ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

朝日杯FS 四位騎手のベテランらしい冷静な手綱さばき

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今年の競馬も残すところあと1週となりました。

先週日曜日のメインレースは阪神競馬場で行われたGⅠ第68回朝日杯フューチュリティS。

この2歳のGⅠレースで最も注目を集めたのは、前週の阪神JFを制したソウルスターリングと同じフランケルを父にもつミスエルテ。

通常は牡馬ばかりが出走する朝日杯FSでの牝馬の参戦に、現在の馬の調子の良さと陣営の自信のほどがうかがえ、またソウルスターリングの衝撃がいまだ消えない中でのフランケル産駒2週連続の出走とあってはファンの期待が高まるのは当然で、1番人気に支持されました。

前走のGⅢファンタジーSを上がり33.6秒の脚で差し切り、2戦2勝で臨むこの大舞台、まだまだ秘めた能力があるはずと、心配材料はありながらも、ワクワクしながら観戦しました。

結果は4着。

レースの内容はおいといて、まず感じたのが、レース前の懸念通り、やはりテンションが高くなっていたなということ。

GⅠレース特有の場内の盛り上がりに影響を受けたのもあるでしょうが、パドックから返し馬を終える時になっても落ち着くところがなく、かなり神経質になっていました。

僕のコラムでも書いたのですが、こういうタイプはレースを使う毎に入れ込みが激しくなってゆく傾向があるので、そこを心配していました。

これだけレース前に気持ちが昂ってしまうと、いざ競馬が始まるときにはすでに心身が消耗しており力尽きてしまうということも。

ただ、馬の気持ちが走りに直結する競馬において、精神的にベストとは言えない状況で牡馬の中を4着まできているのだから、やはり力は相当なものです。

落ち着いた精神状態で自分の競馬ができたなら、一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、次走への期待は高まりますね。


今年の2歳牡馬チャンピオンに輝いたのはディープインパクト産駒6番人気サトノアレス。

先週、フランケル産駒の活躍によりディープインパクト産駒が強い現在の競馬界を変えるかも…と記しましたがさすがですね。

レースは1000m通過が60.6秒と緩いペースになり、その中をサトノアレスは中団よりやや後ろで待機。

流れを考えるとポジション的には不利な位置かと思いますが、それでも鞍上の四位騎手は動じず、直線まで仕掛けようとする素振りも全く見せずにじっと我慢し、結果としてこの我慢が最後の末脚につながりました。

四位騎手のベテランらしい冷静な手綱さばきが光りました。

彼がGⅠを勝つのは2010年高松宮記念以来とのこと、まだまだこれからも第一線で活躍してもらいたい騎手の1人です。

サトノアレスを管理する藤沢厩舎はソウルスターリングに続き2歳GⅠを連勝、牡馬牝馬それぞれの王者を抱えることになり、この快挙により厩舎としては最高に士気が高まった状態で気持ちよい年末が迎えられそうですね。

オーナーの里見氏も今年はサトノダイヤモンドが菊花賞を制し初めてのGⅠ勝利をあげたと思えば香港ヴァーズでサトノクラウンが、そして今回サトノアレスが朝日杯FSを勝つなど、馬主としてとても良い年だったと感じておられるのではないでしょうか。

勝負事は歯車が噛み合い勢いづくと、しばらくは何をやっても良い方向に向かうもの。

今週の有馬記念、サトノダイヤモンドが俄然楽しみになりました。

注目していた8番人気トラストは好位の絶好のポジションを取り、レース自体が前に有利な流れだったのもあって、見ていて“いける!”と思いました。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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