2008年09月22日
先週で北京パラリンピックも終了。IOCの発表によれば、147ヶ国4000人の選手が参加し、279の世界記録と339のパラリンピック記録が出たとのこと。
また、チケットは190万枚を売り上げ、開・閉会式や水泳競技は売り切れ、学校や地元のコミュニティ団体へも60万枚のチケットが行き渡ったそうです。
今回、種目の統合があったことを考えると、この記録数は、いかに選手の競技能力が高くなっているかを表しているといえるのではないでしょうか。
北京オリンピックが始まる前の7月、パラリンピック選手の競技能力に関するテレビ番組を見ましたが、補助器具の進化と選手の努力は目覚ましいものがあると実感しました。
一方、パラリンピックでは、放映権による放送事業者間での地域の棲み分けがないユニバーサルな放送が提供されました。IPCのネットテレビで一日8時間のライブ放送をおこなったほか、ハイライトをビデオオンデマンドで毎日配信。YouTubeでも専用サイトで動画配信をおこないました。これはまさに新しい試み。
ネットテレビでいくつか競技を見ましたが、選手たちの競技に対する取り組みも非常に高く、オリンピックと分けて別々に開催する必要があるのかと思うほどでした。もちろん、同時開催には越えなければならない大きなハードルがいくつもあり、一概に同時開催がいいとは言えないのですが。
今後、オリンピックの放送がどうなっていくのかは、興味がつきません。3年前にインターネットに焦点をあてたオリンピック放送に関する論文を書いたこともあり、個人的にかなり興味津々。当時から、2008年にインターネット解禁になるのはわかっていましたが、実際にそれを体験できて感慨もひとしお。今後の行方も見守っていきたいと思ってます。
posted by olympic-study |21:38 |
2008北京 |
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2008年09月12日
障害を持つ人たちのためのスポーツの歴史は長く、100年ほどになります。第2次世界大戦後には、戦争で負傷した人たちのリハビリとしてスポーツが注目されるようになり、その後リハビリのためのスポーツはレクリエーションスポーツへと急速に発展し、国際競技としての地位を確立するまでになりました。
第1回パラリンピックが開催されたのは1960年。ローマオリンピックの後に同じ会場を使って開催され、これ以降、夏季オリンピックと並んで4年ごとに開催されるようになります。1976年からは冬季パラリンピックも開催されるようになりました。(以上、詳細はIPCのサイト参照)
障害をもつ人も競技者として活躍できる機会があるというのは素晴らしいことだと思います。パラリンピックのおかげで、選手を志す人は同じように夢を追いかけることができるのですから。
また、パラリンピックを開催することによって、社会に還元できることもあります。現在、北京ではパラリンピックに合わせてケアとリハビリの展示会が開催されており、障害を持つ人のみならず高齢者も対象とした補助器具などを紹介しています。中国では人口約13億人のうち、8300万人が障害を持ち、高齢者は1億5000万人にのぼるそうです。
2016年の夏季大会を招致している東京も、オリンピックとパラリンピックの両方を開催することになりますが、招致ファイルによれば、既存の交通機関をユニバーサルデザインに基づいて改善していくとのこと。オリンピック・パラリンピック開催に向けて、街がバリアフリーになっていけば、そこに住む人たち・訪れる人たちに利益がもたらされます。
東京はすでに交通インフラが整っているので、アテネや北京のようにオリンピックを機会に交通網や空港などを整備する必要はほとんどないと思われます。むしろ、障害を持った人やベビーカーをひく人、高齢者のかたにとって動きやすい街づくりになっていくほうが、開催後にわたって意義があるような気がします。
そこに住んでいる人たちにとって長期的にプラスになること、それをアピールすることも、招致成功のきっかけになるのでは。日本のように成熟した国での開催は、世界のモデル都市になることも目指せるかもしれません。
posted by olympic-study |20:37 |
2016東京招致 |
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2008年09月05日
