2008年03月31日

浦和対新潟 希望の光。雨の埼玉にて

 本日は雨の埼玉スタジアムへ。ナビスコカップを経て、浦和がどこまで変化したのか、そして今シーズン、なかなか自分たちのサッカーに持ち込めない新潟はどこまで浦和についていけるのか。そこには思いもよらぬ、新しい浦和の断片と背番号9の著しい変化があった。

トゥーリオの面影
多分、メディアは今日のゲームの評価を闘莉王に向けることだろう。その目線は3バックの中央に戻ってきた闘莉王がいかにネガティブなスパイラルを断ち切ることができるのだろうか、というある種の期待、である。
 
 だがスタメン表にはMFとあった。

 クロゼイロの下部組織を断って入学した渋谷幕張高校では、2年生までCBだった。すでに当時185cm、80kgの体躯を誇っていた闘莉王は、その後ボランチに居場所を移し、力強い空中戦と中盤の底でテンポよくパスを回す光景を今でもはっきりと思い出すことができる。

 そして今日。闘莉王はプロになって初めてというボランチを任され、予想以上に躍動した。面白いように高校時代が重なる。
 鈴木が開始直後からしきりに膝を気にするそぶりを見せ、結局交代した後も冷静だった。クローズアップされるのは中盤でインターセプトし、そのままゴールに結びつけた2点目だろう。
 だが、ゲームの要所と呼ばれる「失点する可能性がある時間帯」には最終ラインをコントロールし、3バックの中央にいた堀之内でさえ闘莉王の指示を仰ぐ。自身が奪った2点目の後には非常にシンプルにプレーすることでリスクを冒さず、ミスを最小限に抑える彼がいた。

少しずつ変わる浦和
ここにきて浦和はかつての輝き以上のプレーを魅せる局面がある。90分とはいかないまでも、全員の共通理解が一致する。そして一致するだけではなく、得点の匂いまでも感じてしまう。エンゲルスの手腕は確実にピッチの上で生きている。

 その原動力になっている選手が永井雄一郎だ。高原、エジミウソンの加入が一つの動機となり、二人にはない自分の特徴をいかんなく発揮している。

 現在の浦和には中盤から決定的なボールを出せる選手がいない。それが低調なパフォーマンスを繰り返す浦和の一つの原因だった。期待された高原とエジミウソンはボールを受けに来るばかりで、スキルに依存し、偶発的なコンビネーションしか起こる気配はない。
 
エースの証明
しかし、永井の場合、まずポジションをトップから距離を置くことを選択した。二列目でボールをもらい、得意とするドリブルで局面の打開を図る。
 同じ位置にいる山田が、永井がいるべきトップにポジションを移行することによって起こる流動的なポジションチェンジ。そして引きつけられるDFの数。それが意図的に起こったのが、1点目だった。
 
 その後3点目を自らの左足で奪った永井だが、平川が単独でクロスを上げ、ボールが逸れると、すぐに平川のスペースを埋めに自陣へ戻るなど、攻守に渡り非常に高いレベルを継続する。
 闘莉王は自身のパーソナリティに当てはめて、チーム全体を鼓舞する術を持っているが、この日の永井はまさにプレーだけで全体を牽引し、一つのドリブルで全てを変える力を持っていた。

一つの光を求めて
翻って新潟は相変わらずプレーに迷いが見えている。ある局面においては質の高い動きを見せるが(このゲームでは寺川が素晴らしかった)それがチームコンセプトに派生しない。まだまだ安定して勝ち点を稼げる状態にはないといえるだろう。

 浦和にとって今回は「きっかけ」といえる一つの材料になった。闘莉王と永井。この二人がキーファクターとなり全員が正しいベクトルへと巻き込まれていく可能性は高い。

posted by 奥間店長 |00:46 | Jリーグ |
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2008年03月28日

