ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

セントウルS 逃げ切ったビッグアーサーが抱える不安点

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9月に入りようやく暑さが和らいできました。

秋の開催が始まった阪神競馬場ではサマースプリントシリーズ最終戦のGⅡレース、第30回セントウルSが行われました。


まず僕が注目したのは1番人気ビッグアーサー。

3月の高松宮記念を優勝して以来5か月半ぶりの出走ですがやはり実績が抜けていますからね、どんなレースをするか注目していました。

結果は想定通りの逃げ切り勝ちで、それも2着馬に1馬身差をつける圧倒的な内容。

これまで逃げたことがなく初めてでこういう競馬ができるのは、馬体が充実している証拠でしょう。

ビッグアーサーは5歳馬ですがレースは今回で12戦目、3歳時は1戦(デビュー勝ち)のみで、4歳になった昨年だけで一気にクラスを駆け上がり重賞でも上位に入るレベルにまで上がってきました。

今までの最低着順が5着ということからも、いかに安定した走りができるかがわかります。

特に今年に入ってからは馬がぐんと充実し、パワーアップされた馬体がとても目立つようになりました。

今回も休み明けながら馬の気力・体力は最高に近く、鞍上の福永騎手は逃げる気がなかったようですが、グイグイと自分からハミを取って先頭に立っていきました。

騎手としては無理に抑えこもうとして馬と喧嘩し、折り合いを欠いて悪い結果に終わることだけは是が非でも避けたいこと、ですからそのままビッグアーサーの行きたいように行かせたのでしょうが、それが良い結果を生んだわけですね。

開幕週のパンパンの馬場も大きく味方しました。

今回、よりレースの幅が広がって、これから違った面からのアプローチができそうですが、次走はGⅠスプリンターズS。

目標とする大舞台では今回のような馬任せのレース運びはせず、いつもどおりの好位から進める競馬が理想的でしょう。

ただ不安が1つ。

スプリンターズSではおそらく、何が何でも逃げよう、前で競馬をしようと考えるジョッキーが1人2人は出てくるはずで、そうなると1回逃げのレースを経験してしまったビックアーサーは抑えたくても抑えきれないほどムキになり、他馬と競り合ってしまう恐れがあります。

そこを福永騎手がうまく折り合って乗ることができれば、春秋スプリントGⅠ制覇の可能性はかなり高いでしょう。

彼がどんなレースをするのか今から楽しみにしています。

2着はこれも注目していた1頭、2番人気馬ネロ。

千直を経験し少しずつ競馬の内容が変わって来ていたことを感じていましたが、この夏を越してやはりひと皮むけていましたね。

千直のコースは、コーナーも無く短距離の直線でシンプルでありながらも、実はスタートの上手さはもちろん、息の入れ方、そのタイミング、脚の溜め方など奥が深いコースです。

そして、内外の枠順の差はあれど、コーナーが無いので他馬の影響を受けにくく、自分のタイミングで競馬に徹する事が出来ます。

そう、千直でそういう競馬を経験する事で、それまで一本調子だった馬が競馬を覚え、大きく成長する事があると僕は思っています。

アイビスSDを連覇したベルカントもそんな雰囲気を感じました。

先日引退したハクサンムーンも、3歳時にアイビスSDに挑戦した事がその後に活躍に活きていると思います。

このネロも、まさにその通り、しかも今回は今までに無い控える競馬で道中は5番手を追走、直線では外から鋭い脚を繰り出しぐんぐん伸びてきました。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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