2009年02月24日
2010年バンクーバーオリンピック・パラリンピックのカーリング会場(バンクーバーオリンピック・パラリンピックセンター)がオープンし、これで全ての会場が整いました。各会場ではテストを兼ねたスポーツイベントが行われ、選手からのフィードバックを得ながら必要に応じて見直しをしていくとのこと。
昨今、スポーツイベントやスポーツ施設でも環境問題への対応が欠かせなくなってきていますが、今回オープンしたばかりのカーリング会場でもさまざまな環境対策をしています。例えば、建物内の温度を保つ建築資材や、雨水の利用、シャワーやトイレの水量調節、温熱の再利用、電気は天然ガスと太陽発電を利用するなど。
カーリングはカナダの代表的なスポーツなので、世界一のカーリング場としてオリンピック後もたくさんの人に長く利用してもらえるように作られているようです。
先日、お伝えした選手村建設の件(バンクーバー、開催まで1年の様子)では、バンクーバー市が残りの建設費を引き継ぐことになったため、格付け会社からの評価が下がったという報道もありました。世界的な金融危機の影響で、民間の投資会社が建設費の支払いを突然停止するとは当初予想もしていなかったこと。事前に予測・回避するにはどうすれば良かったのかと考えさせられます(個人的には選手村を高級マンションにする必要があったのかどうか疑問)。現時点では、市としては2010年のオリンピック・パラリンピック開催後までに不動産市場が回復していることを願うばかりだと思います。
バンクーバーオリンピックは来年2月12-28日、パラリンピックは3月12-21日に開催されます。オープニングまで1年を切り、テストイベントも各種行われ、スポーツ会場の準備は順調に進んでいる様子。現地の市民のかたたちもおそらく盛り上がってきているのではないでしょうか。
posted by olympic-study |08:51 |
2010バンクーバー |
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2009年02月17日
2016年オリンピック招致、先週木曜日までに4都市とも立候補ファイルをIOCに提出し、各都市の招致計画の概要が明らかになりました。今回の招致レースは熾烈になると見られています。
まず、現在の世界経済の状況から、各都市とも財政面をアピール。この中には政府の財政保証も含まれます。オリンピック開催は、IOCが開催国(の組織委員会)にオリンピックの運営を委託するという、いわゆるフランチャイズ方式のため、開催国政府の財政保証は重要な条件となります。
それに加えて、マドリードは既に80%の施設を建設済み・建設中で交通機関などの新たなインフラ整備は特に必要ないためコストを抑えられると強調。
リオ・デ・ジャネイロはブラジル経済が現在も堅調に成長しているとして、世界銀行の予測(世界ランキング10位から2016年までには世界5位に成長)を引き合いに出しています。ブラジルは世界不況の影響をそれほど受けておらず、2014年サッカーワールドカップ開催に向けて空港整備などのインフラ事業が進んでいることも後押しして、2016年オリンピックを招致する態勢が万全にできているとのこと。意外にも、世界中が不況とは限らないようです。
一方、シカゴは州政府と市および民間で財政を賄う予定ですが、収益予想が他の3都市よりもはるかに高く、チケットの価格設定も他都市より高め、選手村の売却益や命名権による収益を期待するなど、現在の経済状況からすると財政基盤の堅固さアピール度がやや弱い印象。
東京がアピールしているコンパクトさ、選手村と会場とのアクセスの良さは、他都市も強調していますが、半径8キロ以内に90%以上の施設という東京が最も集約しているようです。マドリードは半径10km以内に90%以上の施設、シカゴは90%以上の選手が15分以内に会場に到着できると、それぞれコメント。また、選手だけでなく観客の誘導を高めたり、オリンピック会場だけでなく市内観光地とのアクセスを高めたりといった取り組みも見られます。
国民の関心度はマドリードが一番高い印象。90%以上がオリンピック招致に賛成で、全ての政党と王室も招致を全面支援といった報道を見るに、なぜここまで高いのだろうと思うほど。第一の理由はおそらく、2012年オリンピック招致に3位で落選し、今度こそという思いがあるからではないかと。そして、IOC元会長サマランチ氏の影響力。今回の招致活動を全面的に応援し、息子のサマランチ・ジュニアが招致リーダーを務めています。
「立候補ファイルには我々のDNAが込められている」「人間味のあるオリンピックを目指す」など、ヒューマンタッチなコメントが出てくるのは、スペインの国民性なのかオリンピックへの情熱ゆえなのか。
シカゴはオバマ大統領との結びつきから、オリンピック運営にあたって連邦政府との関係を強化する可能性を示唆、また変革するアメリカをアピールする象徴としてもオバマ大統領の存在を前面に出したいところかもしれません。ですが、オリンピック招致にあたっては、招致計画の内容がともかく重要という見方が中心のようです。シカゴのアドバンテージは、むしろスポーツレガシーへの取り組みではないかと思われます。
東京の招致計画については日本語の情報がたくさんあるため、ここに詳細は書きませんが、これまで見てきたように招致に向けて各都市ともしのぎを削っている状況です。
以前の調査では東京が有力候補とされていましたが、昨今の報道からは南米初の開催を目指すリオも有力なのではないかと思えてきます。中国が2001年の招致決定以降、GDP二桁台の成長を続け、先進国の仲間入りを果たし経済大国へと大きく発展したように(2008年は世界不況の影響で一桁台でしたが)、ブラジルも経済の波に乗って大きく成長するのではないかと。