停滞する日本代表と後手に回る岡田監督

日本対バーレーン。完璧とすら思えたドバイでの事前合宿から一転。指揮官の目論みはこうも外れていくものなのかと、ある意味同情すら感じられた一戦だった。

バーレーン、W杯への道
中東の国によくありがちな、その場限りの戦術や方向性をバーレーンは超越していた。これまでにない長期的な視座をもってチームをビルドアップしていく能力が確かに存在し、確実にチーム力、いや国力は増している。
 このゲームの決勝点を上げ、「史上最高のストライカー」と言われるアラ・フバイルや10番を背負うサルミーン。そこにナイジェリアやモロッコ、チャド出身の選手が帰化することで、可能性は広がりを見せている。
 監督のミラン・マチャラは「純血主義」を保持しようとする協会と対立するばかりか、主力選手とも確執があったと聞く。勝利への渇望が日本を上回る要因は多かった。

攻撃陣の誤算
岡田監督はゲーム終了後「正直に言うと、あまり自分の意図どおりではなかった」と語った。相手DF陣は長身で、単純な攻撃では破綻させることは難しくなる。バーレーンが3バックを敷き、思った以上にディフェンシブに前半を進めることも予想外だった。
 日本が狙う、相手DF陣の裏を狙う動き。安田や駒野を使いながら、両サイドから揺さぶりを仕掛け、残り30メートルでスペースを見つける。
 そのどれもが、ボールの出所を抑えられ(山瀬や中村のポジション)、ワンクッション置く時間がない。結果的にシュートさえ打てる状態に持ち込めなかった。

 巻にしても、前を向くプレーは皆無で、サイドに流れてボールをもらうと何も怖さを感じないFWになる。

 いつしかこの国ではゴール前でくさびを打ち、つぶれ役になる運動量があり、ヘディングがある程度強ければ一つの武器になると考えられてきた。だが昨日のようなゲームでは、自身の特徴を押さえつけられると何もできなくなる。
 FWとは何か。ヴチニッチやトニを見ると、鬼気迫る前方への推進力はあってしかるべき当然の意思だと感じてしまう。 「日本らしいサッカー」といっても、相手のフィジカルコンタクトだけではなく強烈なプレッシャーを背負い、前を向く力だけが活路を見いだす場面や局面は必ずある。
 日本のFWはJリーグの中で、その大役を外国人ストライカーに任せきりになっている場面が多くみられる。それらの多くはビッグクラブと呼ばれるチームに介在する問題だ。

 現実に目を背けるだけでは、世界に追い付いても追い越すことはできない。
 
 巻や田代など、未だインパクトを残せないFWこそ、異なる環境で勝負すべきではないのか。
 
セットプレーという武器の果て
そして岡田監督のもう一つの誤算はセットプレーの質の低下にある。突き詰めれば、遠藤の不調だ。昨シーズンのパフォーマンスからは考えられない時期は今も続いている。岡田監督は「戦術上の理由」と語ったが、それだけとは到底思えない。
 中村憲のプレスキックはすべてを変える力がない。そのはるか後方に素晴らしい右足を誇っていた阿部の姿もいまや霞んで見える。セットプレーでチームの方向性をある程度は示してきた日本は、このゲームに限って言えば最大の武器を無くしたも同然だった。

納得はできないこの一戦で
大きな二つの誤算に、ボールの変化(あくまでGKにはデリケートな問題だ)や高原の負傷などがあった。岡田監督は次々と後手に回ることで打開策は用意したものの、チームに何の変化も与えることはできなかった。最後にあふれ出した感情が、結局はロッカールームの「何か」を蹴り上げたのだろう。

 今回は確かに難しい一戦であり、コンディションによる言い訳もできなかった。バーレーン戦がこのチームの沸点だとすれば、今は世界という言葉を出すべきではない。
 しかし、3次予選はあと4試合ある。それほど悲観することでもない。実際、岡田監督自身がこの一戦で得た経験は大きいと痛感していることだろう。10年前の予選とは各国の力量がはるかに異なる。

 リーグ戦で卓越した力を見せていない中盤から上の選手も6月にはある程度計算できるようになるだろう。「次」はもう週末から、始まりを迎える。

posted by 奥間店長 |00:06 | NIPPON代表 |
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2008年03月24日

フットボーラーという病い

ホーム開幕戦から発売されたFC琉球オフィシャルガイドブックに、私がインタビューさせていただいたフィリップ・トルシエ総監督、県出身選手などの記事が掲載されています。お時間がある方はぜひ。今後、書店やコンビニでも発売されるそうですよ。

