ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

夏競馬開幕 暑さが苦手な競走馬をケアする関係者に最敬礼

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来週の宝塚記念を終えたら上半期のGIシーズンは終了、夏のローカル競馬に入ります。 夏はすぐそこ、とはいえまだ梅雨入りして間もないこの時季は、暑いと思えば肌寒い日があったり、人間にとっても馬にとっても体調を崩しやすくとても神経を遣います。

馬は暑さが苦手なのでトレセンや近隣の牧場でひと夏を過ごすのは大変なことですが、全ての馬が涼しい北海道で滞在するわけにもいきません。ミストシャワーを取りつけ空気を冷やし、扇風機で厩舎に風を通し、陽が昇る前に調教を終わらせて日中はゆっくり休ませる、飼い葉にはアミノ酸やビタミンなど様々発汗や疲労で失われた成分を補うパウダーを混ぜて夏バテを防ぐなど、それぞれが出来る限りの努力をしています。

特に2歳馬はほとんどが初めて経験する暑さなので、より気をつけなければいけません。これから新馬戦がどんどん増える時期、無事に皆デビューできるよう関係者は頑張っています。


先週は東京競馬場で第34回エプソムカップが行われ、5番人気ダッシングブレイズが優勝。8度目の挑戦で重賞初勝利をあげました。 レースの流れは1000m通過が59.7秒、TV中継では速めの展開と実況されていましたが、これは、例年に比べて梅雨時期のわりにレース当日の雨が少ないために荒れずに済んでいる今の東京競馬場の馬場状態を考えると決して速くなく、むしろスローペース。もちろん開催を経て内側は少し荒れてはいますが外は大変綺麗なものです。

ダッシングブレイズ鞍上の浜中騎手は好位グループの一角に付いて追走。直線では全ての馬が荒れた内を避け馬場の外に進路をとって追い出しますが、その中でも浜中騎手は内ラチから5~6mの、芝が良いギリギリのところを選んで通っていました。あそこでもっと外を回していたら最後のひと伸びはなく、勝つことはできなかったでしょう。鞍上のコース取りが大きな勝因ではないかと思います。


2着に1番人気アストラエンブレム。 これも好位でレースを進めて、直線は最も馬場状態が良い大外へと持ち出していきました。 逃げたマイネルハニーを捕まえるのに少し苦労しながらも最後はきっちりとハナ差捕らえてゴール、しかしその時には内から伸びた勝ち馬がすでに1/2馬身前におり、惜しくも2着に敗れてしまいました。追い出してからは鞍上の指示に応えてよく伸びていましたが、最後の最後で僅かに気を抜いたようだったのが少し引っかかりました。乗り馬に最後まで気を抜かせず走りに集中させるのが得意なデムーロ騎手が乗っていてそう感じるのだから、もしかしたら最後で気を抜く癖があるのかなと。 ただ、やはり能力の高さは感じますね。成績を見ても4着より下の着順になったことがなく、安定して力が出せるタイプ。おそらくスタートや折り合いなど問題のない素直な性質なのでしょう。次も楽しみです。


6番人気で3着に好走のマイネルハニーは、好スタートから先手を取って良い感じで逃げられました。直線に向いても脚いろは衰えず、東京の長い直線でも逃げ切れそうに見えましたが、最後2頭にかわされて3着。上位3頭は、全て前々の競馬をして残った馬でした。これはマイネルハニー鞍上の柴田大騎手がレースのペースを上手に作り上げたからこその結果です。ベテランらしい騎乗が見事でした。


穴っぽいところの中でも、注目と見ていた11番人気ナスノセイカンは10着。 スタート後すぐに最後方に下げてレースを進めたのはこの馬のスタンス通りですが、今回はマイネルハニーが作ったペースが向きませんでしたね。見せ場もあまり作れず終わりました。それでもこの流れでメンバー最速タイの上がり33秒9の脚を使っているので、展開やメンバー構成によっては次も期待できるのではないかと思います。まだ見限れないところです。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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