ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

日本ダービーを若い川田騎手が勝った意義

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待ちに待ったこの日がやってきました。

先週日曜日に東京競馬場で行われた第83回日本ダービー。

騎手になる前の子供時代から何十年もこのレースを観てきましたが、これほどハイレベルなメンバー構成となったダービーは記憶にありません。

過去を振り返っても、時代を代表する圧倒的なスターホースがいたり、2強や3強と呼ばれるライバル同士の熱い戦いがあったりと記憶に残るものばかりですが、今年のダービーは圧倒的な3強プラスGⅠ級が2~3頭という皐月賞を経て、5強とも6強ともいえるような、どの馬が勝っても文句なしの力を持ったメンバーが揃いました。

そして期待通り、大変に見ごたえある素晴らしいレースとなりましたね。

第83代ダービー馬に輝いたのは、2着馬をハナ差退けた単勝3番人気マカヒキ。

鞍上の川田騎手はこのレース、後方からレースを進めて外を回り2着に突っ込んできた前走・皐月賞と乗り方を変えてきました。

勝てなかったとはいえ、これまでずっとこの馬の鋭い末脚により好成績を残してきたのだから、今回も同じように乗って馬の持ち味を十分に引き出すことを考えるのが普通です。

そこをあえて6・7番手を取りに行ってインで脚をため、外には出さずに馬群を割ってきました。

ダービーで勝つために熟考した結果がこの乗り方だったのでしょうが、かなり勇気のいる騎乗です。

マカヒキの強さは誰もが認知するところですが、馬を生かすも殺すも、やはり位置取りやペースなどレースを作るジョッキーの腕次第。

あの決断力がなければ川田騎手がダービージョッキーになることはなかったと思います。

近年のダービーは外国や地方出身騎手を含むベテランたちの活躍が目立ちましたが、この先十数年現役を続け競馬界を支えてゆく若い川田騎手が勝ったことは喜ばしく、さらなる飛躍を期待します。


2着は皐月賞3着馬、2番人気サトノダイヤモンドでした。

マカヒキと似たようなポジションで追走し、残り200mあたりで先頭に立つもハナ差届かず惜しい2着。

ルメール騎手は前走の敗因をふまえ、馬の特長を生かす完璧なレース運びをしました。

今回敗れたのは、ただ運のみ。

サトノダイヤモンドの力、ルメール騎手の騎乗技術・センスと胆力は素晴らしく、このレースを観た全ての人に強烈なインパクトを与えました。


3着に単勝1番人気の皐月賞馬ディーマジェスティ。

もともと鞍上の蛯名騎手にはぜひダービーを勝ってほしく、今年は最大のチャンスとも考えていました。

当然本人もそのつもりでレースに臨んだでしょう。

僕がディーマジェスティに注目した理由は、蛯名騎手の勝利を願うのとはまた別として、ダービーの最大のトライアルレースは皐月賞と考えているので(なぜなら様々なレースを勝ち上がり重賞で好成績を残した馬が集まるのがGⅠ皐月賞であり、そのメンバーが現時点での3歳馬ベスト18だから)皐月賞馬であるディーマジェスティが一番強いと思うからです。

そして1枠1番という絶好の枠を引き当て、まるで競馬の神様が後押ししているかのような状況に、ますます勝利を確信しました。

普段は全くといっていいほど神や仏の存在を意識しない僕ですが、騎手をしていた頃は“神懸っている”“追い風が吹いている”と感じる時期があり、そういうときは鳥肌が立つくらい自分が思うとおりに物事が上手く進んでいきます。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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