問題はどこに
遅くなったが、JFL第二節FC琉球対横河武蔵野FC戦をDVDで見た。結果の出ない今、代名詞でもあるフラット3がなかなか機能していないことが問題点として抽出される。
 
 しかし、それより中盤の選手がDF陣の意図に合わせた戦い方をしなければこのチームのベクトルは一向に浮かび上がってこないのではないか。その必要性をひどく痛感した一戦だった。

 フラット3は相手からボールを奪った後に、前線にスペースがあればDF自らが攻撃に参加する、もしくはサイドチェンジや中盤とのタテの関係を多くすることで、次の攻撃に流動性を促すことをコンセプトとして挙げている。その特徴的な部分に、トルシエは特にDF三枚の左は日本代表時代からビルドアップの質が高い選手を選んできた。

 しかし、第一戦、二戦目を見ても、攻撃のスタートになるようなボールの回し方は未だ、見ることができないでいる。DF陣のビルドアップ能力に起因することも一つあるが、中盤の選手がボールを引き出す動きの質が低いことが、意図的にゲームを組み立てられない問題につながっている。

 ボランチの選手は相手を背負った一定のポジションだけではなく、広域に動いてサイドハーフを高い位置で使えるような状態でDFからボールを受け、次の攻撃に移行しなければいけない。
 逆に林田や杉山らサイドハーフはあえて深い位置まで受けに下がり、その空いた前線のスペースに高松や秦が飛び込むようなイメージを「常に」共有できなければ、相手DFの扉を開けることは困難になる。

今、求めること
もちろん、全ての始まりは90分走れるだけのベースになるわけで、それができない今、個人が打開する、もしくは数的優位を用いて勝負を仕掛けるしか得点が生まれる匂いさえ感じることは難しくなっている。
 フラット3を採用するのであれば、それに見合った攻撃の組み立て方や、戦い方があるのだ。自らがやるべきことを放棄すれば、昨シーズンと同じく今の流れが終盤まで続くことは、確実にあり得る。

 「決定力不足」と「決定機不足」は違う。FC琉球はまだ「決定力不足」という領域まで足を踏み込んでいない。
 決定機を作れないことが乗り越えるべき最初の壁であり、最大の問題点だ。アタッキング・サードへ明確な意図をもって侵入する要素を90分で多く形成していく。
 
 ゴールという結果に結び付かなくてもいい。ペナルティエリアに入れなくてもいい。しかし未来へつながるプレーをし続けるためには、自分たちがやろうとするサッカーに対し、真摯に向き合い、具現化の細かな要素を積み重ねていく必要がある。幸いなことに白尾の得点は、美しくはなかったが鎌田、山下、白尾のイメージが交差した瞬間だった。
 
勝ち点3は闇の中に
FC琉球は第三節も0-1でHONDA FCに負け、痛恨の三連敗を喫している。昨シーズンも開幕後、第六節まで波に乗れない時期があったが、今年も同じような状態の中、JFLを闊歩する時期が続いている。
 トルシエが来て、名実共にクラブは変わった。その後、一昔では考えられない強化費を軸に国内トップクラスのトレセンで事前合宿を行った。
 
 そのすべてが音を立てて崩れようとしている。

 だが、今だからこそ、開幕前に立てた方向性を再確認する時期にきている。後悔の念に駆られる振り返りは許されない。信じた道を愚直に進むしか、生き残る術はない。
  
 

posted by 奥間店長 |01:08 | FC琉球 |
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2008年03月19日

浦和は帰るのか、それとも前進するのか

 「後ろを振り返ることが許されない浦和は、他チームとスタートラインが違っていた」
 ACLグループリーグ第二戦、鹿島対ナムディン(ベトナム)を見て、そう考えずにはいられなかった。

鹿島の自信と王者の雰囲気
今日の鹿島は、まさに目指す方向性や基準の置き方がナムディンとは完全に異なることを示した90分間だったように思う。ナムディンは確かにベトナム王者だが、全てにおいて凌駕する鹿島に対し、チームコンセプトの断片さえ表現できずにいた。
 鹿島のゲームの進め方に関する揺るぎない自信は、やはりどんな相手と対峙しようとも崩れない「形」が浸透しているからだ。
 
