ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

チューリップ賞&弥生賞 人気2頭が本番へ視界が開ける内容に

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3月に入り朝晩は冷えるものの日中は暖かい陽差しが増え、春の訪れを実感しています。 今年もクラシックシーズンがもうすぐ。いよいよ1冠目に向けて3歳馬たちのトライアルレースが始まりました。


先週土曜日は阪神競馬場でGⅢ第24回チューリップ賞が行われ、3戦3勝、単勝1.5倍の1番人気馬ソウルスターリングが圧勝。桜花賞の最有力候補として堂々たる走りを披露しました。

2馬身差をつけての勝利、それも着差以上の強さを感じさせる内容でしたね。 レースは前を見ながら4・5番手の好位を進み、直線に入っても手綱は持ったまま。残り200mあたりから鞍上のルメール騎手がゴーサインを出すと素早く反応し、あっという間に先頭に立ってリードを広げる、なんとも危なげない勝ち方でした。

これで4戦負けなし、桜花賞への不安なし。一冠はほぼ手中に収めていると言ってもよいほどです。あとは体調を維持し、万全の状態で桜花賞当日を迎えられるよう願っています。


日曜日の中山競馬場では皐月賞トライアルのGⅡ第54回報知杯弥生賞が行われました。 こちらも1番人気のカデナが優勝。前走のGⅢ京都2歳Sを制したこのディープインパクト産駒を僕も本命に推しましたが、毎年たいてい他にも1~2頭のアタマひとつ抜けた存在の素質馬が目に付くこの弥生賞、今年は強豪ぞろいという印象があまりなかったので相手を探すのに少々悩みました。

カデナはスローペースの中を中団よりやや後ろで流れに乗り、直線は外に出し追い込んできて2馬身差をつけてゴール。福永騎手が不利な流れの中でも戸惑いや焦りを見せず、余計なところで余計な動きをすることもなく、馬の末脚を信じて騎乗していたのはさすがベテランジョッキーだと思いました。

あそこで少しでも焦りが出て、外に出して早めに動いてしまっていたら末脚は出なかったでしょう。落ち着いたレース運びが勝利に直結。皐月賞でも馬を信頼し息の合った騎乗ができることを期待しています。


注目の一頭だった6番人気サトノマックスは、まだ1戦1勝の戦績で能力は未知の部分が多く、今回は荷が重いかとも考えましたが、堀厩舎でディープインパクト産駒、メンバー構成を踏まえて好走はあると見込みました。 結果は5着。あのスローな流れでついていけなかったのか、あるいは騎手が周囲の様子を見て後ろからレースを進める選択をしたのかは判断しかねますが、少し消極的な騎乗だったかなと。直線で外に出して、その後が良い脚を使い伸びてきていたので、皐月賞優先出走権が取れる3着の馬と同タイムという点でもったいないと思いました。


8番人気マイスタイルが2着に快走し出走権を獲得。鞍上が横山典騎手なだけに、必ず何かやってくれるはずと、その騎乗が楽しみでした。

好スタートを切り、スッとハナに立ったら、あとはスローに落とす。いや、素晴らしい。逃げ馬に乗った時のお手本のようなレース運びです。3着内で権利が得られることがわかっているため、もし決め手のある馬に差されたとしてもこのペースでいけば3着は確保できるとレース半ばあたりで確信していたのではないでしょうか。

トライアルだから必死で追わない・全力を出さないという意味ではなく、現状でベストと思える走りを引き出してあげて次につながる内容を、と考えて乗っていたように見えました。馬の疲労や故障など、大きなリスクを覚悟で今回のレースに臨むことはないと僕は思うので、本番に向けてとても楽しみになる内容でした。



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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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(03月27日現在)

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