ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

安田記念 力を出し切れた馬、出し切れなかった馬

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5週連続で実施されたGIレースも先週の第67回安田記念でひと休み、あとは宝塚記念を残すところとなりました。


1番人気イスラボニータは、スタート後ハイペースで進んだレースで中団に位置し、鞍上ルメール騎手との折り合いも道中の手応えも良いように見えました。ところが4コーナーを回り、馬群が一気に固まったところで抜けるスペースを見つけられず、追い出すことができないまま。前がずっと壁になっていたのが辛いところ。その後も、直線に向く瞬間に外へ出るような素振りを見せましたが、18番枠のステファノスに騎乗する戸崎騎手がうまいこと外から抑え込んで、イスラボニータが抜け出すスペースを与えませんでした。

いくら絶好調のルメール騎手とはいえ、かなり厳しいレースとなりましたね。ちゃんと追えたのは残り、せいぜい50mほどでしょうか。これでは力を十分に出すことはできず、不完全燃焼の結果になってしまいました。残念なレースです。


優勝したのは7番人気サトノアラジン。 当日、パンパンの良馬場で競馬ができることは、この馬には願ってもない好機でした。また520キロを超す馬体で大跳びなので、コース内側で詰まるような状況はぜひとも避けたいところ。今回は7枠14番の外寄りなのも幸いし内側で包まれることなく外を回して伸び伸びと走らせ、最速の上がり33.5秒の脚を使いクビ差抜け出してゴール。

この馬が初重賞勝利を果たした昨年5月の京王杯SCからずっと手綱をとる川田騎手との相性も良いようで、昨年の安田記念では4着好走、その次の毎日スワンSも制し、その後3戦は、不利があったり馬場が悪かったりして敗れていましたが、今回は見事優勝。重賞3勝目、そして記念すべきGI初勝利となりました。彼がサトノアラジンをうまくリードして、長所を最大限に引き出す乗り方をしたのも勝因のひとつかと思います。


2着には2013年の皐月賞馬であり、昨年の安田記念覇者のロゴタイプが入りました。 昨年と同じく8番人気に甘んじたものの、7歳になった今年も良い走りを見せてくれました。スローで逃げて楽々とそのままゴールした昨年のレースぶりとは違い、今年は速いラップを踏みながらも終始バテる様子を見せずにゴール前まで粘っていました。さすがGI馬、底力はかなりのもの。スムーズなレース運びさえできればこのくらいは走って当然の力を見せました。衰えも感じさせませんでしたね。


3着に3番人気レッドファルクス。 勝ち馬とほぼ同じようなポジションでレースを進め、リズムの良い走りをしました。直線では前が壁になって追い出すまでに少々のロスがあり、大外に進路を取ってから凄い脚で追い込んではきましたが届かず1着馬からクビ・クビ差の3着。もしも勝ち馬と同じタイミングで追い出せていたら、おそらくきわどい勝負になっていたでしょう。レッドファルクスにはそれほどの力があるとデムーロ騎手はよくわかっていると思います。惜しまれる内容でした。


おなじく惜しい競馬をしたと思う馬が、グレーターロンドンです。3歳秋に500万下を勝ち、1年以上の休養を挟んで5連勝中、現在最も勢いがあるのではないかと思われるこの馬は、G1どころか重賞初挑戦ながら6番人気に支持されました。このレースの内容次第では、新たな怪物の登場もあると期待し見ていました。

レースはスタートで出遅れてしまい、道中であえて少し馬を動かしたのかポジションを前へ上げていき、直線では内から鋭く追い込んでの4着。結果だけ見ると、出遅れても動かずに後ろで脚をためつつジッとしていれば、直線でもっと凄いパフォーマンスが見られたかもしれません。ただ評判どおり能力はかなりのもの、これからが楽しみですね。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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