ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

阪神大賞典 サトノダイヤモンドの試運転が無事完了!

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伝統のGⅡレース、第65回阪神大賞典が日曜日に阪神競馬場で行われ、単勝1.1倍の断然人気に支持されたサトノダイヤモンドが優勝。

有馬記念制覇から3カ月が経ちプラス4キロで出走した今年の初戦、春の天皇賞に照準をあわせているため当然ながら100パーセントの仕上げではありませんが、昨年の最強世代3強の一角としてクラシックを盛り上げたこの菊花賞馬が、今回のレースで負けるわけにはいきません。


9頭から多くても13・4頭ほどと、もともと出走頭数が少ない傾向にある阪神大賞典ですが、メンバーにはGⅠレベルの馬が並ぶことが多く、その質の高さはかなりのものです。過去の勝ち馬はナリタブライアン、テイエムオペラオーにナリタトップロード、ディープインパクト、ゴールドシップ…時代を彩るスターホースばかり。3000mの長丁場という点、そして今年からGⅠに昇格した大阪杯(このレースも歴代勝ち馬は名馬揃いですね)が2週後に控えているのもあって今回も10頭の少頭数になりましたが、春のGⅠ戦線に向けて見逃せない一戦です。

また、頭数が少ないレースというのはジョッキーの立場から言わせてもらえば大変ありがたいものです。位置取りがしやすい、コーナー・直線でのゴチャつきや不利による不完全燃焼がないなど、頭数が少なければ少ないほど乗りやすく、騎乗馬の能力を最大限に発揮させられるメリットがあるからです。


でも、優勝したサトノダイヤモンドの鞍上C.ルメール騎手は、あまり位置取りにはこだわらない感じでしたね。先にある大レースの3200mを見据えているのか折り合いを最重要視して乗り、言い方は悪いかもしれませんがまるで試運転みたいな、馬の動作や反応を確かめるように慎重な手綱さばき。後方でじっと折り合いに専念したあとは、直線で外に進路を取り力強く抜け出してゴール。

終わってみれば完勝です。勝って当たり前とも言えるレースなのですが、やはり競馬は何が起きるかわかりません。ルメール騎手はじめ関係者はひと安心、自信をもって次走へと向かえそうです。


2着は昨年のこのレース優勝馬、2番人気のシュヴァルグランでした。 上位2頭はやはり予想から外せません、こちらもサトノダイヤモンド同様、複勝100円の元返し。それだけの実力と安定感をファンに強く支持されているということです。

鞍上の福永騎手は勝ち馬より1列前でレースを進め、折り合い良く上手に流れに乗り、文句なしの騎乗をしていました。今回のレース最大の見どころは、この福永騎手の仕掛けです。

もし後ろからやってくるサトノダイヤモンドに先に仕掛けられて馬体を合わせる形、または先に前へ出られてしまうとシュヴァルグランにとっては分が悪い末脚勝負になります。そこで福永騎手は、サトノダイヤモンドがやってくる前に仕掛けはじめて、直線ではすでに前を捕らえる勢いで上がっていきました。結果的には1馬身1/2差つけられ敗れましたが、サトノダイヤモンドを負かすためにはこの作戦しかありません。よく考えられた、強い意志を感じさせる素晴らしい騎乗でした。


3着は僕が書かせてもらっているスポルティーバのコラムで、ヒモ穴馬にも挙げた5番人気トーセンバジル。 後方2番手で待機する形のレース運びは、馬がまだ精神的に成長過程にあり急がせるとリズムを崩すらしく、鞍上の四位騎手が馬との呼吸を第一に考えじっとしていたのでしょう。折り合いがスムーズなので長距離は適していると思います。

最後の直線での脚いろは大変見応えがあって、素質の高さがうかがえますね。これだけ走ってくれると、騎手は次のレースでは色気を出して少し前につけてみようかと思いがちですが、馬にとってはリズムが狂いチグハグな走りになって、結果前走に比べて内容も着順も悪くなるおそれがあります。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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