ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

フィリーズレビュー 騎手の心理が大きく分かれた1・2着

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日曜日に阪神競馬場で行われた桜花賞トライアル、GⅡ第51回報知杯フィリーズレビュー。3枚の切符を賭けて18頭の3歳牝馬が集いました。


まずは1番人気レーヌミノルについて。 浜中騎手は好スタートを切り前に出ると、後ろから上がってくる馬を先に行かせるだけ行かせ自らは控えて中団に位置、順調な出だしで馬の手応えも大変に良く、勝ちパターンといえる流れになりました。 しかしその後、4コーナー手前からアクセルを吹かしていき、外を回って直線入り口で先頭に並びかけると勢いよく抜き去り、このまま他馬を突き離すのかと思いきや、いざジョッキーが追いだすと内側に斜行してしまい、良い脚で伸びるもゴール前鋭く追い込んできたカラクレナイに1/2馬身差つけられ2着。

浜中騎手は後続馬の進路を妨害したとして3月18日~25日まで騎乗停止を科されました。


馬が十分すぎるほどの力強い手応えだったのはわかりますが、抑えられないくらい引っかかっていたわけではなく、僕には鞍上の仕掛けが僅かに早かったように感じました。流れが速いので前の馬は必ずバテると踏んで、後ろの馬を気にする乗り方をした方が良かったのではないでしょうか。

仕掛けのタイミング、そして斜行、浜中騎手としてはあまり落ち着いた騎乗ではありませんでしたね。GⅠも勝っている上位クラスのジョッキーであれば、内心はともかく騎乗ではもっと平静さを保ち、じっくり構えてもよいかなと。今回のレースに限り、焦りが見える内容でした。

レーヌミノルはこれまで重賞レースで強い馬が相手でも好結果を残してきただけあり、勝ち馬に差されながらもあの流れで3着以下を離して粘るのだから素晴らしい。あらためて能力の高さを感じました。


優勝した2番人気カラクレナイは、スタートは今ひとつで後方2番手からのレースに。 出遅れとまではいかないもののダッシュがつかず、そのせいで流れに乗れずベストを尽くせなければ、結果としてジョッキーの責任になります。

しかし、鞍上は日曜日メイン5連勝中のM.デムーロ騎手。持っている運が常人とは違うんでしょうかねえ。 ハイペースになり、カラクレナイにお誂え向きの展開に。後方で脚をためて仕掛けどころから一気に馬を動かすと、直線は大外に持ち出してゴール寸前でレーヌミノルを差し切りました。少しでも前と距離を縮めていこうと馬を出していっていたら、あの脚は使えなかったでしょう。

流れが向いたのは運だとしても、今現在、自分が置かれた状況(今回の場合スタートが良くなかったこと)を即座に吞み込んで腹をくくるという、この判断の早さと心臓の強さは個人の能力・経験がものを言い、その点でデムーロ騎手は超一流ですね。焦りや迷いが一切ない、最後の末脚に賭ける乗り方は見事。今回のレースは彼でなければ勝てなかったと思います。 これで日曜日メイン6連勝。毎週TVのインタビュー映像で彼の笑顔を観ています。


3着は6番人気ゴールドケープが入り桜花賞への最後の切符を手にしました。 最後方からレースを進め、勝ち馬の後ろを通って追い込んできました。上がり3Fは勝ち馬と同じ34.4秒と鋭い脚を使っていますが、少しポジションが後ろ過ぎたかもしれません。

これで桜花賞出走馬が出揃い、メンバーをあらためて見渡してみたところ、やはりどう考えても断然の1番人気であろうソウルスターリングが他を圧倒しています。あの馬は、よほどの乱ペースに陥らない限り、展開に左右されない強みがあると思います。2番手以降は有力な候補が多数いるため、当日までの調教など馬の調子をマメにチェックしていきたいと考えています。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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