ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

共同通信杯 ウオッカでの初制覇から10年、四位騎手のダービーV3に期待

このエントリーをはてなブックマークに追加

先週日曜日に東京競馬場で行われたGⅢ、第51回共同通信杯。牡馬クラシックを見据え、今年期待の有力馬が揃いました。

共同通信杯といえば、過去の勝ち馬を見るとアイネスフウジンにナリタブライアン、エルコンドルパサー、ジャングルポケットやゴールドシップ…競馬好きであれば知らない者はいないビッグネームがずらりと並びます。のちの活躍はもちろんのこと、本格的に名が売れる前の(しかし能力の高さを感じさせる)これら名馬たちの共同通信杯の走りを、今もなお鮮明に記憶しているファンも多いのではないでしょうか。


記録と記憶に残るような名馬がこのレースで現れるかもしれない。そんな期待をこめて観戦したこの3歳馬たちのレースを制したのは2番人気スワーヴリチャード。

鞍上は僕が個人的に好きなジョッキーである四位騎手です。 10年以上前から公言していますが、彼の騎乗姿勢が一番好きなんです。騎乗するにあたっての心構えという意味の姿勢ではなく、単純に乗っている体勢のこと。鐙の短さといい、重心が低くて馬の首に張りつくように乗る姿はじつに格好良く惚れ惚れします。彼のように格好良い騎乗姿勢の騎手が勝つのは観ていて大変に気持ち良いものです。

レースは、スタートを無難に出し好位につけ、集団で折り合いながら進みました。この馬だけでなくレースの流れに早めに対応できず折り合うのに時間がかかる馬が多かったように思いますが、まだ経験が少ない若馬ばかりなのでこれは仕方がありませんね。

内の1枠1番を生かしスワーヴリチャードは道中も最内でじっと我慢。直線まで楽な手応えで4コーナーを回り、その後は追い出しを待つだけの余裕すら感じられました。四位騎手には、相手の馬が外から追い込んでくるのが見えはじめたところで一緒に追い出しても十分に間に合うとの自信と手応えがあったのでしょう。そのとおり残り200mからは独走、完勝といえる内容でした。

四位騎手は昨年末のGⅠ・朝日杯FSをサトノアレスに騎乗し優勝しましたが、クラシック戦線ではその2歳王者ではなく、おそらくデビュー戦から全て手綱をとっているこのスワーヴリチャードで挑むのでは。名牝ウオッカで制した2007年からちょうど10年(翌年連覇していますが)の今年、再び四位騎手がダービーを制覇する姿が見られるか。ひそかに楽しみにしています。


期待していた1番人気馬ムーヴザワールドは3着。 前走の東スポ杯2歳Sでは2着スワーヴリチャードにハナ差の3着に敗れましたが、この日の返し馬を見ると大きなフットワークで全体がじつに柔らかく、かなり良い感じに映ったので“これは勝てそう”と思っていました。

勝ち馬と同じようなポジションでレースを進めて、折り合いも見た目には悪くありませんでしたが、1つだけ気になったのが、馬の首が窮屈そうで頭が僅かに高く見えたこと。これはこの馬の癖というか走るときの姿勢なのかもしれません。ただもう少し首・頭ともに低くして一完歩ごとのストライドに合わせて上下する感じの方が良さそうに思います。あの姿勢だと息が入りづらい気がします。 直線まで良い流れで進みながら、追い出すと手応えのわりに伸びていかず、もしかしてエンジンのかかりが遅めで決め手勝負だと分が悪いタイプかもしれません。距離がもう少しあると良いのかな。とにかく次走に注目したいと思います。


もう1頭、良血で人気のあるエアウィンザーは中団で追走も6着で「ついていくのが精いっぱい」との武豊騎手のレース後コメントがありました。しかし何といっても昨年のクラシック戦線を盛り上げた1頭エアスピネルの全弟。こんな内容の競馬をする馬ではなく、今回は体調面か精神面でかわかりませんが何かがあり、若さゆえの脆さが出たのかもしれません。見切るのは早すぎます。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
レース回顧
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

ブロガープロフィール

profile-icononishi-naohiro

元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
  • 昨日のページビュー:7575
  • 累計のページビュー:2566991

(11月19日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 日本ダービーを若い川田騎手が勝った意義
  2. 桜花賞で明暗を分けた2人の騎乗
  3. 次週の朝日杯フューチュリティSについて
  4. ジャパンカップ 武豊騎手の騎乗技術の高さが際立っていましたね
  5. セントウルS 逃げ切ったビッグアーサーが抱える不安点
  6. さあ6週連続GI まずはスターホース2頭がぶつかる天皇賞・春!
  7. ヴィクトリアマイル 牝馬は実績よりも調子!
  8. 安田記念 力を出し切れた馬、出し切れなかった馬
  9. ダービー1・2着馬に騎乗した騎手2人の戦い
  10. 皐月賞3強を負かした蛯名騎手の好騎乗

月別アーカイブ

2017
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2016
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年11月19日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss