ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

大阪杯 「3番手」で主導権を握っていた武豊騎手

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今年からGⅠに昇格した芝2000mのレース、第61回大阪杯が阪神競馬場で行われました。 記念すべき初代チャンピオンに輝いたのは1番人気馬キタサンブラック。鞍上の武豊騎手は7度目の大阪杯勝利でGⅠ獲得数をまた増やすこととなりました。

キタサンブラックは逃げ・先行を得意とするタイプですが、今回も前走の有馬記念に続きマルターズアポジーが出走、武騎手はこの馬が自分よりも前に出るのがわかっているのでポジションを取りやすかったと思います。 オープン馬ともなるとレースにおいてはそれぞれが今までに好走してきた得意とするパターンがあり、騎手にとって各馬の位置取りが比較的わかりやすいため、レース全体の組み立てや流れを作るのは難しくありません(ごく稀にこれまでとは全く違うパターンのレースをして驚かせる騎手&馬もいますが)。形の上では逃げていませんが、このレースで主導権を握っていたのは間違いなく武豊騎手であり、彼にとって思いどおりの競馬ができたのではないでしょうか。

道中は3番手を楽々と追走、4コーナー手前からは後ろを待たずに自ら動いてそのまま押し切ってしまいましたが、これは内回りという点に加え、馬に手応えが十分あることを確かめて自信があったからこその仕掛けのタイミングでしょう。こういう感性はさすが。 初めての○○ジョッキー、といった称号はやはり長年にわたり人気・実績ナンバーワンジョッキーとして競馬界を支えてきた武豊騎手にふさわしいと思います。


2着には7番人気ステファノスが入りました。 スタートから終始勝ち馬をマークする形で追走、あのくらい手応えが良ければ騎手は乗っていてラクでしょうね。強い馬の後ろをついていけば、たいていの道はひらけるし、何もしなくても直線までは連れていってくれます。ステファノスはGⅠ未勝利ながら2・3着には何度もきているほど力のある馬。あれだけスムーズなレース運びができるのなら今回の好結果は納得です。鞍上の川田騎手も勝てなかったのは残念ですが内容的には満足できるものだったのではないでしょうか。


3着の4番人気ヤマカツエースは8枠13番の外側の枠が響いてか、1コーナーまでの位置取りがやや後ろになってしまいました。レースの流れが普通のペースだったことを考えるとポジションが良くなかったように思います。しかしながら最後、直線での末脚は見どころがありましたね。この馬は追ってからの伸びがぐいぐいと大変力強いところが長所で、流れさえ向けばG1勝利もかなうはずと期待しています。


もう一頭、注目された存在の2番人気マカヒキは4着に敗れてしまいました。 この馬もヤマカツエースと同じ8枠の大外14番枠で、鞍上のルメール騎手はスタート後、あまり前に馬を出していかず後方からレースを進めました。今回は前が有利な流れのため苦しい競馬になったうえに、エンジンのかかりが遅く感じられ、鋭い末脚が印象的だった3歳時に比べて少し反応が鈍くなっているように見えました。

レース経験と年齢を重ねるにつれズブくなる競走馬は多いのですが、マカヒキは今回のレースで上がりも悪くなく、むしろよく4着に来たなと思える脚を使っていて、このあたりはさすがダービー馬と思いました。キタサンブラックが主導権を握る形になるのはほぼ100パーセントわかりきっているわけで、気持ち良く行かせたら敵わない、だからステファノスのように好位でついていって末脚で勝ち負けするしかない。今回は枠番が影響したのでしょうが、マカヒキにはもう少し積極的な競馬をしてほしかったと思います。



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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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