それでも日本人の私としては、やっぱり日本に元気になってもらいたい。1988年招致に敗れた名古屋、2008年招致に敗れた大阪に次ぐ3度目の挑戦をぜひともかなえてほしいと思うのです。
次に日本をアピールするチャンスは4月中旬。IOCの評価委員が調査訪問するときです。それまでに国民の関心度がどれだけ高まるかが一つのキーになるでしょう。
追記:これから各都市の立候補ファイル(各都市300-600ページ)を分析したいと思ってます。気づいたことがありましたら、関連記事をupする予定です。
posted by olympic-study |14:14 |
2016東京招致 |
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2009年02月12日
バンクーバー冬季大会の開会式(2010年2月12日)まで、今日でちょうどあと1年。バンクーバーオリンピックの会場となるバンクーバーとウィスラーでは、これを祝ってさまざまなイベントが開催されているようです。
ハイライトは、IOCのロゲ会長が世界の若者に参加を促す式典。これはオリンピックの伝統的な儀式の一つで、世界のアスリートたちに向けた招待状が開催の1年前に各国の国内オリンピック委員会(NOC)宛に送付されます。
このほか、聖火リレーのトーチや聖火ランナーのユニフォームの公開、開会式までカウントダウンをする時計を公開するイベントなどが、昨日・今日とおこなわれてます。
また、運営の実地テストを兼ねた国際スポーツイベントが今月から複数開催されており、これまでのところ、テストは全て成功とのこと。開催国が事前にこうしたイベントをおこなうことで、運営テストのみならず、地元の人たちのオリンピックスポーツへの関心を高める効果もあります。
一方、選手村建設費をはじめとするコストの問題もメディアでは取り上げられています。選手村建設にあたっては、当初、オリンピック終了後に高級マンションとして販売するつもりだった米国系の投資会社がローンという形で資金提供をしていたのですが、不動産市場に期待できなくなったとして昨年11月頃に突然支払いを停止、残りの建設費をどうやって賄うのかが問題となりました。結局、州政府や市議会での話し合いによって、バンクーバー市が借り入れをすることになり、そのための予算も決議されました。
これによって借入金の利息が下がってオリンピック終了後は市民に手の届く適正価格で販売されるようになる、あるいは市が抱えるホームレス問題の解決につながるのではというポジティブな見方もありますが、市にとっては突然の負担増大。
選手が滞在する施設として高級マンションを建設する必要があったのか、地域に見合った施設なのかどうか、最初に検討すべきだったのではと思います。市民が必要とする施設・住居なら、民間の投資会社に頼る必要もなかったかもしれません。
IOCの方針は、できるだけ運営コストを抑え、必要のないものは作らない・残さないようにとしています。それでも、世界からゲストを迎える開催国としてはいいところを見せたい。そのために、運営費や関連事業費が膨らんでいく傾向があるようです。関連事業がいくつも立ち上がれば経済活性化や市民生活の向上につながるので、必ずしも悪いことではありませんが、地域のニーズに合っているかどうかの吟味は必要不可欠ではないかと。
バンクーバーの明るい話題としては、チケットや関連グッズの売り上げが好調なこと。カナダ国民の関心の高まりが伺えます。
さて、本日2/12は日本が立候補ファイルをIOCに提出する日でもあります。マドリードとリオ・デ・ジャネイロは、一足先に水曜日に提出。シカゴと東京は本日、最終締切日に提出します。各都市のコメントについては次回ご報告します。
posted by olympic-study |19:56 |
2010バンクーバー |
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2009年02月08日
この前に書いたマイケル・フェルプス選手のマリファナ疑惑について、米国水泳連盟がフェルプス選手に対し3ヶ月間の出場停止と財政支援停止を発表しました。問題が発生したのが競技大会期間中ではないため、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)のルールには抵触しないものの、数多くのファンや関係者を失望させたとして、フェルプス選手に改めてロールモデルとしての責任を感じてもらうため、このような措置をとることになったようです。2/5から3ヶ月間となりますが、世界選手権ローマ大会の国内予選には影響がないとのこと。
現時点でも、フェルプス選手が実際にマリファナを吸引したのかどうかは明らかになっていません。常用していたのかという質問には「ノー」で、問題となった写真については「軽率な行動」「間違った判断だった」「今後二度とこうしたことは起こらない」と謝罪しています。
これに対する世間の反応は、主要メディアの報道記事(約20本)を見る限り、フェルプス選手支援の側にたっているようです。フェルプス選手が吸引していたと決めつけている記事もなく、いわく、「英国のタブロイド紙にそう見える写真が掲載されたが、記事には吸ったとは書かれておらず、そのパイプがマリファナ吸引に使われるとしか書かれていない」「フェルプス選手は自分の行動に対して率直に謝罪をおこなった」「IOCもFINA(国際水泳連盟)も謝罪を受け入れ、もう十分として今後の信頼回復に期待している」「数多くのファンやスポンサーからフェルプス選手に励ましのメッセージが届いており、フェルプス選手は信頼回復に全力を尽くしたいとしている」など。
スポンサー企業のうち、今月末で契約期間が切れるケロッグ社は更新しないと発表しましたが、メインスポンサーのスピードやオメガは今後も支援を継続するとのこと。また、米国オリンピック委員会は、二度とこのようなことが起きないよう必要な手助けをするとフェルプス選手に手紙を送ったそうです。
こうしたことから、問題となった写真を掲載した英国のタブロイド紙はメディアとしての信頼度が低かったのではとも思えます。そもそも、アメリカのプライベートなパーティーで撮影された写真がなぜ英国の新聞に掲載されるのか疑問。また、タブロイド紙は、いわゆる大衆紙、ゴシップ紙ともいわれているので、オリンピック史に残る世界のヒーローをゴシップから守ってあげたいという気持ちのほうが世間では強いのかもしれません。
フェルプス選手の言動に対する評価は、IOCやFINA、米国オリンピック委員会が答えを出しているといってもいいかもしれません。
タイミングや各社の記事の内容から、フェルプス選手が通信社を通じて公式謝罪をしたことで世界中のメディアが今回の件をとりあげることになったようにとれますが、公式謝罪がなければ英国ローカルのゴシップで終わっていたのか、はたまた、ネットを通じて信憑性のあるグローバルニュースに変わりさらに大きな問題となったのかはわかりません。今回の件では、問題発生と同時に迅速な対応をすることで、問題は大きく表面化したものの、ファンも関係者も支援の姿勢は変わらないというポジティブな結果につながった気がします。
1週間前に写真が掲載されて以来、家族と静かに過ごそうとしているフェルプス選手ですが、問題が表面化したことでパパラッチなど取材攻勢が激しくなり嫌がらせもあって、2012年ロンドン大会への参加をどうするか今後検討するそうです。選手のメディア対応は、まだまだ正解のない難しい問題と思わせられます。
posted by olympic-study |11:01 |
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2009年02月04日
今週は、マイケル・フェルプス選手がマリファナのパイプをくわえている写真を巡って、世界各国のメディアがその動向を報じています。
問題となった写真が掲載されたのはイギリスのタブロイド新聞「News of the World」紙で、日曜版に掲載されるや、瞬く間に主要メディアにニュースが流れました。2/1の記事で既にフェルプス選手の謝罪が伝えられているので、フェルプス選手の対応も早かったといえるかもしれません。
マイケル・フェルプス選手といえば、北京オリンピックの競泳で前人未到の8冠を達成しオリンピック史に名を刻んだ人物。その功績には7つの世界記録、8つの米国記録とオリンピック記録が含まれます。北京大会で最も注目された選手といえるでしょう。オリンピック後にはスポンサーからの高額なボーナスやさまざまな賞の受賞が話題となりました。今年に入ってからも中国マツダとの欧米人として中国で最高額のスポンサー契約があったり、1週間ほど前には米国オリンピック委員会から2008年の年間最優秀選手賞を受賞。このほか、スポーツイラストレーテッド誌やAP通信社からも年間最優秀選手賞を受賞しています。
それだけに今回の件は大きく取り上げられました。フェルプス選手は写真が本物であることを率直に認め、通信社を通じてファンや関係者に謝罪をおこなうとともに、スポンサーに対しては直接連絡して謝罪したようです。
ただ、実際にマリファナを吸ったのかどうか「News of the World」紙が言及していないこと、写真が撮影されたのがオフ期間中(昨年11月)のプライベートな大学のパーティーだったことから、現在のところ、スポンサー各社とも今後も支援を継続するとコメント。米国オリンピック委員会は、今回の件には遺憾の意を表明しつつも謝罪を受け入れ、フェルプス選手には今回の反省から学んで青少年のロールモデルとなることを期待しています。今後、どのような経緯で写真が撮影されたのか、大学のある地元では調査もおこなわれるようです。
オリンピック選手にはロールモデル(お手本)となることが求められています。これはオリンピックの理念が健全な青少年の育成という教育的な側面を持っているためで、オリンピック選手は子どもたちに夢と感動を与え、目標となるような人物であるべきとされています。勝つことだけがゴールではないというのがオリンピックの本来の姿。
とはいえ、勝利の影には数えきれないほどの努力があり、勝者だからこそお手本になれるのも事実。また、注目される選手は強い選手・メダルを獲得した選手になりがちなので、メダリストほどロールモデルとして求められる期待も大きくなります。
今回の件では、フェルプス選手の注目度や影響力、オリンピックメダリストに対するロールモデルの期待の大きさを改めて感じました。スーパーボールがなければアメリカではもっと大きく報道されていたという専門家もいますが、国際大会に向けてトレーニングを再開したばかりの本人にしてみたら相当の痛手だと思います。これから2012年ロンドン大会に向けて試練が続くかもしれません。
posted by olympic-study |12:16 |
オリンピック一般 |
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