しました。
※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。
詳しくは以下2ページをご覧下さい
・【仕様変更】PCからのコメント投稿について
・ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」
※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。
詳しくは以下2ページをご覧下さい
・【仕様変更】PCからのコメント投稿について
・ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」



