ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

高松宮記念 「少しかかり気味」の騎乗が奏功したセイウンコウセイ

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3月もそろそろ終わりです。 進級・進学や就職など4月の年度替わりに慣れた日本人として1月1日、新年を迎えるかのように新たな決意をもって過ごす人も多いのではないでしょうか。

定年を迎えた調教師が2月末で引退し、新人ジョッキー・新規開業の調教師が3月1日(実際のお披露目は以降の直近の競馬開催日)にデビューすることからもわかるとおりJRAの年度替わりは3月1日なので、4月は何が変わるわけではありませんが、やはり春=GⅠシーズン到来!ということで気分は少々浮き立ちます。特に今年からは桜花賞の前週にGⅠ昇格した大阪杯が入ったおかげで、高松宮記念から間が空くことなくGⅠレースを楽しめるようになりました。


その春のGⅠシリーズ第1弾、第47回高松宮記念が先週中京競馬場で行われ、5番人気セイウンコウセイが2度目の重賞挑戦で見事GⅠ制覇を果たしました。 馬場は稍重との発表でしたが、当日のレースを観ていると馬が蹴り上げた土や芝の塊が大きく、おそらく騎乗するジョッキー達は稍重よりずっと悪い馬場状態に感じたでしょう。雨が降ると下が軟らかくなり、インコースは見た目以上に走りづらく馬が伸びていかないので、こういう馬場になると大抵、鞍上は外寄りのコース取りを選択することになります。

セイウンコウセイ鞍上の幸騎手はスタート後、先に行く馬を行かせて4・5番手につけて絶好の位置取り、手応えはややハミを取り“かかり気味”に見えましたが許容範囲内。この少しかかり気味の状態が、当日のような下が悪い馬場のときには馬にとっても騎手にとっても走りやすいのです。 かかる、というのはハミをかけて手綱を引いている体勢。馬の重心が下にならずノメりにくくなります。馬の走る姿勢にもよりますが、セイウンコウセイみたいなタイプの馬は馬場が悪くなっても苦にせず走ってくれます。レースではこの馬だけがその姿勢で走っていて、幸騎手も終始ラクな手応えで乗りやすかったと思います。

幸騎手は、直線に入ったときのコース取りは見事でしたね。 馬場の真ん中、ちょうどあのあたりから、いかにも芝が良さそうで伸びるのは当然。馬の走り方、騎手の乗り方など、当日の馬場状態をふまえて勝つべくして勝ったという感じです。まだ4歳と若いセイウンコウセイ、短距離界のスターとして長い活躍が見込まれます。


2着に2番人気、一昨年の桜花賞馬レッツゴードンキ。 2枠3番の内枠ゆえに外に出せず、ずっとインコースを走らざるを得ませんでした。外に持ち出すには後ろへ下げなければならないので、1200m戦においてはロスが多すぎてほぼ無理筋。中団よりやや後ろでレースを進めて3~4コーナーで上がっていき直線に向いたときには好位集団に取りつくほどの勢いがありました。最内からスルスルと伸びて3着馬にクビ差出たところがゴール、あの馬場で2着まで来るのはやはりGⅠ馬の底力でしょう。緩い馬場も苦にせず、今回を含め稍重~重のレースは〔1.3.1.0〕の好成績。今年に入り馬体重が500キロを超えてパワーも十分、牝馬ながら大変力強い走りを見せてくれました。


3着に1番人気のレッドファルクス。 デムーロ騎手が中団で脚をためるスムーズなレース運びをして、直線でも抜け出してきそうな雰囲気はありましたが伸びきれず3着に敗れました。1・2着馬とは対照的に緩い馬場が合わない馬なのでしょうね。


前走から巻き返しなるかが注目だった4番人気シュウジは15着に大敗してしまいました。 スタートが良すぎて先行争いに巻き込まれ、ハミを噛みっぱなしの状態になり、全然リラックスして走ることができませんでした。ペースも若干速く、今回は馬場により相当体力を削られてしまった印象。この馬は後方からのレース運びの方が、いつもの弾ける走りができそうです。 ただ、前走から今回とスタートからムキになるところがあり、鞍上にとって少し乗り難いタイプの気性なのかなと。地力はあるはずなので、うまくハマれば強い競馬をしてくれると期待しています。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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(04月29日現在)

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