ダービージョッキー大西直宏 騎手の視点

根岸S 初騎乗でも落ち着いていた福永騎手

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東京競馬開幕週の先週日曜日はGⅠフェブラリーステークスの前哨戦であるダートGⅢレース、第31回根岸ステークスが行われ、カフジテイクが1番人気の期待に応える見事な走りで初重賞勝利を果たしました。

レースは逃げ馬のコーリンベリーがスタート後に躓き、その2番手に続くであろうと思われていたノボバカラもスタートが今ひとつ。

騎乗するジョッキー達はあらかじめ出走メンバーを見て逃げ馬・先行馬の顔ぶれを確認、その上で自分はどこの位置でレースをしようかと考え、理想的なポジションを取れるよう努めてレースに臨みます。 ところが今回、前に行くはずの馬たちが揃って行けなかったことで、じゃあ自分が前に行こうかと考えた騎手が意外といたらしく、結果先行争いが激しくなりペースアップ。そのため普通にスタートを切ったカフジテイクは自然と後方の位置取りになりました。

晴天が続く冬場の関東のダートは乾燥し思いのほか力が必要なパサパサの馬場になっているので、前半に無理をすれば後半は脚が残っていないという事態は珍しくなく、この根岸Sもそのとおりの展開になりました。

カフジテイクはペースが速かったのもあって折り合いがじつにスムーズで、後方3~4番手から何の不利も負担もなく楽々と追走できていました。福永騎手はカフジテイクに騎乗するのは初めてですが、当然この馬の終いの脚は知っているので後方からの競馬になっても焦りを全く見せない、むしろ余裕すら感じさせる落ち着いたレース運びをしていました。直線で大外に持ち出して追いはじめると、前を行く15頭をあっという間に抜き去って先頭に立ち、そのままゴール。観ていてさすがに届かないのではと思いましたがそんな心配は要りませんでした。展開がハマったとはいえ、もの凄い脚でした。福永騎手はゴールの瞬間、さぞかし気分が良かったことでしょうね。

2着は3番人気ベストウォーリア。中団よりやや前につけて追走、いったん抜け出しながら勝ち馬の強襲に遭い敗れてしまいましたが、鞍上の戸崎騎手は流れにうまく乗せて良い内容の騎乗ができました。次走のフェブラリーSではおそらく今回のような流れにならないのでチャンスかと思います。 なぜなら、スタート地点が200m後ろになり3コーナーまで距離がかなりあるため、出遅れさえなければ理想的なポジションが取りやすくペースもそれほど上がらないから。次に期待できるレースだったと思います。

僕がヒモ穴馬にあげた7番人気ノボバカラは前述のとおりスタートで後手を踏み万事休す。先行してこそ生きる馬、しかし前に行けず、普段はほとんど被ることがない砂がたくさん顔に当たってイヤ気がさしてしまい全くレースに集中できなかったように見えました。

僕も現役時代、逃げ馬に乗ったときには、うまく先頭に立てた時点で自分のするべき仕事はほぼ完了したな、との気持ちがありました。それほど先行馬にとってスタートが大切、というかスタートが全てと言ってもよいかもしれません。 あとはゴールまで粘り切れるか又は差されてしまうか…展開・ペース・メンバー次第で着順がまるで違ってきますが、出遅れて自分の競馬ができないのは騎手の責任が大きいとの意識があるため最も悔やまれること。今回のレース、柴田大騎手は周囲の関係者や応援してくれるファンに対し申し訳ない気持ちでいっぱいでしょう。挽回を期待します。



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元JRA騎手。1997年には、サニーブライアンに騎乗して皐月賞・日本ダービーの2冠を達成。通算512勝、重賞12勝。引退後は、騎手ならではの視点で競馬を表現するターフメディアクリエイターとして、レース解説などを発表。日刊スポーツをはじめ、各種メディアにて連載中。また、自らの名を冠した育成牧場「N.Oレーシングステーブル」を経営。ターフに活躍馬を送り出すべく、代表として手腕を発揮している。
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