ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

ジャパンカップ 武豊騎手の騎乗技術の高さが際立っていましたね

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11月の終わり、今年の東京競馬開催見納めとなる先週は、今年36回目を迎えるジャパンカップが行われました。

優勝賞金3億円の大レース、制したのは1番人気キタサンブラック。

オーナーが北島三郎氏であるため、GⅠレースでも普段はあまり競馬の話題がないニュース番組やワイドショーでも大きく取り上げられて、注目度の高い華やかな勝利となりました。

キタサンブラックは逃げてこそ力を発揮する馬ですが、今回は1枠1番を引き当てたことで運を一気に引き寄せた感じがします。

ゲートが開くと同時に素早く反応し出てゆく、あの絶妙なタイミングは鞍上が狙ったものではなく、この馬が持つ天性のもの。普通は押していって前に出すところを、鞍上の武豊騎手は手綱をしごいたりせず長手綱のまま、あっさり先手を取って1コーナーへ。

他馬からも競りかけられなかったためマイペースに持ちこめました。

1000m通過が1分01秒7というかなり遅い流れになり、他の16人のジョッキーは誰一人として競りかけず、また早めに動くわけでもなく、まるで武豊騎手に勝ってくださいと言わんばかりに沈黙を貫き、淡々とレースは流れていきました。

レースの格が上がれば上がるほど乗っている騎手たちは動けなくなります。

無理にハナを奪う、あるいは早めに仕掛けるなど自分から動いてしまえば、東京競馬場の長い直線で最後、間違いなく脚が鈍ってしまうだろうと思うからです。

大レースに出走するほどの馬に騎乗させてもらいながら、そんなリスクの高い賭けはしたくない人がほとんどでしょう。

そして、周りを止めるこの形を作ったのはもちろん武豊騎手。

ユタカマジックに全ての騎手がハマったということでしょうが、彼の騎乗技術の高さが際立って、お見事としか言いようがないレースでした。


2着は5番人気サウンズオブアース。

昨年は5番人気5着と掲示板に載る好走、今回も昨年とおなじく鞍上にM.デムーロ騎手を迎えて2着に突っ込む大健闘です。

本当にこの馬の安定感ある走りには感心してしまいます。

レースは中団で追走し直線鋭い脚を使って追い込むものの勝ち馬に2馬身半届かず完敗。

混戦になると2・3着争いで突っ込んでくるイメージで、なかなか勝ちきれないのが惜しいところですが重賞2着7回、うちGⅠで2着3回という成績は大変に立派と思います。

これほどの力がありながら重賞勝ちがなく、未だ2勝(未勝利戦、3歳500万下)馬というのが信じられません。

これからもついつい応援したくなる1頭です。


3着には6番人気シュヴァルグランが入りました。

こちらもオーナーがとても有名な方なので注目されやすいのですが、話題性だけでなく力も相当なもの。

昨年後半に500万下を勝って以降とんとん拍子に勝ち進み充実の4歳になった現在、すでにGⅡレースを2勝するほどの馬に成長しました。

2400m以上のレースで強く、特に、前走アルゼンチン共和国杯での勝ち方がGⅠレースで十分に通用する内容だったことと、馬が順調そのものという良い雰囲気を維持していたので僕も重い印を打ちました。

結果は一歩及びませんでしたが、悲観するどころか先が楽しみになるレースぶりでした。

枠番が8枠17番の大外枠だったために外々を回らざるを得ず多少の距離ロスが生じ、また直線も上り3Fを34.4秒の脚で伸びてきていましたが、前にいた勝ち馬に34.7秒で上がられては届くはずがない。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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