北京オリンピックの聖火リレーは5大陸を回る壮大なルートでしたが、パラリンピックでは中国国内のみのリレーとなりました。当初の海外ルートを見直すことになったのは、5大陸リレーでさまざまな問題が起きたため。
世界各国を回る聖火リレーが始まったのは2004年のアテネ大会。聖火を採火するギリシャのオリンピアから開催都市アテネまでの距離が短すぎること、ギリシャ国内を回るにしても小さな国なのであっという間に終わってしまうこと、また世界各地を回ることによるスポンサー効果も検討され、グローバルな聖火リレーがスタートしました。
幸い、アテネ大会の聖火リレーは成功を収めることができましたが、今回の北京大会では開催国中国に対する反発やそれに対する中国国民の反応などで暴動やボイコット運動、不買運動が起こり、聖火リレーのための厳重な警備とそれにかかるコストの問題も浮き彫りとなりました。
見方によっては、「世界が中国を知り、中国が世界を知る」というIOCロゲ会長の発言どおりになったともいえるかもしれません。聖火が世界を回らなければ、中国が抱える問題がこれほどクローズアップされることもなかったでしょう。
とはいえ、莫大なコストをかけ、聖火が見えないほど厳重な警備体制を敷いてまで、おこなうことだったのかというと疑問も。
2016年のロンドン大会では、国民からの意見をうけて、聖火リレーを国内のみとする可能性があるようです。
それはそれで賢明な判断だと思います。国内各地が海外メディアに出れば観光振興につながりますし、オリンピックの聖火が小さな町にも訪れ、そこの子供たちや住民と触れあうことこそ、オリンピックの本来の意義につながると思うので。
posted by olympic-study |14:52 |
オリンピック一般 |
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2008年09月03日
北京オリンピックが終わって、オリンピックの運営に興味を持った人もいるのではないでしょうか。そんなかたにお勧めしたい本は「オリンピックはなぜ、世界最大のイベントに成長したのか」(グランドライン発行)。
オリンピックに関する本は世界に山ほどありますが、運営やマーケティングに焦点をあてた日本語の本はまだ少ないと思います。
「オリンピックはなぜ、世界最大のイベントに成長したのか」(原題:Olympic Turnaround)は、IOC(国際オリンピック委員会)でマーケティングに従事してきたマイケル・ペイン氏が現場で体験したことを書いているという点に価値があります。
ペイン氏はIOC元会長のサマランチ氏のもとで仕事をしてきたため、読者にとってはこれまでメディアを通してみたサマランチ像と異なる部分もあるかもしれません。また、著者のIOCでの経験の集大成でもあるので、著者の思い入れが表れている部分もあるかもしれません。
そういうところを考えても、この本に価値があると思うのは、膨大なリサーチの裏付けがあるから。
オリンピックにおける放映権がどのようにして始まったのか、放映権交渉がどのようにおこなわれたのか、グローバルなスポンサーシップを始めたきっかけやスポンサー企業とのやりとり、ITなど新技術導入の背景や問題点、政治的な問題、オリンピックというブランドをどう構築し守っていくのかなどについて書かれており、当時かかわった企業・団体や関係者の名前、数字がバンバン出てきます。
この本を読めば、オリンピック競技大会がどのようにして運営されてきたのか全体の流れがつかめると同時に、これからどう運営していったらいいのか考えるきっかけになると思います。
巻末の原著註を見ると、著者がどれほど多くのデータにあたったか想像できますが、この原著註の中にはトリビア的なネタもあって結構楽しめます。
訳者の一人として関わり、全体の内容チェックも担当させていただきました。翻訳にあたっては著者を尊重して原文を忠実に再現するようにし、チェックについては限られた時間でしたが背景や数字のリサーチをおこない、読者のかたが理解しやすいよう訳註もできるだけつけました。この本を読んで興味を広げてもらえたら嬉しいです。
posted by olympic-study |11:09 |
オリンピック一般 |
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