 頭だけに依存しない田代はポスト、スペースを意図的に作る作業が格段にレベルアップされ、少し引いた位置でもマルキーニョスは個人で打開できる力がある。
 中盤は小笠原が完全にフリーマンとなりすべての攻撃と、明確な守備のスタートを司る。本山、野沢、青木は自身のタスクを高いレベルでこなし、次々と昨シーズン以上の厚みのある攻撃を創造した。そこに内田や新井場が最高のタイミングでボールを受けに入る。
 ナムディンは5バックとその前に守備的な中盤を置いたが、それでもパスコースは空き、最後の4分の1にはどんどんボールが入ってきた。

名古屋に見た絶対的ベース
浦和対名古屋は、「形」をもってチャンスを作る意図を感じ取れたのは圧倒的に名古屋だった。ヨンセンというターゲットをいかに使うかという「形」と、それだけに終始せず、例えばマギヌンがポジションを変えて中に切り込みサイドバックの攻撃参加を促し、攻撃の活性化を何度も図る。細かく積み重なった「形ある仕掛け」の先に、あの二得点はあった。

 トレーニングから浦和を見ると選手からは、昨シーズンあまり感じられることのなかった戸惑いが見て取れ、オジェックにしても雰囲気を打開するような行動は最後まで取ることはなかったと聞く。
 ホーム開幕戦では後半に永井が新しい風をチームに注入したが、あれはあくまで個人的な気概が爆発したにすぎない。ゴールという明確な意図を形成する「形」は90分間の中で見つけ出すことはついにできなかった。

浦和の迷走
アジア王者の「形」はワシントンだったかもしれないし、ポンテがすべてのスタートだったのかもしれない。現在、彼らに依存することができない浦和は、完全にチームとしての方向性を見失っている。

 今シーズン、4強と呼ばれた浦和、鹿島、川崎、G大阪の前評判はすこぶる高かったが、実際には浦和以外も開幕後、イメージ通りに前進できないクラブもある。
 しかし浦和との明確な相違点は、新しいことにチャレンジしても戻れるだけのベースがあるということだ。
 川崎は3トップがダメなら中盤を増やして昨シーズンの戦い方に戻せば夏に入る前までにフッキや山岸をフィットさせることが可能になるかもしれない。G大阪にしてもパンパシでよかった倉田や山崎、そして今日のACLで決勝点を挙げた播戸の存在もある。

 だが、浦和には帰る場所がない。しかも、昨シーズンのような帰る場所を探し当てたとしても、それはサポーターが要求するような刺激的な匂いのする種類のサッカーではない。

 エンゲルスが就任した時期はここ数年でも一つの区切りになるのかもしれない。浦和の代名詞となりつつあるリアクションへの帰属を選択するのか、それとも新しい道をつくりだすのか。すぐに形に現れるとは思えないが、このプロセスは勝ち点以上に価値があるものになることを望んでいる。

posted by 奥間店長 |23:17 | Jリーグ |
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2008年03月16日

栃木SC対FC琉球 夢見る頃を過ぎれば

 FC琉球にとって三度目のJFLが始まった。戦いの総評を前に、今シーズンは何を目的に戦うのかという確固たる「基準」をこのゲームで見つけたかった。
 クラブがドラスティックな変貌を遂げる過程で、長期的な視線の先には確実にJ1で戦う、いや戦い「続ける」FC琉球が描かれているか。沖縄という閉塞感が漂う島で、経済的、社会的対象として日本や世界に発信できるパフォーマンスを魅せることが可能なのか。
 トルシエが持ち込んできた哲学の向こうには、これまで沖縄では見られなかった世界が広がっている。トルシエ革命元年。新生FC琉球第一章は、栃木県グリーンスタジアムからスタートした。

新しいシーズンの幕開け
前半のシステムは3-5-2。注目されていた中盤の構成はワンボランチを當間が、その前には高松と、体調不良の秦に代わり澤口が抜擢された。この澤口のオフェンシブなポジションには驚いたが、基本的に當間がアンカー役になり、高松と澤口がポジションチェンジを繰り返しながら攻撃に絡んでいく。
 
