ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

フェブラリーS デムーロ騎手だから持たせることのできたゴールドドリーム

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今年初めてのGⅠレース、第34回フェブラリーステークスが東京競馬場で行われました。お馴染みのダートの猛者がずらりと並ぶ何とも豪華なメンバー構成。オッズを見ると本命馬をどれにしようか、連軸なら何が…と迷う競馬ファンの気持ちが反映されているようでいわゆる“抜けた1頭、2頭”というのがいないレースでした。

何が勝ってもおかしくない今年のフェブラリーS、僕が注目していた一頭は2番人気ゴールドドリームです。前走チャンピオンカップでは2番人気ながら12着に大敗してしまいましたが、このときは致命的な出遅れを喫し、まるでレースになっていなかったので評価に関係ありません。


今回のフェブラリーSでは、ほぼ五分にスタートを切って中団につけられました。ペースは速め。前半800mと後半の800mを比べて後半は2.7秒も多くかかっており、この流れは前にいる馬には厳しいでしょう。当然、差し・追い込み馬が台頭してくる展開ですが、雨や雪が少ない関東の冬場のダートはパサパサでいかにも時計がかかりそうな状態、たとえ展開がハマったとして、後方一気というのもまた難しい馬場になっていました。

通常、速い流れの中で早め先頭に立つというのは、最後に脚が止まって差されてしまうことがありますが、ゴールドドリーム鞍上のM.デムーロ騎手はいくらか早めに抜け出し、馬の気力をもたせてクビ差しのぎました。いつもながら馬が最後まで諦めずに走りに集中できる追い方、他のジョッキーが乗っていれば緩んでしまうところをあと少しだけ、ゴールまで持ちこたえさせるような騎乗技術は凄いのひと言。


2着に5番人気ベストウォーリア。 2015年10月のGⅠ南部杯以降、勝ち星こそあげていませんが、強豪ぞろいのダート界でも能力上位、成績は高いレベルで安定し、1年前のフェブラリーS(4着)を除きこの2年間に出走した全てのレースで馬券に絡むという驚異的な結果を残しています。

特に前走の根岸Sの内容が良くて、今回は戸崎騎手がインの中団につけてうまくレースを進め、直線は馬群を割って伸びてくるも勝ち馬と同じ脚いろでクビ差届かず2着。見どころ十分、内容は大変良かったと思います。

ベストウォーリアは元々の能力が高いうえに、よほど極端なペースや展開にならない限り、スタートから位置取り・最後の脚など確実に期待通りの動きをしてくれるところが何よりの強み。また体調面・精神面で良い雰囲気をキープし続けているのも素晴らしいことです。これだけ心身ともに完成されている馬だと、騎手にとっては本当に乗りやすくレースに挑むのが楽しみになりますね。


3着の1番人気カフジテイク、この馬は前走の根岸Sで後方から最速の脚で鮮やかに抜け出し快勝、ただしこの時のレースが僕には“いかにもハマった”印象が強く、中心視はできませんでした。 また落馬負傷した福永騎手に代わり騎乗した津村騎手は、根岸Sより前にカフジテイクに騎乗し勝利したり、GⅠチャンピオンズCでは4着好走するなど相性が良く、騎乗技術もなかなかで落ち着いてレースができる良いジョッキーなのですが、それほど上位人気での出走ではなかった以前とは違い今回はGⅠレースの1番人気、少しプレッシャーが騎乗に影響するかもしれないとの不安も僅かにありました。

レースでは後方いつものポジションを進み4コーナーを回るときは最後方、メンバー中ただ1頭の上がり34秒台の脚を使うもパサパサのダートのため突き抜けるまではいかず3着まで。後方で焦らず落ち着いて騎乗できたのは良いのですが、これほど最後に必ず良い脚を使ってくれる馬なのだから、結果論として、もうほんの少し前の位置で競馬ができていれば、と惜しくもあります。津村騎手は悔しいかもしれませんが、この一戦で得たものも大きいでしょう。今後の成長に期待します。

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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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