ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

神戸新聞杯 流石ダービー馬、強い馬が強い競馬をしましたね

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前週のセントライト記念に続く菊花賞トライアル、GⅡ第65回神戸新聞杯が行われました。

最も注目すべきは、もちろんダービー馬のレイデオロでした。 陣営は早々に、この秋は菊花賞ではなくジャパンカップを目標とすることを公表していますが、僕としてはレイデオロが秋初戦でどういう走りをしてくれるのか楽しみでした。 ここで圧勝するのと、良くない内容で負けるのとでは先々の競馬の盛り上がりがだいぶ違ってくるでしょう。たとえ休み明けで100パーセントの出来になくとも、同世代の代表としてダービー馬はダービー馬らしいレースをしてほしい、その強さを存分に見せつけてもらいたいと思っていました。

そしてスタート。 前半1000m通過が61.4秒のスローなペース、その4番手で折り合いがついたスムーズな追走をし、直線に向かい鞍上のルメール騎手が仕掛けだすと、スッと反応し瞬く間に前を捕らえて先頭に。そのまま後続を寄せつけず2着馬に2馬身の差をつけてゴール。


騎手がレースで気をつけたいのは、まず他馬の不利を受けないことで、自分では防ぎようがないアクシデントはともかくとして、コース取りや前にいる馬の手応えなど周囲の様子・置かれている状況に注意して乗ります。 レイデオロの場合、そうした不利がなく、ごく自然に走ってさえこられれば負けるはずがない。ルメール騎手は馬を操り動かすことよりも、ただ自分は馬の邪魔をせず走りやすい方向へ導くことだけを考えて騎乗したように見えました。ルメール騎手の騎乗は馬に対する自信に満ちていました。 ここまでの強さを見せられると、ジャパンカップでも期待せずにはいられません。


2着は以前より注目していた2番人気キセキが入りました。 道中は中団よりやや後ろ、あのスローな流れを考えると少々厳しく、結果的に不向きな展開だったと言えますが、それでも直線は内からジワジワと差を詰めて2着確保。毎日杯3着など力は十分ありながら春は権利を取れずクラシックには出走できませんでしたが、今回は見事菊花賞出走の権利を得ました。夏の間に出走した前走と前々走を素晴らしい内容で連勝して臨んだこのレース、思ったよりも夏の疲れはなさそうで安心しました。

デムーロ騎手が終始キセキの体力を温存しロスのないレース運びをしたからこその好結果でしょう。馬に力がなければ無理なのは当然ですが、ベストといえない展開の今回だけは、鞍上の技術により上位に持ってこられたように思います。


3着は3番人気サトノアーサー。 レイデオロとほぼ同じ位置取りで進み、落ち着いた走りからはレースに集中している様子がうかがえました。これは以前には見られなかった落ち着きです。

休み前のダービーまでは、まだまだ若さが見られるレースぶりでしたが、ひと夏を越して心身ともに大きく成長しているのがわかりました。この馬の実力からすれば、このペースでこの位置取りでレースができれば上位入線は当たり前かもしれません。

欲を言えば負けるにしても勝ち馬ともう少し接戦であってほしかったかなと。これからも世代の上位グループとして活躍を期待しています。そしてレイデオロとの再戦の日を楽しみにしています。



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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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