ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

アイビスサマーダッシュ 千直の舞台ならではの明暗が出た一戦

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夏の新潟競馬が開幕しました。 メインは芝の直線1000mコースで行われるGⅢレース、第17回アイビスサマーダッシュ。 今年の優勝馬の勝ちタイムは54.2秒でした。


優勝はラインミーティア。 一昨年の夏から新潟開催のたびに参戦し、1000m直線のレースばかり走ってきました。出走回数は2年間でなんと12回。おそらく最も能力が発揮できるコースなのでしょう。 過去にも数回出している上がりタイム31.6秒を今年もマークしましたが、この時計は大変に速いもので、コーナーのある普通のレースとは乗っている感覚が全く違います。千直でしか味わうことのできないスピード感です。

前半はスピードに乗れず少々遅れ気味に見えたものの、最後の加速は目を見張るほど。残り200mあたりからグングン伸びていき、逃げるフィドゥーシアを捕らえました。 あの位置から届いてしまうのだから、まさに驚異の末脚です。西田騎手が最後まで諦めず、必死に追う姿も強く印象に残りましたね。


何としても前を捕まえようとのベテランの気迫が、TV画面越しでも伝わってきました。 勝因としてはもちろん馬の調子が良かったのが一番ですが、それを後押ししたのが枠順でしょう。8枠15番ゲートに入れた幸運により、勝負の流れを完全に引き寄せた感じ。 もしも内枠だったならば、展開も結果も違っていたかもしれません。千直レースで穴馬を選ぶときは、やはり外枠が一つのポイントですね。



2着に1番人気フィドゥーシア。 真ん中あたりの5枠10番から好スタートを切って好ダッシュも決め、あっという間に馬場の外側へと進路をとって先頭に立つ。もともとスピードはある馬ですが、ほんのわずかでもスタートでしくじれば、あの枠番からあそこの位置は取れません。馬のスピードを生かすためにはスタートで失敗することは絶対に許されないと、鞍上の石橋騎手は細心の注意を払ってゲートを出たのだと思います。


他のコースとは質が全く異なる千直のレースでは、“ならでは”の独特な展開になります。ゆえに石橋騎手は好スタートを切れた時点で、フィドゥーシアの勝利をほぼ確信したのではないでしょうか。最後にクビ差ラインミーティアに差されてしまったのは口惜しいでしょうが、馬の走りも石橋騎手の騎乗も内容は文句なし、これは相手の脚を褒めるしかありません。



3番人気で10着に沈んでしまったネロは、58キロの斤量が敗因の大きな理由と思います。 僕も、カルストンライトオと共に2002年と2004年にアイビスSDを勝った時はともに56キロでしたが、2005年に出走した時は59キロも背負わされ、いつもならシュッとゲートを出てからグググッと力強く脚を使って前へと出ていくのに、そのレースでは何だかモコモコして(としか言いようがない感覚)進んでいきませんでした。 あれだけのスピードを誇る馬が逃げることもできずに4着だったのです。


人気上位でも斤量が重い馬は、少々割り引いて考えた方がいいかもしれません。



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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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