 前半の立ち上がりこそ澤口のポジションは低かったが、二人、三人と連動した高いプレスで栃木から高い位置でボールを奪い、澤口の攻撃参加は徐々に増えていく。特に前半8分に見られた高松からワイドに開いた左の林田へ、そして澤口が林田を追い抜いてボールを受け、決定的な場面を作り出したシーンはこのチームが目指す方向性の一端を見た。
 19分には山下が縦の変化をつけ、白尾にスルーパス。完全な一対一だったがシュートはGK小針の正面に飛んだ。ただし、この後もセカンドボールは山下が拾い、シュートまで持ち込んでいる。他の攻撃に関しても一時的な攻撃だけでは終わらず、攻撃の厚みが感じられるシーンは数多く見られた。
 
 だが、このあたりからFC琉球の懸念材料が徐々に浮き上がってくる。立ち上がり20分で得点を奪えないことが、結果的にゲームが決まってしまう要因になった。

久保ピックアップの意図は
FC琉球の生命線ともいえる3バックだが、予想に反して左には久保が開幕のピッチに立った。栗田や白井、もしくは大河原ではなく久保だった理由は何か。実際、私も最後までどうしても理解できなかった。
 フラットさえ形成できず、相手FKの際にもラインがバラバラで意思の疎通も感じない。あれだけトレーニングしたビルドアップも、レシーバーの動きをいまさら確認し、ゲームの中で反芻する場面が目立つ。
 
 そして、全てが動き出したのは前半26分。左サイドでボールを奪われ、栃木の小林がクロスを入れる。クロス自体に怖さはない、浮いたボールだったが上野が後ろへ流し、佐藤がダイレクトで左足を一閃。衝撃のボレーで栃木が先制した。
 
後半に入ると、意図的にオフサイドが取れない、両サイドハーフの運動量が異常に落ちるなど、目を覆いたくなるような現実が待っていた。特に、90分間ハードワークできるフィジカルをほぼ全員が保持していないことは明らかで、以前指摘した通り如実にピッチの上に現われていた。
 そしてそれに伴うベンチワークも後手に回り、トルシエ依存の実態も一緒に付いて回る。
 
 チームの方向性が間違っているとは思わない。成熟すれば、かならず結果はついてくるだけの魅力的な指針だ。しかし、開幕に合わせたピーキングには確実に失敗している。この後、栃木は松田が頭で合わせ二点目を奪い、三点目の佐藤のFKで勝負は決した。

付きまとう「フィジカル・コントロール」
問題なのは、フィジカルが不十分な状態で開幕を迎えたFC琉球の状態だ。トルシエはプライオリティを戦術理解に置いたが、実際90分間その戦術にあったサッカーをすることができなかった。確かにチームは先を見据えている。だが、具現化できない戦術を前にして、個人のランニングやフィジカルで埋めなければいけない場面は必ずある。
 
 その典型的な例がFC琉球の得点シーンだ。バイタルエリア、右サイドで山下が強引に澤口につなぎ、一気にボックス内へ。後半では、なかなかペナルティエリアの中で勝負することができなかったFC琉球だが、澤口がゴール前でDF二人を弾き飛ばし、高松の得点をアシストした。
 
 そこにはオートマティズムの欠片も感じることはできない、フィジカルをベースにした積極的な仕掛けだけが残った。やはり次のゲームへつながるキーファクターは、澤口が後半43分に見せた極めて個人的な身体の強さだったのだ。

明日への糧に
個人的には、前回も述べたようにもう少し後に栃木と当りたかった。個の力に絶対的なバックボーンがある栃木と、成熟し、流れるような組織で構成されるFC琉球の構図に興味は沸く。
 栃木の両サイドは本当に素晴らしかった。佐藤、小林はもちろん、左サイドバックの斎藤は明大で見せた左足をJFLでしっかり表現し、このゲームのMVPだったように思う。

