ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

札幌記念 ネオリアリズムの癖とレースを読みきったルメール騎手

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お盆の頃には涼しくなった昨年とは違い、今年はまだ30度を超える暑い日が続きますが、そろそろ夏競馬の日程も終わりに近づいてきました。

先週日曜日の札幌競馬メインはGⅡレース、第52回札幌記念。

GⅠ戦線で活躍が期待される馬たちが夏の休養後の秋初戦として選ぶことも多いこのレース、秋競馬に向けて絶対に見逃せません。

今年最も注目を集めたのが昨年の年度代表馬モーリス。

もちろん、僕もこの馬にも注目はしていました。

安田記念・マイルCSの春秋マイルGⅠを制覇し、年末は香港マイル勝利とGⅠレースで3勝を挙げた昨年の勢いのままに今年に入っても5月に香港のCマイルで1着、その後の安田記念こそ2着でしたが、やはり現在のマイル界では敵無しなので、今回単勝1.6倍の圧倒的1番人気に支持されたのは当然のことでしょう。

もし何か不安があるとしたら、それは距離の問題。

過去に1800m以上のレースは4戦して〔1.0.1.2〕ただしこの中で負けた3戦は3歳の春ばかりで、長期休養明けの昨年1月以降は1800m戦1回を含む出走レースで連戦連勝、完全に本格化した現在は2000mでもGⅡレースであれば難なくこなせると考えました。

手綱をとったのは日本での騎乗3年目を迎えたモレイラ騎手。

今年5月に香港でモーリスに騎乗し勝利に導いた騎手です。

ブラジルでデビューし南アフリカなどでも騎乗し1000勝以上をあげ、20代後半にシンガポールに移りそこでもリーディングを獲得、2013年10月に香港ジョッキークラブ所属となり今に至ります。

雷神との異名をとるほどの凄まじい勝ちっぷりと腕前が評判のそのモレイラ騎手が、5月のモーリス騎乗時に調教師から「2000mでも脚がもちそうか」と聞かれ「大丈夫」と即答したらしいですね。

これは自分なら折り合いをつけて上手く乗れるという自信からきた言葉だったのでしょう。

今回の札幌記念は、この天才ジョッキーがどんな騎乗をするのかに注視していました。

そしてスタート。

1度もかかる素振りを見せずピタリと折り合ったモーリスは、リズム良くレースを進めました。

スタート直後にじわっと内側にコースを取っていき、前を壁にして馬と喧嘩することなくスムーズに1周目のスタンドを通過していったときは、その騎乗の上手さに感心しました。

3コーナーから手が動いていくシーンがありましたが、これは降雨により馬場が重くなっていたため馬の反応が少し鈍っていたからだと思います。

直線ではこの馬らしく、しっかりと伸びてくれました。

勝ち馬とは2馬身差をつけられての2着に敗れてしまいましたが、勝ったネオリアリズムが上手くレースをしたのもあり、展開や流れからも今回の負けは仕方ないかなと思います。

力は十分に示してくれました。

優勝した5番人気ネオリアリズム、この馬もモーリス同様、堀厩舎所属です。

ちなみに同日に小倉競馬場で行われたGⅢ北九州記念で8番人気ながら、断トツ人気のベルカントを破って初重賞勝利をあげたバクシンテイオーも堀厩舎管理馬。

厩舎にとっては同日重賞勝利&札幌記念ワンツーという最高の結果となりました。

ネオリアリズムは少し折り合いが難しい馬なので、鞍上のルメール騎手はメンバー構成から逃げ馬不在と知るや、自ら逃げた方が気分良く走ってくれると考えて今回の作戦になったようです。

そしてそのとおり、スタートから馬の行く気に任せて先頭に立つと、足元があまり良くないにもかかわらずスイスイと気持ち良く走らせてレースを自分のペースに持ち込みました。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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