 次の対戦は6月下旬。その日を迎える頃には、また違ったチームとしての在り方を見る側に訴えてほしい。FC琉球、リスタートのゲームは木曜日である。

posted by 奥間店長 |23:18 | FC琉球 |
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2008年03月16日

まず言わせてもらうと 

 JFLのシーズンが始まる前に、栃木の柱谷監督は「フェアプレイの重要さ」を言葉の端々に埋め込んでいる。強調するわけではないが、サポーターへ向けてプロクラブの姿勢をフェアプレイで示そうとした。それはゲーム前のコメントでも変わらず、徹底した「ただ勝てばいいというものではない」というベクトルは、3-1という結果と共に多くの人々に伝わったはずだ。

 今日のゲームでFC琉球のDFエメが主審に暴言を突きつけ、二枚目のイエローで退場した。

 また、GKのライスはゲーム終了後に健闘をたたえあう握手を自ら放棄し、ベンチへ戻って行った(ちなみに今日の3失点はボールに対して全く反応していない。厳しいコースだったが、準備さえできていればなにかしらの対応は絶対に可能だったはずだ。あまりにもメンタルの制御ができていない。最後まで責任感は感じられなかった)。

 サッカーに対する切実さは「勝利」という結果を凌駕する。沖縄でのFC琉球は現在、そういう立ち位置にいるのだ。
 良い部分だけを誇張し、垂れ流すだけでは何の美しさも感じない。リアル感がない、というのだろうか。奥深い思想の底にあるものは、結局は人だけをみているという事実だ。

 クラブの血を子や孫に受け継がせるために、彼らが自然と選手を受け入れる環境を形成しなければ、この先には何も生まれない。エメやライスがフランス人で、20代前半というエクスキューズなんてあるわけがないだろう。ユニフォームの色云々よりも重要な問題だ。

 この島のサッカーを汚すことは、許されない。

 宇都宮市長が行政を挙げて絶対的な支持を約束したハーフタイムより、敗戦の内容よりも、クラブ間の人間性の部分で栃木との差を痛感した一戦だった。

posted by 奥間店長 |22:50 | FC琉球 |
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2008年03月10日

フッキと川崎フロンターレ、依存度の幅

 フッキはいつボールを離すのか。関塚監督が3トップを選択した以上、唯我独尊的なプレーは許されるものではない。確かに怖さはあるが、それは川崎が持つポテンシャルの断片的な部分にすぎないのではないか。快晴の等々力で、このチームが持つ破壊的な要素を見た。

サイドハーフの生きる道
まず、このゲーム最大の見所は、サンパウロFCから加入した東京Vのレアンドロでもなければ、川崎の3トップでもない。期待されている前線の選手よりも、究極の駆け引きを繰り返す両チームのサイド攻撃に感嘆のため息が自然と出てしまった人も多いのではないだろうか。

 今シーズンの川崎は、2004年から続く成熟された3バックを選択し、森と山岸を高い位置で使うことを決断。時間帯や相手の状況によっては森が3バックに吸収され4バックのような形を取る場合もあるが、関塚監督の狙いとしては両ワイドでイニシアチブを確実に取って、爆発的な前線の3選手(フッキ、ジュニーニョ、テセ)と絡める狙いだった。

緑の血が俺の体には
だがそれ以上に狙いがハマったのは東京Vのサイド攻撃だった。レアンドロを1トップで使ってくるのは正直予想できなかったが、柱谷監督の「最後まで迷った」という策が川崎を大いに苦しめることになる。
 左の飯尾は積極的な前への推進力が森の攻撃参加を封じ込め、廣山はベテランらしく、山岸のフリーランニングさえスタートできないマーキングと、山岸のお株を奪うかのような質の高いランニングで決定的なボールを受けることに成功する(廣山のシュートをストップした川島のビッグセーブも素晴らしかった)。

 東京Vは、レアンドロがもう少しトップフォームに近づき、ワイドからの展開、そして福西の効果的な絡みを安定して継続することができればある程度戦えるのではないだろうか。福西とボランチを組んだ富澤にしても、求められているディフェンスを懸命にこなしていた。
 ひとりひとりのやるべきことが明確になれば、優勝争いは厳しくとも、中位は狙えるだけのポテンシャルは持っている。そういえば、森本以来の衝撃となる17歳、河野のステップインも見事だった。

改めてベールを脱いだ川崎フロンターレ
さて、川崎は東京Vの容赦のないサイド攻撃に手を焼いたながらも、セットプレーから森が飯尾を振り切りワンタッチコントロールからゴールに流し込んで先制。昨シーズンのACLで「耐える時間帯」を学んだ経験を十分に生かしたゴールに、このクラブの継続性を感じた。

 後半12分にはテセがキープし、その後ろを山岸がランニング。東京Vディフェンスは注意をそこに向けられテセははっきりとした意図をもってジュニーニョへ。シュートは枠外だったものの川崎の3トップと、その下の選手が目指すべき方向性がそこには現われていた。

 単独でのドリブルはこの先、トップ3のクラブ(鹿島、浦和、G大阪)が人数をかけて守ると前さえ向けないフラストレーションに苛まれるだろう。Jのトップディフェンダーはそれほど甘くない。
 昨シーズンのジュニーニョはそこに停滞しなかったので、あのゴールラッシュがあった。中盤の深い場所からゲームをコントロールできる中村や谷口もいる。
 3トップという名前に依存するのではなく、ポジションチェンジを繰り返しながらスペースを確保し、チームとして戦えればこれほど面白いチームは今のJリーグに存在しない。
 
 フッキはいつボールを離すのか。来週のゲームがまた楽しみになってきた。

posted by 奥間店長 |23:32 | Jリーグ |
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2008年03月07日

ONLY THE STRONG SURVIVE

 先ほどJ SPORTSのFOOT!で栃木SCが取り上げられていたが、開幕を前にしても、もう少し後で対戦したかったという思いは今も続いている。

ラストスパート
FC琉球はJFL開幕戦で栃木SCとの一戦を控え、指宿での合宿を終了し、沖縄に戻ってきた。これから調整の最終コーナーを曲がる。マラソンでいえば35キロ地点はすでに通過した。
 あと一週間の針の合わせ方によっては、方向性が大きくブレたり、もしくはどんな困難が訪れようとも軸は微動だにしない可能性も秘めている。開幕戦は未来への羅針に少なからず影響を及ぼすだろう。

毎年の栃木。だが異なる部分もある
そのJ経験者10選手が加入した栃木だが、予想以上にFW上野と松田の相性がいいと聞く。ゲームを終わらせる能力が高い両選手だけに、役割分担が開幕までにはっきりできる状態にあるとやはり怖い存在だ。
 中盤には、JFL所属の日本人選手の中でも間違いなくトップに位置するであろう佐藤悠介や元川崎の落合もいる。
 トルシエも「今年の栃木はお前から見てどう思う?」と聞いてきたが、背水の陣的な雰囲気と、効果的な補強で確実にチームは自信を増している。

FC琉球の体幹
今シーズン、FC琉球の生命線はどう考えても最終ラインにある。相手によって4枚で守る時期もあるだろうが、基本はフラット3で物事は進んでいく。
 少し前の練習試合では、まだまだ使いこなせない場面は多々見られた。フラット3のウィークポイントでもある裏のスペースやワイドにボールが入ったとき、連係ミスでチェックが遅れてゴールに直結するなど、まだまだ成熟の領域に足さえも踏み込めてない。
 
 呪術師は中盤で相手がボールを保持する際には常に「DFは相手との距離を3メートルに保て」というが、なかなか3人が連動して相手FWを捕まえることは難しく、もう少し時間を要するとしかいいようがない。
 連携に関しては、身体的な特徴は皆無で、コミュニケーションが全てを解決するだろう(それでも短期間で完璧に習得した宮本ツネは改めてすごいと感心してしまうが)。
 これがある程度機能し始めると、高い位置でボールを奪い、オートマティズムの連鎖でゴールに迫ることが可能だ。
 言うのは簡単だが、選手個人の細かい哲学や概念を変化させ、トルシエの要求に答えながら一年目は過ぎていく。どう考えても、やはりもう少し時間を要する。
 
中盤の先はどうなる
気になるもう一つの点は、ボランチが誰になるのか、ということだ。指宿合宿では當間などが務めていたが、まだやるべきことを整理できていない印象を受けた。
 特にDFラインがビルドアップをする時間帯が長くなったとき、攻撃にアクセントをつけるボールのもらい方や、次の攻撃に移る際の「意図的な」スペース確保など、彼は元来中盤より先の選手なだけに、トルシエが採用するワンボランチには荷が重い。
 かといって他に誰が担当するのかという問題は付きまとい(ボランチもできそうな澤口はサイドハーフを担当している)、これは開幕のメンバー表をみるまでわからないだろう。中盤のシステム自体を再構築する可能性も否定できない。

 FWは山下の相棒を探す段階だ。白尾や黒田あたりが椅子を争うことになる。山下自身もポストプレーだけに専念する意図はないだろうし、もう一人は裏に抜けて、なおかつ最後の4分の1付近で確実にボールが収まる選手をピックアップするはずだ。
 
 開幕までにイメージは膨らむばかり。明日のJリーグ開幕を見るとさらにインスパイアされる部分は増えていく。最近、中田浩二のパフォーマンスを映像で確認したが、やはり栗田が求められていることは似たようなものだ、というように。

posted by 奥間店長 |23:57 | FC琉球 |
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2008年03月02日

フィリップ・トルシエを覚えているか

 FC琉球と行動を共にした指宿での取材は、トルシエの哲学とこれから先の道筋が明確に浮かび上がった4日間となった。

時代は繰り返される
今思い出すと、あのポジションを恐ろしく細かく指摘する様子も、あのクールダウンも、そこにトルシエがいなくてもトルシエのトレーニングだとすぐに理解出来てしまう。やはり彼の指導法は独特すぎるほど色ははっきりと見て取れる。

 ときにウエアを引きちぎる勢いで選手とぶつかり、自身が望むようなプレスの連動に遅れた場合は、勢いよく顔面にボールを投げる。「広告塔」と言われた人間が行う情熱の弾け具合ではない。そう断言できるほどに、濃密な緊張感が常に張り巡らされている。
 トレーニングに関しても、同じ形(フィニッシュまでのプロセス)を求める攻撃や、3バックの真ん中の選手がパスを出すタイミング、ボディシェイプ、そして代名詞でもある3人のラインコントロール。全てに、徹底した自身のモノサシを用いて指導していた。軸は全くぶれることはなく(その伝え方、哲学への批評はまた別問題だが)、ゆえに選手への浸透度も日を増すごとに大きくなる。

見える世界の違い
それだけではない。普段の生活を送れば見逃すあまりにも些細な出来事も、彼の目は行き届いていた。私が選手に話を聞いた後も、すぐに内容や去年の同時期との違いを聞いてくる。そして、周りのスタッフへの気配りはもちろん、私の膝の怪我も出会って数分で見抜いたことはさすがに恐れ入った。

 「采配は一流とは言えないが、チームを組み立てる作業は天才的」とはこれまでも聞いてきたが、日常レベルにまでも配慮を怠らない姿勢に、彼の本気度が垣間見えた。組織的なサッカーに比重を置く今だからこそ、徹底した管理体制がこのチームを支えていることは確かだ。

まだ見ぬ未来は
気になるのは今の時期にフィジカル的な要素を盛り込んだトレーニングが少ないと言うことだ。少なくとも私が聞いたり、見た段階では、極限の精神、身体状態まで追い込むことはまだないのではないか。指宿での合宿も、3バックや中盤の戦術確認が延長されることもあった。
 残りの時間でシーズンを戦えるだけの状態にするのか、それとも戦術の成熟度を選択するのか。他国の監督業のために沖縄から離れる時間を考えると、そのマネジメントだけ切り取ってもかなり興味深い。
 
 トルシエが持ち込んだ戦術はまた別の機会にでも。やっていることは日本代表とほぼ一緒だ。しかしJFLで具現化させるとなると、また違った面白味が顔を出す。
 いずれにしても、サッカーを扱うトルシエから学ぶことは多い。カズが言っていた言葉がここにきて理解できたような気もする。

posted by 奥間店長 |00:51 | FC琉球 |
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